あらすじ
家出少年と天気の子の少女
故郷の離島から東京にやって来た家出少年の森嶋帆高は、都会の洗礼を受け、泊る場所もなく食べるものもない状態で困っていると、ファストフードの店員の少女、天野陽菜からハンバーガーを一つ貰(もら)う。その後、知人の須賀圭介のもとに転がり込んでライター業を始めた帆高は、取材中に陽菜と再会する。そんな中、陽菜が雨を晴れさせる能力を持っていることを知り、彼女とその弟の天野凪を含めた三人で「お天気お届けサービス」を開始する。
かりそめの暮らしの崩壊と逃避行
森嶋帆高の寄る辺なき生活はやがて行き詰まり、偶然から拳銃を所持していたことから警察の追及を受ける。一方、天野陽菜と天野凪も学校に通っていないことで公権力の介入を受ける事態となり、三人は失踪することを決意。警察に補導されそうになりながらも、三人はあてのない逃避行を続けていた。そんなある日、陽菜から、能力を使えば使うほど身体が透けるという、その代償を聞かされる。その後、帆高は警察に補導されてしまう。
迎えに来た少年とその手を取る少女
森嶋帆高は警察署から脱走し、行方知れずとなった天野陽菜を探していた。しかし、警察に追われる身となった帆高を救ったのは、友人の夏美や天野凪、そして須賀圭介だった。そんな中、帆高は陽菜と空の上の世界で再会することに成功する。陽菜は自分が犠牲にならなければ東京が雨に包まれてしまうと語るが、帆高はそれでもかまわないと言い放ち、陽菜の手を取るのだった。
関連作品
劇場版アニメ
本作『天気の子』は、2019年に公開された劇場版アニメ『天気の子』を原作としている。劇場版アニメは監督を新海誠が務めている。キャストは、森嶋帆高を醍醐虎汰朗、天野陽菜を森七菜、須賀圭介を小栗旬が演じている。
登場人物・キャラクター
森嶋 帆高 (もりしま ほだか)
東京にやって来た高校生の男子。故郷の島からフェリーで8時間半かけて家出してきた。年齢は16歳で、リュックサックをひとつを背負い、手には『ライ麦畑でつかまえて』を握りしめている。未成年のうえに住所不定で身分証も持っていないため、アルバイトもできずにネットカフェに寝泊まりしている。そんな中、偶然歌舞伎町で拳銃を拾って隠し持っている。その後、取材記者の須賀圭介のオフィスに転がり込み、住み込みでライターの仕事をするようになる。取材のために天野陽菜と出会うが、交流するうちに陽菜に恋愛感情を抱くようになった。また、陽菜の弟である天野凪とも親しくなり、「凪センパイ」と呼んで慕っている。陽菜と二人で「お天気お届けサービス」と称し、依頼に応じて空を晴れさせるサービスを始める。
天野 陽菜 (あまの ひな)
弟の天野凪と二人で暮らしている少女。年齢は18歳と自称しているが、実際の年齢は15歳で、まだ中学校も卒業していない。ファストフード店でアルバイトをしており、その際に森嶋帆高と知り合ったが、のちに年齢詐称が発覚してその店を解雇された。空を晴れさせる能力の持ち主。帆高の発案を受け、その能力を利用して「お天気お届けサービス」を始める。
天野 凪 (あまの なぎ)
小学生の少年。天野陽菜の弟で、陽菜と共にアパートで二人暮らししている。まだ小学生であるにもかかわらず恋愛経験が豊富で、それを知った森嶋帆高から「凪センパイ」と呼ばれて慕われている。かなりのシスターコンプレックスで、姉には幸せになって欲しいと思っているため、帆高の陽菜に対する恋を応援している。
須賀 圭介 (すが けいすけ)
フリーの取材記者をしている青年。地方の名家の出身だが、10代の頃に家出して東京にやって来て、現在の仕事をするようになった。東京に向かう船の中で、森嶋帆高がフェリーの甲板から落ちそうになった際に救った。過去の自分を重ね合わせ、何くれとなく世話を焼いている。のちに帆高をアシスタントとして採用する。同居はしていないが「萌花」という娘がいる。
夏美 (なつみ)
大学生の女性。須賀圭介の姪で、圭介とは仲がよく、彼の事務所にも出入りしている。現在就職活動中。当初は森嶋帆高からは圭介の愛人と誤解されていた。帆高を介して天野陽菜と天野凪とも親しくなり、やがて友人同然の交流を持つようになる。
キムラ
歌舞伎町でスカウトマンをやっているチンピラの青年。天野陽菜が未成年であることを知らないままスカウトを行ったが、その時に森嶋帆高に邪魔をされ、拳銃を突き付けられる。のちに、この件について警察から聞き込みを受けることになった。
その他キーワード
お天気お届けサービス
森嶋帆高の発案により、天野陽菜と天野凪を含めた三人が始めた「晴れを届ける」サービス。例えば花火大会の当日など、依頼人から晴れさせたいという願いを受け、その日の天気を陽菜が晴れさせるという内容のもの。陽菜の能力ゆえにその効果は絶大で、やがて大きな人気を集めることとなる。
クレジット
- 原作
書誌情報
天気の子 3巻 講談社〈アフタヌーンKC〉
第1巻
(2019-11-22発行、 978-4065175149)
第2巻
(2020-06-23発行、 978-4065193969)
第3巻
(2020-10-23発行、 978-4065209684)