三つ目の夢二

三つ目の夢二

大正時代の東京。有名な画家竹下夢二は恋人の彦乃を亡くして以来スランプに陥っていた。何とか彦乃の魂の姿を捉えようと絵ではなく写真の撮影に精を出していた。そんな彼が彦乃に会いたいと願うあまり不思議な世界へと誘われて行く。原作は大塚英志。

正式名称
三つ目の夢二
漫画
脚本
ジャンル
時代劇
 
怪談・伝奇
レーベル
リュウコミックス(徳間書店)
巻数
全2巻
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概要・あらすじ

有名画家の竹久夢二は恋人の彦乃を亡くしてからというものの絵を描かずに彦乃の魂を写そうと写真に精を出すもなかなか上手くいかない。彦乃に会えるのなら地獄に落ちてもいいと言う竹久夢二の元にが現れ地獄へ繋がる裏13階に竹下夢二を連れて行く。

登場人物・キャラクター

竹久 夢二 (タケヒサ ユメジ)

大正時代、東京に住む人気美人画の画家。恋人の彦乃を亡くしてからというもの絵が描けなくなり写真を撮ることに専念する。彦乃に会えるなら地獄にいってもいいと言ったことから街で出会った忌に実際に地獄に連れて行かれてしまう。地獄で彦乃に会うも醜い姿になった彦乃を拒絶したため彦乃に呪われて右手に椿の刺青を入れられてしまう。 この刺青が竹久夢二に見難いものを百八つ見せる呪われた目になる。それからというもの様々な事件に巻き込まれてはこの第三の目でその顛末を念写し写真にして十二階に展示している。美しいものしか見たくないと言い切り、人を表面的にしか見ない軽率な性格。 葉をモデル、恋人として側に置きながら彦乃のことが忘れられないでいる。実在の画家・竹久夢二がモデル。

彦乃 (ヒコノ)

竹久夢二の恋人で絵のモデルでもあったが亡くなってしまう。かわいらしい顔立ちで椿がトレードマーク。竹久夢二がもう一度会えるなら地獄に落ちてもいいと願ったことから実際に地獄で再会する。地獄では死後の醜い姿を隠していたが、竹久夢二にその姿を見られたあげく醜いと罵られたことに怒り、夢二を地獄に引きずり込もうとした。 生前、竹久夢二に身体を壊していたことを嫌がられていたこともあって、怒りのあまり夢二に第三の目の呪いをかける。その後も何度か竹久夢二を引き込もうとしていたが、葉や葉の持ち物は苦手らしく退散する。

(ヨウ)

ほっそりとした美人。彦乃亡き後の竹久夢二の恋人で絵のモデル。藤島武二や伊藤晴雨など他の画家のモデルもしているがどの画家に描かれても同じ人物に見えないという性質があり、心の中が空洞で魂がない。いつも自分の影と繋がっている黒猫を連れている。不思議な力を持っており竹下夢二が怪異に遭遇しピンチになると手助けをしてくれる。 彦乃が現れた際もいつもさりげなく葉が追い払う。実在の人物である、竹久夢二が描いた美人画の女性がモデル。

(イミ)

お人形のような見た目で女の子の格好をしているが本当は男の子。浮浪児だったが写真館で人柱を務め、何度も写真の中央に写ることで魂を抜かれてしまった。生きている人間がいないと地獄から魂を引き上げることができず、自分の魂を地獄から引き上げるため竹久夢二の地獄に落ちてもいいから彦乃に会いたいという言葉を聞き、実際に竹久夢二を地獄へ連れて行き自分の魂を取り戻す。 地獄から戻ってからは竹久夢二の身の回りの世話をするメイドのような役目を負っている。

M (エム)

共産主義者を見張るスパイの青年。ただの画家である竹久夢二を見張っている。通常は竹久夢二や葉に明るく朗らかに接しているが必要とあれば竹久夢二を殺す気もある。顔の骨格と筋肉を自在に操ることができるのでどんなものにも化けることができる。右頬にある傷が特徴。

