天華百剣 -瞬-

天華百剣 -瞬-

『天華百剣』プロジェクトのスピンオフ作品。時は銘治(めいじ)時代。一人前の巫剣使いになるべく、お目付け役の狐ヶ崎為次と共に修行の旅に出ていた、見習い巫剣使いの少女であるみやびが、異形の化け物の禍憑を倒しつつも、行く先々でトラブルを巻き起こしていく姿を描く和風ファンタジーアクション。「月刊G'sコミック」2018年2月号から2019年4月号にかけて連載された作品。

正式名称
天華百剣 -瞬-
ふりがな
てんかひゃっけん しゅん
原作者
天華百剣プロジェクト
漫画
ジャンル
アクション
 
和風ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

時は銘治(めいじ)時代。半人前の巫剣使いの少女であるみやびは、一人前の巫剣使いになるべく、お目付け役の狐ヶ崎為次と共に修行の旅に出ていた。小烏丸に指定された各地の禍憑を倒し、素材を集めていたみやびは、どうせなら手柄を立てるべく、強い禍憑を探して倒すことを決める。狐ヶ崎為次の力を使い、禍憑の残滓をたどったみやびたちは、神佐之村に到着。村娘のおしげに案内され、村はずれの森で禍憑となった神を発見し、これを撃退する。みやびと狐ヶ崎為次は正気に戻った神から、お礼の素材を受け取って村に戻る。しかし、みやびと狐ヶ崎為次は、騒動の元凶は彼女たちと思い込んだ村人たちに襲われ、牢屋に捕らわれてしまう。村人が凶暴なのは禍憑の影響で、より強い禍憑がもう一体いると気づいたみやびたちは、禍憑を倒そうと思うものの、禍憑たちを率いていたのはおしげの姿だった。おしげは実は村の守り神で、村人が寺を壊したことに激怒し、凶悪な禍憑と化していたのだ。その事を知ったみやびは、おしげを助けるために奔走。おしげの本体を解放することで、彼女を禍憑から解放し、神佐之村の禍憑退治を今度こそ本当に終わらせるのだった。

第2巻

半人前の巫剣使いの少女であるみやびのもとに、新たな巫剣稲葉郷がやって来る。稲葉郷はみやびを慕い、彼女を主にすべく奮闘する。そして、みやびが一刻も早く一人前の巫剣使いになれるように、彼女に稜威能力の練習を提案する。みやびは本来であれば難しい稜威能力を難なく発動し、稲葉郷はその力の強さに驚きを感じるが、その瞬間、みやびたちを大量の禍憑が襲い掛かり、みやび自身も禍憑化しかけてしまう。辛うじて事なきを得るみやびたちだったが、このことを重く受け止めた御華見衆は、みやびの身を守るため、彼女の巫剣使いとしての資格を取り消そうと考える。小烏丸たちは、みやびの暗い過去や重い宿命が彼女を翻弄するため、戦いから遠ざけようと考えたが、当のみやびはその決定に反発。自らの手で自分の宿命に決着をつけるべく、狐ヶ崎為次を供に、半ば脱走の形で御華見衆を飛び出すのだった。そしてみやびは道中で出会ったおシリを新たな仲間として、各地の霊脈を巡り始める。神佐之村で手に入れた素材を霊脈の力を利用して増幅したみやびは、己の中の禍憑を分離する術を発動する。失敗すれば禍憑化してしまう危険な術だが前に進むために、何より一人前の巫剣使いになるため、みやびは己の中の闇との対峙を選択する。

メディアミックス

小説

『天華百剣』プロジェクトの一環として、出口きぬごしの小説『天華百剣 -乱-』が出版されている。『天華百剣 -乱-』は本作『天華百剣 -瞬-』の前日譚にあたる内容で、巫剣使いの青年である小次郎と、巫剣の三十二年式軍刀甲が禍憑と戦う姿を描いている。また本作の主人公、みやびも登場しており、本作でも語られるみやびの過去と、彼女が巫剣使いを目指すこととなった経緯が語られている。

スマートフォン向けゲーム

『天華百剣』プロジェクトの一環として、スマートフォン向けゲーム『天華百剣 -斬-』が2017年4月20日より配信されている。内容は、主人公が御華見衆の隊長となって、巫剣たちと共に禍憑と戦う美少女剣撃アクションRPGで、本作『天華百剣 -瞬-』にも登場するみやび狐ヶ崎為次も登場している。

