概要・あらすじ
柔道部のない県立浜名湖高校に入学し、偶然クラスメイトになった粉川巧たち5人は、中学時代から柔道のライバル同士だった。協力して柔道部を立ち上げ、他校との試合をしていくことで新たなライバルとも出会い、5人それぞれが強くなっていく。無名校ながら地区大会でも勝ち進み、やがて全国大会へと駒を進めるまでに成長していく。
登場人物・キャラクター
粉川 巧 (こがわ たくみ)
県立浜名湖高校柔道部で主に先鋒を務める。実力者揃いのチームの中で初期の頃は不安定な存在だったが、天性の勘の鋭さを持ち、ここぞというときに爆発的な力を発揮してどんどん実力をつけていった。部のマネージャー近藤保奈美とは相思相愛の仲で、窮地に陥ったときも保奈美の声援を耳にすることで「火事場のバカ力」を発揮し逆転することがある。
杉 清修
『帯をギュッとね!』の登場人物で、粉川巧とは同級生で同じ県立浜名湖高校柔道部に所属、部長を務める。実家が浄土真宗の寺のため丸坊主にしている。巧とは北部中学から一緒でその頃からの親友。チームのムードメーカー的な存在で、物語中はギャグキャラクターとしての役割を果たすことが多いが、「よく見ると美形」とも言われ女子の人気もある。
斉藤 浩司 (さいとう こうじ)
『帯をギュッとね!』の登場人物で、粉川巧とは同級生で同じ県立浜名湖高校柔道部に所属し、副部長を務める。いつも閉じているような細い目が特徴。入浴時以外はいつも髪を逆立てているため、「ハリネズミ頭」などと呼ばれることもある。身体が柔軟で間接技を避けやすく、いくつもの技を連続して仕掛ける連携技を得意とする試合巧者で、団体戦では大将を務めることが多い。 中学時代は南部中学の柔道部主将だった。
宮崎 茂 (みやざき しげる)
『帯をギュッとね!』の登場人物で、粉川巧とは同級生で同じ県立浜名湖高校柔道部員。チームで一番小柄ながら、巴投げを得意とする実力者。三溝幸宏とは同じ東部中学に通っていた幼なじみで、気の強い性格でいつも引っ張っていく立場だった。中学時代は柔道部主将で、軽量級で県大会ベスト4まで行った成績の持ち主でもある。
三溝 幸宏 (みつみぞ ゆきひろ)
『帯をギュッとね!』の登場人物で、粉川巧とは同級生で同じ県立浜名湖高校柔道部員。高校一年生にして身長195センチという体格に恵まれ、内股や祓い腰を得意とするダイナミックなスタイルが身上。東部中学柔道部時代からその強さを知られていた。性格は意外と涙もろく、幼い頃泣き虫だったため、幼なじみの宮崎茂によく叱られていた。
近藤 保奈美 (こんどう ほなみ)
県立浜名湖高校柔道部マネージャー。粉川巧とは幼馴染みで、恋人同士。大人しく真面目な性格だが、巧のことになると夢中になって行動が大胆になる。みずから他高校柔道部に接触し、選手のデータを集めてくる行動力も持つが、巧が窮地に陥ると反射的に泣き出したり、無意識のうちに大声を上げて応援していることがある。
海老塚 桜子 (えびづか さくらこ)
近藤保奈美同様、県立浜名湖高校柔道部マネージャーで、後に正式な部員となる。ポニーテールの髪がトレードマークで、保奈美とは対照的に感情豊かで激しやすい性格。保奈美とは中学が一緒でその頃からの親友同士だが、クラスや部活でともに過ごすうち、粉川巧に思いを寄せるようになる。 50メートル走7秒フラットという記録をはじめ優れた運動神経を持っており、後輩の来留間麻里入部後練習相手としての必要性から柔道を始め急速に成長していく。オバケなど怖いものが苦手。
来留間 麻理 (くるま まり)
粉川巧の一年後輩で、県立浜名湖高校柔道部初の女子部員。三方ヶ原工業高校で藤田恵の二年先輩で天才と呼ばれていた来留間大志の妹で、兄譲りといえる桁違いの才能と天然ボケを発揮する。中学が一緒で同じ年に入部した仲安昌邦と仲がいい。
倉田 龍子 (くらた りゅうこ)
