天空の扉

天空の扉

魔王やモンスター、魔法が存在する世界で、さらわれた姉を助けるために旅立つルーシュ・モーデリアの活躍を描いたファンタジー作品。しかし、ファンタジー作品のお約束を極力排除し、「現実世界の法則に魔法やファンタジー世界を当てはめたらどうなるか」という挑戦的なテーマで描かれており、それに伴う緻密な設定や描写が魅力。「さくらハーツ」2011年6月号から2012年4月号に掲載された後、雑誌の廃刊に伴い新創刊された「コミックヘヴン」に連載誌を移行し、2012年8月発売の創刊号から連載を開始した。

正式名称
天空の扉
ふりがな
てんくうのとびら
作者
ジャンル
ファンタジー
レーベル
ニチブンコミックス(日本文芸社)
巻数
既刊20巻
関連商品
Amazon 楽天

世界観

人間界と魔界に分かれ、人間を含むさまざまな種族やモンスターが共存する世界。また魔法が存在しており、それに伴って独自の文化の発展を遂げている。TVゲームのRPG「ドラゴンクエスト」の世界をモチーフにしたことを作者自らが明言しており、勇者や魔王、レベルといった概念、また魔法の種類などが似ているが、現実世界の物理法則や生物学的観点が用いられており、それぞれの役割や使用用途は全く異なるものになっている。 物語は、勇者レイが魔王ディアボロを討伐し、世界に平和が訪れた3年後から始まる。この段階においても魔族などは完全に潰えておらず、またレイはディアボロを討伐した後、死亡したとされている。

あらすじ

3年前、勇者レイ率いる人間族のパーティが魔王ディアボロを討伐したことにより、世界に平和が訪れた。しかし、凱旋した勇者たちを迎えて行なわれた祝賀会で、レイたちは魔族の手先によって毒殺されてしまう。それ以来、人間たちはいまだ平和を脅かす魔物たちを駆逐しながらも、束の間の平和を謳歌していた。 ルーシュ・モーデリアは、勇者レイを支えたパーティメンバーの一人であるルイ・モーデリアの一人息子。ある時、ルーシュは町はずれで巨大な魔物に追われている女性を助けるが、それはかつての魔王の側近であるレイシャ・ソルディトであることが判明。しかも、その傍らには死んだはずの魔王ディアボロまでもがいた。困惑するルーシュだったが、彼女たちに悪意がなさそうなことから村に匿ってやることを決意。数日後、レイシャを送り出そうとするルーシュたちの目の前で、突然住んでいた村が焼き払われてしまう。

特殊設定

本作『天空の扉』は、TVゲームのRPG「ドラゴンクエスト」に代表される和製ファンタジーゲームや作品の設定をモチーフにしている。そして、これらのファンタジー作品に頻出する魔法モンスターなどを、現実世界の法則に当てはめたらどうなるのかというのがひとつの大きなテーマになっている。 代表例として最も分かりやすいのが、ルーシュ・モーデリアが使う超高速移動魔法「マクロドライブ」である。これは「ドラゴンクエスト」における移動魔法「ルーラ」(一度訪れた街ならば一瞬でパーティ全員を移動させることができる魔法)がモチーフであり、「ドラゴンクエスト」では単なる移動手段として気軽に使われている。しかし、本作ではこれを「(人間を含む)物質を光のようなものに変換したうえ、目的地への軌道演算を済ませ、光速に近い速度で撃ち出す魔法」と解釈、設定している。そのため、「ドラゴンクエスト」では単なる移動手段である魔法の効果が、本作では最強の破壊力を持つ攻撃として転化されている。 その他、「モンスターや魔族が人間を襲ってくる理由」や「レベルが上がるとはどういうことか」「なぜ魔法使いは戦士のように重装備を装備できないのか」など、ファンタジー世界及びゲームのお約束に理屈をつけ現実的に解釈するという手法が使われている。

単行本の装丁

単行本の表紙には、木漏れ日の中でほほ笑むキャラクターのバストアップが大きく描かれている。選定基準は、その巻で活躍する女性キャラクターがほとんどで、男性が表紙に描かれたのは、第1巻のルーシュ・モーデリアのみ。またカバー裏には描き下ろしの漫画やイラストが隠されており、そのほとんどが特殊なシチュエーションにおける性的なイラストになっている。

作家情報

2008年、バー・ぴぃちぴっと名義で成年向け作品を描き、漫画家デビュー。その後、2009年11月、KAKERU名義で『魔法少女プリティ☆ベル』の連載を開始し、一般誌デビューを果たした。なお、『魔法少女プリティ☆ベル』は2016年7月現在も連載を続けており、作者の代表作となっている。一時は『魔法少女プリティ☆ベル』の他、本作『天空の扉』『戦え!!悪の組織ダークドリーム!!』の3作品同時連載に加え、『お気の毒ですが、冒険の書は魔王のモノになりました。』の原案まで同時に担当するなど、非常に多筆・速筆なことで知られている。

登場人物・キャラクター

ルーシュ・モーデリア (るーしゅもーでりあ)

メガネをかけ、さらにゴーグルを頭に着用した姿が特徴の14歳の少年。代々モーデリア家に伝わる超高速移動魔法「マクロドライブ」の使い手だが、魔法制御に難があり、自分を含めて約100メートルほどの距離しか移動することができない。しかし、不可能とされていた「マクロドライブ」による物質の射出を習得し、現状では最強の攻撃力を誇る魔法使いであると魔王ディアボロに評される。 勇者レイにさらわれた姉を助けるため、幼なじみのマギア・ドトーレや元魔王護衛軍の猛者であるレイシャ・ソルディト、ディアボロ、友人のスタンピード・ライアとパーティを組んで旅に出る。ちなみにルーシュ・モーデリアのかけているメガネは老眼鏡。「マクロドライブ」の使い手は遠くばかりを見るため若くして老眼を患う宿命だという。 一方、ゴーグルは父親であるルイ・モーデリアの形見であり実用性はない。

マギア・ドトーレ (まぎあどとーれ)

ルーシュ・モーデリアの幼なじみの少女。ハーフツインテールの髪型が特徴。ルーシュに恋心を抱いているものの、なかなか想いを伝えられずにいる。元々簡単な魔法なら使える魔法使いで、代々医者の家系のため、医療系魔法を得意とする。ルーシュが旅立つ際に同行することになり、魔王ディアボロの知るすべての魔法を継承する。その際、多くの魔法に特性のある万能型魔法使い(マルチウィザード)であることが判明した。 しかし継承した魔法のほとんどはマギア・ドトーレの魔力保有量が足りないか、制御難度が高いため使えないでいる。ちなみにマギアの羽織っているブカブカの上着は魔法のコート「魔導士の羽衣」だが、この設定は後付けされたものであるとコミックスのおまけマンガで語られている。

レイシャ・ソルディト (れいしゃそるでぃと)

元魔王護衛軍最強の剣士の一人。褐色の肌に長い銀髪が特徴の獣人族の女性で17歳。レイシャ・ソルディトにしか使えない風系最強魔法である「ショックウェーブバースト」をはじめとした風系魔法の使い手でありながら、一度剣を交える間に8回斬りつけるという瞬速の剣技「一合八斬」を得意とする剣の使い手でもある。勇者レイをして「あまり戦いたくない」と言わせる実力者で、本作『天空の扉』における最強の人物の一人。 レイのけしかけたモンスターにやられそうになっていたところをルーシュ・モーデリアに助けられて以来ベタ惚れしており、猛烈なアプローチを仕掛けてはマギア・ドトーレに止められている。性行為に関して非常に開けっぴろげだが、本人は「惚れた男にしか抱かれないからビッチではない」と語っている。

ディアボロ

勇者レイに討伐されるまでの間、全魔族を統べていた元魔王。種族としては獣魔族の亜種にあたる。3年前のレイとの激闘の末、生命力をほとんど失い、現在では人の肩に乗れるほど小さなサイズの体を保つのが精一杯となっている。マーレやフランを取り戻す目的を含めてレイと敵対しており、ルーシュ・モーデリアと協力し、参謀役としてパーティを組む。 なお、初見でスタンピード・ライアにおおよその正体を見破られており、それ以来、正体を知られたくないときは無害な小動物「ボロ」を演じ、語尾に「~ボロ」をつけてしゃべる。

スタンピード・ライア (すたんぴーどらいあ)

