概要・あらすじ
バレエが好きな陸野柚は、1日13時間以上眠ることを130日続けたある日、レムによって夢現界に連れて来られてしまう。レムは夢現界の犯罪を追う魔法警部。夢現界人の10倍のパワーを発揮できる現界の人間である柚に、用心棒になってほしいと申し出る。最初こそ戸惑っていたものの、曲がったことが嫌いな柚は、レムたちの手助けをすることを決意。
登場人物・キャラクター
陸野 柚 (りくの ゆず)
中学1年生で14歳の少女。バレエが好きで教室にも通っているが、技術は今ひとつ。なかなかいい役を与えてもらえない。せっかくのバレエの舞台も寝過ごしてしまうほどよく眠る性質。毎日13時間以上眠るのを130日間続けた結果、130日目の13時に現れたレムに連れられ、夢現界へと招喚される。陸野柚たちが住む現界の人間は、夢現界人の10倍のパワーを発揮できるため、レムに用心棒になってほしいと頼まれる。 突然のことに戸惑っていたが、実際に直面した事件で、そのパワーを駆使して、事件を解決に導くことになった。そのため、ちょくちょく夢現界に招喚されては、レムたちをサポートすることになる。犯人を攻撃する技は強力で、いずれもバレエにちなんだ技名が付いている。
レム
夢現界連邦警察魔法課二十一斑に所属する魔法警部。16歳の少年。一級の腕前を持つ招喚士であるが、事件解決に失敗し続けた。そこで、夢現界で強力なパワーを発揮する現界の人間、陸野柚を、夢現界に招喚した。天真爛漫な性格だが、鈍感なところもある。国王のSPになることを目標にしており、SP昇格試験を何度も受けている。 実技試験には通過するが、ペーパーテストは苦手で、最終試験に落ち続けている。
海印 (かいん)
水を自在に操る水魔師の少年。寺の息子で、5年前に寺の修行僧に秘伝の奥義書を狙われ、家族を殺されている。犯人に復讐するため、王宮の宝物殿にある魔法武器を盗み出そうと、陸野柚たちに近づくが、あえなく逮捕される。魔法の能力が高いため、保護監察処分とする代わりに、魔法警部のサポートをするよう、レムから打診を受ける。 最初は拒んでいたものの、成り行きで柚たちのメンバーに加わり、事件解決に携わることとなった。冷徹な性格で、柚たちを欺こうとすることもあるが、徐々にメンバーとしてなじんでいく。
ルードヴィヒ
夢現界連邦警察の顧問占い師。17歳の少年。事件のカギとなるものや場所、人の運命などあらゆるものを占い、事件のヒントを与えている。陸野柚が初めて会った際に、思わずときめいてしまったほどの美形。性格は穏やかで優しく、アリス・オディール・ロットバルトとサナートが共謀してルードヴィヒを誘拐した時も、サナートのことを悪人ではないと信じていた。
ショーン
レムが所有している魔法書。しゃべることができる。魔法についてのさまざまな情報を網羅しており、陸野柚やレムたちにヒントを与えることもある。かなり古い魔法書で、人間でいうところの老人である。そのため、時に神経痛を患って寝込むこともある。
アリス・オディール・ロットバルト (ありすおでぃーるろっとばると)
14歳の変化魔法師の少女。犯罪のための魔術を教える魔女学校に通っている。学校の卒業ダンスパーティーのパートナーとしてレムを見初め、連れ去ろうと狙う。その後、今度はルードヴィヒをターゲットとするが、いずれも失敗。以降、何かと事件を起こし、陸野柚たちと関わることになる。ダンスパーティーのパートナーを断られたことを理由に、サナートをヘビの姿にした張本人。 もとの姿に戻りたがっているサナートを使って、悪だくみを図る。
サナート
28歳の幻覚師の青年。犯罪組織とは知らずに、魔女学校で幻覚術の講師として教鞭を執っていた。数多くの女性を侍らせるほどの美男子で、極度のナルシスト。アリス・オディール・ロットバルトからダンスパーティーのパートナーとして声をかけられた際、自らの美しさは全女性のものであると言って断った。すると、逆上したアリスに、ヘビの姿にされてしまった。 それ以来、もとの姿に戻りたい一心で、アリスの悪事の手助けをすることになる。自分の美貌を取り戻すためなら、陸野柚たちをだますこともいとわない。
エディ
夢現界の王室の第三王子。国王のもとに後妻に入った妃の息子。レムと顔がそっくりで、かつてはレムを影武者としていた。伯父の汚職事件が発覚して以降権力を失い、影武者をつける価値がないと判断された。その結果、レムはお役御免となったが、それ以降も2人の交流は続いている。キザでわがままな面があり、陸野柚にも気安く近づいたりするが、根本的には憎めない性格である。 王族が代々引き継ぐ魔法として、すべての魔法を消去する「滅魔法(カイダほう)」を使える。
