概要・あらすじ
大きな屋敷に1人で住む秀夫は、母親を亡くしてから昆虫採集に没頭し、周囲の人々から変人扱いされていた。ある日彼は、傷口から綿が出てくるという奇病に侵される。心配した叔母が訪ねると、布団の中で綿に包まれた彼は、異形の身体に成り果てていた。驚いた叔母が倒したストーブの火が燃え広がり、屋敷は燃えてしまい、秀夫の姿は跡形も無く消えていた。
その晩、土の中から奇妙な生き物が這い出てくる。飛びかかった犬によって片手を食いちぎられるが、どこかへ立ち去って行った。翌日、無数の昆虫が飛び交う道を歩いていた郷田掌は生き物の手首のようなものを拾う。しばらくして郷田掌の身体に異変が起きる。その他にも、奇妙な生き物を目撃した人々の間に奇怪な現象が起きていた。
登場人物・キャラクター
秀夫 (ひでお)
虚ろな表情をした青年。大きな屋敷に住んでいる。母親を亡くしてから昆虫採集に没頭し、周囲の人々から変人扱いされていた。ある日、傷口から綿が出てくるという奇病に侵され、身体を包み込んだ綿の中で異形の身体に成り果ててしまう。訪ねて来た叔母が驚きのあまりストーブを倒してしまい、そのために起きた火事に巻き込まれるが、そのまま行方が分からなくなる。
郷田 掌 (ごうだ しょう)
短髪の男子。父親を亡くし、厳しい母親に育てられている。学校では「ガリ勉」と呼ばれている。ある日、無数の昆虫が飛び交う道を歩いていた時、生き物の手首のようなものを拾う。それ以来身体に異変が起きる。
亜紀 (あき)
幼い少女。両親は共働きで、1人で大学病院にいることが多い。その大学病院には、身体に異変が生じた郷田掌と、彼が拾った生き物の手首のような物体が運び込まれていた。洞穴で出会った異形の人物を「おにいちゃん」と呼んで慕い、2人で遊んだり、昆虫をもらった事などを日記に書いている。
龍頭 吾一 (りゅうとう ごいち)
中学生の男子。試験はいつもトップで、学校始まって以来の秀才と言われている。父親は10年程前に行方不明になっている。ある日、橋の下で発見されたミイラが着ていた服に「龍頭」と書かれていた事を知り、ミイラが安置されているという考古学博士・岩田午良宅を密かに訪ねる。