鷹垣 我流 (タカガキ ガリュウ)

建築家。帝都改造計画の昼と夜で都市も階級も入れ替わる機械都市を設計している。それと同時に移動式の舞台が変形する機械劇場も運営し演出家もしている。更に人造人間を作る技術を持っており、その人造人間こそが女優にふさわしいと考えていた。東京全体を劇場に見立て新都市の人口を全て自分の作った女優である人造人間に入れ替えようと目論んだ。 当初はマリアを使っていたが女優には心は不要だという考えを持ち葉に目をつけ葉で型をとった人造人間エバを量産した。都市を反転することで革命をたくらんでいたが結局はMに阻止され、階級が入れ替わる仕組みを破壊される。地下摩天楼の建築だけは続行を許可された。

マリア

小さい移動式の舞台が変形する機械劇場の主演女優。そばかすのある田舎娘で本名はハナ子。有来と一緒に移動式機械劇場で芝居をしていたが、小さくて人気のない移動式機械劇場に嫌気がさし鷹垣我流の引き抜きにのった。わがままで傲慢な性格。葉の前に鷹垣我流によって人造人間の型を取られたが、自我が強いせいか少しだけ自我までもが複製されてしまった。 鷹垣我流の革命が失敗した後は大量の人造人間と共に有来の元に帰される。しかし自分にもっとふさわしい男を捜すため他の人造人間たちと共に有来のもとを去る。

有来 (アルク)

小さい移動式機械劇場の戯曲家兼演出家。移動式機械劇場を引っ張って歩いている。世界を劇場にしたいという夢を持ち、巨大な移動式機械劇場の設計をするもマリアの引き抜きと共に、そのアイディアも鷹垣我流に奪われてしまった。鷹垣我流の革命が失敗した後、大量の人造人間とマリアが帰ってくるが結局逃げられてしまい、新しい女優を探す。

川端 (カワバタ)

実在の川端康成がモデル。書生の青年で竹久夢二の友人。寄席のアニメーション芸人のウィンザー松敬兄妹の妹・薫に一目ぼれしてしまい寄席に通い詰めていた。惚れっぽく実直な性格。以前にも旅芸人の兄に連れられていた伊豆の踊り子に執心していた。その時の踊り子に気持ちを伝えられなかった反動もあって薫の兄ウィンザー松敬に熱烈に交際を申し込んでいた。 そのかいあって薫と赤色防止団から二人で竹久夢二のもとへ逃げ込んできた。薫がロシアの飛行船ゴンドラに転送されてしまった際も走って助けに行き火の海へ飛び込もうとした。

ウィンザー 松敬 (ウィンザー マツケイ)

実在のアニメーション監督、ウィンザー・マッケイがモチーフ。小太りで角のあるような特徴的な髪型。ハリウッドでアニメーションを学び自身が描いたものを動かす能力を持っている。寄席で妹の薫と共に奇術アニメーションを披露している芸人。社会主義者として赤色防止団に捕まった。拘束後レーニンの遺言状の動画の内容を改変させるためアニメーションを作らさていたが描いたレーニンが動き出してしまったためウィンザー松敬は殺された。 絵に描いた女の子を妹の薫とし、一緒に暮らしていた。

(カオル)

ウィンザー松敬の妹。兄のウィンザー松敬と共にアニメーション芸人として寄席に出ていた。その際川端から一目惚れされ赤色防止団に襲われた時も川端に抱えられ逃げることができた。その後川端と両想いになる。見た目は普通の女の子のようだが実は兄のウィンザー松敬の描いた絵で、ウィンザー松敬のアニメーションを動かす能力により普通の人間のように生活していた。 竹久夢二とウィンザー松敬が捕まり、Mが助けに行った飛行船ゴンドラにうっかり転送されてしまい、飛行船ゴンドラ内の火事で燃えてしまった。

