姉のおなかをふくらませるのは僕

姉のおなかをふくらませるのは僕

血の繋がらない高校生と小学生の姉弟。両親を亡くし、姉弟だけで暮らしている2人の日常生活を、食事を中心にレシピ紹介を交えながら描いたクッキングコメディ。「別冊ヤングチャンピオン」2014年11月号から連載の作品で、「ヤングチャンピオン」にも掲載されている。原作は坂井音太。

正式名称
姉のおなかをふくらませるのは僕
ふりがな
あねのおなかをふくらませるのはぼく
原作者
坂井 音太
作画
ジャンル
レシピ
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

血のつながらない姉弟だが、両親が他界したため二人だけで共同生活を送っている姉の市川京子と弟の市川忍は、互いを支え合い、時には忍や京子の友人も巻き込んで楽しく暮らしていた。そんなある日、忍は学校帰りに、川で鯉の稚魚を漁っている2羽のサギを眺めている京子の姿を目撃する。ともするとサギを捕まえに川に降りかねない京子を必死に制止して、忍は京子と二人で近所のスーパーへと向かう。今日の料理当番である忍は、京子からのリクエストを受けて、鶏肉とトマトを煮込んだオリジナル料理を作る事を決める。やたらとくっついてじゃれつく姉に手を焼きながらも、手作り料理が演出する温かな食卓にささやかな歓びを感じつつ、忍は明るくにぎやかな日常を過ごすのだった。(第1話「鶏肉とナス玉ねぎピーマンのトマト煮込み(仮)」。ほか、6エピソード収録)

第2巻

桜が咲く季節となり、市川京子市川忍高木陽子に誘われて、ボウヤ栗山和子らと共に花見に行く事になった。前夜になって急遽弁当を作る事が決まり、メニューに悩んでいた忍は、京子からのリクエストを受けて「いなりずし」を作る。迎えた花見当日、持ち寄った弁当を広げてみんなでつまむうちに、話題は忍が作ったいなりずしに集中。忍は、どうしてもぼんやりした味になりがちないなりずしを、はっきりとした味に作るコツを紹介する。そして食後、京子は忍に、いなりずしをリクエストした理由をこっそり耳打ちする。(第8話「忍特製 いなりずし」。ほか、6エピソード収録)

第3巻

文化祭が近づき、貫井高校の市川京子のクラスでは、クラスの出し物について話し合いが行われていた。前回のホームルームでの投票で、出し物の内容がカフェに決められたが、その投票自体に不正があったのではないかという疑念が生まれたのだ。高木陽子を中心とした女子軍団は、「バニーガール衣装」と但し書きされた領収書を入手し、男子生徒達の密謀を暴露。実行委員と議長を中心とする男子軍団と対立し、改めて文化祭の出し物を正そうと「文化祭革命」を起こすのだった。こうして紛糾したホームルームから帰宅した京子は、市川忍手作りの晩ご飯で心落ち着くひと時を過ごし、忍の純粋さに触れて英気を養う。(第15話「コールドチキンとトロロ焼き」。ほか、6エピソード収録)

第4巻

放課後になり、市川京子高木陽子ボウヤ栗山和子といっしょにドーナツ店にやって来た。野菜を先に食べると血糖値が上がらず、太りにくく健康にいいというボウヤの発言から、健康に関する話をしていた四人だったが、なぜかそのあとの話題は牛や豚など家畜の事に変わっていく。ドングリを食べさせて育てるイベリコ豚を代表格として、食肉にする直前に、珍しい食べ物を与えた家畜の肉は美味しくなるという方式に言及した和子は、同じ理屈で人間も食べる順番によって、体に何らかの影響があるのではないかと持論を展開する。京子は、帰宅後もその事を考えていたが、最終的には「いっしょに食べてしまえばみな同じ」という結論に辿り着く。今日の晩ご飯当番だった京子は、今晩のメニューをそんな料理にする事を決め、巻かないロールキャベツ「ノットロールキャベツ」を作る。(第22話「ノットロールキャベツ」。ほか、6エピソード収録)

登場人物・キャラクター

市川 忍 (いちかわ しのぶ)