登場人物・キャラクター

みやび

新人の巫剣使いの少女。金髪のツインテールの髪型で、大きなピンク色のリボンを首元にマフラー状に巻いている。勝ち気な性格のお嬢様で、言葉づかいは丁寧だが、むちゃばかりするために巫剣たちとよくケンカしている。ただし、前向きで明るい性格をした努力家のため、巫剣たちから慕われてもいる。もとは華族のお嬢様だったが、父親が禍憑に取り憑かれて目の前で死亡。その際、小次郎に助けられ、御華見衆に身を寄せる。これらの経緯から小次郎を「様」付けするほど慕っているが、彼が自分を置いて「天下五剣探し」の任務で旅立ったことに意気消沈。任務に置いて行かれたのはみやび自身の未熟さが原因だと考え、お目付け役の狐ヶ崎為次を供にして修行の旅に出た。育ちがいいために人心掌握術に優れており、金儲けが得意。しかし、世間知らずでもあるため、金儲けも当初は成功するものの、調子に乗ってやり過ぎて失敗することもある。お嬢様育ちながら巫剣使いとしての才能は破格なレベルで、高い身体能力に巫剣の能力を強化するという強力な稜威能力「恋々千本桜」を持つ。実は父親が目の前で死んだ際、その時に発した負の感情を利用され、禍憑に寄生されている。寄生した禍憑はほんの微量だったために発覚せず、彼女の巫魂(みたま)と禍魂(まがたま)がせめぎ合うことで爆発的な力を発揮していた。彼女のずば抜けた巫剣使いの才能はこれに起因していたが、稜威能力を発現したことで、そのバランスが崩れ、一気に禍憑側へと傾いてしまう。

狐ヶ崎為次 (きつねがさきためつぐ)

太刀の巫剣。黒い髪をストレートロングにした女性の姿をしている。狐の耳と尻尾が生えており、狐の特徴を色濃く持つ。みやびのお目付け役として、彼女の旅に同行する。温和な性格ながら、極度の人見知りで引っ込み思案なところがある。押しの強い相手や人の多い場所を苦手としており、それらの場所に長時間いると気絶してしまうほど人と接するのを恐れている。巫剣は刀の化生で、「斬るための存在」と考えており、人と接するのを恐れるのも「誤って斬ってしまう」ことを恐れているから。そのため、斬っても問題がない禍憑との戦いではふだんとは一転して勇敢な姿を見せる。斬ることが自分の存在意義と考えているため、禍憑討伐の使命感も強い。風のように身軽で、羽のように軽い身のこなしで戦う巫剣で、目でとらえるのも難しいほどの素早さを誇る。また、彼女の狐耳は気の流れを敏感に感じ取る能力を持ち、禍憑に対する索敵としても使える。引っ込み思案ながら自分の芯を持つ狐ヶ崎為次と、未熟ながら努力を怠らないみやびは性格は正反対ながら相性がよく、お互いを高め合うパートナーとして成長していく。

小烏丸 (こがらすまる)

太刀の巫剣。御華見衆の司令部に所属し、能力を生かした伝令役を担当している。みやびの面倒を見ており、小次郎の任務を手伝おうとしたみやびを未熟を理由に止めたが、これがみやびが修行の旅に出るきっかけとなった。人前では厳しく接しているが、その実、心配性でいつもみやびの身を案じている。また、みやびを守るべく、強力な刀装をいくつも渡しており、過保護的な言動も目立つ。時にはみやびに巫剣使いとしての道をあきらめさせようとするが、その行動は彼女の過去と背負うものを理解し、みやびに平穏に生きてほしいという思いからきており、彼女への愛情は人一倍強い。

鬼神丸国重 (きじんまるくにしげ)

刀の巫剣。明るめの茶髪をポニーテールにした女性の姿をしている。明るく朗らかな性格で、ふだんは御華見衆の仙台支部「もりの茶房」で看板娘として働いている。みやびの助言に従って、店の制服を割烹メイド服に改造したことで売り上げが伸び、彼女に感謝した。みやびの巫剣使いとしての才能以外の部分も認めており、彼女と仲がいい。人当たりがよく、誰とでも分け隔てなく接するため、人見知りな狐ヶ崎為次も彼女とはすぐになかよくなった。実は丙子椒林剣直属の部下で、御華見衆の中でも諜報や裏切り者の粛清を役割とする特殊な巫剣。過去に新選組三番隊隊長の愛刀であった経緯から、汚れ仕事に慣れており、御華見衆でも仲間を守るために率先して裏の仕事を引き受けている。汚れ仕事をする際にはふだんの明朗な姿から打って変わって、冷酷で非情な雰囲気を漂わせた姿となる。みやびの事情を知っており、彼女が禍憑化した際の粛清を行う手はずとなっていた。ただ、彼女が任務で非情に徹するのは、人一倍仲間を守りたいという強い思いの裏返しであるため、みやびに対しても彼女が禍憑に乗っ取られるギリギリまで見極めるつもりでいる。その点はみやびからも信頼されており、もし自分が禍憑になっても、その際には鬼神丸国重が斬ってくれると心を通じ合わせていた。影みやびが倒されたあと、みやびのもとに応援に駆け付け、彼女の無事な姿に安堵した。

