左門くんはサモナー

左門くんはサモナー

誰からも好かれる「いい人」である天使ヶ原桜のクラスに謎の転校生、左門召介がやって来る。悪魔の力をあやつる「召喚術士(サモナー)」の左門が、悪魔の力を使い、桜を破滅させて地獄に落とそうとする。あの手この手で誘惑してくる悪魔達の嫌がらせに桜が立ち向かう非日常系コメディ。「週刊少年ジャンプ」2015年43号から2017年27号にかけて連載された。

正式名称
左門くんはサモナー
ふりがな
さもんくんはさもなー
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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あらすじ

第1巻

天使ヶ原桜のクラスに、ミステリアスな雰囲気を持つ左門召介が転校して来た。面倒見のいい桜はクラスの中で孤立しがちな左門を心配するが、左門はそんな桜に「嫌い」と宣言し、自分が本物の「召喚術士(サモナー)」である事を明かす。そして左門は「召喚術士」としての力を使って、あの手この手で桜を堕落させ、地獄に落とそうとするのだった。それにもめげずに桜は左門と交流を深めていくが、彼の周りは非日常だらけ。左門を狙う悪魔のとばっちりを受けたり、クラスメイトの嬉村笑美九頭龍芥との交流で思わぬトラブルに遭遇したりと、桜は騒がしい日々を送る。そんな中、桜は同じく左門の被害者であるネビロスと出会い、意気投合する。ネビロスは親身になって桜の相談に乗り、彼女を左門から解放しようとするが、悪辣非道な手を使う左門にネビロスは満身創痍の状態となってしまう。結局桜は、自らのために傷つくネビロスをかばい、左門の嫌がらせの続く日常へと戻る事となった。

第2巻

お互いを利用し合う関係から真の友情に目覚めていく九頭龍芥左門召介。意外な日常を過ごしているネビロスなど、左門と過ごす天使ヶ原桜の日常は変わらず騒がしいものであったが、そんなある日、左門と桜の前にアンリ・マユと名乗る黒髪の美少女が訪れる。左門の事が気になるアンリは年頃の乙女のような振る舞いをするが、その正体は最強最悪の悪神だった。アンリの機嫌一つで世界が危機に瀕するため、ネビロスはアンリの機嫌を損ねないようにもてなそうとするものの、アンリは左門の近くにいる桜の存在が気に入らない。桜の存在は守りたいものの、アンリの機嫌を損ねたくないネビロスは、胃の痛くなるような時間を過ごす。結局、懸命なネビロスのフォロー空しく、アンリの機嫌は一気に悪化する。しかし、そこに桜が善意で申し出た提案が、世界を救う絶妙の一手となるのだった。

第3巻

アンリ・マユとも友人として付き合い始めた天使ヶ原桜だったが、孤独をこじらせたアンリとの付き合いは一筋縄ではいかない。そんな中、アンリは桜達と付き合い始めた事で、「友人とは何か」と考えるようになり、友情を学ぶため桜達の通う私立算文(そろもん)高校に転入して来た。学校で友情を学ぼうと意気込むものの、アンリはやる事なす事すべて空回りし、桜を大きく振り回してしまう。一方でネビロスは、アンリの存在に気が休まらない日々を送りつつも、桜の存在に心癒やされていた。しかしそんなある日、悪魔を敵視する日本の鬼、茨木童子に桜がさらわれてしまい、ネビロスは桜を助けるため単身鬼達がたむろする廃ビルに向かう。人質になった桜の存在で一時は窮地に陥ったネビロスであったが、桜の危機に駆けつけた左門の助けもあって茨木童子を破る事に成功する。

第4巻

左門召介と悪魔達が引き起こすトラブルで騒々しい日々を送る天使ヶ原桜だったが、そんな日々に変化が訪れる。となりクラスの2-Aに、「祓魔士(エクソシスト)」の祓正義が転入して来たのである。左門に対して敵意を向ける正義は、桜に取りついていたブーシュヤンスタベヒモスを祓い、自らの実力を証明したのち、左門に対して宣戦布告をする。一触即発の空気の中、互いを警戒しながら日常生活を送る左門と正義だったが、そんな中、学校に遊びに来たアンリ・マユが正義の力によって泣かされるという事件が発生。これにより、左門は遂に正義と戦う決心をする。左門に過去に何度も卑劣な手段で苦しめられた事から、正義は左門の手の内を読み、対抗策を次々と打ち出していく。そしてあと一歩のところまで左門を追い詰めるが、左門は正義の「祓魔士」としての能力を逆に利用して勝利をおさめるのだった。こうして桜は、これまで通り悪魔に嫌がらせを受ける日々へと戻る事になる。

第5巻

「祓魔士(エクソシスト)」としての行動が周囲には奇行と見なされ、祓正義はなかなか学校に馴染めずにいた。しかし、左門召介九頭龍芥の好き勝手な行動を制した正義は、一転して嬉村笑美達に認められる事となり、これを契機に少しずつ学校に馴染んでいく。一方、左門もクラスメイト達と交流して行く中で、自らの偏食癖を治し、苦手だった自転車にも乗れるようになった。そんなある日、天使ヶ原桜サキュバスに頼まれ、アルバイトとしてキャバクラのヘルプに入る事となった。そこで桜はネビロスの上司であるルキフグスの接客をする事になったが、引きこもりオタクであるルキフグスの性格に桜は戸惑う事となる。それでも、根っからの善人で包容力のある桜にルキフグスも次第に心を許し、桜のはじめてのアルバイトは大きな成功を収めるのだった。

