天華百剣 -彩-

天華百剣 -彩-

『天華百剣』プロジェクトのスピンオフ作品。時は銘治(めいじ)時代、人々を守るために禍憑と戦う巫剣の少女たちの日常を、巫剣の一人である牛王吉光の目を通して描いたガールズ日常コメディ。「電撃G'sコミック」2018年2月号から2019年2月号にかけて連載された作品。

正式名称
天華百剣 -彩-
ふりがな
てんかひゃっけん さい
原作者
天華百剣プロジェクト
漫画
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
和風ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

時は銘治(めいじ)時代、巫剣たちは隊長のもと、人々に仇なす禍憑と戦っていた。しかし、激しさを増す禍憑との戦いに、隊長は多忙な日々を送ることとなる。疲れた隊長を見た牛王吉光は彼の身を案じ、疲労回復の薬を手渡そうとするが、まちがえて別の薬を渡してしまう。そして明くる日、巫剣たちが目にしたのは、牛王吉光の薬でぬいぐるみと化してしまった隊長の姿だった。かわいい姿となった隊長の姿は巫剣たちにも評判で、彼女たちのやる気を一気に上げるが、はりきり過ぎた巫剣たちは大暴走。現れた禍憑を相手に暴れ回った巫剣たちの攻撃は辺り一面を吹き飛ばしてしまう。吹き飛ばしたものの中には巫剣たちの今月の給料も含まれており、巫剣たちはタダ働きすることが決定する。こうして姿が変わった隊長と巫剣たちの騒々しくも楽しい日々が始まるのだった。(エピソード「第一話」、ほか9エピソード収録)

メディアミックス

スマートフォン向けゲーム

「天華百剣」プロジェクトの一環として、スマートフォン向けゲーム『天華百剣 -斬-』が2017年4月20日より配信されている。プレイヤーが御華見衆の隊長となり、巫剣たちと共に禍憑と戦う美少女剣撃アクションRPGで、本作『天華百剣 -彩-』にも登場する牛王吉光城和泉正宗桑名江の三人がメインヒロインとしての立場を担っている。また「天華百剣」プロジェクトには有名イラストレーターが多数参加しており、本作を担当するたかみ裕紀も牛王吉光のキャラクターデザイン担当として参加している。

登場人物・キャラクター

牛王吉光 (ごおうよしみつ)

脇差の巫剣で、金色の髪を長く伸ばした、小柄な少女の姿をしている。物静かな性格ながら、勝手気ままに振る舞う自由人で、城和泉正宗たちをからかってはよく遊んでいる。薬学のエキスパートで、さまざまな薬品を作っているが、中には飲んだ人間を動物化したり、ぬいぐるみ化したりする怪しい薬も製造している。薬の主な被害者は城和泉政宗だが、隊長も彼女の薬によってうさぎのぬいぐるみに姿を変えられてしまう。実はからかっているように見えて、まじめな城和泉正宗や隊長が働きすぎないように薬を飲ませて息抜きできるようにするのが目的で、根は人一倍仲間思い。隊長には好意を抱いており、惚れ薬を作っては冗談半分で隊長に飲ませようとしたりしている。

隊長 (たいちょう)

御華見衆の隊長を務める巫剣使いの男性。軍服を身にまとった黒髪の青年で、頼りがいのある性格から巫剣たちに慕われている。しかしある日、牛王吉光がまちがって渡した薬を飲んでしまったため、うさぎのぬいぐるみのような姿となってしまう。ぬいぐるみ状態でも巫剣使いの能力は健在で、巫剣たちの指揮を担当するが、彼女たちのやり過ぎには頭を抱えている。ぬいぐるみであるために食事はできず、牛王吉光が特別に配合した薬湯に入って栄養を摂取している。

城和泉正宗 (じょういずみまさむね)

刀の巫剣で、赤い髪をハーフツインテールにした女性の姿をしている。前向きで真っすぐな性格をしているが、それだけに牛王吉光にからかわれることが多く、彼女の作る薬の一番の被害者。得体の知れない薬を飲んで犬の姿になったり、子供の姿になったりとロクな目に遭っていない。何かとからかわれることが多いため、城和泉正宗が牛王吉光を追いかけ回す姿がめいじ館では日常的に見られる。しかし、同時に牛王吉光のことを仲間として認めており、彼女が危機に陥った際には自分から動物化の薬を飲んで犬化し、匂いを追って彼女のもとに駆け付けている。

桑名江 (くわなごう)