ルーシュ・モーデリアやマギア・ドトーレの友人の男性で23歳。ルーシュに比べると頭ひとつほど身長が高く、それなりに引き締まった体をしている。実家が百貨店を営んでおり、本人も各地を回る行商人として生活をしていた。勇者レイがルーシュたちの村を焼き払った時も行商に出ており助かったが、その風景を見て困惑。ディアボロらに真実を聞くために詰め寄り、話を聞いた後、ルーシュのパーティに加わった。 行商をしている経験から馬車を保有していたり、サバイバル知識などにも詳しく、ディアボロが魔王であることを初見でおおよそ見抜くなど、冒険において非常に頼りになる人物。しかし、戦闘面では一般人の範疇を超えない。過去に勇者レイが旅立った際に装備していたというドラゴンメイルのレプリカと、勇者レイが村を襲った際に残した本物の「小さな加護の剣」を所有、装備している。

ルサルカ・モーデリア (るさるかもーでりあ)

ルーシュ・モーデリアの姉。20歳。モーデリア家に伝わる超高速移動魔法「マクロドライブ」を、本来想定されている通りの方法で使うことができる唯一の人物。糸のように細い目をしており、普段は穏やかな性格をしているものの、何事にも動じない強い精神と隠された実力を持つ。村が襲撃された際に強制睡眠魔法「ディープスリープ」で眠らされ、勇者レイに連れ去られた。

ルイ・モーデリア (るいもーでりあ)

ルーシュ・モーデリア、ルサルカ・モーデリアの父親であり、かつて勇者レイが魔王ディアボロを討伐した際のパーティの一員。弾道物理学の権威であり、超高速移動魔法「マクロドライブ」の優秀な使い手でもあった。豊富な知識と冷静な判断力を持ちながら、暑苦しいほどに熱血で陽気な人物。勇者レイからも絶大な信頼を寄せられており、ディアボロからは「あの不思議な男」と評されている。 ディアボロ討伐後の祝賀会で食事に毒を盛られて死亡した。

レイ

かつて人類を代表して魔王ディアボロを討伐し、世界に平和をもたらした英雄。ディアボロ討伐後の祝賀会で毒を盛られて死亡したとされていたが、本人いわく「ちょっと事情があって生き返った」。超高速移動魔法「マクロドライブ」でしか到達できず、辿りつけばどんな願いもかなえるという「天空の扉」に至るため、ルサルカ・モーデリアをさらう。 ルサルカを呼び戻すためだけに村を焼き払い、ルーシュ・モーデリアやマギア・ドトーレら一般人を容赦なく手に掛けようとするなど、勇者らしからぬ残虐な一面を見せる。

キャロス・インシエム (きゃろすいんしえむ)

勇者レイに付き従うゴスロリ調の服装が特徴の少女。ルサルカ・モーデリアをさらう時に使った強制睡眠魔法「ディープスリープ」や、敵対集団を死に追い込む直死魔法「ジェノサイド」を得意とする魔法使い。無垢な少女のような外見だが、笑顔を浮かべながら残酷な言動を行う。

マーレ

レイシャ・ソルディトの姉であり、元魔王護衛軍の一人。現在はレイに洗脳魔法を施したアイテムを埋めつけられており、自分の意志で動くことができない。馬車を丸ごと運ぶことができる怪鳥「フェザー・オブ・コキュートス」を呼び出すことができるほか、蘇生魔法である「リヴァイヴ」も得意とする。

フラン

レイシャ・ソルディトの姉であり、元魔王護衛軍の一人。現在はレイに洗脳魔法を施したアイテムを埋めつけられており、自分の意志で動くことができない。

モール

勇者レイが従える六大団長のうちの一人。魔導砲兵団長を務める三つ目族の男性。小柄で杖を持ち、片目にモノクルをはめた姿が特徴。お人よしで気弱なところがあるものの、指揮能力に優れ、遠距離砲撃魔法の使い手として稀に見る才能を誇る。ルサルカ・モーデリアの「マクロドライブ」で高レベルの魔物の巣を巡航させられた後、行方不明となっている。

ガルドフス

勇者レイが従える六大団長のうちの一人。獣魔兵団長を務める獣魔族の男性。直立歩行する狼のような容姿をした巨躯。豪気で快活、一本気な性格で敵味方を問わず魅了する人間味にあふれる性格。ルサルカ・モーデリアの「マクロドライブ」で高レベルの魔物の巣を巡航させられた後、鎖につないでいた左手のみを遺し、行方不明となっている。

バルドフェルト

勇者レイが従える六大団長のうちの一人。飛竜騎士団長を務める竜魔族の男性。ガルドフスと並んでも遜色ないほど高い身長に、鋭い目つきをした端正な顔立ちをしている。非常に堅物で、部下でありながらもレイの行動に疑問がある場合には、はっきりと異議を申し立てる。

バラガ

勇者レイが従える六大団長のうちの一人。邪法兵団長を務める氷雪族の女性。「邪法」の肩書が示すように死者を操る魔法を使い、小国ならば一人で支配下に置くことができるほどの実力を誇る。ルサルカ・モーデリアの「マクロドライブ」で高レベルの魔物の巣を巡航させられた際、半身をちぎられ、死亡。

メリッサ

勇者レイが従える六大団長のうちの一人。神聖唯一神異教撃滅軍団長を務める大平和神聖鬼族。フードを被っているため、性別は不明。強大な宗教をバックに僧兵たちをまとめ上げ、指揮することで力をふるう。ルサルカ・モーデリアの「マクロドライブ」で高レベルの魔物の巣を巡航させられた際、跡形も残らない形で死亡した。

ボルケーノ・G・シュリングス

勇者レイが従える六大団長のうちの一人。バウ商会私設兵団長を務める獣人族の男性。一見、人の良さそうなただの中年男性だが、野望と欲にまみれた性格をしている。取り逃がしたルーシュ・モーデリアやレイシャ・ソルディトの捕縛の任につきたいと勇者レイに志願する。目的はレイシャを捕縛した際、その姉らにも使っている洗脳魔法によって我が物にするため。 魔界でも一、二を争う財力にものを言わせ、大量の軍団でルーシュらを襲った。

バルガス

マルクの村を襲ったマルクの盗賊団のボスに飼われていたエメラルドドラゴン。生まれた瞬間から盗賊団のボスに育てられたため恩義を感じており、彼以外の言うことは聞かない。ドラゴン種の常として会話はできないが言葉を理解するだけの知能を備えており、レイシャ・ソルディトと軽く刃を交えた後、盗賊団のボスを咥えて逃亡した。

ガッシュ・アルファルド・G・ダンダルフィア (がっしゅあるふぁるどじーだんだるふぃあ)

三つ目族を取りまとめる王族の一人で第3王子にあたる少年。勇者レイによる三つ目族の領土奪還と、その永劫的平和への協力を引き換えにルーシュ・モーデリア討伐に志願した。主に、リンゴ・ミッズガルやドリアン・バルバロス、ナナ・バルバロスを従えて行動している。覗きが趣味で、毎回バレてはリンゴやナナにお仕置きを食らったり、魔封じの首輪に鍵を付けたままにして、捕まえた敵にすぐに脱出されるなど、どこか抜けている。 「アーク・オニキス・G・ダンダルフィア」と「リール」という名の2人の兄がいる。

リンゴ・ミッズガル (りんごみっずがる)

ガッシュ・アルファルド・G・ダンダルフィアといつも行動を共にしているツインテールの少女。かつてメルテ王国の姫だったが、故郷が大平和神聖鬼族に滅ぼされ、奴隷として売られているところをガッシュに買われた。当時12歳。食糧難にあえぐ三つ目族の窮地を「救国の奇跡」で救った他、高い知能と対応力を買われ、現在はガッシュのお傍付きとなっている。

ドリアン・バルバロス (どりあんばるばろす)

ガッシュ・アルファルド・G・ダンダルフィアと行動を共にしている三つ目族の長身の男性。ナナ・バルバロスの兄。つばの広い黒い帽子に全身を覆う黒いマントが特徴。非常に穏やかな性格で、ガッシュの突飛な行動にいつも頭を悩ませている。肩書きは銃器及び戦術開発局長兼近接戦闘教導官。32歳。

ナナ・バルバロス (ななばるばろす)

ガッシュ・アルファルド・G・ダンダルフィアと行動を共にしている三つ目族の女性。ゴシック風の黒いドレスと長い黒髪が特徴。兄であるドリアン・バルバロスと同じく、平時は非常に穏やかで品の良い性格だが、裏では新兵の教導隊員を肩書きとする猛者。その一面を見せる時や部下に対しては厳格で高圧的な態度に豹変する。BL(ボーイズラブ)趣味を持つ腐女子。 28歳処女。

