概要・あらすじ
進学校に通う佐藤敦士は、いろいろな誘惑をシャットアウトして受験勉強に集中することを決意した。そんな折に訪れた図書館で、敦士は小学生の時に好きだった「うちゅうネコポヤンとぼく」という絵本シリーズを見つける。そして、半年振りに偶然再会した山王みちるも、その絵本のファンであることを知るが、2人とも絵本の最終巻の内容は知らなかった。
そんな話をしていたまさにその時、彼らはバスの中で、偶然その最終巻を手にしていた上温湯渚と出会う。彼は、敦士やみちるとも面識のある男性だった。それから、3人はなぜか図書館でよく会うようになり、敦士はみちると上温湯の仲を気にかけるようになる。
登場人物・キャラクター
佐藤 敦士 (さとう あつし)
有名男子校の開明高校に通う高校3年生の男子。裁判官を目指しており、煩悩を断ち切り受験勉強に邁進している。半年ぶりに図書館で出会った山王みちるとは相変わらず微妙な距離感の付き合いをしている。みちるの幼なじみでもある同級生、上温湯渚とみちるとの関係が気になって仕方がない。みちるには「さとくん」と呼ばれている。
山王 みちる (さんのう みちる)
県立川中高校に通う高校3年生の女子で、演劇部に所属している。一風変わったところのあるマイペースな性格。卓越した書道の腕前を持ち、県の公民館で毎週土曜日に子供に書道を教えている。佐藤敦士とは、何度かデートをしたこともあるが微妙な間柄。上温湯渚の幼なじみであり、小学校時代は上温湯をいじめていた。
上温湯 渚 (かみぬり なぎさ)
有名男子校の開明高校に通う高校3年生の男子。地元大学の医学部への進学を狙っているが、合格に要する偏差値は十分キープしているため、受験に対してあまり必死になっていない。背が高いがほんわりとしたなごみ系男子で、実家は接骨院を営んでいる。山王みちるとは幼なじみで、昔彼女にいじめられていた。
佐々貫 リカ (ささぬき りか)
県立川中高校に通う高校2年生の女子で、山王みちると同じ演劇部に所属している。美人で頭が良く男子にモテるが、カッパを探すという変な趣味を持ち、現在は一緒にカッパを探している幼なじみの1人に片想い中。佐藤敦士のことを快く思っておらず、みちるの恋愛観について常に疑問を抱いている。
永田 (ながた)
有名男子校の開明高校に通う高校生3年生の男子で、佐藤敦士とは中学からの寮仲間。長めのヘアスタイルをしたイケメン風男子。エリート意識が強く、「受験の邪魔にならない相手」として選んだ靖代と付き合っている。自分と同じ進路を目指す敦士に、「自分と違う世界の連中と付き合うな」と助言する。
井上 翔 (いのうえ しょう)
有名男子校の開明高校に通う高校生3年生の男子で、写真部に所属している。上温湯渚とは中等部時代に同じバレーボール部に所属していた。大阪弁で話す柔かい感じの癒し系男子だが洞察力は鋭く、佐藤敦士が上温湯を気にしている理由を見抜いている。敦士の恋愛をひそかに応援している。
靖代 (やすよ)
付属の短大に進学予定の、今時の高校3年生女子。永田と付き合っているが、ふとしたきっかけから佐藤敦士とデートをする関係になる。自分のことを都合よく利用している永田に「他の男と付き合うな」と言われ、内心はらわたが煮えくり返っている。
大家のおばあさん (おおやのおばあさん)
佐藤敦士が下宿する家の老婦人で、夫と暮らしている。穏やかな老婆だが、夫にはいつも手厳しい。記憶力が良く、敦士の同級生の顔をよく覚えている。敦士の様子から好きな女性がいることを見抜いており、たびたび出かけて行く敦士のことをひそかに心配している。
佐々貫リカの母 (ささぬきりかのはは)
佐々貫リカの母親でパート勤務をしている。腰を痛めて接骨院で治療中だが、なかなか良くならず買い物にも行けない状態。過去に腕のいい先生に治療してもらったことがあり、山王みちるが家に遊びに来た際、その先生が上温湯渚の父親であることが判明する。
その他キーワード
うちゅうネコポヤンとぼく
絵本のシリーズでジャンルは冒険もの。この作品の存在が、佐藤敦士と山王みちるが図書館で再会し、上温湯渚もその仲間に加わるきっかけとなった。ある日、けんちゃんこと「ぼく」が拾って育てた猫が「ポヤン」と名乗り、銀色に光って話し始める。ポヤンは実は宇宙から来た高等な知能を持つ不思議な猫であり、「ポヤン」と「ぼく」が勇気とふしぎの冒険を始めるという内容。 最終巻は「やくそくの石」というタイトルで、敦士とみちるはまだ読んだことがない。