打刀の巫剣で、艶やかな黒い髪を長く伸ばした女性の姿をしている。のんびりとした天然気味の性格で、誰にでもやさしく接する。牛王吉光を薬師として尊敬し、肯定的に彼女に接するため、牛王吉光からも気に入られている。牛王吉光の動物化薬を飲んだ際には猫の姿となる。吉兆が交互に起こるとされる巫剣で、よいことが起きると、そのあとに悪いことが起きるというジンクスを持つ。このため、自分の周囲で悪いことが起きると、自分の責任だと深く落ち込む癖があり、その際には慌てるあまり何もない所で転んだりするドジっ子となる。

小烏丸 (こがらすまる)

太刀の巫剣で、涼やかな白い髪をボブカットにした少女の姿をしている。幼い姿をしているが、古風な性格をしており、一人称は「妾」で年寄りじみたしゃべり方をする。烏と意思疎通ができ、使役する能力を持ち、その能力を生かして隊の伝令を担当する。冷静沈着で優秀な人物で、的確な状況判断で隊長をサポートしており、有事の指揮権を与えられているため、時にはほかの巫剣の指揮をすることもある。また、ドジな抜丸を見捨てず見守っており、彼女を頼りがいのある先輩として導いている。ふだんは暴走しがちなほかの巫剣をたしなめているが、隊長のことが絡むとほかの巫剣と同様に暴走するときがあり、それを指摘されると開き直って逆切れする。

丙子椒林剣 (へいししょうりんけん)

直刀の巫剣で、栗色の髪をシニヨンにまとめた女性の姿をしている。御華見衆の副司令として隊長の補佐を務める。柔和な性格をしており、いつも笑顔で語尾が間延びする話し方をする。ふだんはおっとりとした態度を取っているが、その実、頭脳明晰で判断能力が恐ろしく高い。また、柔和な態度でさり気なく他人の失敗をフォローする気づかい上手で、御華見衆の隊員たちをうまくまとめあげている。

大倶利伽羅 (おおくりから)

太刀の巫剣で、赤い髪を肩口まで伸ばした少女の姿をしている。薄手の衣装に身をまとい、つねにロングマフラーを身につけている。明るく活発な性格をしたお転婆で、「竜」になることを目指し、日々騒がしく過ごしている。伊達家の象徴として大事に育てられた巫剣であるため、少し世間知らずで、実は人見知り。ふだんは強気に振る舞っているが、人の多い場所が苦手で、長時間街中にいると故郷が恋しくなって泣き出す癖がある。街中にもなかなかなじめずにいたが、街の人たちの声援と仲間たちの協力で克服した。好物はずんだ餅。

にっかり青江 (にっかりあおえ)

大脇差の巫剣で、緑がかった髪を長く伸ばした女性の姿をしている。名のとおりいつもニコニコ笑って人当りのよい性格で、面倒見がよく、仲間や隊長のフォローをよくしている。かわいいもの好きで、裁縫ができるのもあり、着ぐるみやコスプレ衣装を作っては仲間たちに身につけさせている。温厚でふだんはまず怒ることがないが、仲間を傷つけられると激怒する。その際には笑顔のまま怒り狂うため、怒らせるのが恐ろしく怖いと思われている。

青木兼元 (あおきかねもと)

打刀の巫剣で、白のロングヘアをした女性の姿をしている。気高く高潔な精神の持ち主で、率先して任務に当たり、巫剣の風紀を正そうとするため、仲間内では「委員長」と呼ばれている。一人称は「わっち」で、大事に育てられてきたため、しぐさが上品で言葉づかいも丁寧。ふだんは自他共に厳しく、凛として振る舞っているが、大の猫好きで猫が絡むと途端に相好を崩し、年頃の乙女のようにはしゃぐ。また、まじめな性格から失敗には人一倍敏感で、打たれ弱い部分もある。にっかり青江から猫のコスプレ衣装を渡された際には、口では渋りながらもノリノリでコスプレをし、必要がなくなっても着続けるほど気に入っていた。

同田貫正国 (どうだぬきまさくに)

刀の巫剣で、癖のある黒い髪を一つまとめにした女性の姿をしている。竹を割ったような飾りっ気のない性格をしており、男勝りな言動が目立つ。仲間からは「タヌキ」の愛称で呼ばれる。紅葉狩兼光とはケンカ友達で、よく張り合って大騒ぎを引き起こしている。がさつで、洒落っ気のない言動をするが、声がかわいらしく、不意に驚いた際には年頃の乙女らしいかわいらしい反応を見せる。自分ではそういうかわいい部分は気に入っておらず、お酒を飲んで声を変えようとするが、お酒に弱いために早々につぶれてしまうのが毎度の光景となっている。食べることが大好きで、特に隊長と食事するのが好き。隊長がぬいぐるみ化してふつうの食事ができなくなっているのを残念に思っており、何か力になりたいと考えている。

紅葉狩兼光 (もみじがりかねみつ)