第6巻

茨木童子の一途な恋や、左門召介にあこがれる加護小鳥の存在など、天使ヶ原桜の周囲は恋に華やいでいた。そして桜は、左門がなぜ「召喚術士」としての道を歩み始めたのか、その出発点を知る。それは、アンリ・マユと「友達」になるという、幼き日の左門の直向(ひたむ)きな誓いがきっかけであった。それを知った桜は、左門に対する認識を新たにするのだった。そしてある日、街中で何気なく過ごしていた桜はスーツ姿の男にスカウトされ、アイドルデビューする事となる。しかしスカウトした男はフルーレティという名の悪魔で、いっしょにデビューするアイドル達も見覚えのある悪魔達ばかり。桜は不安と羞恥で早くもアイドルをやめたくなるものの、本人の意思とは裏腹に桜の人気は悪魔を中心に大爆発してしまう。アイドルの仕事に流されるまま日常の自由すらなくなった桜は、アイドルをやめるため左門に助けを求める。

第7巻

左門召介が人気投票を前に突然人気集めをし出したり、天使ヶ原桜サキュバスに誘われて悪魔だらけの合コンに参加したり、2学期に入っても二人の周囲はドタバタだらけ。しかしそんなある日、桜達の住まう算文(そろもん)町で無気力な人間が増えるという謎の事件が起きる。さらに同時期に悪魔達が何者かに襲われる事件が多発し、ネビロスは犯人を捕まえるため捜査に乗り出していた。一連の事件には人々の無気力化もかかわっていると判断し、左門に忠告をしたネビロスであったが、犯人を捕まえるため送り出したサルガタナスが返り討ちに遭ってしまう。また左門も友人である九頭龍芥が被害に遭い、無気力化したのを目の当たりにし、ネビロスと左門は二人で事件の犯人を捕まえる決心をする。事件の裏側にはマステマという名の悪魔が存在し、桜を狙っているのを突き止めた左門とネビロスは、マステマと対峙するものの、すんでの所で桜をさらわれ、逃してしまう。マステマを倒して桜を助けるため、左門とネビロスは算文山に建てられた塔へと向かった。そして左門とネビロスはマステマの仲間である3体の悪魔を倒し、マステマを追い詰めていく。だが、本気を出したマステマは、圧倒的な力で左門達に対抗。そして遂にマステマの刃によってネビロスは倒れ、肉体を破壊されてしまう。

第8巻

肉体を破壊されたネビロスは、左門召介に召喚される形で現世に舞い戻る。これにより悪魔としての真の姿と能力を発揮する事となったネビロスは、左門と息の合った連携攻撃を見せ、マステマの野望を打ち砕く事に成功する。敗れたマステマは、左門が自らと同質の存在である、と勝ち誇った笑みを浮かべながら封印されていった。そして人々はマステマの無気力化から解放され、天使ヶ原桜もいつも通りの騒がしい日常へと戻る。

そんな中、再び姿を現した茨木童子は、嫌田悲恋への思いを告白するための前段階として、左門をバンド活動に誘う。意外にもギター演奏を特技とする左門は乗り気で、茨木童子と左門はブーシュヤンスタベヒモスを加えた四人バンド「鬼ゃん子」を結成。音楽で結束した一行は、絆を深めていく。そんな中、久しぶりに学校を訪れたアンリ・マユは、自分のいないあいだに色々なイベントを経験した左門と桜の関係に焦りを感じていた。アンリは左門と距離を縮めるべくスキー旅行を計画するが、普段人と接する事のないアンリは空回りしてばかり。思わぬトラブルも引き寄せるが、そこでアンリは左門との絆を再確認する。そして夜には、アンリは桜と左門について、本音で語り合うのだった。

第9巻

左門召介との関係を進展させるべく、アンリ・マユは左門の友達である九頭龍芥に目をつける。九頭龍のアドバイスで、左門に手料理を振る舞う事となったアンリだったが、その練習風景は凄惨だった。かろうじて人が食べられる物を作る事に成功したものの、明らかに無理をして自分の手料理を食べている左門を見て、アンリは料理を精進する事を誓うのだった。そんな穏やかな日常の裏では、「赤き竜の六柱」が勢ぞろいで剣呑な雰囲気を漂わせていた。彼らを従える地獄の三大支配者の一人であるベルゼビュートが姿を現し、アンリに対して戦争の準備を始めていたのである。変わってしまったアンリに強い怒りを感じたベルゼビュートは単身、アンリに戦いを挑み、捕らえる事に成功。そしてベルゼビュートはアンリの特別な人間である左門に宣戦布告し、幽界の大監獄で待ち受けると告げ去って行った。今まで頼りがいのある味方であった「赤き竜の六柱」が全員敵に回った孤軍奮闘の状況の中、左門は封印されたマステマを解放し、取引によって味方につける。桜、左門、マステマの三人は、力を合わせて「赤き竜の六柱」に挑む。本気のルキフグスサルガタナスを相手取るマステマ、そして師匠として本気で左門を殺しにかかるネビロス。激戦の中、左門はかつてのネビロスの教えを糧に勝機を摑み、ネビロスに自分の存在を認めさせるのだった。

第10巻

「赤き竜の六柱」との戦いをくぐり抜け、左門召介天使ヶ原桜ベルゼビュートのもとにたどり着いた。ベルゼビュートがアンリ・マユに向ける感情を知った左門は、お互いの意地をぶつけ合って戦う。ハンデを背負いつつも左門を追い詰めるベルゼビュートであったが、左門は幼い頃から努力した成果を活かし、空中に複数の魔方陣を描く離れ業を見せて食い下がる。そして遂に、ベルゼビュートは本気である「気高き王(バアル・ゼアル)」を発揮する。嵐そのものとなったベルゼビュートには左門の力が通用せず、ここまでと思われたが、左門は正真正銘の奥の手である「悪神アンリ・マユ」の召喚を行う。全力のアンリはベルゼビュートと互角以上の戦いを繰り広げ、拮抗状態を作り出す。そして左門はアンリに集中したベルゼビュートのスキを突き、自分ができる最大限の攻撃と嫌がらせによってベルゼビュートに深手を与え、負けを認めさせた。戦いを終えた一行は話し合いによって勝負を痛み分けとし、それぞれの日常に戻っていく。