稲葉郷 (いなばごう)

刀の巫剣。金髪碧眼の少女の姿をしている。安定感に定評のある守りに適した能力を持つ巫剣だが、性格はかなり個性的。非常に食いしん坊で、お米が大好き。彼女の言動は大好物のお米を物事の中心に据えて考えられており、巫剣と巫剣使いの関係をお寿司になぞらえ、自分は巫剣使いを引き立たせる「銀シャリになりたい」と発言している。みやびはその言動を初めて見た際に「変な子」と思った。食べることが好きな分、空腹が一番の不幸と考えており、みやびが壮絶な過去を背負いつつ、御華見衆に多額の寄付をしたことを強く感謝している。このため、みやびを一方的に気に入っており、彼女を主にすべく、みやびのもとに押し掛けた。そして、善意からみやびに稜威能力を教えるが、これが結果的にみやびの禍憑化を進行するきっかけとなってしまう。狐ヶ崎為次を一方的にライバル視していたが、みやびの禍憑化の一件で、己の未熟さを痛感。狐ヶ崎為次を認め、みやびを託すとともに彼女と親友となった。

青木兼元 (あおきかねもと)

打刀の巫剣。まじめな性格の忠実な人物で、みやびと狐ヶ崎為次の先輩役として彼女たちを導く。行動が無軌道なみやびと、引っ込み思案で行動が後手に回りがちな狐ヶ崎為次をよく叱っているため、彼女たちから恐れられている。みやびが御華見衆に所属してからは彼女の面倒を見ており、恋々千本桜を最初に受けた。身の丈に合わないほど強力な恋々千本桜を異常と感じ、小烏丸に報告している。

おシリ

みやびが出会った謎の巫剣。派手な装飾のされた民族衣装を身にまとった女性の姿をしている。浮世離れした独特の雰囲気を放っており、かなりマイペースな性格の持ち主。とある事情から各地の霊脈を巡り、浄化することを目的に旅をしており、同じく霊脈を目的地としていたみやびたちと遭遇、半ば強引に彼女たちの旅に同行する。巫剣でありながら剣が扱えない特殊な巫剣で、足も遅いために緊急の移動の際にはみやびに背負われて移動していた。一方、霊力の扱いにはみやびたちが思わず見惚れるほど巧みな腕前を見せた。明らかに本名ではない「おシリ」という名前も含めて謎が多い巫剣とされる。みやびたちが特別な事情を抱え込んでいると気づいているが、「謎が女の魅力を引き立てる」と謎の自論を持つため、あえて聞かずにいる。巫剣としての本当の名前は「虎杖丸」で、本気を出した際には奇妙な狐のぬいぐるみに剣を持たせて戦う。

おしげ

神佐之村に住む少女。黒い髪のおかっぱ頭で、ヘッドドレスのような髪飾りをしている。年相応に幼げでかわいらしい性格で、村を訪れたばかりのみやびと狐ヶ崎為次の道案内をした。正義の味方を名乗り、禍憑と戦うみやびを「リボンのお姉ちゃん」と慕い、彼女の活躍に目を輝かせていた。村娘姿で偽っていたが、その正体は神佐之村の守り神にして、村に現れた禍憑の親玉。もとは村の寺で崇められていた地蔵だったが、ある時、武装した村人たちによって寺を打ち壊されてしまう。寺の地蔵がほとんど打ち壊される中、おしげの地蔵は鐘の下敷きになり、長いあいだ放置される。これによって恨みつらみを募らせ、凶禍に侵されたことで禍憑へと転じてしまった。禍憑としての姿は、少女姿をベースに角を生やした鬼のような姿となる。肉体を硬質化することで高い攻撃力と防御力を持ち、生半可な攻撃はすべて無効化する。みやびたちを気に入り、彼女たちを捕えて手元に置こうとする。正体を現して戦ううちに徐々に正気に戻り、みやびが彼女の本体を見つけ出したことで禍憑から解放され、本来の守り神の姿へと戻った。その後はみやびたちが慌てて戻ったため、あいさつもできずじまいだったが、宝具を通じて彼女を守っていた。影みやびとの戦いでは、自決を選んだみやびの前に姿を現し、彼女を助けて激励する。

