あらすじ
第1巻
ある日の放課後、古田梨沙子は友達と偶然立ち寄った「おむすび屋」で梨沙子の母の事を思い出す。その店のおむすびは梨沙子の母が作る味と非常によく似ており、梨沙子は懐かしさを覚える。その事がきっかけとなり、梨沙子は梨沙子の母が作るおむすびを食べたいと願うものの、梨沙子の母はフルタイムで忙しく働いており、なかなか言い出せずにいた。そんな中、梨沙子は中学校に進学して初めて、バレーボール部の大会に出場する機会を与えられる。梨沙子は母親におむすびを持って応援しに来てほしいとお願いをするが、偶然にも姉である古田恵理の成人式の前撮りの日と重なり、梨沙子の母は一生に一度の事だからと恵理を優先する。(ごはん1「おむすび」。ほか、9エピソード収録)
登場人物・キャラクター
古田 梨沙子 (ふるた りさこ)
エピソード「おむすび」に登場する。中学1年生の女子で、年齢は13歳。学校ではバレーボール部に所属している。年の離れた姉の古田恵理に手がかからなくなった事で梨沙子の母がフルタイムで働くようになり、気にかけてもらえない寂しさを覚えている。忙しい母親に気を使って、本当は手作りおむすびが食べたい事を言い出せずにいる。
亜希子 (あきこ)
エピソード「明石焼き」に登場する。充徳の妻。兵庫県姫路市出身で、現在も市内に住んでいる。充徳の母が姫路市に観光にやって来ると聞き、周囲から情報を集めて事前調査していたものの、彼女の気まぐれな行動に振り回される。言いたい事をはっきり口にするタイプの充徳の母に対して苦手意識を抱いている。しかし、いっしょに観光をするうちに、彼女が不器用なだけで本当は優しい女性だという事に気づく。
実花 (みか)
エピソード「ドライカレー」に登場する。亮太と交際中の女性で、サバサバとした性格の持ち主。ふだんはスカートよりパンツスタイルを好んでいる。コーヒーは豆から淹れるこだわり派で、家事や料理などは大の苦手。亮太の実家にあいさつに行き、亮太の母が家事を完璧にこなす姿を見て自信を失う。
明子 (あきこ)
エピソード「温泉卵」に登場する。友樹の妻。当時、スキーインストラクターのアルバイトをしていた友樹と、ゲレンデで知り合った。娘の優花を結婚前に身ごもった。この件で、明子の父に激怒された事で絶縁されており、孫にあたる優花を会わせた事はないが、母親とは定期的に連絡を取り合っている。雪国生まれで、幼い頃は父親からスキーを習っていた。
若菜 (わかな)
エピソード「エビピラフ」に登場する。地方の街に暮らす女性で、年齢は25歳。紗枝、あやみんとは小学校時代から親しく付き合っており、現在も実家で暮らしている。明るく朗らかな性格の持ち主で、やや天然気味な一面を持つ。独身で未だに恋人はいない。
中上 真帆 (なかがみ まほ)
エピソード「肉じゃが」に登場する。会社員の女性で、母子家庭に育つ。祖父母もいた事で寂しさを感じた事はなかったものの、母親が再婚したために寂しさを覚えている。一人暮らしをスタートさせたが金銭的な余裕がなく、節約生活を送っている。同じ職場のゆりえから、知り合いが集まる飲み会に誘われたものの、ゆりえのような裕福で世間知らずな人しか集まらないのだろうと、乗り気ではなかった。その飲み会で知り合った坂下光博からアプローチを受けるようになり、わざと嫌われるように「里芋堀りデート」を提案した。しかし嫌がるどころか喜んで参加する光博に対し、少しずつ心を許すようになっていく。
ヨーコ
エピソード「フルーツサンド」に登場する。美羽の母親で、親戚の結婚式に参加するために久しぶりに出身地を訪れる。現在の悩みは、美羽が声優の専門学校に進学したいと言っている事で、狭き門であるために反対をしている。
智美 (ともみ)