コラボレーション

「ジャンプGIGA」において、赤塚不二夫原作のTVアニメ『おそ松さん』とのコラボレーション企画が行われた。これに伴い、「ジャンプGIGA」2016年vol.2には『おそ松さん』のキャラクターと左門召介が共演する『サモ松さん』が掲載される事となった。この『サモ松さん』は、本作『左門くんはサモナー』のコミックス第6巻に収録されている。

登場人物・キャラクター

左門 召介 (さもん しょうすけ)

トンガリ頭が特徴の男子高校生。私立算文高校の天使ヶ原桜のクラスに転校して来た。自己紹介で「召喚術士(サモナー)」で、趣味は悪魔召喚と言ったため、クラス内では重度の中二病だと思われ孤立してしまっている。実は本物の「召喚術士」で、善良な存在である桜を偽善者として嫌い、彼女を堕落させるため、悪魔の力を使ってあの手この手を使って嫌がらせをする。 その屈折した性格は一周回ってまっすぐと桜に言われており、桜が悪魔に襲われた際には「おもしろくない」という理由で助けるほどである。性格の悪さは次第に周囲に知られるようになり、中二病とか関係なく、普通に性格の悪さから嫌われるようになり、「カス虫」「腐った鮭」などさまざまな蔑称で呼ばれるようになった。 九頭龍芥とは気が合い、度々協力して悪巧みを行っているため、九頭龍に対しては本当の友人関係を築いている。悪魔を使役してさまざまな能力をあやつる事ができるが、運動が苦手。自転車に乗る事ができないほどで、天使ヶ原輪には室内での接近戦という事もあり、成す術もなく敗れて舎弟となっている。実家は「祓魔士(エクソシスト)」を家業としているが、自己犠牲的な生き方をしている両親に嫌気が差して、「召喚術士」としての道を選んだ。 初めて召喚したアンリ・マユには、あこがれにも似た純粋な想いを抱いており、最強の悪神であるアンリと対等の友人になるべく、人知れず努力を重ねている。ネビロスとはその一環で出会っており、ネビロスに師事してからは「術士」としての能力をメキメキと伸ばしているが、ネビロス自身からは無謀な夢をあきらめるように度々忠告されていた。 その際のネビロスとのこじれた関係が、結果的に左門召介の性格が捻じ曲がる最大のきっかけとなってしまっている。戦闘では悪魔を召喚して非常に幅広い能力を使って戦うが、直接戦闘よりも悪魔の力を使った罠やからめ手を得意とする。 特に、単純なゆえに使い方次第で応用の利く人魂のような姿をした「ウィルオウィスプ」を多用しており、ベルゼビュートとの戦いでは召喚した「ウィルオウィスプ」を使って空中に魔法陣を描き、さらに強力な「ウィルオウィスプ」を召喚するといった離れ業を見せた。

天使ヶ原 桜 (てしがわら さくら)

私立算文高校の2年B組の女子生徒。誰にでも優しく、無欲な態度から絶大な人望を集めており、クラスメイトにも「仏」や「天使」扱いされている。友人からは「てっしー」の愛称で呼ばれており、のちにこの愛称は悪魔達のあいだにも広がる事となった。左門召介からはその「いい人」っぷりが偽善者として嫌われており、彼から悪魔を使った執拗な嫌がらせを受ける羽目になってしまう。 ネビロスとは左門からの被害者という事から意気投合しており、彼から特別な感情を抱かれている。ただ左門から嫌がらせを受けているが、それで左門を恨む事もなく、学校では普通に接している。誘惑してくる悪魔達とも心を通い合わせており、初期からかかわりの深いベヒモスとは好敵手としてわかり合った。 非凡な精神力の持ち主で、普段耐えているベヒモスとブーシュヤンスタの嫌がらせ攻撃は常人ならすぐに参るもので、ネビロスですらあっという間に意識を失いそうになるほどである。サキュバスからは天性のキャバ嬢としての素質があると言われており、実際に聞き上手で包容力のある性格から、人見知りのルキフグスをはじめ多くの悪魔達から好意を寄せられている。 家族構成は両親のほかに天使ヶ原輪という名の妹がいる。不良である輪の素行には厳しく接しつつも心配しており、輪も姉のそんな気づかいを理解しているため姉妹仲は大変いい。ただし大好物である手羽先に関しては人が変わったような性格になるため、輪からもその部分に関しては恐れられている。 普段は桜に嬉々として嫌がらせを行っている左門や九頭龍芥も、手羽先を求める桜には恐怖をあらわにした。

九頭龍 芥 (くずりゅう かい)

