天才柳沢教授の生活

柳沢良則はY大学経済学部の教授。5時半起床、9時就寝の規則正しい生活と交通規則の厳守を信条としている。そんな彼を取り巻く人々を独自の観察眼でユーモラスに描く。山下和美の代表作。基本的に1話読み切りの作品。

概要・あらすじ

Y大学の経済学部の教授を務める柳沢良則は、起床は朝5時半、就寝は午後9時という規則正しい毎日を送っている。必ず横断歩道を渡り、道をまっすぐ歩き、角は直角に曲がる。一見、合理主義で無感動な人物に見える柳沢教授だが、彼の信条は何よりも複雑怪奇な人間を知りたいと言う欲求だ。そんな柳沢良則が、様々な人と出会い、関わり、疑問を解明していく日常をユーモラスに描く。

登場人物・キャラクター

柳沢 良則

Y大学経済学部の教授。戦前に幼少期を過ごし、戦中は海軍に所属。戦後は焼け野原から復興しようと懸命に生きる子供たちと共に、その後の彼の人生を決める悩みを抱えながら様々な事を学んだ。現在は4人の娘をもうけ、上の3人を嫁に出して孫も2人いる。常に規則を守り、真面目で実直。話し方が理路整然としているため、一見冷たい印象を受けるが、知的探求心が強く人間好き。 老齢に達しているためか糸のように目が細く、それがチャームポイントとも。研究のために、健康には人一倍気を遣っているので、体型はスリム、姿勢もよく、若者と駆けっこをするほどの体力がある。子供の頃は父・康則の破天荒な言動を真に理解していたとは言えず、父への想いがその後の人間研究の発端となった。

柳沢 正子

柳沢良則の妻で専業主婦。新婚当初、美形だが理路整然として自分の複雑な気持ちを理解してくれない夫に悩まされもしたが、日々人間研究に勤しむ彼を愛し、根気よく付き合ってきた。長年連れ添った現在は、夫のあしらい方は慣れたもので、良則に「理屈ではない感情も人間にはある」ということを最も深く理解させたのも彼女である。 節約家のしっかり者で、ものを捨てられない性分の自分と違い、夫が何十万円もする全集やパソコンをあっさり買ってしまうのが悩みのタネ。ピアノと家庭料理が得意な4人の娘の母親。

柳沢 世津子

柳沢良則の4女で末娘。父親と同じY大学に通っている。同じ大学の学生で父のゼミ生である恩田ヒロミツと付き合っており、彼とロックバンドを組んでボーカルを担当している。父親を尊敬していて、大好き。彼女の姪にあたる山口華子(次女・奈津子の娘で良則の孫)が同じように教授を慕って、その真似をして気を惹こうとしているのを見て、自分自身の姿を思い出す。 勝気で正義感が強く、言いたい事や言うべき事は躊躇なくきっぱりと言う。

恩田 ヒロミツ

Y大学に通い、柳沢良則の受け持つゼミの生徒で、教授の娘・柳沢世津子と付き合っている。ロックバンドを組んでおり、長髪の髪を立て、鼻ピアスに奇抜なメイクをしている。その外見は世津子の好みを追求していたら完成していた、というもの。優しいが、優柔不断で気弱。実家は農家で、田舎者である事にコンプレックスを抱いている。 母親には頭が上がらない。料理が得意。

山口 華子

柳沢良則の次女・奈津子の娘で幼稚園児。祖父である柳沢教授が大好きで、仕草、習慣、好みなど万事に渡って同じように振る舞おうと日々奮闘している。何事に付けても教授が凄い人だという事を園児の友だちに自慢したくて、誇大な強調をしてしまう。負けん気の強さは筋金入りだが、素直で、良い意味でも悪い意味でもとても人間らしい子供。

柳沢 康則

柳沢良則の父親で、英文学者。興奮すると英文学の一節を声高な詠唱を始める。しょっちゅうイギリスへ渡り、3年間の英国留学から帰国した時には自ら手作りした飛行機を息子にお土産に渡した。父としてはその雄大さ、鉄の塊が大空を舞う奇蹟などの感動を伝えたかったのだが、少年だった良則は理解できず、父を傷付けてしまった。 その事が、無機物にしか興味がなかった良則を人間へ惹き付けるきっかけとなった。