セイタン

魔王ディアボロが討伐された後、魔王の座を受け継いだ獣人族の男性。あくまで表向きの魔王就任であり、その裏では勇者レイの命じるままに動いている。

ナドゥ

氷雪族の男性。道中で行き倒れているところを発見され、ルーシュ・モーデリアらに保護される。常に困っているような垂れ下がった眉、細く小さな目に団子鼻で、お世辞にもかっこいいと言える顔の造形ではない。しかし氷雪族の中では非常に貴重な男性であり、また本人もその責任の重さを知り種族のために適切な行動を取ることから、氷雪族の女性を中心に評価は高い。 一度喋り出すと延々と関係のないことまで話してしまう癖があり、本人も直そうとしているのだが、逆にそれを意識すると今度は言葉が足りなくなるという面倒な性格をしている。

おゆき

長い髪をカチューシャで留めた髪型が特徴の氷雪族の女性。第一戦闘団指揮官を務める。28歳。非常に落ちつきがあり、周囲からの尊敬も集める優れた性格だが、作戦中にナドゥがいなくなった時には人一倍混乱し、それを見た周囲の者たちが逆に落ち着きを取り戻した。「こなゆき」という名の娘がいる。

こなゆき

氷雪族の少女で、おゆきの娘。ショートの髪におゆきとおなじくカチューシャを付けた見た目が特徴。生まれながらにして強化魔法の「魔力強化」を持つ万能型魔法使い(マルチウィザード)で、12歳ながら近接戦闘員として活躍している。

つらら

氷雪族の女性の中で最大の魔力を持つといわれる女性。緩やかなウェーブのかかった髪が特徴。14歳。戦闘全般を担当する。非常に高い魔力を持っているため、通常の術者では数発撃つのが限度の極大氷雪魔法「コキュートス」を十数回以上撃つことができる。しかも得意技であるコキュートスは半暴走状態であるため、威力もケタ違い。その魔力をもって過去に竜騎士5名を手に掛けたことがあり、竜騎士の間では「雪夜叉」と呼ばれ恐れられている。 偶然が重なって、自分の最大魔法を食らっても生きているスタンピード・ライアを見て、その実力を盛大に勘違いしている様子。「こゆき」という名の生後3ヵ月の娘がいる。

ゆきめ

大きくサイドに分けた前髪とツインテールが特徴の氷雪族の女性。17歳。強化魔法の「魔力強化」を持っており近接戦闘を担当する。面食いらしくナドゥとはヤッたことがない。

みゆき

少しつり目気味の大きな瞳を持ち、ポニーテールの髪型が特徴の氷雪族の女性。16歳。強化魔法の「魔力強化」を持っており近接戦闘を担当する。男の趣味がゆきめに似ており、面食い気味。

ひさめ

後ろ髪をたっぷりに束ねた髪型に細く穏やかな瞳が特徴の氷雪族の女性。22歳。近接戦闘指揮を担当している。面食い気味だったが、ナドゥの秘めた魅力には抗えなかった。

ひょうか

片目を隠すように大きく分けた前髪とミドルの髪をおさげに結った髪型が特徴の氷雪族の女性。20歳。戦闘では後方支援の治療担当。氷雪族の中で並ぶ者がないほど医療魔法を得意とする。

あられ

たっぷりとしたロングストレートの髪型にメガネをかけているのが特徴の氷雪族の女性。32歳。何でもできる後方支援型のベテラン魔法使い。異常なほどのセックステクニックを持つ。

フェアリア・マークレーデン (ふぇありあまーくれーでん)

ショートボブの髪型が特徴の竜魔族の少女。13歳。ルーシュ・モーデリアらのパーティの追撃任務に参加したものの、まだ幼く実戦経験が少ないことから、バルドフェルトにスタンピード・ライア捕縛の命を受ける。役職は上等兵。曲がりなりにも幼くして竜に気に入られ、その背に乗ることを許された竜騎士であり、同時に魔法を扱うことができる魔法使いでもある。 勇者レイには「真面目アホそうなガキ」と言われており、実際少し頭が固く思い込みの激しい部分がある。

リリィ

フェアリア・マークレーデンがパートナーにしているドラゴンの子供。種別としてはボロミア・アクア・ワイバーンに属する。くりっとした愛らしい瞳を持ち、表情豊かな性格。勇者レイにその訓練風景を見られた際は「アホそうな竜」と評された。

パック

パーティとはぐれ、半ば遭難していたルーシュ・モーデリアを助けた妖精族の男性。口髭が特徴。幼く見えるがそれは妖精族の特徴であり、本人いわく32歳だという。ローラとは夫婦。竜魔族の目から見てもかなり高位の魔法使いであり、幻覚魔法などを使いこなす。

ローラ

パーティとはぐれ、半ば遭難していたルーシュ・モーデリアを助けた妖精族の女性。おさげの髪型が特徴。パックの妻であり、同じく32歳。妖精族の特徴として歳の割に幼女にしかみえないが、パックいわく妖精族としてはダイナイマイトボディの持ち主だという。かなり高位の魔法使いであり、蘇生魔法まで使うことができる。

ラクシア

キャロス・インシエムの中にいる別人。キャロスいわく「居候」。本人は「歯牙なき亡霊」と名乗っている。何らかの思惑があってキャロスの体の中に精神だけ同居しており、キャロスの許しがあるか、満月の夜にのみ体や魔法を使用することが可能。耳長族という種族の一人で、十数年前に16歳の若さで戦死したと伝えられ、吟遊詩人からは「悲恋戦鬼のラクシア姫」として語り継がれている。

アーク・オニキス・G・ダンダルフィア (あーくおにきすじーだんだるふぃあ)

三つ目族を束ねる現国王。ガッシュ・アルファルド・G・ダンダルフィアの兄。父親である先王がなくなって以来国政を握っている、責任感の強い人物。1年半前、冬の食料を調達する資金でガッシュがリンゴ・ミッズガルを購入したことを知った時には厳しく責任を追及した。

マリア15世 (まりあじゅうごせい)

妖精族を治める現女王。妖精族の外見上の常としてどう見ても幼女にしか見えないが75歳の老齢。故郷を追われ難民として土地を借りられないかという三つ目族に対し、何のためらいもなく国土の一部を貸し与え、物資、人材、食料支援まで行った。アーク・オニキス・G・ダンダルフィアのことを「アー君」と呼ぶなど軽い言動が目立つものの、国民の信心も厚く、周囲から認められる実力を持つ。

ロット

三つ目族の16歳の少年。役職は二等兵。ドリアン・バルバロスが、妹のナナ・バルバロスに旦那候補がいなくて困っていると愚痴をもらした際に立候補した。その後、BL小説の執筆を手伝うことで、見事ナナに取り入ることに成功する。ナナが28歳であると聞いても「どストライク」と返し、BL趣味があると聞いても「男と寝ろと言われなければ問題ない」と答えるなど、なかなかの猛者。

集団・組織

マルクの盗賊団 (まるくのとうぞくだん)

マルクの村を襲った盗賊団。村人が言うには100人規模の盗賊団であり、一夜にしてマルクの村を襲撃して、村長一家を皆殺しにし、村を手中に収めた。その後、歯向かったものを殺して磔にし、女性たちを好きに扱うなど容赦がない。マルクの盗賊団のボスは本来、人に懐かないといわれるエメラルドドラゴンのバルガスを従えている。

バウ商会 (ばうしょうかい)

魔界の首都ダラキアに本部を持つ巨大な組織。ボルケーノ・G・シュリングスをトップとして運営されている総合商社で歯磨き粉から兵器まで幅広く取り扱っている。魔界最大規模の企業とされていて、社員数はディアボロいわく約4000万人。中規模の国家ではもちろん、大規模国家でもなかなか強く出られないほどの権力と財力を誇る。

場所

天空の扉 (てんくうのとびら)

飛行生物ですら到達不可能なほどの上空に位置し、そこに辿り着き、主となった者の願いをなんでも叶えるという伝説の場所。勇者レイが目指している。通常の移動手段では辿り着くことができず、行けるとすれば超高速移動魔法「マクロドライブ」を使うしかないといわれている。なお、その存在は伝説上に語られているものの、「マクロドライブ」の使い手であるルーシュ・モーデリアやルサルカ・モーデリアもまったく知らない。

聖ジェラルド王国 (せんとじぇらるどおうこく)

かつて勇者レイに魔王ディアボロの討伐を命じた国であり、討伐後に祝賀会が開かれた場所。現在は勇者レイによって滅ぼされ、壊滅状態。またその王城はレイたちの根城として使用されている。ジェラルド軍はレイと敵対し、王国を取り戻そうと何度か侵攻をかけているが、そのたびにレイに返り討ちにあっている。

マルクの村 (まるくのむら)

