大食い甲子園

大食い甲子園

全国一の大食いを決める伝統の大会「大食い甲子園」で、桃太郎高校は、新監督の盛山空太郎を迎え、岡山県代表を目指す。食に青春を懸けた高校生たちの、熱き戦いの軌跡を描く。

正式名称
大食い甲子園
ふりがな
おおぐいこうしえん
作者
ジャンル
その他料理・グルメ
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

岡山県立桃太郎高校は、15年前に、「大食い甲子園」と呼ばれる伝統の大食い大会で優勝して以降、地区予選すら勝てない状態が続いていた。校長は、過去の栄光を取り戻すために、かつて大食い甲子園で名を馳せた盛山空太郎を新監督として招聘。盛山空太郎は着任するなり、キャプテンである山本康太の胃が大食いに向いていない、と言い放ち、部内は騒然とする。

新生桃太郎高校大食い部は、宿敵鬼ヶ島工業を倒して岡山県代表を目指すため、多難な門出を迎えるのだった。

登場人物・キャラクター

盛山 空太郎 (もりやま くうたろう)

桃太郎高校大食い部の新監督の男性。10年前、「大食い甲子園」優勝の最有力候補だった山梨宝刀学院でキャプテンを務め、プロフードファイター協会からもスカウトされていた逸材。だが、「大食い甲子園」出場前日に、賭け大食いを行ったことが明るみに出て、出場停止処分を受け、その後は大食い界から姿を消していた。現役当時は「スーパーイーター」の異名を取っていた。

校長 (こうちょう)

桃太郎高校の校長。優しげでふくよかな中年女性。近年、良い成績を残せず廃部もささやかれる大食い部を復活させるため、盛山空太郎を新監督として招聘した。15年前の「大食い甲子園」優勝時に、桃太郎高校の校長をしていた父親と同じ喜びを味わいたい、と強く願っている。

山本 康太 (やまもと こうた)

桃太郎高校3年生の男子生徒。大食い部ではキャプテンを務める。非常に真面目な性格の持ち主。盛山空太郎の就任初日に、胃が縮んでいるため大食いに向いていない、と宣言されてしまう。これを理由に大食い部を辞めるようとするが、練習メニューの合理性や対戦校のデータの正確さなどを空太郎に評価され、選手ではないが、キャプテンとして部に残る。

青木 進一

桃太郎高校2年で大食い部の副将を務める男子。鬼ヶ島工業高校との対抗試合の後に、訓練や練習のハードさ、試合の過酷さから、退部を考えるようになる。

本田 良介

桃太郎高校2年で大食い部の中堅を務める男子。鬼ヶ島工業高校との対抗試合の後に、訓練や練習のハードさ、試合の過酷さから、退部を考えるようになる。

高橋 宏

桃太郎高校2年で大食い部の次鋒を務める男子。鬼ヶ島工業高校との対抗試合の後に、訓練や練習のハードさ、試合の過酷さから、退部を考えるようになる。

矢沢 拓也 (やざわ たくや)

桃太郎高校1年の男子生徒。大食い部では先鋒を務める。プレッシャーに弱く、鬼ヶ島工業高校との対抗試合では、相手の雰囲気に飲まれて結果を残せずに終わる。元々部活動は楽しくワイワイやりたいと思っていたため、本格的な活動を開始した部を辞めようと考える。しかし、盛山空太郎のアドバイスで、自分の弱気を克服しようと努力するようになる。

坂野 留美 (さかの るみ)

桃太郎高校2年4組の女子生徒。大食い部ではマネージャーを務める。キャプテンの山本康太に、密かに思いを寄せている。可愛く元気な少女だが、盛山空太郎が康太に、大食いに向いていないと告げた際、食ってかかるなど、気の強い一面も持つ。

早味 翔 (はやみ しょう)