影みやび (かげみやび)

みやびの中に眠る禍魂(まがたま)が実体化した存在。みやびの父親が拳銃自殺した際、死の原因となった小次郎への憎しみ、父親を失った喪失感など、みやびの感じた負の感情を呼び水にして、彼女に取り憑いた。当初は仮面をかぶった大男の姿をしていたが、みやびと一体化が進み、彼女そっくりな姿へと変化していく。二度目の恋々千本桜を使って以降、彼女の精神世界にたびたび現れ、彼女を禍憑化して取り込もうとする。宝具の力でその力を抑えられるものの、みやびが霊脈の力を利用して己を倒そうとするのを逆利用し、彼女の負の感情をあおって彼女と霊脈を汚染して実体化する。みやびを心が折れる寸前まで追い詰めるが、多くの縁に支えられたみやびに反撃され、みやびから切り離される。その後、みやびの「恋々千本桜・瞬」によって強化された狐ヶ崎為次の攻撃を受けて消滅した。

牛王吉光 (ごおうよしみつ)

脇差の巫剣で、金色の髪を長く伸ばした、小柄な少女の姿をしている。物静かな性格ながら、勝手気ままに振る舞う自由人で、城和泉正宗たちをからかってはよく遊んでいる。薬学のエキスパートで、さまざまな薬品を作っているが、中には飲んだ人間を動物化したり、ぬいぐるみ化したりする怪しい薬も製造している。薬の主な被害者は城和泉政宗だが、隊長も彼女の薬によってうさぎのぬいぐるみに姿を変えられてしまう。実はからかっているように見えて、まじめな城和泉正宗や隊長が働きすぎないように薬を飲ませて息抜きできるようにするのが目的で、根は人一倍仲間思い。隊長には好意を抱いており、惚れ薬を作っては冗談半分で隊長に飲ませようとしたりしている。

丙子椒林剣 (へいししょうりんけん)

直刀の巫剣で、栗色の髪をシニヨンにまとめた女性の姿をしている。御華見衆の副司令として隊長の補佐を務める。柔和な性格をしており、いつも笑顔で語尾が間延びする話し方をする。ふだんはおっとりとした態度を取っているが、その実、頭脳明晰で判断能力が恐ろしく高い。また、柔和な態度でさり気なく他人の失敗をフォローする気づかい上手で、御華見衆の隊員たちをうまくまとめあげている。

集団・組織

御華見衆 (おはなみしゅう)

禍憑に対抗するために発足された特殊機関。銘治(めいじ)政府直轄の組織で、禍憑に対抗できる力を持つ巫剣の積極的な勧誘と保護を行っており、多数の巫剣が所属している。また、巫剣を集めているのは、かつて争いで使われた巫剣を集め、管理する側面もある。このため巫剣自身、争い事に使われるのを厭い、御華見衆に所属する者もいる。全国に拠点を持つが巫剣の存在を隠しているため、表向きは茶房や喫茶店などのお店を経営して活動している。

その他キーワード

恋々千本桜 (こいこいせんぼんざくら)

みやびの稜威能力。その効果は「一撃毎に威力が倍加する」という非常に強力なもので、大いなる目標に向けて一心不乱に突き進むみやびの気質を反映した効果となっている。本来、稜威能力は厳しい修行の果てに会得するが、みやびは修行を受け始めて程なくして発現する。初めて発動した際に、その能力を受けたのは青木兼元で、強力すぎる能力の異常性に気づいた兼元が忠告し、それを受けた小烏丸によって使用を禁止されている。実はみやびの魂の奥底にある稜威の源泉には、禍憑が深く根付いており、彼女の中で巫魂と禍魂がせめぎ合うことで爆発的な力を生み出している。しかし、稜威能力の発動によって巫魂(みたま)と禍魂(まがたま)のバランスが崩れ、禍憑が精神の表側に浸食するリスクが存在する。二度目の発動によってみやびの禍憑化は一気に進み、大量の禍憑を呼び寄せる結果となった。影みやびとの戦いでは、多くの人の縁に支えられることで、みやびは「真の剣心一如(けんしんいちにょ)」に到達。瞬きと瞬きのあいだに攻撃力を上げていく「恋々千本桜・瞬」を放った。

巫剣 (みつるぎ)