ルーシュ・モーデリアらが旅を始めて最初に訪れた村。つい数日前にスタンピード・ライアが訪れた時は平和だったが、一夜にして100人規模のマルクの盗賊団に襲われ、占拠されていた。村長の一家は皆殺しにされ、女は盗賊団の慰み者として連れて行かれ、現在は数名の生き残りが隠れて潜むのみとなっている。

神代の森 (しんだいのもり)

樹齢数百年から数千年の木々ばかりで構成された大きな森。その中でも中央に座する「神代の大樹」はその幹が崖のように見えるほどのサイズを誇る。スタンピード・ライアが言うには、森の中を抜ける道を進めば3日程度で抜けることができるが、その周囲を回って向こう側にたどり着こうとすると1年はかかるかという巨大な森林地帯であるという。

マリンフェア市 (まりんふぇあし)

人間界にある、海沿いに開かれた街。人間界の中にあるが魔界に近く、また市長がリベラル思想の持ち主で、人間・魔族を問わずに無税で商売ができるため非常ににぎわっている。人口は約3万人。

ナルガボルガ

ルーシュ・モーデリアらのパーティがマリンフェア市に次いで訪れた街。斜面を開拓して作られた街で、坂道が多く、また山蟹を名産とした料理を出す宿屋で栄えていることから「宿屋と坂道の街」として知られる。

ダンダルフィア

かつて三つ目族たちが住んでいた王都であり、種族にとっての聖地。3年前人間と魔族が対立していた頃、三つ目族たちの多くが戦場に出向いた間を狙って、大平和神聖鬼族の計略によって奪われた。

狭間の地 (はざまのち)

人間界と魔界の境界線に位置する小さな街の集合体。街は人間界と魔界の双方によって管理されており、出入国の許可や管理も行なっている。150メートル毎に区分けされた小さなブロックを3日間かけて移動し、徐々に境界を越えていくことで魔素の違いに体を慣らして安全に人間界と魔界を行き来することができるようになっている。

常雪山脈 (とこゆきさんみゃく)

魔界東方に位置する山脈で、氷雪族の主な居住地になっている場所。常に雪が降り積もっており、農耕には適さないため、氷雪族は常に食糧問題を抱えている。

ダラキア

獣人族の住む国、ダラキア合衆国の首都であり、魔界すべての商取引の中心と言われるほどの街。ボルケーノ・G・シュリングスが経営するバウ商会の本部がある場所である他、人間界を含むすべての世界で良貨とされるダラキア金貨を生産している街でもある。

カガリ村 (かがりむら)

ルーシュ・モーデリアらのパーティが訪れた村のひとつ。肥沃な大地と巨大な貯水池に隣接する村で水源管理を主な仕事として請け負っている。ルーシュらが氷雪族に襲われた場所であり、その戦闘の影響を受けて洪水被害に遭い、ほぼ壊滅した。

フェアリーガーデン

妖精族が暮らす魔界の地。竜魔族が住むボロミア国と隣接している。現在は南の平原すべてを三つ目族の領地として自治権を与えている。

イベント・出来事

両界解放 (りょうかいかいほう)

勇者レイが魔王ディアボロを討伐するおよそ50年前に起きた出来事。この時まで人間界と魔界は完全に断絶されており、お互い行き来しようとすると、大気中に存在する魔素の影響で命を落とす危険があった。しかし、人間界と魔界の境界線に近い場所で3日間かけてお互いの魔素に体を慣らすと、安全に行き来できることが判明。このことにより、魔界と人間界の交流が始まった。 しかし、法の整備がまったく進められないまま交流のみが盛んになったため、お互いの世界で別種族による犯罪などが横行。これによって人間と異種族は致命的に決裂し、魔族が人間界に攻め込む発端となった。

救国の奇跡 (きゅうこくのきせき)

故郷を追われて荒野に身を寄せた三つ目族が、飢えにおびえ、困窮にあえいでいた状況から、瞬く間に荒野を開拓し、一躍食料輸出国にまで上り詰めた出来事を指す。その裏には奴隷として売られ、ガッシュ・アルファルド・G・ダンダルフィアに買われたリンゴ・ミッズガルが知る、ミッズガル家の秘伝である開拓術が使われた。内容は一匹のゴブリンに贅沢な服装を着せて、他のゴブリンに見せ、「荒野に財宝が眠っている。 これを見つけたものには一生の贅沢を約束する」として煽るだけ。この情報に踊らされたゴブリンは昼夜を問わず、他のゴブリンたちを巻き込んで荒野を掘り返し、開拓していくという方法だった。なお、この開墾術はコミックスの巻末でマギア・ドトーレに「ゴブ畑農業」と言われていた。

ナレガザルの丘の恥 (なれがざるのおかのはじ)

かつて竜魔族と妖精族が敵対し、戦争した際に起きた出来事。作中より350年前、竜魔族と妖精族が互いの国境付近にあるナレガザルの丘で激突し、互いに多くの死者を出した。激戦の末、竜魔族は一旦戦線を退いたが、後日、妖精族が戦地に遺された竜魔族の遺体を丁重に弔い、竜魔族の拠点に現れた。当時の竜魔族の国王はその妖精族の行為に自らを恥じ、そのまま終戦を申し入れて、以降妖精族と良い関係であり続けることを誓ったという。

その他キーワード

マクロドライブ

ルーシュ・モーデリアを含めたモーデリア家に代々伝わる魔法で、現状ではモーデリア一族しか使えない。漢字では「超高速移動魔法」と表わされる。物体や人体の運送が基本的な運用方法。原理としては、対象物を光体という極めて質量の小さい物質に変換し、目的地の位置や地形、現在地からの距離、弾道を計算し、音速の20倍程度の速度で移動させるという魔法。 移動している物質は光体化されているため、他の魔法や空気抵抗、微細な虫など障害物の影響を受けることがない。なお、消費魔力は最大の攻撃魔法といわれる極大爆撃魔法「フレアブラスト」の5倍。習得はあらゆる魔法を凌駕する難度を誇る。ルイ・モーデリアやルサルカ・モーデリアはこの魔法を自身を含むパーティやその持ち物の移動にしか使うことができないが、ルーシュのみ、自分は移動せずに対象物のみを射出することが可能で、また移動速度は音速の50倍を超える。

魔力強化 (まりょくきょうか)

魔力によって身体能力をサポートすることができる魔法。ドラゴンをはじめとする多くのモンスターが元々備えている魔法で、これによって本来であれば支えることができない巨体を支えたり、飛翔することができる。しかし、具体的に魔法として使用するためのシステムが存在せず、継承は不可能。一部の人間や魔族の中にもわずかながら「魔力強化」を持つ者がおり、人間離れした力を発揮することができる。 レイシャ・ソルディトはその一例。

火球魔法 (かきゅうまほう)

火の珠を作り出し、目標に向かって射出する魔法。通常の使い手でも曲射で約800メートルほどと有効射程が長く遠距離攻撃に適している。火球のサイズや威力、効果によって大まかに3段階に分別され、火球魔法「ファイアボール」、大火球魔法「フレアボール」、極大火球魔法「スフィアインフェルノ」がある。中でも「スフィアインフェルノ」は、あらゆる極大魔法の中で最も魔力消費が少なく汎用性の高い最強攻撃魔法とされ、ドラゴンを一撃で葬る熱量と温度を持つという。 基本的に戦闘魔法ではあるものの、マギア・ドトーレが「フレアボール」を使用して貯めた水を沸かす描写もあり、常用魔法としても使用することがある。

火焔魔法 (かえんまほう)

火炎放射を行う魔法で、主に近接戦闘で使用される。火焔の射程や威力などによって大まかに3段階に分別され、火焔魔法「フレイムブレス」、大火焔魔法「フレイムバースト」、極大火焔魔法「レッドバーンフレイム」がある。

氷弾魔法 (ひょうだんまほう)

氷弾を作り出し、目標に向かって射出する魔法。使用魔力は少ないが、威力や効果が乏しく、攻撃力の面では他の魔法に劣る。一方で目標以外への延焼など二次被害が少ないため、扱いやすく重宝される魔法でもある。氷弾のサイズや数、射出速度によって大まかに2段階に分別され、氷弾魔法「アイシクルショット」、大氷弾魔法「アイシクルランス」がある。

凍結魔法 (とうけつまほう)

対象物を凍りつかせる魔法。主に凍りつかせる範囲によって大まかに2段階に分別され、凍結魔法「ディープフリーズ」、大凍結魔法「フリーズブレス」がある。一応戦闘魔法に属するものの、常用魔法としても多用され、むしろこちらがメインの使用目的であることも多い。その場合は、物の冷却や凍結保存などの目的で使われる。