私立算文高校の2年B組の男子生徒。金に汚く、長い物には巻かれる典型的なクズな性格をしている。欲深い人間が破滅するのを好む左門召介からは初対面で「逸材」と気に入られた。左門の悪魔の力を利用して楽して稼ごうとするが、大概がロクでもない結果につながっており、自爆に近い破滅を何度も経験している。そのため一時期は左門と険悪な仲になったが、下司な性根が似通っているため次第に意気投合し、左門とは本当の友人関係を築くに至った。 最近では左門と共謀して悪巧みをする事も多いため、クラスメイト達からは「クズ」と蔑称で呼ばれる方が多くなるほど嫌われている。初対面のベヒモスに半殺しの目にあったため、それ以降、ベヒモスには頭が上がらず、体育会系のノリでベヒモスに先輩として接している。 ベヘモスからの命令とはいえ、九頭龍芥にひどい事をしたため罪悪感を抱かれており、のちに九頭龍が悩んだ際には進んで相談に乗り、力を貸している。性格は最底辺をさまよっているが、実は料理が得意で、食事に関しては気配り上手。左門が偏食家なのを天使ヶ原桜に指摘されて以降は、交換条件で彼のお弁当を作る事となり、意外にも充実した内容のお弁当で左門に喜ばれている。 学校の成績はシンプルに悪く、テストでは赤点の常習犯。左門の悪魔の力を使ってテストに臨もうとしたが、頭がよくなりすぎて学校の試験ではなく、別の真理を求めて試験直前に旅立つという盛大な自爆をしてしまった。

嬉村 笑美 (きむら えみ)

私立算文高校の2年B組の女子生徒。明るく活発な性格をしたスポーツ少女で、陸上部に所属している。天使ヶ原桜の幼馴染で、桜と嫌田悲恋の三人でよく行動をしている。そのため悪魔関係のトラブルに巻き込まれているが、目の前で超常現象が起きてもピンっと来ないらしく、三人の中で唯一悪魔について知らず、「プラズマ的なアレ」と納得している。 思った事をそのまま口にしてしまうサバサバしている性格をしているが、そのために左門召介や九頭龍芥に対する物言いはとても辛辣な物になっている。左門や九頭龍からはその事を恨みに思われて、度々嫌がらせを受けているが、その度に根性と身体能力で潜り抜けている。よくも悪くも恨みをあとに引きずらない性格のため、左門や九頭龍とは桜達と共にいっしょに遊びに行ったりもしているし、左門が苦手な自転車を克服した時は素直に感心していた。 抜群の運動神経を持つが、成績は悪く、九頭龍や嫌田よりも成績は低い。そのため桜には時々、勉強を教えてもらっている。

嫌田 悲恋 (やだ かなこ)

私立算文高校の2年B組の女子生徒。黙っていれば、眼鏡をかけたクールビューティーといった風貌をしているが、実態は死ぬほどモテない超肉食系武道派女子である。友人達からは「ヤーさん」と呼ばれ、クラスメイトからは「2-Bの毘沙門天」として恐れられている。眼鏡をかけているのも、少しでもモテたいがための苦肉の策で、視力は裸眼でも2.0あり、かけている眼鏡も伊達眼鏡となっている。 元ヤンキーで、チーム「仏血霧(ぶっちぎり)」の初代ヘッドを務めた事から、算文町界隈のヤンキーで伝説的なヤンキーとして恐れられている。ヤンキーはすでに引退したが、相も変わらず血の気が多く、ヤンキーを目にしたら反射的に攻撃してしまうほどの問題児。ただし一般人には迷惑をかけない分別はあり、現役時代も、チームの仲間達にそれを徹底させていた事から、天使ヶ原桜は妹の天使ヶ原輪の世話を嫌田悲恋に信頼して任していた。 実はスタイル抜群で、見た目だけなら構内屈指の美人。嬉村笑美は気絶していた嫌田ならミスユニバースを狙えると評している。そのためのちに、たまたまヤンキーの抗争で出くわした茨木童子に一目惚れされており、それ以降、度々茨木童子から好意を伝えられている。 ただしヤンキーとしての習性が染み付いた嫌田にはまったくその想いが届いておらず、出会った当初は会話にすらなっていなかった。

ネビロス

大悪魔アスタロト麾下「赤き竜の六柱」第五柱で、地獄の総監督官を務める少将。悪魔の軍勢を取り仕切る役割を持っているため、自分の軍勢から悪魔を勝手に拝借していく左門召介とは犬猿の仲となっている。普段は黒い長髪の青年男性の姿をしているが、これは左門に召喚されないために受肉した姿で、マステマとの戦闘では受肉を放棄し、悪魔本来の姿である黒衣をまとった男性の姿を見せた。 受肉によって左門から呼び出しを受けないというメリットを得ているが、同時に人間と同じように痛みを感じたり、栄養を補給しなければならないというデメリットも受けている。そのため「カフェKITAZAWA」で「ネビ夫」という偽名を使ってアルバイトをして生活費を稼いでおり、コーヒー職人として着々と腕を磨いている。 悪魔としての能力は「降霊術」で霊を呼び出し、使役する「降霊術士(ネクロマンサー)」。悪魔を召喚する左門と似通った戦い方をしているが、実は左門の「術士」としての師匠で、左門が得意とする「ウィルオウィスプ」による連続攻撃を教えたのもネビロスその人である。そのため普段は仲が悪いが、本気を出したネビロスと左門の息はぴったりで、マステマ戦では一糸乱れぬコンビネーションで戦った。 その昔、無謀な夢を追い続ける幼い左門に対して、最初は師匠として親身に付き合い、穏やかな形で夢を諦めさせようとしたが、頑なな左門と決別。一時期は距離を置く事で左門に夢を諦めさせようとしたが、これが結果的に左門を更に意地にさせ、左門が下司な本性を発揮させるきっかけになってしまった。 その後、横暴な左門によって悪魔達の不満が爆発し、不満をガス抜きするためライバルとして左門と決闘。左門が決闘に「右目」を賭けたため、決闘に勝利したネビロスは左門の命を守るため、敢えて決闘に敗北した左門から右目の視力を奪っている。

アンリ・マユ (あんりまゆ)

