あらすじ
根本七保子は第二次世界大戦時下で、非常に貧しい暮らしを強いられながら生きていた。足に障害を持つ母親と幼い弟を自らが守っていこうと決意した七保子は、定時制高校に通いながら15歳で生命保険会社で働くことになる。そんな中、同僚から誘われて訪れたバーで出会った黒川暎二と初恋に落ちる七保子だったが、暎二はほどなくして結核を発症し、隔離病院に入院したが病死してしまう。暎二と死別してから高級クラブ「コパカバーナ」で働き始めた七保子は、そこでインドネシア建国の父と賞賛されるスカルノ大統領と出会う。出会ってすぐに二人は意気投合し、お互いの魅力を感じ合った七保子とスカルノ大統領は、出会って間もなく結婚。インドネシアでの幸せな結婚生活を夢見ていた七保子だったが、政情不安から単身一時帰国することとなる。そんなある日、母親が脳軟化症で倒れてしまう。翌年、母親の病死と弟の自殺を目の当たりにした七保子は、日本国籍を捨ててインドネシア国籍を取得し、「ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ」と名乗るようになる。
関連作品
エッセイ
本作『漫画版 選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の華麗で激動なる人生』は、デヴィ・スカルノのエッセイ『選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論』を原作としている。原作エッセイは講談社「講談社文庫」から刊行されている。本作で描かれているのは原作エッセイの第1章に該当する部分で、原作の第2章からは、日本の女性に向けた婚活のススメや、デヴィ本人の経験をもとに男女の恋愛についてのアドバイスが記述されている。
登場人物・キャラクター
根本 七保子 (ねもと なおこ)
のちにインドネシアのスカルノ大統領の第3夫人になる女性。第二次世界大戦が勃発した翌年に生まれ、幼少期は疎開先や焼け野原となった東京で極貧生活を送っていた。中学校では成績優秀だったが、家計を助けるために定時制高校に通いつつ、15歳で生命保険会社に就職している。黒川暎二と死別してからは、高級クラブ「コパカバーナ」で働きながら英語力に磨きをかけていく。お店でスカルノ大統領と出会ってプロポーズを受けてからは、日本を離れインドネシアで生活していた。しかし帰国中に母親が病に倒れ、翌年、母親の病死の直後に弟が自殺してしまう。それ以降、日本国籍を除籍してインドネシア国籍を取得し、スカルノ大統領から送られた「ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ」を名乗るようになった。インドネシアの政情不安から長女のカリナの妊娠中は日本に避難していたが、激しいバッシングに遭い、出産後にフランスへ亡命している。何度もインドネシアに帰国しようとしたが、当局からの許可が下りず、懇意にしているジャーナリストの手を借りてインドネシアに入国する。実在の人物、デヴィ・スカルノがモデル。
黒川 暎二 (くろかわ えいじ)
根本七保子の初恋相手の男性。エリザベス・テイラーを男性にしたような整った容姿をしている。七保子が職場の同僚に誘われて訪れたバーで働いており、七保子に結婚を申し込んだ。しかし数か月後、結核を発症したため隔離病棟に入院したが亡くなる。
スカルノ大統領 (すかるのだいとうりょう)
インドネシアで大統領を務める男性。「インドネシア建国の父」とも呼ばれている。高級クラブ「コパカバーナ」で根本七保子と出会い、その美貌と教養の深さに好意を抱くようになる。インドネシア国内での混乱が続く中で憔悴(しょうすい)し、癒やしを求めて七保子をインドネシアに2週間招待した際にプロポーズした。しかし、インドネシア国内の緊張が高まったため、妊娠中の七保子を出産のため日本へ帰国させる。その後、七保子の帰国の目処(めど)がつかないまま、革命軍によって宮殿から追放、幽閉された。実在の人物、スカルノがモデル。
クレジット
- 原作
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ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