コキュートス

氷弾魔法と凍結魔法を組み合わせた魔法。漢字では「極大氷雪魔法」と表わされる。指定範囲内に氷雪を召喚し、急速に目標の温度を下げることができる。数ある魔法の中でも魔力消費の多い爆撃系最強の魔法「極大爆撃魔法」に次いで魔力消費の激しい魔法といわれており、ドラゴンの群れを一瞬で凍て付かせることができるという。

強風魔法 (きょうふうまほう)

任意の場所に強風を発生させる魔法。使用用途によって、風で相手の動きを封じる、弾丸や魔法から身を守る、自分の動きをサポートするなど多くの効果が得られる。風を起こす範囲や速度によって大まかに3段階に分別され、強風魔法「エアバースト」、旋風結界魔法「ワースシールド」、暴風魔法「ヴァイオレンスバースト」がある。中でもヴァイオレンスバーストは非常に強力な防御魔法として機能し、これが使えれば魔法で倒されることがないとまでいわれる。

狂風魔法 (きょうふうまほう)

任意の場所、しかも限定的に強烈な風を起こすことで対象を切り裂く魔法。主に効果範囲の広さで3段階に分別され、剪断狂風魔法「シアーバースト」、大剪断狂風魔法「クレイモアバースト」、極大狂風魔法「ギガドラフト」がある。またレイシャ・ソルディトのオリジナル狂風魔法として「ギガドラフト」の効果範囲をより限定し、少ない魔力で同等の切れ味を誇る「指向性爆風魔法(ショックウェーブバースト)」があり、この使い手は他には存在しない。

爆撃魔法 (ばくげきまほう)

戦闘以外では土木現場など限定的な部分でしか使い道のない強力な戦闘魔法。任意の場所に爆撃を起こすことができる。主に効果範囲と炸裂威力によって4段階に分別され、爆撃魔法「グレネード」、大爆撃魔法「ブラストボム」、拡散爆撃魔法「ブラストクラスター」、極大爆撃魔法「フレアブラスト」がある。その威力は最下級の「グレネード」でもドラゴンに致命傷を与え、「フレアブラスト」が使えるとなれば国家レベルの戦力として計算されるほど。 ただし、消費魔力は他の魔法に比べて桁違いに多く、仮に継承できたとしても使える者は極端に限られる。ちなみにマギア・ドトーレは「グレネード」なら使用できる。

放出型電撃魔法 (ほうしゅつがたでんげきまほう)

体から高電圧、弱電流の電撃を放つことができる魔法。主に効果範囲によって2段階に分別され、接触電撃魔法「ゼロレンジボルト」、無力化電撃魔法「スタンボルト」がある。電撃ではあるものの、心臓などに疾患がない限り死ぬことはない程度の威力に過ぎず、位置づけとしては非殺傷魔法とされている。中級の「スタンボルト」の電圧は500万ボルトであり、最大効果範囲は術者から5メートル程度。 相手を殺さない護身用魔法であることからマギア・ドトーレが好んで使用する。

射出型電撃魔法 (しゃしゅつがたでんげきまほう)

目標に向けて電撃を込めた弾丸を放つことができる魔法。主に効果範囲と弾丸数によって2段階に分別され、射出電撃魔法「ショックショット」、散弾電撃魔法「ボルトアロー」がある。

ストームボルト

電撃魔法の放出型と射出型を組み合わせた極大魔法。漢字では「極大電撃魔法」と表わされる。広範囲に高電圧、弱電流の電撃を放つことで多くの対象を無力化することができる。

雷撃魔法 (らいげきまほう)

「天に選ばれた勇者」にしか使えないといわれる特殊な魔法であり、現在は勇者レイ以外に使い手が存在しないといわれている。電撃魔法とは似て非なるものであり、上空に積乱雲を発生させ、雷撃を落とすことができる。主に効果範囲で3段階に分別され、雷撃魔法「サンダーボルト」、極大雷撃魔法「ギガボルト」、暴走雷撃魔法「ルナティックボルト」がある。 雷撃そのものは直撃しなければ死亡することはないが、感電による麻痺や行軍中の火薬の誘爆、糧食への被害が甚大なため、主に対軍魔法として使用される。

回復魔法 (かいふくまほう)

傷を治すことを目的とした魔法。ただし、魔法による効果はあくまで生体そのものが持つ回復力を促進するだけなので、一瞬で傷が治るような劇的な効果は見込めない。主に効果範囲などで3段階に分別され、治癒魔法「トリートメント」、拡散治癒魔法「マルチトリートメント」、極大拡散治癒魔法「トリートメントフィールド」がある。

医療魔法 (いりょうまほう)

回復魔法とは異なり、魔法によって傷を塞いだり治療をする魔法。医療魔法は効果が多岐にわたるため、その種類は数知れず存在するという。代表的なものとして傷口を縫い合わせる強制癒着魔法「リカバリー」、対象を消毒する消毒魔法「ディスインフェクション」、傷口を洗浄する洗浄魔法「クリアリング」、火傷を冷却する低度冷却魔法「ソフトクリーニング」、体温を上昇させ病気の回復を促す体温上昇魔法「ホットスポット」などがある。

蘇生魔法 (そせいまほう)

対象の時間を巻き戻す魔法。時間を巻き戻すという効果のなかに、停止した内臓の機能復活や欠損した肉体の再生などが含まれるため、主に蘇生魔法と呼ばれる。またその性質上、神聖魔法と呼ばれたり邪法と呼ばれることもある。主に効果範囲によって2段階に分別され、部位蘇生魔法「セミリヴァイヴ」、回帰蘇生魔法「リヴァイヴ」がある。 ただし蘇生魔法も万能ではなく、効果を発揮するには欠損、または死亡してから5分以内に使用しなくては意味がない。また極めて膨大な魔力を消費するため、使用者はかなり少ない。

移動魔法 (いどうまほう)

自分、及び周囲の物質を含めた移動に関する魔法。常用魔法でありながら戦術的価値も高く、いかなる攻撃魔法も霞むといわれるほどの有用性を誇る。種類は非常に多いが、代表的なものとしては、走るような速度で歩き続けられる歩行支援魔法「ウォークスラスト」、凄まじい速度で走る高速走行魔法「ハイパーランニング」、乗り物に風を吹かせる搬送支援魔法「クルージングブレス」、短時間・短距離の飛行を可能にし制御する飛行制御魔法「フェザースラスト」、大量の荷物を持って飛行できる極大飛翔魔法「ワイバーンブレス」などがある。 また超高速で飛行する超高速移動魔法「マクロドライブ」もこれに当たる他、身体機能を強化する「魔力強化」も広義では移動魔法に属する。

情報魔法 (じょうほうまほう)

情報や通信に関する魔法の総称。非常に種類が多く、効果も多岐にわたるが、代表的なものとして、遠隔地の対象と通信が可能な遠隔通信魔法「テレトーク」、遠隔地に映像を送る遠隔映像通信魔法「ビジョンメール」、遠方の物音まで聞き分ける聴覚強化魔法「ラビットセンス」、視覚を強化する視覚強化魔法「イーグルアイ」、遠隔地の物事を見ることができる遠隔偵察魔法「スカウトバード」などがある。 どれも扱いがかなり難しく、情報魔法を使える時点で高レベル魔法使いとして認識される。とりわけキャロス・インシエムは遠隔偵察、幻影、相互通信、魔法の運搬まで同時に行なえる実力を持つため、規定外の使い手とされる。

防御魔法 (ぼうぎょまほう)

外部からの衝撃や圧力、干渉を防ぐ魔法全般のことを指す。非常に微々たる効果のものから絶大な効果を持つものまで種類は豊富に存在する。代表的なものとして、虫さされや引っかき傷を防ぐ極低強度防御魔法「ミニマムガード」、ナイフによる攻撃や転倒の衝撃を緩和する高強度防御魔法「ローガード」、剣やクロスボウを防ぐ装甲魔法「アーマード」、物理的な干渉のほぼすべてを防ぎ、超高速移動魔法「マクロドライブ」にも組み込まれている物理断絶結界魔法「マテリアルブロック」、極度の温度変化を防ぐ弾熱結界魔法「ヒートプロテクト」などがある。 「ミニマムガード」以上の効果を持つとなると加速度的に魔力消費が激しくなる性質があるが、範囲を限定することで消費を抑えることも可能。

強化魔法 (きょうかまほう)

肉体やアイテムなどの性質を強化することができる魔法。代表的なものに身体機能全体を強化する「魔力強化」がある。その他、「魔力強化」にはおよそ及ぶべくもないが、身体機能を魔力によって強化する疑似魔力強化「パワード」、装備した道具の強度を上げる物体強化魔法「ハードエンチャント」、体力を強化して疲労をなくす体力強化魔法「タフネスエンチャント」、病原菌やウイルスへの抵抗力を高める耐病強化魔法「シックバスター」などがある。

