天狗が存在する現代日本が舞台
山衛神社の神主・山衛森守は、人を食らい知性まで奪い取る「天狗」と呼ばれる怪異から町や人々を守るため、「氏子代(うじこだい)」と呼ばれる天狗を祓うことを生業としている。氏子代たちの多くは神社の神主を務めており、その家系は厳しい修行の末に天狗を祓うという使命を代々引き継いでいる。そんな過酷な環境の中で両親から神社を継いだ守が、弟たちと力を合わせて天狗たちに立ち向かう姿が、バトルアクションやダークファンタジーを交えて描かれる。
天狗を祓う氏子代が活躍する怪異討伐奇譚
本作に登場する天狗は大きく2種類に分けられ、一つはかつて氏子代たちに封印された大天狗で、もう一つは大天狗の分身として生み出されている。天狗といっても、一般的に知られる鼻が長い伝説上の生き物ではなく、猿に似た不気味な獣の姿をしている。現代の氏子代たちの使命は、大天狗を封印しつつ、大天狗が山に放った分身の天狗たちが人を襲う前に祓うことだった。人々から忌み嫌われ、命を懸けても報われることない非業の使命を背負う氏子代の山衛森守には、二人の弟・山衛森圭と山衛森悠がいた。二人を心の支えにしつつ、天狗が人里へ降りてこないように日々孤軍奮闘していた守だったが、ある日をきっかけに運命が大きく変わってしまう。
山衛森守が天狗化してしまう
人語を理解する謎の天狗に襲われた山衛森守は、死闘の末に肉体が天狗化してしまう。この日以来、守は傷を受けても天狗の力で即座に回復し、暴走すると強力な戦闘力を手にする代償に理性を失う体質になってしまう。そんな中、ほかの氏子代たちは守を危険視し、一度は殺処分が決まるものの、守が天狗の戦いから遠ざけていた弟の山衛森圭と山衛森悠によって阻止される。だがその代わりとして、二人は新たな氏子代として守の監視を命じられ、守は自らに宿った天狗の力を利用してすべての天狗を祓うことを誓う。激化する天狗との戦いや、過酷な運命とさまざまな葛藤をとおして深まっていく、守たち三人兄弟の深い絆が見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
山衛森 守 (やまえもり まもる)
山衛神社の神主を務める青年。年齢は21歳、身長171センチで、血液型はO型。人に仇なす怪異、天狗を祓う使命を帯びた氏子代でもあり、直接攻撃が得意な打祓(だふつ)型に分類される。父親の指導のもと、過酷な修行の日々を送っていたため学校に通っておらず、弟の山衛森圭と山衛森悠だけが外界とのつながりだった。両親は山衛森守自身が12歳の頃に天狗に殺され、現在は兄弟で暮らしている。「三兄弟死ぬまで仲よく」という掟(おきて)を掲げており、何かと衝突しがちな弟たちの仲裁役を担っている。厄介事を一人で抱え込む性質で、弟たちに自由な生活をさせるため天狗狩りに励んでいたが、ある戦いで重傷を負って天狗へと変貌する。これをきっかけに、理性と引き換えに一時的に天狗化し、強大な力を発揮するようになる。その後、氏子代の篠本ユウジから人として自害するか、天狗として祓われるかの二択をせまられることになるが、天狗の力を活用して氏子代として戦うという第三の道を示し、条件付きながら認めさせた。
篠本 ユウジ (しのもと ゆうじ)
不動神社の神主を務める男性。年齢は46歳、身長185センチで、血液型はO型。人に仇なす怪異、天狗を祓う使命を帯びた氏子代でもあり、捕縛を得意とする天術(てんじゅつ)型に分類される。北信越地方に散在する5組の中の一つで、越後組の総代を務めており、山衛森守の父親とは同期で戦友だった。飄々(ひょうひょう)とした性格で面倒見もよく、酒と煙草を嗜(たしな)んでいる。好きなものは優しい人間で、嫌いなものは数知れない。天狗化した守を捕縛し、人として自害するか、天狗として祓われるかの二択をせまるが、最終的に守が氏子代として戦い続けることを認めた。この際、守の弟である山衛森圭と山衛森悠を守の監視役に任命し、万が一の際には弟たちの手で守を始末するよう言いつけている。三兄弟の成長をうながすべく、白嶺神社の氏子代、卯津羅蓮次郎を紹介したり、「血占(けっせん)」という方法で三兄弟の氏子代としての特性を調べたりと、指導者として奔走している。
書誌情報
天狗祓の三兄弟 全7巻 コアミックス〈ゼノンコミックス〉
第1巻
(2022-03-19発行、 978-4867203194)
第2巻
(2022-06-20発行、 978-4867203941)
第3巻
(2022-09-20発行、 978-4867204221)
第4巻
(2022-12-20発行、 978-4867204504)
第5巻
(2023-03-20発行、 978-4867204849)
第6巻
(2023-06-20発行、 978-4867205174)
第7巻
(2023-09-20発行、 978-4867205655)