ゾロアスター教の悪神。この世すべての悪の母ともいうべき存在で、左門召介は「ヤバいし死ねる系」と称していた。普段はツインテールの髪型で、褐色肌の美少女の姿をしており、外見相応の年頃の乙女のように振る舞う。ただしすべての災害を生み出した存在であるため、アンリ・マユの機嫌一つで疫病や異常気象が巻き起こり、世界が危機に瀕するため、事情を知っている者達は彼女の一挙手一投足を警戒している。 特にネビロスはアンリをもてなさなければいけなくなった際には、内心ではすごい嫌がり、「インフルババア」と陰口を叩いていた。長年一人ぼっちの生活を続けていたため、リア充生活に強くあこがれており、友人と遊んだり、恋人と過ごしたりするのを夢見ている。 自分を初めて召喚し、自分に純粋な好意を向ける幼き日の左門には、運命のようなつながりを感じており、特別な存在として恋をしている。この初めて会った時に、アンリが適当に放った言葉が、のちに左門が力を求める原動力となった。この経緯から左門からはあこがれの存在としか思われていないのもアンリ・マユ自身自覚しており、時々それを辛く感じている。 左門の近くにいる天使ヶ原桜は恋敵として強く警戒しつつも、彼女の放った友達という言葉に強く反応し、友情関係を築くに至った。それ以降、桜をはじめとした友人達と青春を謳歌すべくボーリングで遊んだり、夏祭りに行ったりしているが、アンリの人慣れしていない気質が暴走し、大概大きなトラブルを引き寄せている。のちに友情を学ぶため、学校関係者を洗脳して、留学生「アンリ・マユ」として私立算文高校2-Bに転入して来た。 それ以降、度々、学校内部で姿を現し、好き勝手に振る舞っている。女子力が高いサタナキアには憧れのような感情を抱いており、彼女の女子会に参加した時にはテンションを高めてはしゃいでいた。

ベヒモス

左門召介が召喚した暴食を司る悪魔。恰幅のいい人間の体に象の頭を乗せた姿をしており、人間の満腹中枢を破壊して、決して満たされない飢えを与える能力を持つ。ただし胃腸の許容量が増える訳ではないため、際限なく物を食べ続ければ胃腸に多大な負担をかけてしまう。天使ヶ原桜への嫌がらせにはブーシュヤンスタ共に常連であり、最近ではブーシュヤンスタ共々、常時召喚されっぱなし状態となっている。 桜とは何度も理性と欲望の攻防を繰り返す内に、好敵手として認めて敬意を払うようになっており、桜からも「先輩」と呼ばれるようになった。実は主人の命には忠実で、命令外の事では懐の深さを見せる人格者。左門からは理不尽な命令をされたりするが、いっしょに遊びに付き合ったり、左門に苦言を呈したり、最近は子を見守る親心を抱き始めている。 九頭龍芥には命令とはいえ、初対面の際に自らの能力で半殺し寸前まで追い詰めたため罪悪感を抱いており、何らかの形で埋め合わせをしたいと考えている。桜と戦いを繰り広げるうちに、その存在は天使ヶ原家公認のものとなり、左門と桜の友達として天使ヶ原輪や天使ヶ原環には普通に受け入れられている。 時々、天使ヶ原家の晩ごはんの支度も手伝っており、その料理の腕から、一時期桜は太ってしまっていた。

ブーシュヤンスタ

左門召介が召喚した人を堕落へと誘う悪魔。髪の長い女性の姿をしており、「二度寝するでヤンス」と言いながら強烈な眠気を人に与えて起床の邪魔をする。天使ヶ原桜への嫌がらせにはベヒモスと共に常連であり、最近ではベヒモス共々、常時召喚されっぱなし状態となっている。普段は「二度寝するでヤンス」としかしゃべらないが、実は普通にしゃべれる。 桜と共にアイドルデビューした際にはオフの時に流暢にしゃべり、桜を驚愕させた。

茨木童子 (いばらぎどうじ)

ネビロス達、悪魔と敵対している鬼の一派で、学ランを着ている。厳つい顔にオールバックにサングラスをかけた、ヤンキー漫画の登場人物のような見た目とノリをしており、天使ヶ原桜からは「ジャンルが違う感じの人」とツッコまれていた。桜を人質に取り、ネビロスを誘き寄せたが、そのシチュエーションが余りにヤンキー漫画のノリであったため、桜とネビロスは危機的状況にもかかわらず、コントのようと感じられていた。 最終的に援軍に駆けつけた左門召介によって桜が人質から解放され、ネビロスに敗れた。それ以降、ヤンキーとして算文町を制覇しようとした際に、たまたま居合わせた嫌田悲恋と遭遇、一目惚れをする。恋愛に関しては一途で硬派な面を持ち、敵対した桜と左門にはかつての行いを謝罪し、嫌田と中を取り持つ事をわざわざ頭を下げてお願いした。 嫌田のためにイメチェンをしたり、バンド「鬼ゃん子」を結成して歌で告白したり、積極的に自分の想いを嫌田に伝えている。ただし嫌田がヤンキーは恋愛対象外で、人の話を聞かない性格なのもあって、なかなか距離が縮まらずにいる。

