あんころろん

あんころろん

実在する店舗のあんこを主役とした、和菓子紹介漫画。一話につき一品というストーリー構成で、主人公の椎名ロロが周囲の人々と絡みながら、おいしいあんこたちを紹介して解説する。巻末には各話で登場した店舗の情報がまとめられている。ぶんか社「comicタント」vol.5(2020年4月)からvol.20(2021年7月)にかけて掲載された作品。

正式名称
あんころろん
ふりがな
あんころろん
作者
ジャンル
その他料理・グルメ
関連商品
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あらすじ

バーレスクダンサーとして働く椎名ロロはステージを終え、同僚に彼氏の嫉妬深さを軽く愚痴りながら早々に家路に着く。帰宅すると、同棲している日ノ出丸夫が熱を出して寝込んでいた。あんこが食べたいと言う丸夫の要望に応え、ロロはコンビニへと向かう。しかし深夜という時間帯でもあり、近所のコンビニの和菓子はすべて売り切れていた。この時間に和菓子を売ってそうな店があるのかと考えを巡らせていると、突然ユキタカコから声をかけられ、たまたま持っていたという豆大福をロロは手渡される。見ず知らずの人から高価なものをいただくことに抵抗を感じたロロはタカコに返そうとするが、いつの間にかタカコは自転車に乗り、すごいスピードで走り去ってしまう。仕方なく手渡された豆大福を持って帰ると、丸夫はそのおいしさに感動する。豆大福の箱に入っていたお店の名前だと思われるワードをスマホで検索すると、「谷中岡埜栄泉」というお店の商品であることと、和菓子好きの人たちから高評価を得ていることを知る。(「谷中岡埜栄泉」の豆大福)

登場人物・キャラクター

椎名 ロロ (しいな ろろ)

バーレスクダンサーを生業とする若い女性。「椎名ロロ」はジーナ•ロロブリジーダをもじって付けた芸名で、本名は「佐藤志穂美」。ステージ上ではウィッグとつけまつ毛を着用したままメイクをするため、当初は坊主頭で眉毛とまつ毛がなかった。しかし、のちにシズコに誘われて和菓子カフェ「ブリック」で働くことになり、ベリーショートの髪型にして、まつ毛と眉毛を生やすようになった。日ノ出丸夫とは恋人関係で同棲しているが、丸夫の態度や考え方に愛想を尽かし、別れることを考えている。しかし、丸夫との時間がすでに生活の一部となっており、別れを切り出せずにいる。基本的に「尽くす女タイプ」なため、丸夫のカンちがいを暴走させた一因はロロの従順な態度にもある。丸夫とは対照的に、見た目によらず周囲の人間に気配りできる常識人。そのため、無意識に何に対しても見下す丸夫とは口論が絶えない。ナンパされることを嫌い、ステージ以外では女性らしい格好をしないようにしている。

日ノ出 丸夫 (ひので まるお)

椎名ロロと同棲している青年。爽やかな容姿のイケメンで、劇団に所属している。主に2時間ドラマのチョイ役の仕事をしている売れない役者。芸名は「ヒノデ駿」。無根拠にプライドが非常に高く、役者だけの収入では生活できないにもかかわらずアルバイトをしようとしない。役者として「他人からどう見られるか」よりも「どれだけ格好いい自分を見せるか」ということに意識を向けており、プライベートでもその考え方は変わらず、知り合った女性は自分に好意がある前提で接する。また、ふだんから鍛えている日ノ出丸夫自身の筋肉が自慢で、特に下腹の腹筋のキレに自信を持っており、ピチピチの丈の短いTシャツを好んで着ている。自分に対してなんの感情も持っていない初対面の年上の女性にもタメ口を利いていたが、ロロに注意されて自重するようになった。極端な男尊女卑思考の持ち主で、収入の多さや忙しさよりも、単に男か女かで家庭内での立場を判断する。また、体調を崩そうが妊娠しようが、女は男に尽くすべきだとの考えから数々の失言を繰り返している。さらに女性に対して、自らの母親を引き合いに出して物事をやらせようとするなどマザコン気味でもある。非常に嫉妬深く、ロロの浮気をつねに疑っており、人前では自分がロロの恋人であるアピールを欠かさず、自分のわがままが原因でロロが家を出た際も男ができたと考えていた。そんな事情から、ロロからは愛想を尽かされている状態にあるが、状況がまったく読めておらず、ロロは自分が大好きだとカンちがいしている。あんこが大好物で、特に体調が悪くなるとあんこを食べたくなる。タカは同じ事務所に所属している友人。LINEのことを「メール」と呼び、誤字脱字が多い。

