つつみさんの罪なスイーツ

つつみさんの罪なスイーツ

奈良県の田舎から出てきた堤今日子は、あこがれの店でパティシエになったが、夢をその手にしながらも、大きな挫折感を味わうこともある。カロリー度外視の罪作りなスイーツ「ツミーツ」に明日への活力を求める堤の、恋と日々の葛藤を描いた極甘スイーツ・ラブストーリー。「週刊漫画TIMES」に掲載された作品。

正式名称
つつみさんの罪なスイーツ
ふりがな
つつみさんのつみなすいーつ
作者
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あらすじ

第1巻

神楽坂のケーキ店「グー・イノサン」では、テレビの取材を受けることとなった。そこでパティシエとして働く堤今日子は、店長の手による「プティ・シャプロン・ルージュ(赤ずきんのタルト)」を紹介する。実は、今回の取材では、当初の予定では堤自身が手掛けたケーキが紹介されるはずだったが、直前になって画面映えの都合により、別のケーキに差し替えられることになったのである。それでも笑顔でインタビューに答える堤の姿を見ながら、後輩にしてライバルの桜井は、パティシエとしてのプライドが傷つけられただろうと堤の心情を思いやり、空気を読まずに彼女をディナーに誘おうとする店長をあわてて引き止めるのだった。その日の夜、業務を終えて帰路に就いた堤は、さすがに落ち込んでいたが、家に帰り着いたところで、居眠りしている同棲中の彼氏である高畑の寝顔に癒される。そして堤は、いつまでもめげていてもしょうがないと気を取り直し、チーズ蒸しパンを使って罪作りなスイーツ「ツミーツ」作りを開始する。(第1話。ほか、9エピソード収録)

登場人物・キャラクター

堤 今日子 (つつみ きょうこ)

神楽坂のケーキ店「グー・イノサン」でパティシエとして働く若い女性。店では、自ら提唱したローカロリースイーツの開発を手掛けている。堤今日子の手によるケーキは味も確かで固定客もついてはいるが、ローカロリーにとらわれるあまりビジュアル面が弱いという欠点を抱えており、後輩ながらライバルの桜井に、パティシエとして一歩先を行かれている状態にある。完璧主義者で自分に厳しく、忙しい時期以外は始発で仕事に行き、仕事終わりには終電近くまでジムで体力作りに励むという、仕事とトレーニングづけの日々を送っている。堤自身は手を抜くことなく日々全力で努力しているが、何かにつけてあと一歩が足りず、報われないことが多い。洗練された都会の女性にあこがれ、自分もそうでありたいと自分磨きに余念がないが、実は自己評価が非常に低い。また、自己嫌悪に陥る際も加減できず、ふだん努力することに向けている情熱と同等のパワーを消耗してしまう。このことから、パティシエの師でもある店長からは、童話『ウサギとカメ』になぞらえ、「逆方向にも全力で走ってしまうウサギ」と評されている。一方で、自宅では市販のお菓子などを利用し、カロリー度外視のスイーツ、名づけて「ツミーツ」を作って自分を甘やかしているほか、堤のすべてを優しく肯定してくれる彼氏の高畑と同棲中で、これらによって精神面でのバランスを保っている。かつて学生時代、まだできたばかりだったグー・イノサンで店長の作ったケーキを食べ、甘いばかりではないスイーツに感動し、店長のもとに弟子入りした経緯がある。そのため、店長のことはパティシエとして心の底から尊敬しているが、店長から女性として見られているとは露ほども考えておらず、彼の気持ちにはまったく気づいていない。奈良県出身で、時折口調に関西弁が混じることがある。

高畑 (たかはた)

製菓メーカーに勤務している青年で、堤今日子と同棲中の彼氏。堤と同じお菓子作りの専門学校出身で、堤とは当時から付き合っている。小太りで鷹揚な性格をした、堤にとってはまさに「癒し」を体現した存在で、堤と同様に甘いものが大好き。堤がふだんから人一倍努力していること、それ故に自分を追い詰めすぎることをよく理解しており、彼女を心から応援し、そのすべてを肯定している。堤との将来のことも考えているが、彼女が何かを抱え込んでいるあいだはそっと見守ろうと、ひとまずその思いは胸に留めたままでいる。

店長

神楽坂のケーキ店「グー・イノサン」でパティシエとして働く男性で、店長を務めている。パティシエとして類いまれな技術と才能の持ち主で、これまでに数々の賞を総なめにしてきた実績の持ち主。店長本人も自分の才能を自負しており、ナルシストなところを隠さないが、実際は努力を惜しまず、誰よりも早く出勤して誰よりも遅くまで店に残っていながら、他店への視察や流行の取り入れにも積極的で、弟子の堤今日子や桜井にも、心から尊敬されている。一方で、テレビなどメディアには顔を出したがらず、人生のすべてをケーキ作りに捧げてきたこともあって、人の心の機微に疎く、女性との浮いた話もまったくない。実はグー・イノサンを出店して初めて自分のケーキの感想を聞かせてくれたのが、当時客としてやって来た堤であり、その頃から彼女に思いを寄せていた。現在は弟子となった堤と距離を縮めるため、桜井からアドバイスを受けつつ、不器用ながらもアプローチを繰り返している。ただし堤自身は、店長が自分を女性として見ているとは夢にも思っていないため、基本的に毎回空振りに終わっている。

桜井

神楽坂のケーキ店「グー・イノサン」でパティシエとして働く青年。店では堤今日子の後輩にあたるがライバル的な関係で、桜井の方が一歩先を行っている状態にある。店長には、味や質を重視するあまり地味(シック)なものになりがちな堤に対し、桜井はビジュアル面のインパクトが強いが、味に妥協しがちなところがあると評されている。少々軽めな性格ながら、プライドを傷つけられながらも笑顔で仕事をしている堤の姿を見て、同じパティシエとしてその気持ちを理解したり心配したりと、優しいところもある。実は店長が堤に思いを寄せていることを知っており、女性経験の少ない彼に何かとアドバイスをしながら、その恋路を応援している。

今日子の母親

堤今日子の母親。几帳面で人に厳しく、正反対な性格の今日子の父親とは馬が合わず、堤が小学生の頃に離婚した。今でも今日子の父親と交流を持つことはあるが、仲は悪いまま。正論をぶつけて人を管理しがちな、いわゆる「毒親」的なところがあり、それが堤のネガティブな性格を形成する一つの要因となった。また、人を見た目で判断しがちで、小太りな高畑のことも、当初は自己管理ができていないと、堤の彼氏として認めず厳しくあたっていた。だが、彼から堤との結婚に向けた思いを聞いて、娘のことをしっかり理解してくれていると認識を改め、堤のことを彼に任せようと決める。厳しく管理的なのも実際は娘である堤のことを思うが故で、彼女からもそのことは理解されており、一定の感謝もされている。

今日子の父親

堤今日子の父親。明るくのんきな性格で、正反対な性格の今日子の母親とは馬が合わず、堤が小学生の頃に離婚した。現在は「里菜」という女性と再婚している。今でも今日子の母親と交流を持つことはあるが、仲は悪いまま。ただし性格的なこともあり、今日子の父親自身は表立って争おうとはせず、適当に受け流している。お菓子作りが得意で、堤が幼い頃からよくいっしょにお菓子作りをしており、彼女がパティシエとなる原点となった存在。ただしそれにより、堤が一時期非常に太ってしまい、そのことが管理に厳しい今日子の母親と大きくもめる原因ともなった。

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