ルキフグス

大悪魔アスタロト麾下「赤き竜の六柱」第一柱で、宰相を務める上級悪魔。白い髪の毛を伸ばし放題にした気弱な青年の姿をしており、いつも自信なさ気な雰囲気を漂わせている。悪魔としての能力は「あらゆる財宝の管理」だったが、現代ではアニメグッズなどをお宝として収集する生粋のオタクとなってしまっている。またコミュニケーション能力が皆無に等しく、人見知りな性格から引きこもり気味であったため、上司のそんな姿を見かねたネビロスによって、リハビリとして天使ヶ原桜と引き合わされた。 コミュニケーションが得意ではないため空気の読めない言動をしてしまうが、素朴で包容力のある桜とは性格的な相性がよく、すぐに桜の事は気に入り、好意を抱いている。逆に人慣れしていないアンリ・マユとは性格的な相性がすごく悪く、夏祭りで出会った際にはお互いにケンカ別れの状態となった。 普段は人慣れしていないオタクとして周囲から蔑まれているが、実は「赤き竜の六柱」第一柱の座を実力でもぎ取った猛者。マステマに桜がさらわれた際には、普段とは打って変わって全盛期の姿で左門召介の召喚に応じ、力を貸した。 戦闘では能力の「あらゆる財宝の管理」を自分専用の武器庫として使い、古今東西の宝剣銘刀を圧倒的な身体能力で意のままに操る事ができる。最近はアニメの影響で日本刀がマイブームで、バラキエルと戦った際には「雷切」を使用して戦った。高い戦闘力を誇るが、長い引きこもり生活の所為で体力が落ちており、戦いの直後に体力が尽きて倒れている。 また精神攻撃にも弱く、テンションが下がるとその能力は著しく下がる。

サタナキア

大悪魔アスタロト麾下「赤き竜の六柱」第二柱で、大将を務める上級悪魔。十代半ばの美少女の姿をしており、明るく無邪気に振る舞っている。悪魔としての能力は「女性を魅了する」で、本人の女子力の高さも相まって「女子神」として一部では崇められている。アンリ・マユからも「女子神」として強く尊敬されているが、上司であるベルゼビュートからはその事を快く思われておらず、指摘された際には泣きながら謝罪していた。 能力の関係上、戦闘能力はないが、人手が必要な事態には適しており、マステマでの戦いでは町への悪霊の攻撃を防ぐ手伝いをした。アガリアレプトとは「ナッキー」、「アガっち」とあだ名で呼び合う仲で、よくいっしょに遊んでいる。見た目や普段の言動に反してかなり気づかいのできる人物で、ネビロスと左門召介の関係を親子みたいと評し、さり気なくネビロスの背中を押したりしている。 また「赤き竜の六柱」の誰もが恐れるアンリに対しても、唯一駄目だしをできる人物である。

アガリアレプト

大悪魔アスタロト麾下「赤き竜の六柱」第三柱で、司令を務める上級悪魔。くたびれた中年男性のような姿をしており、見た目相応の大人の余裕で同僚のネビロスを気遣う。悪魔としての能力は「あらゆる機密を暴く」で、彼の前ではあらゆる機密は意味をなさない。敵の正体や能力、弱点、事件の真相などを一瞬で丸裸にするため、マステマからは最も恐ろしい悪魔と称された。 一方、味方からは強力だけどすごい「地味」とされている。また「赤き竜の六柱」の中でも性格は不まじめな方で、自発的に仕事をする事は少ない。このため普段、自分達の代わりに経理関係の仕事を一手に引き受けるフルーレティには頭が上がらず、序列上は上にもかかわらず、フルーレティにはこき使われる事が多い。 サタナキアとは「ナッキー」「アガっち」とあだ名で呼び合う仲で、よくいっしょに遊んでいる。

フルーレティ

大悪魔アスタロト麾下「赤き竜の六柱」第四柱で、中将を務める上級悪魔。悪魔としての能力は「あらゆる仕事を一晩で終わらせる」で、スーツ姿で眼鏡をかけた敏腕ビジネスマンのような姿をしている。ネビロスが受肉して本来の仕事に穴を開けているうえ、ほかの面子が問題児だらけであるため、実質一人で「赤き竜の六柱」を経済事情をやりくりしている。 優秀な人物で、仕事に対してはまじめだが、人一倍厳しい性格もしており、必要があれば同僚であろうと容赦なく利用する。そのため序列では上のアガリアレプトもフルーレティには頭が上がらず、一番敵に回したくないと評している。天使ヶ原桜をアイドルにスカウトした際に、プロデューサー紛いの事をしていたため「中将P」と名乗り、以降桜からはその呼び名で呼ばれている。

サルガタナス

大悪魔アスタロト麾下「赤き竜の六柱」第六柱で、旅団長を務める上級悪魔。帽子のような形をした覆面をかぶった女性で、素顔をさらす事はないが、覆面の表情がコロコロ変わり、快活に周囲と接する。根はまじめだがノリが軽く、空気が読めない。そのため直属の上司であるネビロスの事は「先輩」として慕っているが、ネビロスの真意を間違って汲み取って、彼に胃の痛い想いをさせる事が多々あった。 悪魔としては「空間移動」「透明化」「鍵の開錠」「盗聴」と潜入や暗殺に特化した能力を持ち、左門召介には屋上に入るための鍵開けなどで召喚された。また普段は抜けた言動が多いが戦闘能力も高く、本気を出せばネビロスよりも強いとされている。現代社会にも適応しており、ネビロスが受肉して日銭を稼ぐため働いている横でカフェ慣れした様子を見せた。 その様子から周囲からはスイーツ系女子扱いされており、ネビロスからも裏で「スイーツ旅団長」と毒づかれている。