ラヴァン
夢現界連邦警察魔法課二十二班に所属する魔法警部の男性。レムとは警察学校の同期であり、同じ招喚士なので、常にライバルとして争ってきた。レムに対して個人的な恨みを抱えている。SP昇格試験の際には、お付きのカエルを使って、レムや陸野柚たちをだまして抜け駆けしようと試みる。性格には少々難があるものの、魔法警部としての仕事は熱心にこなしている。
ソフィア・ロットバルト (そふぃあろっとばると)
アリス・オディール・ロットバルトの母親。「希代の魔女」として知られる。過去に数々の犯罪を重ねた凶悪さから、200年の幽閉の刑に処されていた。子供の姿で封印される代わりに大幅な減刑を受け、5年で釈放された。魔力を半分に封印されているため、本来の力は出せない状態。それでも並の魔法使いには負けないほどの強力な魔力を持ち、陸野柚たちを翻弄する。
集団・組織
夢現界連邦警察 (むげんかいれんぽうけいさつ)
夢現界を取り仕切る警察組織。レムたちは魔法課に所属しており、夢現界で起きる魔法による犯罪を解決するべく活動している。ただし、魔法課は窓際の部署とされており、不況に伴って新規採用が見送られているため、人手不足にあえいでいる。これが陸野柚を夢現界に招喚したり、海印を仲間にしたり、といったことの遠因となっている。
場所
夢現界 (むげんかい)
宇宙の精神に当たる世界。宇宙にも肉体と精神がある、という考え方に基づいている。宇宙は星そのものを指す地界、陸野柚たちが暮らす現界、夢現界、そしてあの世ともいえる夢界の4つに分かれるとされ、夢現界は現界と夢界のはざまにある。現界で1日13時間以上の睡眠を130日連続で取ると、その130日目の13時にのみ、夢現界への扉が開かれる。 現界から夢現界に招喚された人は、13日間のみ夢現界に滞在することができ、それを過ぎると、基本的に現界には戻れないとされている。
現界 (げんかい)
陸野柚が暮らす世界を指す。宇宙を肉体と精神に置き換えた時、現界は血や細胞など体の組織にあたるとされる。現界と夢現界は基本的には自由に行き来することができない。しかし、現界の人間が1日13時間以上の睡眠を130日取った時のみ、130日目の13時にその人にだけ夢現界への扉が開かれる。柚はこの条件に合致したため、レムに招喚されることになった。
その他キーワード
魔法警部 (まじっくぽりす)
夢現界連邦警察におけるレムたちの役職。夢現界で起こる、魔法に関わるさまざまな事件を解決するため、日夜業務に励んでいる。一方で慢性的な人手不足にあえいでおり、それを理由に陸野柚や海印たちは、魔法警部のサポートとして、レムとチームを組むことになる。
時空超越 (おーばーてんぽらる)
レムが使う招喚魔法。夢現界と現界を行き来する際に使用される。この魔法により、夢現界へ渡る条件がそろった陸野柚はレムに招喚されることとなる。現界の人間は、この魔法で招喚を行ったのと同じ招喚士の呪文でないと、現界に戻れないとされている。
幻魔光 (ふぁんとむぶらいと)
レムが使用する魔法。魔法杖を使って放たれる。まばゆい光を放ち、一時的に相手の目つぶしができる。事件の犯人による攻撃をひるませるために、戦いの際にレムがしばしば発動させる。
魔法杖 (まほうづえ)
レムはこれを使って、数々の魔法を発動することができる。呪文を記憶できるほか、所有者の精神を高める役割も持つ。あくまで魔法を駆使するための補助的な役割を果たすものであり、上級の魔法師になると、魔法杖がなくても魔法を操ることができるようになる。
水龍斬 (すいりゅうざん)
海印が使う魔法。水魔師である海印は、この技により超高圧の水を発して攻撃を行うことができる。ただし、周囲の大気中にある水を集約して攻撃を行うため、砂漠など大気が乾いた湿度の低い場所では、使うことができない。
転身 (めたもーる)
アリス・オディール・ロットバルトが使う魔法。変化魔法師であるアリスは、この魔法でさまざまなものを、思い通りに変身させることができる。レムやルードヴィヒを誘拐した時に、紙状の人形(ひとがた)に変身させた他、窮地に陥った際には、自分にこの魔法をかけて鳥に変身し、逃げることもある。