少女の姿をした刀剣の総称。一流の刀工が特別な製法を用いることによって生み出される。それぞれが大きな力を持ち、古くは争い事にも使われていたが、銘治(めいじ)時代になってからは巫剣の管理と保護が進み、近代では専ら禍憑との戦いでのみ姿を見ることができる。巫剣は不老の存在であり、巫剣使いと呼ばれる人間と契約することで、その真の力を発揮することができる。巫剣はそれぞれが剣聖を超える剣の技術の持ち主で、また中には氷をあやつったり、動物を使役したりと特別な力を持つ者が存在する。巫剣は「巫魂(みたま)」と呼ばれる魂を宿しており、これが彼女たちの力の源泉となっている。巫剣の体や身にまとう鎧も巫魂によって構成されているため、巫魂の状態によって巫剣のコンディションも大きく異なる。実際、牛王吉光は薬を使って巫魂の状態を変化させることで、動物化する薬を開発している。また、巫剣は巫魂が負の感情によって汚染されると凶禍によって「錆憑(さびつき)」と呼ばれる状態となる。錆憑となった巫剣は感情の赴くまま暴れ回り、最終的には力を使い果たして消耗してしまう。そのため、錆憑となった巫剣は手早く無力化され、特別な方法による治療を受けることとなる。

巫剣使い (みつるぎつかい)

巫剣の力を引き出すことができる力を持つ者たち。特殊な資質を持った者が、「鞘入(さやいれ)」といわれる特別な儀式を行うことで、巫剣と契約し、その力を引き出すことができるようになる。素質があっても一人前の巫剣使いになるには厳しい修行が必要で、御華見衆では一人前の巫剣使いには、その証となる「菊華刀」が与えられる決まりとなっている。また菊華刀には短刀も存在し、こちらは見習いの巫剣使いに与えられる。一人前の巫剣使いならば、巫剣の力を引き出す「稜威能力」をあやつることができ、その力は絶大とされる。

稜威能力 (いつのうりょく)

巫剣使いの持つ能力。巫剣使いが菊華刀を通じて巫剣に稜威を与え、発動することができる。効果はそれぞれの巫剣使いの素質が強く反映されるため、ほぼすべてが専用の固有能力となっている。一方、素質が反映されるため、「身の丈を超えた」強力な効果はあり得ないとされており、強力すぎる能力にはなんらかの異常があると考えられている。稜威能力の真髄は巫剣と巫剣使いが心を通い合わせる「剣心一如(けんしんいちにょ)」で、巫剣と巫剣使いが心を通い合わせるほどその力を増す。また稜威能力は強力なだけに消耗が激しいなどのデメリットも存在するため、使用の際には使い所をきちんと見極める必要がある。

凶禍 (きょうか)

世に存在する悪しき魂の根幹。恨み、つらみといった負の感情を自在にあやつり、それらの感情を抱いた者を異形の存在「禍憑」へと変貌させる。負の感情があれば人はおろか巫剣や、神ですらその影響から逃れることはできず、凶禍によって変貌した者は世を混乱に導いていく。また強力な禍憑が生まれた場合、その周辺の者も凶禍の影響を少なからず受け、禍憑にならずとも凶暴性が増幅されたり、悪しき心を持ったりする傾向がある。

禍憑 (まがつき)

凶禍によって異形の存在へと成り果てた者の総称。負の感情があればいかなる場所にも現れる可能性があり、人だけではなく神といった霊格の高い存在も禍憑へと成る可能性がある。禍憑となった者は基本的に正気を失い、破壊と混乱をもたらすだけの存在となり、それがさらなる禍憑を生み出す連鎖となる。また、中には超常の力をあやつる強力な禍憑も存在するため、禍憑と対抗できるのは巫剣と巫剣使いのみだとされている。禍憑は「禍魂(まがたま)」と呼ばれる力の源泉を持つ。巫剣の持つ巫魂(みたま)とは対極に位置する力で、巫剣の力を使えば禍魂を祓うことができるが、まれに禍魂を完全に祓うことができず、生き残るケースが存在する。その場合、禍魂は負の感情を持つ人間などに取り憑き、新たな禍憑として復活してしまう。

クレジット

原作

天華百剣プロジェクト

関連

天華百剣 -彩- (てんかひゃっけん さい)

『天華百剣』プロジェクトのスピンオフ作品。時は銘治(めいじ)時代、人々を守るために禍憑と戦う巫剣の少女たちの日常を、巫剣の一人である牛王吉光の目を通して描いたガールズ日常コメディ。「電撃G'sコミック... 関連ページ:天華百剣 -彩-

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