ベルゼビュート

地獄の三大支配者の一人で、目つきの鋭い青年の姿をしている。軍事においては絶対の権利を持ち、「赤き竜の六柱」も彼の決定に異をはさむ事はできない。直情的な言動が目立つが、暗君ではなく、アガリアレプトやネビロスからも信頼されている。地獄でも最強の悪魔の一人だが、そんな自分でも勝てないアンリ・マユには特別な執着心を向けており、左門召介と出会って年頃の乙女のようになってしまったアンリには、苛立ちにも似た感情を感じている。 そのためアンリ達、ゾロアスター勢力との戦争を決断し、「赤き竜の六柱」を召集して戦争の準備を始めた。アンリを捕らえ、左門達に宣戦布告して幽界の大牢獄で左門達を待ち受ける。戦争では非情だが、フェアな精神の持ち主で、左門が「赤き竜の六柱」を退けて自分のところにやって来た際には、薬を左門のお茶に混ぜ込んで傷を癒やしたり、左門が申し出たハンデを嫌がらず受け入れたり、器の大きさを見せつけた。 ハンデ状態でも圧倒的な身体能力を誇るが、「気高き王(バアル・ゼアル)」を使った本気状態では体に嵐をまとい、攻撃力、防御力、機動力が大きく上昇する。

サキュバス

左門召介が召喚した女悪魔。厚化粧にボディコンという、バブル時代を感じさせる姿をしており、普段はサキュバスの集まるキャバクラでサキュバスのキャバ嬢を務めている。悪魔としての能力は「異性への誘惑」だが、そのための特殊能力はなく、話術とテクニックで男性を魅了しているため、天使ヶ原桜からは実質「ただあだ名が淫魔の人」とツッコまれた。 左門が呼び出す悪魔の中では召喚に3時間必要と、最も呼び出すのに時間がかかる悪魔だが、その準備時間のほとんどはサキュバスの化粧時間で、不意に呼び出すとノーメイクの化物が出て来ると左門は語っている。桜には天性の淫魔の素質があると指摘しており、桜に自分のお店のヘルプを頼んだり、合コンに誘ったりしている。

マステマ

算文町で人々の無気力化事件を引き起こしていた黒幕。人当たりのよさそうな風貌をした優男だが、その本質は冷酷そのもの。人の信仰心を試し、欲に負けた人間を地獄に突き落とすのを役割とし、彼のもたらす誘惑に負けると、その人間は無気力化して徐々に衰弱し、最終的には死に至る。その名前の由来はヘブライ語で「敵意」「憎悪」を意味し、神のために人を誘惑する「必要悪」ともいうべき存在となっている。 算文町で出会った天使ヶ原桜には並々ならぬ執着心を見せ、彼女を天に導くのが自分の役割だと公言する。そして桜をさらい、算文山の建てた塔で左門召介とネビロスを待ち受けた。その実力は高く、左門を追い詰め、ネビロスの肉体を破壊するが、それがネビロスの受肉を解くきっかけとなり、ネビロスと左門の連携を前に敗れ去った。 敗れた後は幽界の監獄に囚われていたが、ベルゼビュートとの戦いで戦力を欲した左門に召喚された。左門の戦いに「便乗」して監獄から逃げるのを条件に、左門に協力する。「赤き竜の六柱」の中でも屈指の戦闘力を持つルキフグスとサルガタナスを同時に相手にしても引かず、戦いが終わるまで彼らの足止めを行った。

祓 正義 (はらえ まさよし)

私立算文高校の2年A組に転入してきた男子生徒。自己紹介で悪魔を祓う「祓魔士(エクソシスト)」と名乗ったため、左門召介と似ていると話題になっていた。白い学ランのような服を着たまじめな青年で、人を堕落させる悪魔とそれを私利私欲に利用する左門には嫌悪をあらわにする。左門は忘れていたが、祓正義は左門の実家で「祓魔士」としての技を学んでおり、祓の悪魔嫌いは当時「召喚術士」として技をメキメキ伸ばしていた左門に、数々の嫌がらせを受けた所為だった。 そのため左門の手の内は知っており、戦いでは数々の抵抗手段を用意して左門を追い詰めた。悪魔に対抗するため清めた塩を構内の至るところで盛る姿が見られるため、生徒達からは「盛り塩」のあだ名で呼ばれている。 また油で清める姿も見掛けられ、その際には「もこみち」とも呼ばれていた。「祓魔士」としての行動が、端から見ると完全に奇行にしか見えなかったため、当初は学校に馴染めず周囲からも色物扱いされていた。しかしドッジボールで外道な手段を使う左門を倒した事で周囲に認められ、もともとまじめで誠実な性格もあって、2学期が始まった頃には人気者になっていた。 マステマとの戦いでは町を守るため悪魔達と手を組み、塩による巨大な結界を張って町への攻撃を防いだ。

加護 小鳥 (かご ことり)

私立算文高校の1年の女子生徒。「友達と遊びたい」というラクガキを校舎の壁にしたため、そのラクガキが気になった左門召介に目を付けられた。教育熱心な母親に束縛されすぎた事で無意識の内にストレスを抱え込み、自由に遊びたいと心の底では思っていた。普段は下司な言動の多い左門も、先輩として純粋に自分を慕ってくれる加護小鳥の存在はかわいいらしく、彼女が自由に過ごせるように気遣って導いた。 箱入りのお嬢様といった風貌をしているが、実は見た物、聞いた物をそのまま模倣するという隠れた才能を持っている。部活動の見学に行った際には部の先輩達の技を次々と吸収し、その非凡な才能からあらゆる部活動から引く手あまたの存在となった。その後、演劇部に入りつつ役作りのために他の部活の助っ人をするという生活を送っている。 左門には先輩以上の感情を抱いており、自分が左門に向ける想いの正体にも気づいているが、左門と近しい距離にいる天使ヶ原桜の事が気になって距離を縮められずにいる。また一時期、左門に依存しすぎてた時期があり、その時は左門に苦言を呈されて反省している。

押江 諭 (おしえ さとし)