高見沢 直路 (タカミザワ ナオミチ)

実在の漫画家高見澤仲太郎がモデル。丈の高いシルクハットをかぶった長髪の男性。富士子の恋人。はちわれの子犬のらくろを飼っている。大衆に向けた芸術を心がけており、以前はアバンギャルド芸術に心血を注いでいたが広告会社を立ち上げ竹久夢二に夏子の肖像画を依頼してきた。眠り病にかかった富士子の意識が戻った後は広告会社をたたみ、ペンネームを田河水泡に変え漫画家になる。 これも『のらくろ』を描いた高見沢仲太郎のペンネーム田河水泡に由来する。

富士子 (フジコ)

高見沢直路の恋人。大きな目が特徴的な女性。志賀鈴男に写真を撮られたことで目のパーツを奪われ眠り病にかかってしまう。目を取り戻した後は再び高見沢直路とのらくろと一緒に生活している。

のらくろ (ノラクロ)

高見沢直路と富士子の飼い犬。はちわれの子犬。捨て犬だったところを高見沢直路に拾われた。実在の漫画『のらくろ』の主人公のらくろがモデル。

翠川 夏子 (ミドリカワ ナツコ)

ラジオDJの女性。声だけでなく美しい容姿でも人気だったが本当は志賀鈴男の手引きにより他の女性から奪った顔のパーツで容姿を構成していた。

志賀 鈴男 (シガ スズオ)

翠川夏子のマネージャー兼カメラマン。写真で撮った女性達の顔のパーツを盗むことができる。その女性達の顔のパーツを翠川夏子に重ね合わせ美しい容姿を作り上げていた。志賀鈴男自身も多くの他人の顔のパーツで顔を作り上げたソ連の工作員だった。

大杉 (オオスギ)

実在の思想家である大杉栄がモデル。アナーキストで奔放で豪快な性格。竹久夢二とは以前から交流があったが、生きている心地を感じなくなったと甘粕正彦と共にパノラマの世界へ行ってしまった。

甘粕 正彦 (アマカス マサヒコ)

実在の陸軍軍人甘粕正彦がモデル。パノラマ館の館主を務めているが同時に陸軍憲兵大尉でもある。大杉と共にパノラマの世界をリアルだとしパノラマの世界へ行ってしまった。

集団・組織

赤色防止団 (アカイロボウシダン)

『三つ目の夢二』に登場する組織。ゴーグルと頭からかぶるマスク、マフラーをしているのが特徴。社会主義者を襲撃している集団だが、それは隠れ蓑で、実はソ連内での対立派閥を消すための組織。

場所

十二階 (ジュウニカイ)

『三つ目の夢二』に出てくる建物。実在の浅草十二階・稜雲閣がモデル。竹久夢二の撮る美人画写真を108枚展示することになっている建物。地上十二階の塔だが、忌によって地獄につながる地下13階ができてしまった。関東大震災で崩壊したはずだったが竹久夢二が地獄から戻った後は崩壊もしていないことになっていた。

その他キーワード

眠り病 (ネムリビョウ)

『三つ目の夢二』に出てくる奇病。若い女性達が突如こん睡状態に陥る病気で、その原因は志賀鈴男によって顔のパーツを盗まれてしまうことによって魂が抜かれてしまうことだった。

帝都改造計画 (テイトカイゾウケイカク)

浅草を中心に帝都を改造しようという計画。機械仕掛けで都市自体が大きく移動することが可能。地上だけでなく地下にも同じように都市を作り、昼と夜で都市を丸ごとひっくり返そうという構想。鷹垣我流が設計していたが物理的な都市自体の反転だけでなく社会の階級をも反転させようと目論んでいたので、その計画はMによって阻止された。

書誌情報

三つ目の夢二 全2巻 〈リュウコミックス〉 完結

第1巻

(2009年9月12日発行、 978-4199501449)

第2巻

(2010年10月13日発行、 978-4199501890)

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