エピソード「揚げパン」に登場する。陽菜の母親で、専業主婦をしている。幼い頃から引っ込み思案な陽菜を心配していたが、小学校では活発な香澄と親しくなり、安堵していた。しかし、香澄と仲たがいをして落ち込む陽菜の姿を見て、自分は母親として何をするべきかを悩んでいる。弓子とは小学校時代からの親友。
佳奈 (かな)
エピソード「おうちカレー」に登場する。村田亮介と婚約中の女性で、結婚式の準備に追われている。亮介から式を挙げたいと言い出したにもかかわらず、今一つ協力的ではない亮介に対して不満を抱く。また、自宅で手料理を振る舞う際に亮介がカレーしかリクエストしないため、自分が作る料理は口に合わないのではないかと悩んでいる。
里奈 (りな)
エピソード「つきたて餅」に登場する。康平と交際をしている女性。これまでの恋愛は二股をかけられるなど、いい思い出がない。デートの約束をしていた日、康平が急きょ実家に帰ってしまった事をきっかけに、地元に彼女がいるのではないかと疑う。そんな中、勝手に康平の実家へと向かい、康平が家族で行われる餅つき大会のために帰郷した事を知って安堵する。そして、自分も餅つき大会に参加すると言い出す。
古田 恵理 (ふるた えり)
エピソード「おむすび」に登場する。古田梨沙子の姉で、年齢は19歳。もうすぐ、成人式を迎えようとしている。年の離れた妹の事はかわいがっているものの、梨沙子が母親のぬくもりを求めて寂しがっている事には気づいていない。
梨沙子の母 (りさこのはは)
エピソード「おむすび」に登場する。古田梨沙子と古田恵理の母親。恵理が成長して手がかからなくなった事をきっかけに、フルタイム勤務を開始した。まだ母親を欲している梨沙子の寂しさを想像できずにいる。
充徳の母 (みつのりのはは)
エピソード「明石焼き」に登場する。充徳の実母で、亜希子の義理の母にあたる。兵庫県明石市出身。思った事はすぐに口にするタイプで、亜希子からは苦手意識を抱かれている。しかし、実は感情表現が下手なだけで、本当は心優しく細やかな部分にも気配りができる女性。
充徳 (みつのり)
エピソード「明石焼き」に登場する。亜希子の夫。兵庫県明石市出身で、現在は亜希子と共に姫路市に住んでいる。充徳の母が姫路市にやって来る事を聞き、その日が平日だった事から亜希子に観光案内を任せる。亜希子が自分の母親に対して苦手意識を抱いている事には気づいていない。
亮太 (りょうた)
エピソード「ドライカレー」に登場する。実花と交際中の男性で、おおらかで細かな事は気にしない性格の持ち主。将来的に実花との結婚も考えており、実家にあいさつに来ないかと誘う。
亮太の母 (りょうたのはは)
エピソード「ドライカレー」に登場する。亮太の母親で、掃除も料理も完璧にこなしている。実家にあいさつにやって来た実花に料理を振る舞ったものの、特に彼女からの感想はなかった。
友樹 (ともき)
エピソード「温泉卵」に登場する。明子の夫。スキーインストラクターのアルバイトをしていた際に明子と出会い、そのまま交際をスタートさせた。娘の優花がいる。明子が妊娠した事で結婚を決意したものの、明子の父に激怒され、以降明子の実家とは疎遠になっている。父親が自分を嫌うのは当然だと考えており、明子には早く和解してほしいと願っている。現在は正社員として働いている。
優花 (ゆうか)
エピソード「温泉卵」に登場する。明子と友樹の娘。元スキーインストラクターの友樹からスキーを習っている。明子が絶縁している事もあり、祖父である明子の父とは会った事がない。
明子の父 (あきこのちち)
エピソード「温泉卵」に登場する。明子の父親で厳格な性格の持ち主。当時、スキーインストラクターのアルバイトをしていた友樹と、結婚前にもかかわらず妊娠したと聞いて激怒し、明子と絶縁する。のちに生まれた孫の優花とは会った事がない。明子が幼い頃にはスキーを教えていた。
紗枝 (さえ)
