あらすじ
第1巻
日本で会社員として働いていた椎原大希は、突然倒れてそのまま死亡した。死後、大希は天使から、間違って死亡させてしまったため異世界で生き返らせること、そして、お詫びになんでも一つだけ願いを叶えると告げられ、子供の頃からの夢であった「天空の城」を希望する。こうして異世界で天空の城の主として蘇った大希は、何もかもが揃った天空の城で自給自足のスローライフを満喫する。しかし数週間後には、人が恋しくなって人々の集う場所を探し始めるのだった。天空の城を飛ばすこと数時間、大希はようやくレティーツィア・エイラ・アツールという一人の少女を発見するが、エイラは人間の集団に追われており今にも殺されそうになっていた。すぐに大希はA1でエイラを助けて天空の城に避難させ、共に天空の城で生活するよう提案するのだった。それから数日後、大希は今度は、人間が獣人を誘拐しようとしている場面を目撃し、再び救助のためA1を現地に向かわせる。
第2巻
レティーツィア・エイラ・アツールは、助けた獣人の中で天空の城に住むことを希望したメーア、トレーネ、ラント、シュネーの四人に、天空の城を案内していた。エイラは天空の城でなら過去にとらわれずに自由に生きていけると思っていたが、ラントの何気ない一言から取り乱してしまう。椎原大希の言葉で落ち着きを取り戻したエイラは、今まで隠していた自分の正体と、追われていた理由を語り出す。それを聞いた大希は、エイラを故郷のアツール王国に帰すために、アツール王国へ向けて天空の城の針路をとる。その途中、大希はアツール王国がブラウ帝国に攻め込まれていることを知り、A1をはじめとした天空の城にあるゴーレムの部隊をアツール王国救援に向かわせる。
関連作品
小説
本作『天空の城をもらったので異世界で楽しく遊びたい』は、井上みつるの小説『天空の城をもらったので異世界で楽しく遊びたい』を原作としている。原作小説版は、井上みつるが「小説家になろう」に投稿していた同名小説で、オーバーラップから刊行されている。イラストは平井ゆづきが担当している。
登場人物・キャラクター
椎原 大希 (しいはら たいき)
天使のミスで死亡し、異世界で生き返った男性。生き返る際に、天使からお詫びとして「なんでも一つだけ願いを叶える」と言われ、子供の頃からの夢であった「天空の城」を希望した結果、異世界で天空の城の主となる。まじめな性格で責任感が強いため、困っている人を見過ごすことができない。追われていたレティーツィア・エイラ・アツール、誘拐されそうになっていたメーアたち獣人、ブラウ帝国に侵略されていたアツール王国を見返りなしに助け、エイラやメーアたちを天空の城で匿う。
A1 (えーわん)
天空の城に配備されているゴーレムの1体。言葉をしゃべれないため意思疎通はできないが、椎原大希の命令に忠実に従う。ほかのゴーレムと違って、大希の傍にいることが多く、時々意志があるような動きをする。空を飛ぶことができ、馬車を軽々と持ち上げる怪力の持ち主で、世界最強を誇るブラウ帝国のゴーレムを簡単に破壊できるほどの戦闘能力を誇る。
レティーツィア・エイラ・アツール
集団に追われていたところを椎原大希に助けられた少女。年齢は16歳。救助後は天空の城に連れて来られ、大希の厚意もあって天空の城で生活するようになる。世間知らずなところもあるが、積極的な明るい性格をしている。大希には町娘と伝えていたが、実はアツール王国の王女である。表向きは婚姻とされているが、実際は国のため、父親のライツェント王に奴隷としてブラウ帝国の第四王子に売られた。その際、ブラウ帝国の魔術師によって奴隷印を焼き付けられている。ブラウ帝国第四王子の性格から、ブラウ帝国に行くと殺されるのが確実なため、死にたくない思いからブラウ帝国への移送中に逃げ出し、追われていたところを大希に助けられる。レティーツィア・エイラ・アツール自身が王族の責務を放棄したことで、国や国民に迷惑をかけたことをずっと気にしている。
メーア
獣人の少女。バルトとトレーネの娘。人間の獣人狩りによって捕らわれそうになったところを椎原大希に助けられた。救助後は天空の城に連れて来られ、大希の厚意もあって天空の城で生活するようになる。奴隷印は焼き付けられていないため森の祠の護人としての使命を果たさないといけないのだが、母親と離れたくない一心で天空の城に残った。お転婆で、落ち着きがなく天邪鬼な性格をしている。同年代のレティーツィア・エイラ・アツールと仲がいい。
バルト
獣人の男性。トレーネの夫で、メーアの父親。人間の獣人狩りで捕らわれていたところを椎原大希に助けられた。救助後は天空の城に連れて来られ、メーア、奴隷印を焼き付けられたトレーネ、ラント、シュネーを大希に託す。バルト自身は奴隷印を焼き付けられておらず、森の祠の護人としての使命を果たすために、仲間といっしょにもといた森へ戻る。