市川京子の小学生の弟。6年前に母親が再婚したことにより京子と姉弟になった。その後、両親がそろって他界したため、現在は京子と二人暮らしをしている。彼の通う鷹野台小学校で流行中の、トレーディングカードゲーム「スリーキングダムス」の腕前は、クラスの男子の中では断トツの強さで、「小覇王」の異名を持つ。見た目は可愛らしい女の子のようだが、実際はかなりのしっかり者。 料理は簡単なものから手の込んだものまで何でも器用にこなすことができる。姉が大好きだが、自分をいつまでも小さい子供扱いすることに困っている。

市川 京子 (いちかわ きょうこ)

市川忍の高校生の姉。6年前に父親が再婚したことにより忍と姉弟になった。その後両親がそろって他界したため、現在は忍と二人暮らしをしている。彼女が通う貫井高校の1年生男子の間では、「美少女四天王」の1人とされているほどの美貌とプロポーションの持ち主。周囲からは近寄りがたいと思われているが、実はちょっと変わり者のプロレス好き。 米飯推進ゆるキャラの「おこめちゃん」が大好きで、さまざまなおこめちゃんグッズを集めている。

高木 陽子 (たかぎ ようこ)

貫井高校に通う女子で、市川京子のクラスメイトであり親友。時折、京子のプロレス技の実験台にさせられることもあるが、京子には「地に足の着いた希少な友達」と評される頼りがいのある人物。他のクラスメイトからの信頼も厚い。普段は眼鏡をかけているため目立ちにくいが、実は隠れた美貌の持ち主。剣道2段の腕前を持ち、同級生男子からは、近寄りがたい隠れ美人と思われている。 多彩な才能を持ち、礼法、馬術、弓道、茶道を嗜んでいる。クラスメイトからは「セクシー」と呼ばれているが、その由来は不明。

子安 純子 (こやす じゅんこ)

鷹野台小学校の23歳の女性教師。市川忍のクラス担任している。子供たちに対して一生懸命なものの、新任ということもあり、ちょっと頼りない。生徒たちからは「コヤジュン」と、名前を短縮されて呼ばれている。両親を亡くした忍の私生活を心配して、交換日記を始めることを提案する。市川梨由子は大学時代の先輩で、貧乏だった学生時代、は一緒に銀座のクラブでアルバイトをしていたこともある。 これは、今となっては秘密にしておきたい黒歴史となっている。

ロングキスグッドナイト

鷹野台小学校に通う女子で、市川忍のクラスメイト。クラスメイトからは「ロングキスグッドナイト」と呼ばれているが、その由来、本名ともに不明。弓美といつも行動をともにしている。気が強く男っぽい性格で、無意識のツンデレ。忍のかわいらしさに憧れ、密かな恋心を抱いている。毎日、その日にあった楽しかったことを、日記につけている。

弓美 (ゆみみ)

鷹野台小学校に通う女子で、市川忍のクラスメイト。ロングキスグッドナイトといつも行動をともにしている。おっとりしていて控えめな性格。雪の積もった日に雪合戦をしたことがきっかけとなり、市川京子を慕うようになる。大好きな兄の聰が野球をやめたことを悲しく思い、また野球を始めてほしいと願っている。

市川 梨由子 (いちかわ りゆこ)

市川京子、市川忍の叔母にあたる25歳の女性。2人だけでやっていくことを決めた京子と忍の良き理解者。時々2人の家を訪れては、生活ぶりを見て指導していく、保護者にして後見人。アバ女出身の元ギャルのヤンキーだったため、今でも短気でちょっと怖いところがある。現在は自分の店を持ち、クラブのママとして働いている。 子安純子は大学時代の後輩で、学生時代に銀座のクラブで一緒に働いた過去がある。

(きし)

市川京子の中学時代の友人の男子。かつて中学校の卒業式で、京子に告白を試みたが、失敗に終わっている。京子の両親が亡くなったことを知っていたが、葬儀に参列できず、京子のその後を心配していた。

ボウヤ

貫井高校に通う女子で、市川京子のクラスメイトであり親友。ショートヘアの快活な少女で、中学時代はソフトボール部でエースを務めたほどの抜群の運動神経を持つ。クラスメイトからはボウヤと呼ばれているが、その由来、本名ともに不明。映画好きで、特にサメ映画のことになると熱く語りだす。サメ映画のDVDコレクションを持っている。

栗山 和子

貫井高校に通う女子で、市川京子のクラスメイトであり親友。クラスメイトからは「クリ子」の愛称で親しまれている。犬好きで、小柄で可愛らしいイメージ。その可愛らしさとは裏腹に、毒舌なところがある。ちなみに、これは無意識のものであり、自分では毒舌家の自覚はない。ロックを愛し、文化祭ではワンマンライブを行い、自ら作詞作曲した曲を披露した。