ユキ タカコ

大きな眼鏡をかけている上品な女性。深夜のコンビニで椎名ロロに豆大福を手渡した。のちに偶然再会し、ロロの相談に乗るようになるなどなかよくしている。なぜか和菓子に造詣が深く、おいしいお店のネタも大量に持っている。さらにユキタカコ自身も小豆からあんこを作るほどの和菓子好き。徒歩や自転車での移動速度が異常に速い。ふだんから自由に振る舞っているが実は既婚者。夫は無口ながら、おいしいものを黙々と嬉しそうに食べる優しそうな人物。夫婦仲は良好なようで、ロロやシズコから羨ましがられている。事あるごとに、ロロにおいしい和菓子の情報やあんこの作り方を教えている。

シズコ

和菓子カフェ「ブリック」で店長を務める女性。柔和な顔つきでウエーブがかった髪型をしている。タカと同棲し、タカとの子供を妊娠しているが入籍しているかは不明。日ノ出丸夫ほど性格はひねくれていないが、似たような感性を持つタカと付き合っていることで椎名ロロとなかよくなり、お互いのパートナーについての苦労を共有している。ブリックがもともとジャズ喫茶だったこともあり、ジャズにも造詣が深い。ふだんは穏やかで他人にも優しく接するが、姉のヨウコを苦手としている節があり、たまに毒舌になる。和菓子カフェの店長らしく、和菓子を作ることにも慣れているが、味が大して変わらないならアク抜きをしないなど、雑な一面がある。

タカ

シズコと同棲している売れない役者の青年。イケメンだが仕事に恵まれず、家計はシズコの稼ぎに依存している。日ノ出丸夫と同じ事務所に所属している。女性の気持ちを考えない丸夫と感性が似ているが、丸夫ほど性格はひねくれておらず、男尊女卑度はまだ一般的なレベルである。妊娠中のシズコに代わり、家に遊びに来た丸夫と椎名ロロをもてなすくらいには気を遣える。

ビン

和菓子カフェ「ブリック」で働いている女性。アフロヘアにしている。歌い手として活動しており、ブリックで投げ銭ライブを行うこともある。ビン自身で伴奏したり、打ち込みで曲を流したりするほか、アカペラを歌うこともある。バーレスクダンサーの椎名ロロとは表現者としてすぐになかよくなった。付き合っている彼氏がいる。思っていることをはっきり言う裏表がない性格の持ち主。ナルシスト全開の日ノ出丸夫にも遠慮ない物言いをする。

ヨウコ

シズコの姉で中年の女性。和服を好んで着用している。バツイチで息子と二人で実家に戻ってきた。シズコの様子を見に和菓子カフェ「ブリック」を訪れた際、シズコの体を気遣い、ヨウコ自身が店長代理を務めると申し出た。悪い人ではないものの、口うるさく細かいことも指摘するため、シズコからは苦手意識を持たれている。シズコの勉強のために和菓子をお土産に持ってきたり、お店のためにビンに指示を出したりしているが、「大きなお世話」だと思われていることが多い。シズコが産休に入るとブリックで働くようになり、和菓子の仕込みや業務の一つ一つを丁寧にこなす。怒っていてもおだてられると、すぐに機嫌が直ってしまう単純な性格の持ち主。当分のあいだは再婚はしなくていいと考えている。

クレジット

監修

高 由貴子

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