トレーネ
獣人の女性。バルトの妻でメーアの母親、ラントとシュネーの姉。人間の獣人狩りで捕らわれていたところを椎原大希に助けられた。奴隷印を焼き付けられているため地上で生活しても再び奴隷として拘束され、人質として仲間に迷惑をかける可能性があるため、救助後は大希の厚意もあって天空の城で生活するようになる。穏やかな性格で、包容力がある。大希に恩返しの意味も込めて野菜の収穫や調理などを申し出る。
ラント
獣人の男性。トレーネの弟で、シュネーの兄。人間の獣人狩りで捕らわれていたところを椎原大希に助けられた。奴隷印を焼き付けられているため地上で生活しても再び奴隷として拘束され、人質として仲間に迷惑をかける可能性があるため、救助後は大希の厚意もあって天空の城で生活するようになる。実直で誠実な性格をしている。天空の城にあるよくわからない施設に、男のロマンを感じている。大希に恩返しの意味も込めて野菜の収穫や調理などを申し出る。
シュネー
獣人の女性。トレーネとラントの妹。人間の獣人狩りで捕らわれていたところを椎原大希に助けられた。奴隷印を焼き付けられているため地上で生活しても再び奴隷として拘束され、人質として仲間に迷惑をかける可能性があるため、救助後は大希の厚意もあって天空の城で生活するようになる。快活な性格で泳ぐのが得意。天空の城にある温水プールで泳ぐ時は大胆な水着を着る。大希に恩返しの意味も込めて野菜の収穫や調理などを申し出る。
ドゥケル
アツール王国軍で将軍を務める男性。ブラウ帝国が攻めてきた時は王都防衛の指揮を執った。アツール王国のライツェント王の信頼も厚く、ハイラートと共に正体も目的も不明な天空の城の持ち主との協議を任せられている。ブラウ帝国の第四王子に実質奴隷として売られ、すでに殺されていると思っていたレティーツィア・エイラ・アツールと天空の城で再会した時は涙を流した。
ハイラート
アツール王国軍で将軍を務める男性。ブラウ帝国が攻めてきた時はファルベ防衛の指揮を執った。アツール王国のライツェント王の信頼も厚く、ドゥケルと共に正体も目的も不明な天空の城の持ち主との協議を任せられる。
ケーニヒス
ブラウ帝国の皇帝を務める老齢の男性。人を人と思わない残虐な性格で、自分の意に反する者や成果を挙げられない者は容赦なく処刑する。ブラウ帝国内に現れた天空の城に惚れ込み、アイファに手に入れるように命令する。
アイファ
エルフ族全体のためにケーニヒスに仕えるエルフ族の男性。飛翔の魔術の使い手で、天空の城をその目で見たいというケーニヒスを、天空の城の近くまで運ぶ。その後、ケーニヒスから天空の城を手に入れる命令を受ける。
ヴィオレット
ブラウ帝国で将軍を務める女性。世界最強とされる帝国のゴーレムの製作者で、その出来に絶対の自信を持っている。アツール王国侵攻時に、A1をはじめとした天空の城のゴーレムに帝国のゴーレムがあっという間に壊滅させられ、プライドを粉々に砕かれる。
場所
天空の城 (てんくうのしろ)
異世界の空を飛ぶ巨大な城。天使のミスで死亡した椎原大希がお詫びにもらったもので、大希の願いが大きく反映されている。天空の城は自然豊かな巨大な島に建っており、島では野菜が栽培され、小麦粉などを作る製粉所や肉を作り出す謎の施設もある。また大量のゴーレムが配備され、バリアや電撃などの攻撃手段もあり、攻守完璧な鉄壁の要塞でもある。
その他キーワード
ゴーレム
魔術師が自らの知識と技術力を結集して作り出した戦闘兵器。ゴーレムの数や質が国力を示す指標でもあり、製作と管理には相当な魔力が必要となる。ただしA1をはじめとした天空の城のゴーレムは最初から作られており、何を動力源にしているかは椎原大希にもわからない。
奴隷印 (どれいいん)
奴隷として売買され、所有者の支配に従うことを証明する証。奴隷印は生涯消えず、焼き付けられた者は人としての権利が剝奪される。魔力で強制的に動けなくしたり、魔術を使って無理矢理命令を効かせることも可能。所有者が変わると奴隷印の力は新しい所有者に引き継がれるため、一生支配されながら働かされる。所有者に反すると魔術で罰を与えられ、殺される場合もある。
クレジット
- 原作
-
井上 みつる
- キャラクター原案
-
Yuzuki
書誌情報
天空の城をもらったので異世界で楽しく遊びたい 全9巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉
第2巻
(2020-05-26発行、 978-4041094426)
第6巻
(2022-06-24発行、 978-4041124734)
第7巻
(2023-01-26発行、 978-4041133309)
第8巻
(2023-08-25発行、 978-4041140383)
第9巻
(2024-02-26発行、 978-4041140390)