コン

喫茶店「cafe loose」の店長を務める男性。市川梨由子とは、銀座のクラブで黒服を務めていた頃からの知り合い。梨由子を通じて市川京子や市川忍とも面識があり、2人を可愛がっている。プロレスに詳しく、京子とは話が合うプロレス友達。人生経験豊富なコンの話は、何かと多感な時期の京子にとって、良いスパイスとなっている。

(もり)

貫井高校に通う女子で、市川京子のクラスメイト。つけまつげをダブルで付けており、肌は黒く焼いているギャル。小学校時代は、京子や栗山和子とトレーディングカードゲームで一緒に遊ぶほど仲が良く、ニックネームで呼び合う仲だった。中学校の頃からギャル仲間としか話をしなくなり、京子とは疎遠になっていた。そのため、今更京子に「モリモン」と呼ばれることには抵抗がある。 ある日の放課後に起こった、アバ女とのケンカがきっかけとなり、交流が再開する。

杉本 美樹 (すぎもと みき)

アバ女の保育科に通う女子。市川京子と栗山和子とは小学校時代仲の良い友達だったため、今もなおニックネームで呼び合っている。現在は、校内の誰もが怖れるほどの存在だが、杉本美樹のことを煙たがる者も少なくない。食べることが大好きで、特に市川忍の手料理が好き。

お爺様 (おじいさま)

高木陽子の祖父。最近、陽子にちっともかまってもらえないことを理由に、水着姿の陽子にえげつない絡み方をする。お母さんからはただの「色ボケ老人」扱いをされており、実際にやっていることも、ただのスケベジジイの所業に過ぎない。

お母さん (おかあさん)

高木陽子の母親。和服に割烹着という、古風でおしとやかな出で立ちの女性だが、静かな迫力を醸し出している。孫にスケベな所業を繰り返す父親を「色ボケ老人」と一蹴し、自分を本気で怒らせるとどうなるか釘を刺す。

佐野 (さの)

貫井高校の男性教師。市川京子のクラス担任を務める。基本的に面倒なことには関わらないタイプ。文化祭の出し物でクラス内が揉めた際も、生徒の自主性を尊重して監督しているにすぎないと、話し合いには関わらない方針を貫いた。冴えない外見に反し、若い頃はバンドを組んでギタリストを務めていたこともある。今でもロックが大好きで、若くて可愛い奥さんと、夏フェスに参加することが毎年恒例となっている。

中津 (なかつ)

鷹野台小学校に通う男子で、市川忍のクラスメイト。トレーディングカードゲームが大好きで、学校でもよく遊んでいる。ヤンチャな今どきのサッカー少年だが、実はちょっと怖がりなところがある。貫井高校の文化祭を訪れた際に、栗山和子のワンマンライブを見て、彼女に一目惚れする。

沙織 (さおり)

アバ女出身の女性で、市川梨由子の高校時代からの同級生。かつて梨由子と同じ銀座のクラブで、水商売をしていたことがある。自宅も梨由子と同じマンションだったが、自分の部屋を片付けずあまりにも汚かったため、いつも梨由子の部屋で寝泊まりしていた。お風呂にも入らず、極度のものぐさで面倒くさがり。

(そう)

弓美の兄。プロ野球選手を目指し、子供の頃から野球に打ち込む毎日を送っていた。高校生の時に、野球部が地方予選の2回戦で負けて以来、野球をやめてしまった。高校卒業後も働かず、インターネットやアニメ三昧の毎日を過ごしている。

場所

アバ女 (あばじょ)

関東最凶の不良女子校として名高い高校。普通科の他に、保育科と家政科があり、各科での派閥抗争が激しい。正式名称は「私立練馬女子学院高校」だが、その名で呼ぶ者はほとんどいない。通称「アバズレ女学院」、略して「アバ女」と呼ばれている。市川梨由子が保育科を、沙織が家政科を卒業しており、現在は杉本美樹が保育科に通っている。 普通科は卒業率が3割という時期もあり、保育科からの大学進学者は梨由子が10年ぶりの快挙であった。梨由子を最後に、その後は1人も進学していないという。学校には寮も用意されているが、寮の窓にはすべて鉄格子が付いている。

クレジット

原作

坂井 音太

SHARE
EC
Amazon
logo