桃太郎高校2年5組の男子生徒。金髪で少し後ろ髪が長い、軽い感じのハンサム。女子生徒に人気があり、毎食大量の手作り弁当をもらっては、すべて平らげている。一方で自分は大食いではなく、うまい物をたくさん食べるのが好きなだけと、大食い部の活動には否定的。友人である菊田健太の実家のそば屋「翁屋」が、鬼ヶ島工業高校大食い部の佐藤、鈴木、山田に荒らされたとき、店のために勝負を挑む。

原 満 (はら みつる)

桃太郎高校1年の男子生徒。肥満気味。大食い部の部室で一升飯を盗み食いしたことをきっかけに、飯を腹いっぱい食べるために入部した。肥満体のため、盛山空太郎には大食いに向かないと言われたが、のちに底なしの胃袋を認められる。グリーンピースが苦手で、「大食い甲子園」地区予選のシウマイ勝負では、苦戦を強いられる。

菊田 健太

桃太郎高校2年の男子生徒。早味翔の小学校からの友人。実家は「翁屋」というそば屋を営んでいる。この「翁屋」が親子丼の大食いで、佐藤、鈴木、山田に荒らされていることを翔に語り、彼が大食い勝負に挑むきっかけを作った。

梅小路 香 (うめこうじ かおり)

桃太郎高校1年3組の女子生徒。茶道部員。ストレートの黒髪に眼鏡の、大人しそうな外見。しかし、茶会席で懐石弁当をすべて食べてしまったため、茶道部を退部させられてしまう。のちに人目を気にせず思い切り食べたい、と言う気持ちから、大食い部に入部する。大食いでありながら、食べ方は非常に上品。

毒島 武

鬼ヶ島工業高校大食い部OBの男性。12年前に大食い部で主将を務め、第17回「大食い甲子園」で、部を準優勝に導いた実力派。当時は「岡山に毒島あり」と謳われていた。勝負後半に猛烈な速さで食べるため、「ターボ毒島」との異名を取る。高校卒業後はプロフードファイターの道に進んだ。しかし、「喰いワンGP」での6位入賞が最高記録で、それ以後は鳴かず飛ばず。 そば屋「翁屋」で親子丼勝負をする佐藤、鈴木、山田に頼られ、代わりに早味翔との試合に臨む。

佐藤、鈴木、山田 (さとう、すずき、やまだ)

鬼ヶ島工業高校大食い部の3人組の男子生徒。親子丼の大食いで、そば屋「翁屋」を窮地に追い込んだため、早味翔と勝負することになった。翔の実力に対抗するため、代理として毒島武を連れてくる。鬼ヶ島工業高校大食い部を名乗ってはいるが、実際は邪道食いを改めずにいたため、監督の大江島に退部させられていた。

大江島 (おおえじま)

鬼ヶ島工業高校大食い部のOB。現在は、同校の大食い部で監督を務めている男性。毒島武の2年先輩にあたり、彼に「ターボ毒島」の異名を授けた存在。鬼ヶ島工業高校の大食い部員が大食い勝負していると聞きつけて、そば屋「翁屋」を尋ね、佐藤、鈴木、山田は既に大食い部の部員でないことを告げた。また、彼らが迷惑をかけたことに対し、店にも深く謝罪する。

林家 彦介 (はやし ひこすけ)

桃太郎高校2年の男子生徒。菊田健太の1年生の時の同級生。落語研究部の部員。小柄でつるりとした顔をしており、後ろ毛が一部立っている。そばを大食いした男性が、そば人間になってしまうという落語「そば清」を演じるため、「翁屋」でそばを大量に食べていた。そこを、健太と早味翔に、大食い部への入部を勧められる。 得意食は麺。落語で鍛えた度胸があり、冷静な性格。

伊尻 正浩 (いじり まさひろ)

桃太郎高校大食い部のOB。24歳の男性。現役部員の練習用に、ラーメンと餃子を差し入れると言って、餃子入りインスタント袋麺を差し入れた。盛山空太郎の練習方法が生ぬるいと言ってケチをつけ、梅小路香とラーメンライス20分勝負をすることになる。

竹田 (たけだ)