吸収魔法 (きゅうしゅうまほう)

魔法によって魔力を吸収する魔法のことを指す。現存する吸収魔法は肉体の周囲に存在する魔力を吸収する吸収魔法「アブソプション」のみ。しかし非常に難度が高い割に魔力を補充するための手段としては効率があまりよくないため、現状ではほとんど廃れてしまっている。なお理論上は、攻撃魔法を全吸収したうえで反射することもできるが、その難度から実戦に耐えうるものではないとされている。 熟練度の低いマギア・ドトーレの場合、レイシャ・ソルディトの出した100の魔力を3吸収できるかどうかという程度。

直死魔法 (ちょくしまほう)

文字通り、生体を一瞬で死に至らしめることができる魔法。物理的な防御や障害物は一切意味をなさず、かけられた者を心停止に追い込むことができる。ただし一定以上の魔力を持つ者が近くにいるだけで効果を失い、また射程は10メートル程度。心停止させるだけなので適切な処置をすれば蘇生も難しくない。効果範囲や対象の数によって2段階に分別され、直死魔法「アサシネイト」と多重直死魔法「ジェノサイド」がある。

死体操作魔法 (したいそうさまほう)

死体を操る魔法。倫理に反しているため、ほぼすべての魔法の中でも邪法中の邪法として使用を固く禁じられている。またこの魔法を使用する魔法使いは恐怖と侮蔑の意味を込めて「ネクロマンサ―」と呼ばれる。主に効果範囲によって3段階に分別され、死体操作魔法「デッドマリオネット」、大規模死体操作魔法「デッドアーミー」、さらに「デッドマリオネット」を感染させる感染型死体操作魔法「デッドパンデミック」がある。 この魔法によって操られた者は知能を失い噛みつく程度しかできなくなるが、肉体のリミッターが外れているため驚異的な筋力を持つことになる。また頭部を失っても魔力が続く限り動き回るため、非常に厄介。

幻覚型幻影魔法 (げんかくがたげんえいまほう)

幻覚魔法のうち、対象者に魔法をかけ、脳に影響を与えて幻覚を見せる魔法。効果によってさまざまな種類があり、代表的なものはでたらめな幻覚を見せる悪性幻覚魔法「ナイトメア」、特定の幻覚を見せる制御幻覚魔法「ハイナイトメア」、美しい光景を見せ、安心感まで与える精神安定魔法「ドリーミーサンド」がある。非常に有用な魔法だが、相手の力量が高いと通じないことがある。 また使用難度も魔力消費量も高く、使い手は限られる。

空間投影型幻覚魔法 (くうかんとうえいがたげんかくまほう)

幻覚魔法のうち、空間に幻影を投射する魔法のこと。幻影の数や動きによって種類は多岐にわたるが、代表的なものとしては、動かない幻影を投影する静止投影魔法「モニュメントスクリーン」、動く幻影を投影する動体投影魔法「アニマスクリーン」が有名。投影される幻影の造形や精度などは使い手の力量に大きく左右される。

暴走魔法 (ぼうそうまほう)

魔法の具体的な効果ではなく、在り方によって定義されている魔法の総称。術者が制御できない魔法は「半暴走魔法」「準暴走魔法」と呼ばれ、制御できないうえに無限増殖を重ねるものが「暴走魔法」と呼ばれる。代表的な例として、周辺の魔力を取り込み火災を広げ続ける暴走火焔魔法「インフェルノ」、周辺の魔力を取り込み熱に変換して生体を襲い続ける暴走火球魔法「ハンターフレア」、周囲の熱を魔力に変換し増殖、さらに熱を奪い続ける暴走氷雪魔法「ブリザード・オブ・コキュートス」、周辺の大気の運動エネルギーを取り込み街を飲むほどの巨大な竜巻に成長する暴走狂風魔法「シルフヘル」、魔力を持った生物を電撃が襲い、さらにその魔力を取り込み増殖する暴走電撃魔法「ハンターボルト」、上空と地上の電位差を常に生み出しながら雨のように雷を降らせる暴走雷撃魔法「ルナティックボルト」などがある。 なお、これらの魔法と同等の威力や被害を生み出すものであっても、制御できていれば「暴走魔法」ではない。 その代表例がルーシュ・モーデリアが使う射出型超高速移動魔法「マクロドライブ」である。

生成魔法 (せいせいまほう)

魔力によって何らかの物質を作り出す魔法のこと。広義では氷弾魔法などもこれにあたる。主な使用用途として武器の生成が挙げられるが、あまり精度の高いものや強度の高いものは作れない。しかし魔力で作られているため、鋼鉄より硬い硬度を持ちながら軽く、壊れても魔力の続く限りすぐに再生することができるうえ、変幻自在に形を変えることができるといったものも生成可能ではある。

マインドジャック

対象者の体を乗っ取り、自在に動かすことができる魔法。漢字では「精神支配魔法」と表わされる。体を支配することができるが成功率や効果は低く、乗っ取りに成功した後でも対象者の意識は残る。また、対象者に抵抗された場合は、体の支配がうまくいかないことがほとんど。特に対象者の持つ魔力が魔法をかける者より上だった場合は合意の上でしか成功しない。

キュアローション

レイシャ・ソルディトが、唯一使うことのできる回復魔法の一種。漢字では「回復粘液魔法」と表わされる。わずかな回復効果を持つ粘液を召喚する魔法で、これを使ってマッサージをすると、疲労回復、血行促進、美肌効果があるという。また美肌効果により優れる上位魔法として「白色回復粘液魔法(ホワイトキュアローション)」もある。

オルゴール

ディアボロやマギア・ドトーレなど一部の人物しか使うことのできない秘術。漢字では「自動詠唱機構」と表わされる。対象にした魔法の効果を無意識的に、半永久的に自動で詠唱し使用し続けられる魔法。また攻撃魔法と複合して使用すれば、指定回数分の魔法を同時に放つことも可能。

マンサーチ

ディアボロやマギア・ドトーレなど一部の人物しか使うことのできない秘術。漢字では「個人捜索」と表わされる。自分のイメージする個人や個体がどの位置にいるのか瞬時に判別することができる魔法。たとえ世界の裏側にいても生きているなら場所が分かる。

エリアサーチ

ディアボロやマギア・ドトーレなど一部の人物しか使うことのできない秘術。漢字では「空間捜索」と表わされる。自分のイメージする空間範囲内の何がどこにあるのか瞬時に判別することができる魔法。

サモン・インキュバス (さもんいんきゅばす)

キャロス・インシエムが使用した召喚魔法。漢字では「淫獣召喚魔法」と表わされる。蛇のような無数の触手を持ったモンスター「淫獣」を召喚し、使役する魔法。キャロスがルサルカ・モーデリアを屈服させる目的で使用したが、逆手に取られてしまう。

ハイパークロックアップ

ガッシュ・アルファルド・G・ダンダルフィアが使うオリジナルの魔法。漢字では「超高速機動魔法」と表わされる。肉体に疑似的な魔力強化を施す強化魔法「パワード」と物理防御力を強化する防御魔法「アーマード」、それに短時間の飛行を可能にする移動魔法「フェザースラスト」の魔法を組み合わせ、瞬間的に時速450キロの速度で動けるようにする効果を持つ。

魔導砲 (まどうほう)

ナナ・バルバロスが得意とするオリジナルの魔法。使用する魔法の強化を行い、射程や速度、威力を高めるために使う補助魔法。具体的には、通常なら時速200キロで射出され最大射程800メートルの氷弾魔法を、音速の3倍で射出、最大射程を10キロにまで伸ばすことができるほど。

アクアロード

移動魔法の一種。漢字では「水流支配魔法」と表わされる。対象に触れる水の一部を固形化することで水面に立ったり、歩くことができるようになる。洪水に呑まれた際にマギア・ドトーレが使用した。

スフィア・インフェルノ・ハウンド (すふぃあいんふぇるのはうんど)

ルーシュ・モーデリアを襲った竜騎士兵団が使用した魔法。漢字では「誘導極大火球魔法」と表わされる。極大火球魔法「スフィアインフェルノ」に小さな火球魔法を複数合成し、さらに誘導性を加えた魔法。超高難度の魔法の合成術式によって、曲射でも800メートルの射程が精々の火球魔法を3キロ先まで誘導、秒速230メートルの速度で目標に命中させることができる。 フルアーマードラゴンの装甲を破って焼きつくすほどの熱量と高温を持つ。