『帯をギュッとね!』の登場人物で、粉川巧たちの属する県立浜名湖高校1年8組の担任教師で、柔道部顧問。黒縁メガネをかけた理知的な印象の美人数学教師ということで生徒たちの人気も高い。マイペースな性格に剣道三段の実力を持ち、柔道については初心者ながら父倉田典善のアドバイスもあって指導はスパルタ形式。部活指導中は竹刀片手のことが多い。
倉田 典善 (くらた てんぜん)
県警察で柔道の師範をしているこわもての巨漢だが、倉田龍子の父親で中学時代から粉川巧らの実力に注目し、コーチ役も務めるなど師匠同然の存在。丸刈り頭に刃物傷らしき三日月型の傷跡がある上、細く鋭い目つきは白目がち、口ひげやスーツ姿もともすれば警察というよりもヤクザ風に見える。
西久保 亨 (にしくぼ とおる)
倉田典善が指導する県警察柔道部に所属する機動隊員。元国体強化選手で県警柔道部でも指折りの存在だったが、倉田典善が引き合わせたことから県立浜名湖高校柔道部を指導することになり、後に退職後正式にコーチとして就任する。
藤田 恵 (ふじた めぐみ)
三方ヶ原工業高校柔道部員で、粉川巧のライバル。内股を得意とし、中学時代に全国優勝しているつわもので、1年生にして県大会優勝候補でもある強豪校のレギュラーに選ばれる。ナルシスト傾向がありプライドが高く、負け知らずだったところを練習試合で自分を投げた粉川巧を強く意識するようになる。 普段はクールにしているが、巧が絡むと感情をむき出しにすることが多い。
関谷 和実 (せきや かずみ)
三方ヶ原工業高校柔道部員。藤田恵と同学年だが、チームの中でももっとも段位取得が遅かった。しかし返し技全般を得意とし、その実力も高かったため昇段試験で対戦した粉川巧を破っている。
石塚 孝裕 (いしづか たかひろ)
近藤保奈美と海老塚桜子の中学時代の先輩で、当時保奈美に好意を持っていて告白したが断られた過去がある。中学時代はバレー部だったが、県内有数の進学校である佐鳴高校で柔道部に入り、県立浜名湖高校を仮想敵に腕を磨いていた。女生徒たちからはアイドル並みの人気がある。
袴田 今日子 (はかまだ きょうこ)
『帯をギュッとね!』の登場人物で、佐鳴高校柔道部の女子部員。高校柔道選手権の女子体重別個人戦で全国優勝している実力者。石塚孝裕とは両思いだが、弟袴田豊らの邪魔が入ることが多く関係がしにくい。ショートカットのヘアスタイルがトレードマーク。全国クラスの実力者で、テレビ番組の取材なども受けるなど注目を集めており男子からの人気も高い。 杉清修、宮崎茂、三溝幸宏もアイドルに対してファンがするような親衛隊を作っている。
袴田 豊 (はかまだ ゆたか)
『帯をギュッとね!』の登場人物で、佐鳴高校の柔道部員。袴田今日子の弟で、高い実力を持つ姉にコンプレックスを抱き柔道を辞めていたが、海老塚桜子に一目惚れして自発的に柔道部に入っている。柔道再開前はオールバックの髪型にしていたが、高校柔道選手権の地区予選に出場した際には丸坊主に変えていた。
堀内 平八郎 (ほりうち へいはちろう)
粉川巧と近藤保奈美の幼なじみ。子供の頃は泣き虫でいじめられっ子だったため巧に助けられることが多かったが、強くなるため格闘技を身につけた。新設校の私立暁泉学園にスポーツ特待生として入学し、柔道部主将となっている。柔道はパワーを活かしたスタイルだが、ボクシングの経験もありフットワークも軽い。 幼い頃、巧のことは「タッちゃん」、保奈美のことは「保(ほっ)ちゃん」と呼んでいた。
永田 賢 (ながた けん)
『帯をギュッとね!』の登場人物で、私立暁泉学園の柔道部員。整った顔立ちに髪を長く伸ばしているため女性のように見える上、言葉遣いも女性のようにしているが柔道の実力は高い。試合で「キレ」た状態になると二重人格であるかのように性格が変わり、目つきまで悪くなってより強くなる。当初「怒り」あるいは「くしゃみ」で性格が切り替わっていたが、後に自分で頬を叩いて切り替えられるようになる。
佐野 直弼 (さの なおすけ)
『帯をギュッとね!』の登場人物で、私立暁泉学園の柔道部員。坊主頭で粗暴な性格を持ち、大会中に袴田今日子をナンパしようとするヒールキャラクター。