太刀の巫剣で、赤毛の髪をポニーテールにした女性の姿をしている。猫のように自由奔放な性格をしており、猫耳と尻尾を生やし、猫のような言動をする。同田貫正国に懐いているが、遠慮なくぐいぐい距離を縮めるため、悪意なく同田貫正国の逆鱗に触れて、ケンカ騒ぎへと発展することが多い。人を元気づける際には、背中を叩いて元気づけようとするが、力加減を考えずに行うためにものすごく痛い。同田貫正国もたびたびその被害に遭っており、これが二人のケンカ騒ぎをさらに大きくする原因となっている。

笹貫 (ささぬき)

太刀の巫剣で、黒のロングヘアをした女性の姿をしている。絢爛な着物を着て、大和撫子然とした姿をしているが、「月から来た」と自称する電波系女子。月に帰ると宣言しては、池に飛び込んだり、空飛ぶ円盤を探しに出かけたりするため、周囲からはすでに呆れられ、誰からも相手にされなくなってしまっている。実は極度の寂しがり屋で、周囲に構ってほしくて大騒ぎしている。奇抜な言動で周囲を困らせていたが、仲間と本音で語り合うことで、少しずつ距離を縮め、胸の内で人知れず感じていた孤独を埋めている。

長篠一文字 (ながしのいちもんじ)

太刀の巫剣で、濃色の長い髪を一つまとめにした女性の姿をしている。面倒見がよい姉御肌な性格で、さばさばとした態度で人と接する。歴史上、初めて戦場で銃火器を用いた巫剣で、銃火器の扱いに長けているのが特徴。火薬の匂いが落ち着くため、つねに銃を持ち歩いている。また狩猟を趣味とし、戦場以外の日常の場でも銃を愛用している。狩猟と料理の腕前はかなりのもので、彼女が仕留めた獲物で作る鍋はかなり評判がいい。

雷切丸 (らいきりまる)

刀の巫剣で、黒い髪をサイドアップテールにした女性の姿をしている。物静かな人物だが、その実、あらゆる思考が死という結果に至る超ネガティブ思想の持ち主で、つねに陰鬱そうな表情をし、幸薄そうな雰囲気を漂わせている。ちょっとした会話が引き金になって自死しようとするため、その後ろ向きな言動で周囲をたびたび困惑させている。雷を切ったという逸話を持つ巫剣だが、その出来事が死ぬほど怖かったため、今では雷が大の苦手となり、天気が曇り空になるだけで怯えだすほど。しかし、根本には仲間を守りたいという熱い思いを抱いているため、いざとなれば身を挺して仲間を守る勇気を持っている。

石田切込正宗 (いしだきりこみまさむね)

刀の巫剣で、白みがかった灰色の髪を長く伸ばした女性の姿をしている。自分とかかわった者を不幸にするというジンクスを持ち、他人を不幸にしないためにあえて冷淡な態度を取る。一人称は「拙者」。よそよそしい態度が目立つが、巫剣としての使命感は強く、自らの力を使って民と仲間たちを守る意気込みを持つ。また、自分よりさらにネガティブな思考を持つ雷切丸に対してはツッコミ役に回ることが多い。

抜丸 (ぬけまる)

太刀の巫剣で、黒のショートカットをした少女の姿をしている。まじめで活発な性格で、どこか抜けたところがあり、やる気が空回りすることが多い。家事も雑用も失敗することが多く、周囲からは手伝いが拒否されるほど。また他人から「抜けている」と言われると怒るが、抜丸自身はよく「抜く」という言葉が入る慣用句を使う。小烏丸を先輩として慕っている。やる気だけはあるため、彼女にうっかり頼み事をすると、障害物を文字どおりすべてなぎ倒し、目的だけ果たして帰ってくる。水汲みを頼んだだけで、壁を突き破って走り抜けて帰ってくるほどで、めいじ館には彼女が壊した壁があちらこちらに存在する。身軽なため、見回りを担当としている。細かい部分に気がつく気配り上手で、まじめな性格もあって見回り要員としては非常に優秀だが、報告の際にはやっぱり壁や窓をぶち破って登場する。

江雪左文字 (こうせつさもんじ)

太刀の巫剣で、青みがかった白銀の髪をサイドテールにした少女の姿をしている。寡黙で大人しい性格をしており、マイペースに行動することが多いため、巫剣の中でも孤立しがち。巫剣の使命には忠実で、氷をあやつるという強力な力を持っているのもあり、たった一人でも禍憑を倒している。他者を寄せ付けない雰囲気を放っているが、実は他者を拒絶しているわけではなく、情緒面が幼く、人との接し方がわからないだけ。感情表現はおろか、自分の感じている感情が何かも判別できずにおり、それを誰にも相談できないこともあり、悶々と思いを抱え込んでいる。ぬいぐるみ化した隊長を実は「かわいい」と思っているが、その感情がなんなのか自分でもわからずにいる。その思いを確かめるため、ひそかに隊長の巨大雪像を一人で作り続けていたが、牛王吉光たちにそれが見つかり、隊長と触れ合ったことで自分の思いの名前を知った。その後は態度が柔らかくなり、自分から仲間へかかわり始めている。真っ白なものが好きで、雪像のほかに雪だるまもよく作っている。

