概要・あらすじ
東京近郊の街Kで、自動車工場で働きながら、空いた時間は仲間たちと恐喝を繰り返す22歳の青年川島哲郎。彼がそこまでして金銭を手にしようとするのは、死んだ両親の残した借金を返済するためであり、また何よりも、まだ中学生の妹川島恵子にすさんだ道を歩ませないためであった。そんなある日、哲郎は偶然出会った女子高校生土屋名美に自覚の無いまま恋をするが、恐喝仲間である梶間や貞国との絆を守るため、彼女を連れ出して強姦を試みる羽目になってしまう。
しかし名美には、陰惨な秘密の過去があった。
登場人物・キャラクター
川島 哲郎 (かわしま てつろう)
オートバイで車を囲み、恐喝をして金を巻き上げ、女性を強姦している青年。22歳。巻き上げた金は、親の借金を返すためヤクザが経営するローンに返済している。自分は汚れても、妹だけはきれいなまま守りたいと考えている。昼間は自動車工場で働いている。土屋名美の定期入れを拾った時からずっと、名美のことが気にかかっていた。 後に過剰防衛と過失致死により、5年刑務所に入ることとなる。
土屋 名美 (つちや なみ)
常葉学園に通う女子高生。18歳。幼い頃強盗に母親を強姦殺人され、自らも強姦されたという過去を持つ。第3部では新宿のバー「梢」でホタルという名を名乗り、ホステスをしている。
川島 恵子 (かわしま けいこ)
川島哲郎の妹。女子中学生。幼い頃、母親が列車飛び込みでの心中を試みようと恵子を連れ出すが、思わず母の手を振り払い逃げてしまったという過去を持ち、自らを親殺しであると考えている。第2部では、一人で生活するため不良の番格となり、ホステスの用心棒めいたことをして生活している。
梶間 (かじま)
川島哲郎と組み、恐喝をしている青年。「スナック奈津江」を経営する奈津江の家にヒモ状態で住み込んでいる。哲郎に兄貴面されることに対して、次第に苛立ちを見せ始めている。裏路地で土屋名美を強姦しようとしているところを、哲郎に止められてしまう。第2部では梶間カンパニーという事務所を構え、売春斡旋をしており、金森のソープランドで働いている女性を引き抜こうとする。
貞国 (さだくに)
哲郎と組み、恐喝をしている青年。女に興味がない。いつも小型のナイフを弄んでいる。第3部では刑務所に収監された哲郎に代わり、土屋名美を見守ってきていたことがわかる。便宜上名美の恋人のふりをしているが、相変わらず女に興味がないため、実質的な肉体関係はない。
土屋 (つちや)
土屋名美の父親。翻訳家。かつて妻が強姦殺人に遭い、娘名美もまた強姦されてしまったという過去を持つ。娘を溺愛し、学校へは必ず車で送り迎えをしている。
奈津江 (なつえ)
「スナック奈津江」を経営している。梶間をヒモにして養っているが、たびたびの浮気に怒りを覚えている。
藤村 (ふじむら)
第2部から登場する新宿のヤクザで、留松組の幹部。金森のソープランド経営の目付けとして川島哲郎のいる町へやってくる。哲郎に金森の誘いを断り、自分に付くよう誘う。
金森 (かねもり)
川島哲郎の親に融資をしていたサラリーマン金融の社長。第2部では留松組と組んで、ソープランドの買収に成功し、ソープランドの社長となっている。哲郎をボディガードとして雇おうと提案し、借金棒引きを申し出る。
由香 (ゆか)
第2部から登場する、金森のソープランドで働く売れっ子の女性。梶間の店からの引き抜きを受け、強引に金を受け取らされるが、金森たちにリンチを受け、移籍を撤回する。
典雄 (のりお)
第2部から登場する、梶間の事務所で働く青年。青森から梶間を頼って出てきた。第3部で川島恵子と出会い、共に青森に帰る。
タヌキ
第2部から登場する、梶間の事務所で働く青年。楽に金を稼げると思っていたが、由香の引き抜きの件で藤村たちに脅され、梶間の事務所を辞めると言い出す。
津本 (つもと)
第3部から登場する、藤村の元で働く青年。金森に売られ、藤村の留松組でヒットマンとして働かされることとなった川島哲郎の相棒となる。麻薬中毒で、それを種に藤村に使われている。
香坂 (こうさか)
第3部から登場。新宿の会長と呼ばれる男性。藤村や金森の上に立つ人物。刺客から自分を助けた川島哲郎を気に入る。