魔封じの首輪 (まふうじのくびわ)

装着したものの魔力を封じ込めることができる首輪。同様のアイテムに魔封じの腕輪などがある。通常の魔法使いであればこれを着けるだけで即座に無力化することができるほどの効果を持つ。しかし、魔法への耐性を持たせる「アンチシール」を持つ者や、魔力貯蔵量がケタ違いの相手の場合は複数個着けなければならない。ただし、その場合でも一つ着けるだけで一定の魔力減衰効果は得られる。

小さな加護の剣 (ちいさなかごのけん)

勇者レイが旅立つ時から装備していたという剣。勇者レイがルーシュ・モーデリアらの村を焼き払った際に反撃に遭い、落としていったものをスタンピード・ライアが拾ってそのまま装備している。「必要な時にしか抜けない」という言い伝えがある。

大いなる加護の鎧 (おおいなるかごのよろい)

勇者レイが魔王ディアボロを討伐した際に装備していたという鎧。装備した者を不運や呪いから守る加護の呪文がかけられており、小さな偶然を束ねて死を退けるという。

知性の冠 (ちせいのかんむり)

勇者レイが魔王ディアボロを討伐した際に装備していたという頭部装甲。ブーメランのような額当てが特徴。装備した者は知りえぬことを知り、見えぬものを見、聞けぬことを聞くことができるという。

応報の盾 (おうほうのたて)

勇者レイが魔王ディアボロを討伐した際に装備していたという盾。魔法を吸収し、跳ね返すことができるという装備。魔法を吸収して跳ね返す魔法は存在するが、吸収するだけでも非常に難度が高く、さらに跳ね返すまでになると、その難度が途方もなくなる。それを盾ひとつで行えるという極めて貴重な装備。

凍てついた時の刃 (いてついたときのやいば)

勇者レイが魔王ディアボロを討伐した際に装備していたという剣。決して壊れず、すべてを切り裂き、無限に熱を奪い続けるという力を持つ。レプリカを売っていた武器屋によれば、レプリカでもカミソリを超える切れ味を誇る一品で、本物の完成度はそれ以上という。

ボディガード

ガッシュ・アルファルド・G・ダンダルフィアが考案し、三つ目族が開発した最新式の小型銃。片手で持てる程度のサイズで連射が可能。ガッシュが使用した際には300メートル先の的に6発中3発を命中させる精度を誇った。

ハンター

三つ目族が開発した最新式の狙撃銃。回転弾装搭載で6発の連射が可能。50グラムの弾頭を搭載した徹甲弾を使用するため威力に優れ、2キロ先の的に高確率で命中させることができる精度を誇る。

魔導士の羽衣 (まどうしのはごろも)

マギア・ドトーレが愛用している上着。代々ドトーレ家に伝わるもので、魔力を帯びているため、いつでも半ば宙に浮いており軽く、刃物を通さず、魔法でも燃えず、さらには汚れも付きにくく暖かいという優れもの。ただし大人サイズであるため、マギアが袖を通すとブカブカに見える。コミックスのおまけマンガでそのことが語られたが、元々はデザインありきの後付け設定であることが判明した。

風切り羽 (かざきりば)

レイシャ・ソルディトが魔王ディアボロから譲り受けたということしか分からない二振りの妖刀。金属製だが、素材が何か分からず、折れず曲がらず刃こぼれひとつしない。また薄く軽いうえに、超硬度を誇るダイヤモンドすら切断することができるという。

常雪ちごり (とこゆきちごり)

氷雪族の女性たちの母乳を加工して作った食品。ちごりは漢字で「乳凝り」と書く。乳の水分を抜いて「素ちごり」を作り、乳清を煮詰めた「煮ちごり」を混ぜて作られる。生産者の年代によって「甲」「乙」「丙」に分かれ、それぞれ10代、20代、30代の乳を使用したもの。ひとつあたり銀貨3~4枚(銀貨1枚は日本円で約1万円の価値)で取引され、氷雪族の主要産業となっている。

氷塊噴進船 (ひょうかいふんしんせん)

氷塊で作られた船。主に氷雪族が使用する乗り物で、対象物を水上で動かすことができる移動魔法「アクアロード」を併用することで、水上や雪上、氷上を最高時速70キロという高速で走ることができる。ただし動かすには10人以上のアクアロードの使い手が必要になるため、ごく一部の部隊でしか運用できない。

ダラキア金貨 (だらきあきんか)

世界に流通している貨幣のひとつ。獣人族の首都であるダラキアで製造されたもので、完成度が高く信頼のおける貨幣として高い価値が付与されている。1枚で日本円にして30万円相当の価値がある。

魔法 (まほう)

魔力を消費して使用することができ、さまざまな現象を引き起こす技のこと。魔法の種類は数えきれないほどあるが、例として氷結魔法を使うと、大気中の水分を固めることができるのではなく、何もない場所に突然氷が出現するという現象が起きる。どの個体がどの魔法を使うことができるかは、個体の素養によって決まっているが、自分の持つ魔法を他人に継承させることも可能。 使用用途によって「常用魔法」「特殊魔法」「戦闘魔法」に分類でき、またその威力、効果範囲によって「下級魔法」「上級魔法」「極大魔法」「禁呪」「邪法」などに分かれる。

専門魔法使い (ぷろうぃざーど)

特殊な1種の魔法、あるいは限定的な魔法のみを使う魔法使いのこと。覚えることのできる魔法の種類は多くないものの、他の魔法に比べて大量の魔力を消費したり、制御の難しい魔法を使うことができる。ルーシュ・モーデリアはこれにあたる。

万能型魔法使い (まるちうぃざーど)

多くの魔法の種類を覚えることができる魔法使いのこと。専門性はないが、多種多様な魔法を扱うことができる。ただし、通常の万能型魔法使いでも覚えることができるのは、相性が良い1~2属性程度のものとされている。マギア・ドトーレはこれにあたるが、ディアボロが持つ禁呪や邪法に至るまですべてを継承することができた。 その他、レイシャ・ソルディトやディアボロも万能型魔法使いである。

モンスター

狭義には通常の動物とは異なり、魔力を帯びた野生動物のことを指す。しかし、広義では魔力を帯びていなくとも、非常に強力で危険度の高い野生動物もモンスターと呼ばれる。ちなみにこの呼称に外見は影響せず、異形の姿をしていても主に会話などで意志疎通ができればモンスターではなく別種族として扱われる。ただしゴブリンのように、知能を持って意志疎通はできるが、人間とはまったく異なる価値観や思考を持つため、結果的に正しい意志疎通ができない存在はモンスターに分類される。

レベル

人間がモンスターや野生動物の危険度を表すために使用する目安単位。鎧と槍で武装した成人男性のレベルを1とし、一般的な攻撃魔法を使える魔法使いをレベル5、極大魔法を使える魔法使いをレベル30として基準を設定している。ちなみに勇者レイやレイシャ・ソルディトのような規格外の強さを誇る場合は「評価不能」という意味でレベル99と評する。

ゴブリン

モンスターの一種。成体で約25センチ程度の大きさになり、直立歩行をして言語を解することができる。見た目上の特徴として、うさぎのような大きなたれ耳を持ち、つぶらな瞳にフリルのついた服を着ているように見えるが、服に見えるのは体皮や汚れ、垢が固まってできる体の一部だという。モンスターにしては高度な知能を持つものの、独自の倫理観を持ち、自分やゴブリン種がすべての生物の中で最も尊いと信じてやまない。 雑食であり、なんでも食べるうえに繁殖力が異常であるため、個体としての力はないが、群れになると二つ名の通り国を滅ぼすことがある。そのため、発見したらすぐに駆除する対象として見られている。脅威度をレベルで表すと200匹でレベル1程度。

ブレイドタイガー

野生動物の一種。高い知能と俊敏性、鋭い爪や牙を有する虎のような動物で、野生動物ではあるが、その脅威度からレベル15のモンスターとして扱われる。警戒心が強く、基本的に人間を襲うことはないが、子連れの場合は非常にナーバスになっているため見つかったら命はないといわれる。

エメラルドドラゴン

モンスターの一種。ドラゴン系モンスターの中で最も一般的な種別だが、それでも脅威的な戦力を持っており、レベルは35。人間を軽く一飲みできるほどの巨体を誇りながら、「魔力強化」によって俊敏な動きも可能。銃弾を跳ね返す鱗と怪力を誇り、魔法も使うため魔法使いでなければほぼ太刀打ちができない。