エピソード「エビピラフ」に登場する。若菜、あやみんと小学校時代からの付き合いがある女性で、年齢は25歳。名門私立小学校で教師を務めている。小学生の頃に東京から転校してきた際、きどっているといじめられていたところを若菜に助けられた過去を持つ。実家が遠方に引っ越す事になり、今後は若菜たちと会えなくなる事を寂しく感じている。
あやみん
エピソード「エビピラフ」に登場する。若菜、紗枝と小学校時代からの付き合いがある女性で、年齢は25歳。アニメや漫画が大好きな、いわゆるオタク。趣味を通じて出会った男性と婚約し、近日入籍をする予定となっている。オタク同士のカップルだと奇異な目を向けられる事も多く、悩んでいた時期もあったが、若菜からあやみんが好きなら気にする必要はないと言われ、励まされた過去を持つ。
坂下 光博 (さかした みつひろ)
エピソード「肉じゃが」に登場する。ゆりえとボーイスカウトの活動を通して知り合った男性。中上真帆とはゆりえ主宰の飲み会を通じて知り合い、興味を抱いた。出会った当初は、世間知らずなお坊ちゃまだろうと真帆から避けられていたものの、実際はしっかりとした性格をしている。アウトドアが趣味で、真帆が嫌われるためにわざと提案した「里芋堀りデート」にも喜んで参加した。
ゆりえ
エピソード「肉じゃが」に登場する。中上真帆と同じ会社に勤務している女性で、趣味は歌舞伎鑑賞。ふだんの服装や言動から苦労知らずのお嬢様のように見えるため、真帆から苦手意識を抱かれている。しかし実際は、アウトドア好きの活発でサバサバとした性格の持ち主。ボーイスカウト活動で坂下光博と知り合い、真帆と相性がよさそうだと感じ、さり気なく二人を引き合わせた。
美羽 (みう)
エピソード「フルーツサンド」に登場する。ヨーコの娘で年齢は10代。親戚の結婚式に参加するため、久しぶりに母親の出身地を訪れる。将来の夢は声優になる事で、専門学校に進学したいと考えている。
岩田 (いわた)
エピソード「フルーツサンド」に登場する。ヨーコと高校生時代にクラスメートだった男性で、既婚者。学生時代はヨーコに片思いをしていたが、告白できずに終わる。
陽菜 (はるな)
エピソード「揚げパン」に登場する。智美の娘で、小学1年生になったばかり。幼い頃から引っ込み思案で、自己主張をするのが苦手。自分が我慢すればすべてうまくいくと、感情を抑える事が多い。小学校で香澄と親しくなったものの、給食の時に出た揚げパンのお代わりを巡って仲たがいをしてしまう。その事がきっかけで落ち込み、朝になると腹痛を起こす事を悩んでいる。
香澄 (かすみ)
エピソード「揚げパン」に登場する。陽菜の友達で、小学1年生になったばかりの女の子。活発で明るい性格で、引っ込み思案な陽菜に自分から声を掛け、すぐに親しくなった。しかし、給食の時に出た揚げパンのお代わりを巡って仲たがいをしてしまう。その事がきっかけとなり、陽菜を避けるようになる。
弓子 (ゆみこ)
エピソード「揚げパン」に登場する。智美と小学生時代からの親友の女性。今は地元から遠く離れた場所に住み、専業主婦をしている。陽菜と香澄との関係に悩む智美に対し、揚げパンを作ってみてはどうかと提案する。
村田 亮介 (むらた りょうすけ)
エピソード「おうちカレー」に登場する。佳奈と婚約中の男性。村田亮介自身から式を挙げたいと言い出したものの、準備のほとんどを佳奈に任せている。そのため、佳奈からは協力的ではないと不満を抱かれているが、亮介本人はまったく気づいていない。佳奈から手料理のリクエストを聞かれた際には、つねにカレーしかお願いした事がない。
康平 (こうへい)
エピソード「つきたて餅」に登場する。里奈と交際をしている男性。しっかりしているようでどこか抜けた性格で、スマートフォンの充電を切らしてしまう事が多い。母親から家族で行う餅つき大会の手伝いをしてほしいと依頼され、里奈とのデートの約束を断った事で浮気を疑われてしまう。真相を確認するために実家にやって来た里奈を交え、餅つき大会を取り仕切る。