盛山空太郎が主将を務めていた時代の、山梨宝刀学院大食い部のレギュラー。「大食い甲子園」決勝前夜、妹の手術費のため、監督室から部の遠征費を盗もうとして、盛山空太郎に見つかったという過去がある。現在は富山完振高校の大食い部で監督を務めている。

空界 (くうかい)

長浜の寺「萬福寺」の住職。桃太郎高校が夏合宿で世話になる。関西では有名なフードファイターで、若いときの名は「空念」、別名「食いしん坊」と呼ばれていた。現在は自身はフードファイトはやめ、寺を尋ねた若い者を鍛えることに専念している。過去には、不祥事で学校を辞めた盛山空太郎の世話をしていたこともある。

菊池 (きくち)

富山完振高校大食い部の1年生男子。長浜で大食い練習用のハンバーガーを買いに出たところ、早味翔とぶつかってハンバーガーをダメにしてしまう。先輩に怒られるのが怖くて、早味が突然ぶつかって来たと嘘をついたため、大騒ぎになる。

獅子戸 錠二 (ししど じょうじ)

美作五輪学院の大食い部に、3年前に監督として就任した人物。美作五輪学院の急成長の原動力。カウボーイハットにサングラス、口髭に長髪を後ろで束ねた壮年男性。元は「ハンター錠二」の異名で知られた伝説のフードファイター。伝説の型「二丁食い」の考案者。

山田 (やまだ)

倉敷白壁高校2年の男子生徒。大食い部のレギュラーを2年連続で務める実力者。わざとスパートをかけ、ドカ食いをしているように見せかけて相手のペースを乱すなど、試合運びの巧みさに定評がある。桃太郎高校との試合では、立ち上がってコロッケを皿ごと持ってかき込むそぶりを見せ、メンタルの弱い矢沢拓也を攪乱した。

今西、服部 (いまにし はっとり)

倉敷白壁高校2年生の男子生徒。大食い部のレギュラー。「大食い甲子園」地区予選1回戦に登場して桃太郎高校と対戦し、今西は次鋒の原満と勝負食材シウマイで、服部は中堅の林家彦介と勝負食材うどんで戦う。

大塚 (おおつか)

倉敷白壁高校3年生の男子生徒。大食い部のレギュラー。「大食い甲子園」地区予選1回戦で、桃太郎高校副将の梅小路香と戦う。勝負食材はたこ焼き。最初に早食いで差をつけ、1皿以上の差がついてからは相手の食べ方に合わせ、一定以上の差をキープするという戦法を見せる。

室田 (むろた)

倉敷白壁高校3年生の男子生徒。大食い部のキャプテン。「大食い甲子園」地区予選1回戦で、桃太郎高校大将の早味翔と戦う。勝負食材はチャーハン。3年間の力を出し切るよう監督の大江島に激励され、勝負に挑む。

武蔵山 (むさしやま)

美作五輪学院3年生の男子生徒。大食い部キャプテン。「大食い甲子園」岡山県地区予選で、大将として早味翔と戦う。勝負食材は冷やし天ぷらうどん。獅子戸錠二の技である「二丁食い」で勝負に挑む。

集団・組織

桃太郎高校 (ももたろうこうこう)

岡山県の県立高校。15年前に「大食い甲子園」で優勝した古豪。桃太郎高校の大食い部は応援部が母体となっているため、「質実剛健」をモットーとしている。また、大食い部の制服は応援部設立当時の学ランを模しており、部員はそれを誇りとしている。その姿は街中でも非常に目立つ。

鬼ヶ島工業高校 (おにがしまこうぎょうこうこう)

岡山県の工業高校。「大食い甲子園」では、毎年岡山県代表になっている名門強豪校。大食い専用の道場「馬食館」を擁し、そこで練習や試合を行っている。桃太郎高校との対抗試合も「馬食館」で行われた。

倉敷白壁高校

岡山県の大食い強豪校。毎年「大食い甲子園」の地区予選では、4回戦進出が確実視されている。今年は地区予選1回戦で桃太郎高校と当たった。倉敷はあんこの名物菓子が多いため、あんこ菓子に強い。引きの強い学校で、前回大会では食材抽選で得意の鯛焼きを引き当てた。最初に勢いよく食べ、相手のペースを乱してから、後半は少量ずつ安定したペースで口に運ぶ戦法を取る。