大森

第46話「優等生のユーウツ」に出て来るY大学の学生。記憶力だけは天才的だが知識に関して自分自身の考えを持てず、社会に出て行く事を恐れていた。だが、柳沢教授にその事を深く掘り下げられた事によって初めて自分の意見を言えた。視界が開けた気持ちになった大森は、その時、経済学部棟の新築のためにキャンパスに入っていた大工の親方・谷口伊兵衛らに積極的に関わっていく。 その関連で第54話「親方の校舎」、第55話「校舎に捧げる杯」にも登場。言葉を知り始めたばかりの子供のように純粋な青年。

川端 義昭

第51話「君の名は」に出て来る経済学者でありY大の客員教授。学会でも有名だが、恩田ヒロミツに面と向かって「つまらない講義」と言われるほど、彼の周りには人が寄り付かなかった。気難しい容姿と生徒を見下している感のあるものの見方をする人物だが、実の所生徒たちともっと親しくなりたいと思っていた。 その後、第55話「校舎に捧げる杯」にて経済学部の新築のためにキャンパスに出入りしていた親方谷口伊兵衛に興味を持ち、完成した新棟の前で柳沢教授や大森らと共に杯を傾ける事になる。

谷口 伊兵衛

第46話「優等生のユーウツ」、第54話「親方の校舎」、第55話「校舎に捧げる杯」に登場。Y大学にて建築中の新経済学部棟で働く大工の親方。北海道在住だが、日本各地の工事現場を転々としている。大森に好かれ、川端教授に興味を持たれ、柳沢教授とも仲良くなる。中肉中背、口の周りに髭を蓄えた、見るからに職人気質の人物。 自分の建てた建造物に並々ならぬ愛情を注ぎ、それでいながら新たな現場に次々とチャレンジして行くその姿勢に、柳沢たちは惹かれた。

貝塚 徳子

第146話~第176話にわたる柳沢良則の敗戦後まもないころの回想に出て来る。焼け野原となった街を見下ろす山腹に建つ洋館に住む女性で、彼女の夫・貝塚峯太郎は周囲の地主でもあった。夫には先立たれ、息子の晴夫も戦死している。日本が敗戦したその日、打ちひしがれていた人々の中で唯一笑っていたことで、街の人々に袋叩きに合っていた青年時代の良則と出会う。 またそこから、米軍に接収されそうになっていた屋敷を使って、良則を招いて学校を開くことになる。気が強く、口調もキツい女性ではあるが、これからを生き抜こうという気概に溢れていた。

貝塚 町子

第146話~第176話にわたる教授の敗戦後まもないころの回想に出て来る。夫の貝塚晴夫が戦死した後も、貝塚徳子を姑として付き従う。米軍に屋敷を接収されそうになった際、この屋敷を学校として使うことでこれを回避、教師として柳沢良則を誘った。おっとりした性格で、貧乏生活に泣かされることもあったが、厳しい徳子を義母として来たためか、逆境の中でも逞しく生きることを徐々に学んでいくようになる。 美青年だった柳沢に仄かな恋心を抱く。

貝塚 峯太郎

第146話~第176話にわたる教授の敗戦後まもないころの回想に出て来る。建築を実践で学ぶためにアメリカにやって来て、その時、既に成功を収めていたルドルフ・アグリコーラと知り合う。弟子のアイデアを「吸い尽くす」と言った彼に対して「吸い取られたい!」と無邪気に言い放つような人物。その建築に対する構想は尽きる事がなく、むしろルドルフの方が吸い尽くされた結果となる。 子供のように天真爛漫で、妻の徳子も呆れるほど。

ウイリアム・H・アレン

第146話~第176話にわたる教授の敗戦後まもないころの回想に出て来る。米第X軍政本部の中佐。貝塚家の屋敷を占領軍将校の住居として接収しにやって来た。アメリカ人だが日本語が堪能で、翻訳を介さず徳子などと自ら交渉を持つ。実は、彼の父・ルドルフ・アグリコーラは貝塚峯太郎と同じ建築家であり、2人は浅からぬ因縁があった。 それが、アレンに貝塚の屋敷への並々ならぬ執着心を植え付けた。柳沢と同じくらい若いが、陰謀や駆け引きなどに長けた策士。父に関して心に闇を抱えている。

ルドルフ・アグリコーラ

第146話~第176話にわたる教授の敗戦後まもないころの回想に出て来る。幼い頃、母と共にドイツからアメリカに亡命して来たが、母は伝染病で病死。浮浪者のような生活の中で高層ビルに囲まれたシカゴから這い上がろうとして、著名な建築家になる。貝塚峯太郎の天才的な才能を我がものとして世に生み出し、その後、挫折。 一人息子のウイリアム・H・アレンを連れて失踪する。峯太郎の才能を見抜く力があり、彼の才能と魅力に憧れていた。最後の作品である貝塚邸は彼と峯太郎の共作になる。

