概要・あらすじ
世界中の危険で難易度の高い絶壁をクライマーが壮絶な自然の猛威に襲われながら逆境を乗り越えて頂上を目指していく。雪崩や崖に転落して命を落とす人を目の当たりにし、登山の厳しさを知る。「南西壁」「裸足の壁」「北壁のパート1,2」「遠い頂」「ザイル」「ヒマラヤの虎」「吹雪」「K2」の全8話ごとに主人公が違う一話完結型。
登場人物・キャラクター
ロニー・ゴードン
エベレスト南西壁厳冬期初登頂のグループの一員となるべく、登山の儀式としてエベレストの第五キャンプの設置をしに登る。冷酷で極寒な環境下だが、到着地は天候に恵まれ景色に感動する。翌日、ロニーの目の前で6人の仲間が表層雪崩に巻き込まれ命を落とす。自身は頂上に登らせてもらえないと半ば諦めかけていたがこのことをきっかけにシェルパ族のアン・プルバと共に頂上を目指す。
アン・プルバ
『岳人列伝』の第六話「ヒマラヤの虎」の登場人物で、第一話と第二話にも登場する。第六話では高所ポーターを目指すシェルパ族の少年として登場し、穢れた出生や兄との確執を乗り越え、勇敢なシェルパ族の呼び名であるタイガーと呼ばれるようになる。第一話や第二話ではその後の姿が描かれ、鋼の肉体と鉄の精神を持った熟練の高所ポーターとして登場する。
カンバ
シェルパ族の貧しい生まれの15歳の少年で、高い収入が得られる高所ポーターを目指す。貧しさ故に互いに想い合っていたラーリを嫁として迎えることが出来なかった。また、少年故に危険な職である高所ポーターとして雇ってもらえることが出来なかったが勇者の壁と呼ばれる断崖絶壁を登りきることで大人の男性として認められることとなる。
ラーリ
貧しい生まれのシェルパ族の娘で、幼馴染であるカンバと互いに意識し合っていたが、隣町の裕福な男性のところへと嫁ぐ。
ウェルナ・ユンゲン
8年前、自分の命と引きかえに崖へ落下し即死した、息子であり登山仲間でもあったのイエルクの死体を取り戻しに、イエルクの弟であるフリッツ・ユンゲンと共にヨーロッパ西部アルプス・モンブラン山群ドリュ北壁へと挑む。イエルクは氷漬けになっており時間が止まったかのように崖から落ちた時のままそこにいた。
フリッツ・ユンゲン
8年前、自分のミスから結果的に崖から落ちて死んでしまった兄のイエルクの死体を取り戻しに、父のウェルナ・ユンゲンと共にヨーロッパ西部アルプス・モンブラン山群ドリュ北壁へと挑む。兄や父以上の才能を持った登山家だったが、兄の後を追うことになる。
ローラ
想いを寄せるウォルト・ウィルバーが軍を離れて登山に命を賭けると決心した時に、自身も彼と共に命を賭ける決意をする。登山に打ち込んでいくうちに山の魅力に心酔していくが、エベレストに上った際に腹に宿したウィルバーとの子と視力を失い、死にかける。
ウォルト・ウィルバー
若き冒険家として知られた英国の空軍大尉で、エベレストへの冒険飛行の時にエベレストに心を奪われる。その後何度かの登山ののち、エベレストに挑戦するが、登頂後吹き荒れる雪の中で姿を消してしまう。
阿南 勝則 (あなみ かつのり)
父を山で失い、貧乏な生活を経て自らも登山家となる。まじないとしてナイフをポケットに常備しているが、それは足手纏いになればパートナーとの命を繋ぐザイルをいつでも切るという覚悟の現れであった。同時に父を亡くした吉岡昇と共に、父親たちが登ることのできなかったフランスのグランド・ジョラスに挑戦する。
吉岡 昇 (よしおか のぼる)
赤子の頃に父を山で失った為、父親の顔も覚えていないまま成長し、医科大生となる。死んだ父親と同様に登山に打ち込む最中、父親のパートナーの息子である阿南勝則と出会う。阿南勝則とパーティを組み、父親たちが登ることの出来なかったフランスのグランド・ジョラスの登頂を目指す。
ラクパ
シェルパ族の高所ポーターでアン・プルバの兄。父親の違う弟のプルバを軽蔑していた。シェルパ族の貞操観念ではそういった生まれは穢れているとされている。しかし、のちに弟のアン・プルバも同じ父親の子であると分かった上、山に取り残されたラクパたちの為に死力を尽くしたプルバを勇敢なシェルパ族の呼び名であるタイガーと呼んで認めるようになった。
高井 洋介 (たかい ようすけ)
大学浪人生で、登山の経験が豊富というわけではないが、厳冬期に登山のメッカである穂高連峰に挑戦した際に雪庇から落ちてしまう。その後通りかかった瀬木路子によって助け出され九死に一生を得る。
瀬木 路子 (せぎ みちこ)
エベレスト女性遠征隊員だった人物で、穂高連峰を登っていたところ、高井洋介の窮地を救う。その後豊富な経験を生かして高井洋介を峠小屋まで連れて行こうとするが、ナイフリッジと呼ばれる鋭角の山稜から足を踏み外して怪我をしてしまう。