富山完振高校 (とやまかんぶりこうこう)

富山県の高校。大食い部が萬福寺での合宿を計画していた。しかし、1日違いで予約が取れず、桃太郎高校に入られてしまったため、近くの旅館で順番待ちをしていた。ハンバーガーを買いに出た1年生の菊池が早味翔とぶつかり、ハンバーガーをダメにしてしまったため、萬福寺に乗り込んでくる。

美作五輪学院 (みまさかいつわがくいん)

岡山県の美作にある私立高校。宮本武蔵生誕の地であることにちなんで、応援団は剣道着を着込んでいる。伝説のフードファイターである獅子戸錠二を監督に迎え、「大食い甲子園」地区予選1回戦で大本命校の鬼ヶ島工業を倒し、ダークホースとして注目される。

場所

翁屋 (おきなや)

菊田健太の父親が店主を務めるそば屋。親子丼大食いで1万円の賞金を出していたが、鬼ヶ島工業高校の大食い部員を名乗る者たちに、食い荒らされている。毎日1万円を取られてしまうため、このままでは店が潰れてしまう、と店主も息子の健太も困っていた。早味翔が店を守るために、鬼ヶ島工業高校と大食い勝負をすることになる。

萬福寺 (まんぷくじ)

長浜にある寺。空界が和尚を務めている。大食いを目指す者の登竜門として知られる。かつて盛山空太郎も、ここで修行を積んだ経験がある。桃太郎高校の大食い部は、「大食い甲子園」を目指して、ここで夏合宿を行う。

その他キーワード

百食食い (ひゃくしょくぐい)

鬼ヶ島工業高校大食い部の特訓練習。80年前に在籍した柔道部員が、洋食店でカレーライスを100食完食した故事にちなみ、五代目部長が「百食食い」と名付けた。主に2年生部員の、次期部長候補を決めるために行われる。実際には100食が完食されたことはなく、これまでの最高記録は、26年前のカレーライス45食完食となっている。

大食い甲子園 (おおぐいこうしえん)

全国の高校の、大食いの頂点を決める伝統の大会。試合は先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の5名で行われ、公式大会では1人20分、計100分の試合時間となる。食し方が見苦しい場合は、審判より指導・警告がなされ、減点の対象となる。試合方法は1対1の対戦方式で行うマンツーマンと、チームの5人が協力して戦うリレーの2種がある。全国大会の「大食い甲子園」では、マンツーマン方式が取り入れられている。 地方予選では、対戦する両校の同意により、どちらかに決められるが、近年ではマンツーマン方式が主流。一方で、試合結果が公式記録に残らない対抗試合においては、リレー方式を取り入れることが多い。

対抗試合 (たいこうじあい)

大食い部同士の非公式試合。申し込んだ学校側が試合食材の費用を負担することが、暗黙の了解になっている。部費が潤沢な部は、食堂やレストランでの試合も可能。なかには相手校に米を送り、相手校の調理場でおにぎりを作ってもらって、それを試合食とする部もある。桃太郎高校と鬼ヶ島工業高校の対抗試合でも、白米のみのおにぎりを試合食とした。

邪道食い (じゃどうぐい)

水やお茶などで、原形を崩す食べ方のテクニック。プロの試合では使ってもかまわないとされるが、高校の試合では禁じられ、指導・警告の対象になる。たとえ対抗試合であっても、邪道食いをしたチームはその時点で敗れ、3か月の活動停止処分を課される。

二丁食い (にちょうぐい)

伝説のフードファイター・獅子戸錠二が編み出した技。熱い麺類を食べるとき、両手で箸を持ち、片方の箸で麺を冷ましながら、交互に口に運ぶことにより、早く食べられるという技。火傷の危険性があるため、高校生の使用は禁止され、プロのみが使用できる。

SHARE
EC
Amazon
logo