白狐 (びゃっこ)

白い毛並みを持つ狐の霊獣。巨大な体軀を持ち、牛王吉光の前の主に襲い掛かったが、牛王吉光によって打ち取られた。白狐の血は牛王吉光に力を与えたが、同時に彼女の主を呪う。そして主は呪いによって年経るごとに精神を病み、最終的に非業の死を遂げた。白狐自身は完全には滅びてはおらず、禍憑を食らって復活。因縁のある牛王吉光を捜し回り、徘徊を始める。牛王吉光も白狐の復活を警戒し、呪いが人間にしか効果がないのを逆手に取り、隊長をぬいぐるみ化することで呪いから守ろうとしていた。

集団・組織

御華見衆 (おはなみしゅう)

禍憑に対抗するために発足された特殊機関。銘治(めいじ)政府直轄の組織で、禍憑に対抗できる力を持つ巫剣の積極的な勧誘と保護を行っており、多数の巫剣が所属している。また、巫剣を集めているのは、かつて争いで使われた巫剣を集め、管理する側面もある。このため巫剣自身、争い事に使われるのを厭い、御華見衆に所属する者もいる。全国に拠点を持つが巫剣の存在を隠しているため、表向きは茶房や喫茶店などのお店を経営して活動している。

その他キーワード

巫剣 (みつるぎ)

少女の姿をした刀剣の総称。一流の刀工が特別な製法を用いることによって生み出される。それぞれが大きな力を持ち、古くは争い事にも使われていたが、銘治(めいじ)時代になってからは巫剣の管理と保護が進み、近代では専ら禍憑との戦いでのみ姿を見ることができる。巫剣は不老の存在であり、巫剣使いと呼ばれる人間と契約することで、その真の力を発揮することができる。巫剣はそれぞれが剣聖を超える剣の技術の持ち主で、また中には氷をあやつったり、動物を使役したりと特別な力を持つ者が存在する。巫剣は「巫魂(みたま)」と呼ばれる魂を宿しており、これが彼女たちの力の源泉となっている。巫剣の体や身にまとう鎧も巫魂によって構成されているため、巫魂の状態によって巫剣のコンディションも大きく異なる。実際、牛王吉光は薬を使って巫魂の状態を変化させることで、動物化する薬を開発している。また、巫剣は巫魂が負の感情によって汚染されると凶禍によって「錆憑(さびつき)」と呼ばれる状態となる。錆憑となった巫剣は感情の赴くまま暴れ回り、最終的には力を使い果たして消耗してしまう。そのため、錆憑となった巫剣は手早く無力化され、特別な方法による治療を受けることとなる。

巫剣使い (みつるぎつかい)

巫剣の力を引き出すことができる力を持つ者たち。特殊な資質を持った者が、「鞘入(さやいれ)」といわれる特別な儀式を行うことで、巫剣と契約し、その力を引き出すことができるようになる。素質があっても一人前の巫剣使いになるには厳しい修行が必要で、御華見衆では一人前の巫剣使いには、その証となる「菊華刀」が与えられる決まりとなっている。また菊華刀には短刀も存在し、こちらは見習いの巫剣使いに与えられる。一人前の巫剣使いならば、巫剣の力を引き出す「稜威能力」をあやつることができ、その力は絶大とされる。

禍憑 (まがつき)

凶禍によって異形の存在へと成り果てた者の総称。負の感情があればいかなる場所にも現れる可能性があり、人だけではなく神といった霊格の高い存在も禍憑へと成る可能性がある。禍憑となった者は基本的に正気を失い、破壊と混乱をもたらすだけの存在となり、それがさらなる禍憑を生み出す連鎖となる。また、中には超常の力をあやつる強力な禍憑も存在するため、禍憑と対抗できるのは巫剣と巫剣使いのみだとされている。禍憑は「禍魂(まがたま)」と呼ばれる力の源泉を持つ。巫剣の持つ巫魂(みたま)とは対極に位置する力で、巫剣の力を使えば禍魂を祓うことができるが、まれに禍魂を完全に祓うことができず、生き残るケースが存在する。その場合、禍魂は負の感情を持つ人間などに取り憑き、新たな禍憑として復活してしまう。

クレジット

原作

天華百剣プロジェクト

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