概要・あらすじ
平徹は現代の大学生ながら、大正浪漫と芥川龍之介に憧れ、髪型やファッションまで大正風に決めるなどノスタルジー嗜好の純情青年。大正風味の奥ゆかしい情緒にこだわる彼は、やがて下宿先の純朴な一人娘、由貴ちゃんに恋するようになる。そして由貴ちゃんもまた、愚直で一本気な平徹に惹かれていく。
登場人物・キャラクター
平 徹 (たいら てつ)
大正浪漫をこよなく愛する純情な大学3年生。芥川龍之介を敬愛し、竹久夢二の絵を好むなど、大正期の文物に尋常でないこだわりを持つ。浅草にある古風な風味を残す、木造建築の山田家で下宿生活をしている。最初は三枝さん、川田さんら、同じ大学の女子と付き合おうとモーションをかけるものの断られ、その後、下宿先の娘である山田由貴の可憐さに気づき彼女一筋になっていく。
山田 由貴 (やまだ ゆき)
平徹の下宿先の一人娘で家事手伝い。あまり目立つようなルックスではないが、笑顔がかわいく純朴な性格。かつては短期大学の家政科に通っていた。誰にでも優しいが、一緒に生活するうちに不器用で一本気な平徹に惹かれていくようになる。
佐山 (さやま)
平徹と同じ山田家に下宿する大学生。現代風のファッションで決めており女性にもモテるが、しょっちゅう彼女をとっかえひっかえしている。通い付けの代官山の美容室ではカットモデルをするなど、容姿には自信を持っているが、その反面、6畳一間畳敷きの和室にアーバンスタイルの家具を置くなど、いささか趣味の悪い面もある。
おじさん
平徹の下宿先の主人で、山田由貴の父親。だじゃれ好きで、丸めがねを愛用する気のいい中年男性。将棋2段の腕前の持ち主で、平徹もときどき将棋の相手をしている。
おばさん
平徹の下宿先のおかみさんで、山田由貴の母親。いつも笑顔を絶やさない気のいい中年女性。
義明 (よしあき)
平徹が家庭教師のアルバイトで国語を教えた少年。大正浪漫や芥川龍之介を理解させるべく、平徹は彼をお気に入りの喫茶店へ連れて行った。
ダンナ
平徹が銭湯に出かけた折に出会った人物。角刈りで渋い雰囲気を漂わせた侠客風の人物。背中に見事な昇り龍の刺青をしている。その粋な風呂の使いぶりに平徹は感嘆する。そして平徹もまた、帰り際に彼から風呂の入り方を誉められた。
五十嵐 (いがらし)
平徹の大学の同級生女子で英文学科に所属。平徹の服装センスなどを認めている。英国趣味の持ち主。平徹が趣味で切手を集めていた際に、彼女に切手コレクションの交換を持ちかけた。その後、彼女が引っ越し先の部屋探しをしていたときに、平徹は物件探しを手伝う。
土屋 (つちや)
平徹の下宿先のおじさんの昔なじみで高校時の友人。園芸好きで、おじさん宅に遊びに来ていたときに、平徹にキウイ棚作りの手伝いを持ちかける。日当が出るということで、ちょうど金欠だった平徹は二つ返事で引き受けた。