私立算文高校の2年B組の担任教師。眼鏡をかけた男性で、同僚達からも生徒想いな熱血教師として信頼されている。年齢は28歳。品行方正で、教師の手伝いもしてくれる天使ヶ原桜を受け入れたため、必然的に多くの問題児を受け入れる羽目になり、クラスの面々に頭を悩ませている。目下、自己紹介で「召喚術士」と名乗った左門召介の存在が一番の悩みの種で、彼を何とか中二病から卒業させようとしていた。 しかし逆に「召喚術士」である証拠を見せつけられてしまい、学校中に悪魔が存在するという別の悩みで頭を抱える羽目になり、疲れ果てた結果、ゲームに現実逃避した。

下呂 (げろ)

私立算文高校の2年B組の男子生徒。天使ヶ原桜とは1年生の時からクラスメイトで、1年生の時の社会見学で乗り物酔いした際に、献身的に自分を気づかう桜の姿を見て彼女に特別な想いを抱くようになった。その想いは恋愛というよりも崇拝に近いもので、桜本人の知らない内に「天使ヶ原桜ファンクラブ」を結成したが、その活動内容は単なるファンクラブというよりも宗教に近かった。 桜の周囲に恋愛色があると気分が悪くなるというセンサーのような能力を持ち、左門召介と桜の仲を誤解した際には、ファンクラブの面々といっしょに暴走した。しかし何をやっても応えない左門を前に自分達の力不足を実感し、「天使ヶ原桜ファンクラブ」を解散し、翌日に「新生天使ヶ原騎士団」として再結成してパワーアップした。 実は男子テニス部に所属しており、エースとして活躍している。

天使ヶ原 環 (てしがわら たまき)

天使ヶ原桜の母親。桜に似た雰囲気を持つ妙齢の婦人で、いつもにこやかな態度で周囲に接する。人当たりがよく、どんな人物にもやさしく接するが、天然でマイペースな部分があり、ベヒモスとブーシュヤンスタ達、悪魔が家に出入りしても普通に受け入れた。ただし同時に底知れぬ恐ろしさを感じる人物でもあり、次女の天使ヶ原輪も母親である天使ヶ原環の言葉にはおとなしく従い、左門の召喚したブーシュヤンスタですら飼いならしている。 桜の行く末を心配しており、このまま仏門に入って涅槃を迎えるのではないかと、明後日の方向に危惧を抱いていた。

天使ヶ原 輪 (てしがわら りん)

天使ヶ原桜の妹。品行方正な姉とは違い、髪を金髪に染めた中学生のヤンキー娘で、不良グループ「仏血霧」の二代目頭。算文町界隈では「二中の破壊天使リン」という異名でヤンキー達のあいだで恐れられている。天使ヶ原家にあがりこんで我が物顔で振る舞っていた左門召介と九頭龍芥を制裁し、以降二人を舎弟にしている。一般人ながら高い戦闘能力を持ち、左門が召喚術を使う前に魔法陣をつぶしたり、飛んできた「ウィルオウィスプ」を金属バットで打ち返したり、鬼神のような強さを持つ。 ネビロスもその強さは認めており、直接対峙した際にその強さに警戒した。昔は眼鏡をかけた内気な少女で、当時中学生だった嫌田悲恋にあこがれ、強い自分になりたいという想いから「仏血霧」に入った。 不良になっても自分を否定せず、心配してくれる姉の事は大好きで、姉妹仲はとてもいい。ただし不良として行き過ぎた行動をした場合は姉に叱られ、その際は普段の粗野な性格が鳴りを潜め、本来の内気で泣き虫な面が出てしまう。

天使ヶ原 円 (てしがわら まどか)

天使ヶ原桜の父親。爽やかで人当たりのいい性格をした会社員で、部長として部下達からも慕われている。妻と娘達を何より大切にしており、そこに土足で踏み込む左門召介には憎悪にも似た感情を抱いており、左門を倒すためありとあらゆる努力を重ねた。その甲斐あって当初は左門に成す術もなく倒されていたが、最終的には勝利こそできないものの食い下がる事はできており、左門に父親の執念を見せつけて怯えさせる事に成功した。

左門 召呼 (さもん しょうこ)

左門召介の母親。息子と同じく特徴的なトンガリ頭で、トンガリが側頭部から両側に出て角のようになっている。年齢は34歳。「祓魔士」を家業として細く長く続けている。気が合えば悪魔とも親しげに接する竹を割ったような性格で、息子の近況もネビロスから聞いていた。父親と協力して「祓魔士」の仕事に誇りを持って取り組んでいる。 しかし、両親がそろって他人のために犠牲になる姿を見せ続けたため、それが却って召介に我慢を強いる事となり、彼が「召喚術士」としての道を選ぶきっかけとなってしまった。息子の幸せを何より祈っているが、「召喚術士」と「祓魔士」が本気でぶつかり合えば必然的に殺し合いに発展してしまうため、現在では召介ときちんと向き合えなくなってしまった事を後悔している。 自分達とは違う立場で召介と接する事のできる天使ヶ原桜に期待しており、息子に寄り添ってほしいと彼女にお願いした。

その他キーワード

召喚術 (しょうかんじゅつ)

左門召介が悪魔や悪霊を呼び出すために使う術。召喚術を使うためには複雑な紋様の魔法陣が必要で、魔法陣以上の大きさの悪魔を召喚する事はできない。このため召喚術の使用には、悪魔を召喚するための空間と魔法陣を作るための時間が必要不可欠となっている。ただし魔法陣を予め用意して置くのは可能で、紋様が正しく描かれていれば、コピー機で刷った物や携帯電話のメールに添付した画像でも問題はない。 下位の悪魔であれば本人の意思を無視して召喚し、使役する事も可能。一方で、対象が強力な封印下にあったり、上位の悪魔だった場合は召喚できても従わない可能性がある。

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