概要・あらすじ
天狗の血を引き、日々その力を取り入れた古武道神天扇流の修行に励む扇天馬。彼の前に、ある日、父が修行相手として呼んだアメリカ帰りで空手使いの少年、結城硝が現れる。古武道を馬鹿にした態度を取る硝に天馬は怒り、試合を申し出る。硝に苦戦する天馬だったが、神天扇流の技を応用し勝利。試合後、2人は好敵手となり共に研鑽を積む。
やがて2人と天馬の幼なじみで空手を習う伊吹七々緒は、天馬の従姉弟で合気道の達人である扇汐音に師事し、大規模な格闘技大会、愛宕山戦神祭に出場することとなる。しかし、その大会には全国の強者が参加しているだけでなく、邪眼の力を持ち天狗一族に怨みを抱く鬼一族の姿があった。
登場人物・キャラクター
扇 天馬 (おうぎ てんま)
京都の北方にある愛宕山に伝わる天狗の力を源流とする空手の一派、神天扇流の修行に励む中学生の少年。感情のままに喜び、怒り、悲しむまっすぐな性格をしている熱血漢。やや単純で天然な部分もあり、女性の扱いなどは苦手。そのことで幼なじみの伊吹七々緒をやきもきさせたり、師匠代わりとなる従姉の扇汐音にからかわれたりしている。 七々緒やライバルの結城硝とともに愛宕山戦神祭に出場し、天狗の宿敵であった鬼の一族である紫鬼一角や夜叉雷童と戦うなかで、内に秘めた天狗の力を覚醒させる。
結城 硝 (ゆうきしょう)
扇天馬のライバルとするべく、天馬の父がアメリカから呼び寄せた、天馬と同い年の少年。堅苦しさを嫌う軽い性格をしているが、鬼神覚真流という空手の実力者であり、天馬と初めて立ち会った時は、みぞおちを突き、その勢いのまま回転させて頭から地面に落とす天地逆舞という技で天馬を苦しめた。しかし、戦いのなかで気の蓄積方法を習得した天馬の連衝拳を受け、相打ちとなった。 その後は天馬と友情をはぐくみ、ともに愛宕山戦神祭に出場する。
伊吹 七々緒 (いぶき ななお)
扇天馬の幼なじみである少女。修行にかまけて日常生活がおろそかになりがちな天馬を学校に連行するなど、世話焼きな性格。自身も空手の経験があるためか、周囲からは性格的にタフと思われているが、涙もろい一面もある。天馬や結城硝とともに、扇汐音の指導のもとで腕を磨き愛宕山戦神祭に出場する。
扇 汐音 (おうぎ しおね)
扇天馬の従姉である高校生の少女で合気道四段の達人。愛宕山戦神祭を前にした天馬たちの前に現れ、合気道の技をもってパワーとは別の方向性の強さを見せ、天馬たちの成長をうながす。愛宕山戦神祭で天馬が天狗の血に覚醒したあとは、一人、天馬の兄である扇夕馬と会い、ともに天馬を見守る旨の発言をしている。
松崎 光矢 (まつざき こうや)
幼少時より中国で負けることを許されない厳しい修行生活を送っており、そのせいで13歳にして喧嘩王と恐れられるほどの蟷螂拳の実力を持っているが、武術をただの道具としか見ていない。天馬の前に現れ、裏拳と足払いを同時にくり出す七星天分肘で天馬を苦しめるが、敗北。天馬のひたむきな戦い方を見て、喧嘩に明け暮れる生活をやめる。
村雨 切羽 (むらさめ きりう)
そり上げた頭が特徴の少林寺拳法の使い手である青年。正義感の強い性格をしており、初めて扇天馬らと出会った時は不良数人を瞬時に倒してのけた。相手の攻撃をかわしつつ顎に飛び蹴りを入れる双飛脚という技を使う。愛宕山戦神祭では鬼の一族である紫鬼一角と死闘を演じるが敗れる。
希条 実加 (きじょう みか)
愛宕山戦神祭に姿を現した鬼の一族の一人である少女。関西弁で快活にしゃべるため、明るい印象を与えがちだが、戦いになると邪眼の力を使って対戦相手の動きを止め、その冷徹な性格をあらわにする。一族の頭領である紫鬼一角に対しては畏怖の情をいだいており、絶対服従を誓っている。紫鬼が本質をあらわした時は恐怖していた。
夜叉 雷童 (やしゃ らいどう)
紫鬼一角、希条実加と共に愛宕山戦神祭に現れた鬼の一族の一人。非常に長身、大柄な体格をしており、マーシャルアーツを駆使した力強い戦いを見せる。鬼の一族ではあるものの、己の力で勝利を目指す武人のような性格をしており、邪眼の力で相手の動きを封じることを嫌っている。
紫鬼 一角 (しき いづみ)
扇天馬ら天狗の一族を憎悪する鬼の一族の頭目的な存在。骨法の達人で、予想外の強敵に遭遇しても動じない精神的な強さも持つ。冷酷な性格をしており、離反しようとした夜叉雷童を手刀で刺し貫いて粛清した。愛宕山戦神祭決勝では扇天馬を死の寸前まで追い込むが、天狗の力に覚醒した天馬に敗れる。
その他キーワード
神天扇流 (しんてんおうぎりゅう)
『天馬の風』に登場する武術。基本的な突き・蹴りなどの動作は空手をベースにしているが、京都の北方に伝わる天狗の力を継承し、風を操ることができるとされている。拳で風の流れを生み出す旋風破、蓄積した気を拳に乗せて放つ連衝拳など、超人的な技が数多く存在する。