あらすじ
小さな樹脂加工工場を経営している鴨田たかしは、商工会の知り合いから脱税を勧められ、言われるままに実行するものの、税務調査が入って追徴課税を課せられてしまう。この現状を打破するため、次期アメリカ大統領候補のパーティグッズを作る仕事を引き受けて大量生産するが、候補者が方針転換したことで販売できなくなり、借金がさらに増えてしまう。妻にも逃げられ、多額の借金を抱えたたかしは万策尽き、娘の鴨田かすみと共に電車に飛び込もうとするが、線路にいたカラスの足に結ばれていた1枚のメモを見つける。メモには謎の絵と「夢印」の文字が記されており、それが気になったたかしはカラスを追いかけ、ある研究所にたどり着く。研究所の中に入ると怪しげな所長がおり、たかしとかすみの今の状況を聞いた所長は、ルーヴル美術館にある絵画の密売に協力するようにと儲け話を持ちかける。所長に胡散臭さを感じながらも、借金を返すために協力することを決めたたかしは、反対するかすみを言いくるめて共にフランスへと旅立つ。フランスに到着した二人は、所長の指示どおりに現地の人と協力して準備を進め、作戦開始の合図を待つのだった。
登場人物・キャラクター
鴨田 かすみ (かもだ かすみ)
父親の鴨田たかしの借金返済のため、たかしと共にフランスへ渡った小学生の少女。落ち着いた性格で、たかしよりも物事を冷静に判断できる。所長から借金返済のため、胡散臭い絵画密売計画を持ちかけられる。最初はたかしにその依頼を断るように忠告していたが、藁にもすがりたい状況のたかしが強引にその儲け話に乗ったため、鴨田かすみ自身も仕方なく協力することとなる。適応能力が非常に高く、渡仏後はまったくしゃべれなかったフランス語も、数日で簡単な会話ならできるようになった。
鴨田 たかし (かもだ たかし)
鴨田かすみの父親で、小さな樹脂加工工場を経営している男性。生真面目なことだけが取り柄の小心者。知り合いから脱税を勧められて言われるままに実行するが、不正がバレて多額の借金を背負い、妻にも逃げられてしまう。かすみといっしょに自殺しようとした際、カラスの足に結ばれていた1枚のメモを見つけて運命を感じ、カラスを追った先で所長と出会う。その怪しげな所長から、胡散臭い絵画密売計画を持ちかけられる。かすみからは反対されるものの借金返済のため、一念発起して協力することを決める。フランス到着後は、疑心暗鬼なかすみを落ち着かせようとするが、逆にかすみから嗜められることが多い。
所長
フランス研究所の所長を務めている男性。蝶ネクタイとスーツを身につけ、内側にカールした髪型で、三枚の出っ歯に口ひげを蓄え、語尾に「ざんす」を付ける独特なしゃべり方をする。フランスに造詣が深く、流暢なフランス語をしゃべることもできる。芸術に関してはこだわりを持ち、ルーヴル美術館への思い入れが強い。フランスの滞在歴も長く、日本に住んでいる現在もフランスの生活様式を取り入れている。研究所を訪れた鴨田かすみと鴨田たかしの現状を聞き、絵画密売計画への協力を要請した。所長いわく、ミッテラン大統領やシルヴィ・バルタンとも懇意にしていたらしい。赤塚不二夫の『おそ松くん』の「イヤミ」がモデルと思われる。
ミシェル
フランスで消防士を務める男性。困っている人がいたら、どんなときでも手を差し伸べることを信条としている。祖母がアパートの管理人をしており、20年以上前に4年間アパートで暮らしていた「キョーコ」という女性から日本語を習ったため、日本語をしゃべることができる。小さい頃に両親を事故で亡くし、今でもキョーコのことを母親のように慕っている。鴨田かすみと鴨田たかしがアパートにやって来た時も通訳をしたり、かすみの相談に乗ったりするなど親身に接している。
溝口
警視庁野乃木坂警察署に勤める定年間近な男性刑事。長年、フランス絵画の窃盗・密売事件を捜査しており、黒幕とされる人物の特徴からフランス研究所の所長にたどり着く。決定的な証拠をつかむため、所長と接触した鴨田かすみと鴨田たかしのことを調べている。
クレジット
- 協力
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フジオプロ