原田 彦蔵 (はらだ ひこぞう)
『帯をギュッとね!』の登場人物で、私立暁泉学園の柔道部員。とても高校生には見えない老け顔の持ち主。本来はゴルフ部員だが、員数合わせのため素人ながら柔道部員も兼任している。勝ち抜き戦に「大将」として出場していたため、堀内平八郎らの勝利で試合を行うことがなく、素人であることがほとんど知られていなかった。 普通の足払いとほとんど変わらないが、ゴルフの経験を活かした「ドライバーショット足払い(略してD・S・A)」を使い、一度粉川巧の不意を突いて破っている。
酒井 法男 (さかい のりお)
高校柔道選手権の地区大会で優勝候補のひとつとされた赤石林業高校の柔道部員で、後に部長。地区予選で県立浜名湖高校と当たり、先鋒として粉川巧と試合し敗北する。丸坊主に口ひげが特徴で口は悪いが、巧たちの実力は認めている。
西村 知実 (にしむら ともみ)
『帯をギュッとね!』の登場人物で、赤石林業航行の柔道部員。190センチの身長を誇る、地区随一の重量級選手だったが、三溝幸宏に敗れる。酒井法男が部長になった後も、副部長となりコンビで幾度となく粉川巧たちと顔をあわせている。斜視で両方の目が別方向を向いているように見えることが多い。
玉城 一史 (たましろ かずふみ)
高校柔道選手権の地区大会で優勝し全国大会に出場した県立浜名湖高校を一回戦で破った沖縄尚北の中心人物。同年大会の男子無差別級個人戦で優勝している。
栗末 鳩子 (くりすえ はとこ)
県立浜名湖高校テニス部の部長。海老塚桜子の並外れた運動能力を知り、副部長の丸智奈(まるちな)とともに勧誘を行う。
杉 薫 (すぎ かおる)
杉清修の2年下の妹。杉家を訪れた粉川巧を気に入って好意を寄せるようになるが、自己中心的な腹黒キャラで、兄も含め他人の言うことはあまりきかない性格を持つ。
集団・組織
県立浜名湖高校 (けんりつはまなここうこう)
『帯をギュッとね!』の主な舞台となる高等学校。柔道部自体が存在していなかったが、粉川巧らが部を設立し、強豪校とも渡り合ってゆくことになる。
三方ヶ原工業高校 (みかたがはらこうぎょうこうこう)
『帯をギュッとね!』に登場する相手校のひとつ。県立浜名湖高校柔道部が初めて合同練習を行った相手で、その前年度の高校柔道選手権地区大会の優勝校。
佐鳴高校 (さなるこうこう)
『帯をギュッとね!』に登場する相手校のひとつ。県下でも指折りの進学校で、スポーツ面で特に目立ったところはなかったが、石塚孝裕が柔道部に入ったことで強豪校のひとつとして名を連ねるようになる。女子部員も多く、特に袴田今日子がテレビ取材を受けるなど注目を集めている。
暁泉学園 (ぎょうせんがくえん)
『帯をギュッとね!』に登場する相手校のひとつ。近年新設された私立校で、特に運動部系の活動に力を入れており、スポーツ特待生制度だけでなく施設やコーチ契約にも多額の費用をかけている。全国的に高い成績を収めたクラブの部員は優遇されるが、そうでなければ奨学金なども取り消されることがある厳しい条件が生徒に課されている。
その他キーワード
山嵐 (やまあらし)
『帯をギュッとね!』で描かれた柔道技の一種。中学三年生の粉川巧が昇段試験で三溝幸宏を相手に決めた投げ技。タイミングを取ることが非常に難しいため「幻の技」とも呼ばれている。冨田常雄の小説『姿三四郎』に登場する技として有名。
谷落とし (たにおとし)
『帯をギュッとね!』で描かれた柔道技の一種。高校柔道選手権地区大会で赤石林業高校と対戦した際、大将戦前の斉藤浩司に倉田典善が奇襲戦法として教え、ぶっつけ本番で使われた技。相手の膝を持ち上げてバランスを崩し、背中から倒して一本を取っている。
ヴァン・デ・ヴァル投げ (ゔぁんでゔぁるなげ)
『帯をギュッとね!』で描かれた柔道技の一種。モスクワオリンピックで金メダルを獲得した、ベルギー人のロベルト・バンドワールが考案した双手刈りから相手を持ち上げて後方に倒す技。高校柔道選手権地区大会で三溝幸宏が使用している。