サンダルブラックドラゴン

モンスターの一種。サンダル山脈という地方に住み、極めて狂暴であるとして知られている。また社会性を持っており、役割分担する知能の高さを持つ。その狂暴性に加えて、「兵士」の役割を持つ個体は死を恐れず外敵に立ち向かってくるため、非常に厄介。種族としてのレベルは45とされているが、時にさらに高レベルのドラゴンですら屠る力を持つ。

黒いキラーホーネット (くろいきらーほーねっと)

昆虫系モンスターの中で最強といわれるモンスター。レベルは50~75。キラーホーネットというモンスターの突然変異種として生まれ、たった150匹の群れで大平和神聖鬼族の国を蹂躙した。クイーンを頂点とした社会性を持っており、そのことも脅威度を高めていたが、当時わずか12歳であったレイシャ・ソルディトによって完全に駆逐された。 またそのクイーンの外皮装甲はレイシャの装備品となっている。

フェザー・オブ・コキュートス (ふぇざーおぶこきゅーとす)

マーレが作りだすことができる魔法生物。サイズは自在に変えることができ、馬車を丸ごと背に乗せて飛行できる巨体から通常の鷲程度にまで設定可能。ある程度行動を限定できる他、自律行動もできる。自律時は氷弾魔法や多重直死魔法を使い、死体を食らって魔力に変えることができる。

キラー・マンティス (きらーまんてぃす)

モンスターの一種。人間と同サイズにまで成長するカマキリ型のモンスター。シャコのように強烈なパンチを放つため、生身で立ち向かうと危険な相手。しかし金属鎧など対打撃用の装備を身に着けていれば十分に対処できる。レベルは1。

シルバーユニコーン

ボルケーノ・G・シュリングスがルーシュ・モーデリアらのパーティに敗北した際、譲り渡したモンスター。非常に気性が荒く乱暴な性格だが、60キロの速度で2時間走り続けられる体力を持ち、1トンを超える重量の重馬車を難なく引き、悪路もものともしない性能を誇る。そのため実用馬として調教された個体は非常に高値でやりとりされ、貴族や王族御用達の移動手段として用いられる。 ちなみに額から生えている角に見えるものは実はたてがみの一部で、普段は毛のように紛れていて、個体の緊張状態によって硬質化する。

六脚獣 (ろっきゃくじゅう)

蛇かトカゲのような頭部と、頭部に似た形と模様を持つ尻尾を持ち、6本の人間の手のような脚を持った生物。その特徴的な姿から「あらゆる生物の系統樹から外れた生物」といわれ、似た生物は他に存在しない。しかし、妖精族はこれを乗り物として使っているため「馬」と呼んでいる。魔力を持たないためモンスターではなく野生生物で、一応哺乳類だという。

ボロミア・アクア・ワイバーン (ぼろみああくあわいばーん)

竜魔族の国ボロニアに生息する飛竜の一種。青を中心とした美しく虹色に煌めく鱗を持っているのが特徴。狂風魔法や強風魔法を操り、獲物や外敵の生命反応を探知して追跡できる特殊技能も持つ。その脅威性から成体でレベル70、リリィもまだ子供ながらレベル40~50程度とされている。なお、強力なモンスターではあるが性格は温厚なため、こちらから意図的に近寄らなければ襲われることはないとされる。

ボロミア・ブラック・ワイバーン (ぼろみあぶらっくわいばーん)

竜魔族の国、ボロニアに生息する飛竜の一種。竜騎士が駆る飛竜といえばこの種であることから、非常によくその名を知られている。火球魔法を得意としており、上空からの爆撃という強力な戦術性を持つ。その脅威性からレベルは80とされている。

戦闘猪 (ばとるわいるどぼあ)

大平和神聖鬼族が主に戦闘用に飼育し、調教している動物。文字通り猪ではあるが、爪も牙も通らぬほどの分厚い皮膚と、とげと勘違いするほど硬い体毛を持ち、装甲なしでも通常の銃弾では貫けない硬い頭蓋骨を持つ。死を恐れぬ狂暴性を持っており、雑草から死体までなんでも食べる暴食性も持ち合わせる。さらに8人の武装した兵と補給物資を運ぶ木製装甲車、自身がまとう装甲を抱えながら時速40キロで走行できるという化物じみた怪力とタフネスを持つ。 その戦闘力は恐るべきものだが、その醜悪な見た目から他種族からは「豚」と呼ばれ蔑まれている。

竜人族 (りゅうじんぞく)

種族の一種。外見上は人間とほぼ見分けがつかないが、種族として人間の脅威となる存在を排除する使命を帯びているとされ、人間とは区別されている。勇者レイがこの種族である。

竜魔族 (りゅうまぞく)

種族の一種。外見上は人間とほぼ変わらないが、目元に龍のうろこのようなものがあり、また側頭部から角を生やしている。種族の特徴として男女問わず、ほぼ全員が「魔力強化」を持って生まれ、かつほぼ全員が魔法使いという稀有な種族。その戦闘力の高さから「魔界最強種族」「人型ドラゴン」の異名を持つ。

獣人族 (じゅうじんぞく)

種族の一種。外見上は人間とほぼ変わらないが、有毛の長い耳を持っているのが特徴。また種族全体の特徴として、人間以上に発達した五感が挙げられる。その他、種族の女性の特徴として、夏と冬の年に2回、1週間程度の発情期を迎える性質がある。レイシャ・ソルディトいわく発情期の間は3割程度正気ではなく、ピークの一夜は9割正気を失い見境がなくなるという。 蔑称として別種族から「犬」と呼ばれることがあり、使われ方によっては即座に命の奪い合いになってもおかしくないほどの侮蔑表現となる。

獣魔族 (じゅうまぞく)

種族の一種。全身を深い毛並みに覆われた獣のような外見を持つ種族。また脚よりも強靭な尻尾を持っているのも特徴のひとつ。種族の特徴として獣人族を上回る嗅覚と聴覚を持ち、全員が生まれながらに「魔力強化」を体得している。その分、「魔力強化」以外の魔法を一切使うことができないが、高い身体能力を持つ。性格的には温和で豪放。 氷雪族とは逆に男性に対して女性の数が圧倒的に少なく、女性に害をくわえられると種族全体の怒りを買うことになる。なお、獣魔族の中でもその容姿などによって、白狼族、黒狼族、猫虎族などの部族に分かれているという。

三つ目族 (みつめぞく)

種族の一種。外見上は人間とほぼ変わらないが、額に三つ目の目を持っているのが特徴。額の目は人間の両目よりも優れた機能を持っており、明かりひとつない闇の中でも真昼のように物を見ることができ、薄い壁越しであれば体温感知をして位置を特定することができる。また種族の特性として、兵器開発の面で優れた才能を持ち、魔法の利便性に押されてなかなか開発の進まなかった銃の改良に成功して絶大な軍事力を持つに至っている。 性格はお人好しで温和。協調性・同和性を重んじる特徴がある。

氷雪族 (ひょうせつぞく)

種族の一種。魔界の東方「常雪山脈」に住む魔界の人族。かつては「雪女」という妖怪であるといわれていたが、その存在が明らかになり種族として認められた。女性のみの種族と思われていたが、実は女性100~500人に対して一人程度の割合で男性も生まれる。しかし種族繁栄のためにかなり貴重な存在であるため、厳重に保護され、その存在が外に漏れないようにされている。 種族の女性たちは鳥取の方言に似た訛った言葉を使う。

大平和神聖鬼族 (だいへいわしんせいきぞく)

種族の一種。外見上は人間とほぼ変わらないが、前頭部に2本の角を生やしているのが特徴。種族共通の特徴、性格として自己中心的で横柄、平気で嘘をつくうえに約束もすぐに破る。そのため人間を含むすべての他種族から忌み嫌われ、「嘘つき鬼」と呼ばれている。

妖精族

種族の一種。外見上は人間とほぼ変わらないが、大きく長い耳を持つのが特徴。また種族共通の特徴として、成人しても人間の幼児ほどの大きさにまでしか成長しない。生態や性格がよく分からない独自の倫理観を持っているようで、ディアボロいわく「善人で邪悪で普通で人助けと殺戮を好むがおおむね評判はいい」のが妖精族だという。基本的に他種族とは好き嫌い関係なくあまり接触を持たない方針だが、故郷を奪われた三つ目族に土地を無償で貸し与えたり、竜魔族と戦争した際には死者を丁寧に弔い、敵地に返すような行動も取る。

書誌情報

天空の扉 20巻 日本文芸社〈ニチブンコミックス〉

第17巻

(2022-06-29発行、 978-4537145212)

第18巻

(2023-03-29発行、 978-4537146271)

第19巻

(2023-09-28発行、 978-4537146974)

第20巻

(2024-03-29発行、 978-4537147988)

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