集団・組織

Y大学

主人公柳沢良則が教鞭を取る大学であり、彼の4女・世津子と、その彼氏・恩田ヒロミツが学ぶ大学。特色ある教授や生徒たちが織りなす物語の舞台。経済学部のために新棟を建設するほど経済学部に力を入れている。

場所

貝塚邸

土地の地主・貝塚峯太郎の屋敷だったが、日本の敗戦によってアメリカ軍に接収される運命にあった。それを逃れるため、峯太郎の妻・貝塚徳子は屋敷を学校として使いその有益性を証明しようとした。街を見下ろす山の中腹にポツンと顔を覗かせるそれは、外観内観共に曲線で構成されたアール・デコ風の洋館。 だが、見た目のコンパクトさとは裏腹に、その山の中にいくつもの秘密の通路が通じていたり、広大な地下室があったりするなど、遊び心満載のもの。コンセプトは「パラダイス」。

書誌情報

天才柳沢教授の生活 既刊34巻 講談社〈モーニングKC〉 連載中

第1巻

(1989年9月発行、 978-4063000580)

第2巻

(1990年8月発行、 978-4063000801)

第3巻

(1991年7月発行、 978-4063000917)

第4巻

(1992年3月18日発行、 978-4063001044)

第5巻

(1993年1月21日発行、 978-4063001204)

第6巻

(1994年2月21日発行、 978-4063001341)

第7巻

(1995年1月20日発行、 978-4063001433)

第8巻

(1995年11月20日発行、 978-4063001549)

第9巻

(1996年5月発行、 978-4063001631)

第10巻

(1997年5月発行、 978-4063001860)

第11巻

(1997年12月発行、 978-4063001952)

第12巻

(1998年9月発行、 978-4063002041)

第13巻

(1999年3月発行、 978-4063002096)

第14巻

(1999年11月発行、 978-4063002164)

第15巻

(2000年1月発行、 978-4063002188)

第16巻

(2000年9月発行、 978-4063002232)

第17巻

(2001年4月発行、 978-4063002294)

第18巻

(2002年3月発行、 978-4063002409)

第19巻

(2002年12月発行、 978-4063002560)

第20巻

(2003年6月発行、 978-4063002638)

第21巻

(2003年10月発行、 978-4063002676)

第22巻

(2004年1月発行、 978-4063002706)

第23巻

(2004年3月発行、 978-4063002720)

第24巻

(2004年5月発行、 978-4063002768)

第25巻

(2007年5月発行、 978-4063002935)

第26巻

(2008年3月発行、 978-4063002997)

第27巻

(2009年2月発行、 978-4063003086)

第28巻

(2009年9月発行、 978-4063003123)

第29巻

(2010年8月発行、 978-4063003185)

第30巻

(2011年1月発行、 978-4063729702)

第31巻

(2011年8月発行、 978-4063003246)

第32巻

(2011年12月発行、 978-4063003277)

第33巻

(2012年7月発行、 978-4063003307)

第34巻

(2013年6月発行、 978-4063003369)

天才柳沢教授の生活 全17巻 講談社〈講談社漫画文庫〉 完結

第1巻

(2001年7月発行、 978-4063600414)

第2巻

(2001年7月発行、 978-4063600421)

第3巻

(2001年8月発行、 978-4063600575)

第4巻

(2001年8月発行、 978-4063600582)

第5巻

(2001年9月発行、 978-4063600773)

第6巻

(2001年9月発行、 978-4063600780)

第7巻

(2001年10月発行、 978-4063600940)

第8巻

(2001年10月発行、 978-4063600957)

第9巻

(2004年9月発行、 978-4063607819)

第10巻

(2004年10月発行、 978-4063607970)

第11巻

(2004年11月発行、 978-4063608281)

第12巻

(2004年12月発行、 978-4063608595)

第13巻

(2013年10月発行、 978-4063709476)

第14巻

(2013年12月発行、 978-4063849592)

第15巻

(2014年2月13日発行、 978-4063849714)

第16巻

(2014年4月発行、 978-4063849790)

第17巻

(2014年6月12日発行、 978-4063850086)

SHARE
EC
Amazon
無料で読む
マンガリスト
logo