あらすじ
第1巻
小学生の頃からいじめられっ子の小鳥遊雪音は、高校に入学してからも結城奏汰たちから壮絶ないじめを受けていた。そんな中、雪音の父親の小鳥遊仁と奏汰の母親の結城玲奈の再婚が決まる。雪音は奏汰と一つ屋根の下で暮らす事になり、学校でも家庭でも逃げ場がなくなってしまう。ある日、雪音は奏汰と不良仲間から呼び出されて散々嫌がらせを受けたあと、コンビニで万引きをするように命じられる。しかし、万引きなどした事のない雪音は、すぐに店員の小田切蒼空に見つかってしまう。雪音の反応を見た蒼空は、誰かに無理やり万引きをさせられているのではないかと察し、雪音の力になりたいと申し出る。久しぶりに他人から親切にされた雪音は感激し、もっと蒼空と知り合いたいと親睦を深めていく。バレンタインデーにも奏汰たちからの嫌がらせを受けるが、蒼空にチョコレートを渡し、さらに矢吹心夏とも仲よくなれた事で幸せな時間を過ごしていた。そんな中、奏汰はカゼを引いて寝込んでしまうが、玲奈から冷たくされた奏汰を見た雪音は、自分が看病しようと立ち上がる。
第2巻
小鳥遊雪音は小田切蒼空という心強い味方ができた事で、結城奏汰を前にしてもひるむ事はなくなっていた。そんな中、雪音は奏汰、父親の小鳥遊仁、母親の結城玲奈の四人で温泉に行く事になる。そこで奏汰は、宿泊先の旅館で偶然を装った蒼空や小田切春兎と顔を合わせ、いっしょの部屋に泊まる事になる。初めて奏汰と会話を交わす事になった蒼空は、なぜ雪音をいじめるのかを問い、いじめの陰湿さといじめられた側の心の傷について強く訴え、奏汰は何も言えなくなってしまう。その後、奏汰は上級生から無抵抗の女相手に過激ないじめを繰り返す犯罪者だと目をつけられ、病院に搬送されるほどのケガを負ってしまう。蒼空からの厳しい言葉、そして自分がケガを負った事で奏汰はこれまでの行いを心から反省し、雪音と両親の前で謝罪をする。その後、奏汰からのいじめはなくなったものの、雪音は風祭うるからの嫌がらせを受けていた。歌が苦手にもかかわらず合唱祭のソロパートを歌うように命じられた雪音に対し、奏汰は自分がサポートすると練習役を買って出る。
登場人物・キャラクター
小鳥遊 雪音 (たかなし ゆきね)
高校1年生の女子で、年齢は16歳。8歳で母親を事故で失い、父親の小鳥遊仁と二人暮らし。10歳の時からいじめを受けるようになり、高校生になってからは結城奏汰たちからいじめのターゲットにされている。おとなしい性格で、自己主張をする事が苦手。壮絶ないじめを受けても反撃はせずに、なんとかやり過ごそうとするタイプ。仁が再婚した事によって奏汰と義理のきょうだいになり、学校でも家庭でもいじめを受けるようになって絶望する。しかし、どんな時でも他人に対する優しさを忘れない事から、次第に奏汰から異性として意識されるようになる。小鳥遊雪音自身は、いつも自分に勇気を与えてくれる小田切蒼空の事が気になっている。奏汰からは「ブス」と暴言を吐かれているが、実際は素朴な雰囲気のかわいらしい容姿の少女。
結城 奏汰 (ゆうき かなた)
高校1年生の男子で、年齢は16歳。小鳥遊雪音と同じ学校に通っている。母親の結城玲奈と二人暮らしのシングルマザーの家庭に育つ。つねに強気に振る舞っているが、過去に実父から押し入れに閉じ込められたトラウマで、暗い場所が大の苦手。素行が非常に悪く、高校入学当初からおとなしい性格の雪音に目をつけ、風祭うる、桜田流星と共に激しいいじめを繰り返す。結城奏汰自身も小学校の頃に壮絶ないじめを受けており、「傷つけられないためには、誰かを傷つけて身を守るしかない」と考え、気弱な雪音をターゲットにしている。雪音の父親の小鳥遊仁と玲奈が再婚した事により、雪音と義理のきょうだいになってしまう。最初は学校だけでなく自宅でもいじめを繰り返していたが、つねに優しい雪音の人柄に触れ、次第に異性として意識し始める。
小田切 蒼空 (おだぎり そら)
高校2年生の男子で、年齢は17歳。小鳥遊雪音とは別の高校に通っている。さわやかで整ったルックスの持ち主。雪音と同じ高校に通う弟の小田切春兎がいる。コンビニで従妹の矢吹心夏と共にアルバイトに励んでいる。雪音が結城奏汰とその不良仲間から、小田切蒼空自身が働くコンビニで万引きを強要されていた事に気づき、優しく声を掛けた。中学生時代に交際していた彼女が、いじめによって自殺未遂を起こした過去があり、いじめは絶対に許せない。いじめから解放されたいと願う、雪音の力になりたいと積極的に手を貸している。雪音から異性として好意を寄せられている事には、まったく気づいていない。また、イケメン好きの風祭うるからも好意を寄せられている。
矢吹 心夏 (やぶき こなつ)
高校2年生の女子で、年齢は17歳。小田切蒼空の従妹で、彼と同じコンビニで働いている。小柄の体形でかわいらしい容姿をしているが、明るくサバサバとした性格の持ち主。小鳥遊雪音とは別の高校に通っているが、雪音にとって初めて心許せる友達となった。正義感が強く、蒼空同様にいじめなどの陰湿な行為は絶対に許す事ができない。
風祭 うる (かざまつり うる)
高校1年生の女子で、年齢は16歳。小鳥遊雪音と同じ学校に通っている。ツインテールの髪形で、かわいらしい雰囲気を漂わせた美少女。結城奏汰、桜田流星と共に雪音をいじめている。暴力には加担する事なく、言葉で雪音をさげすんでいる。ほかにも金品を巻き上げたり、ケガをした写真を撮ったりと陰湿な行為を繰り返している。イケメン好きで、小田切蒼空に思いを寄せている。そのため、雪音が蒼空に優しくされている事が気に入らない。
桜田 流星 (さくらだ りゅうせい)
高校1年生の男子で、年齢は16歳。小鳥遊雪音と同じ学校に通っている。結城奏汰、風祭うると共に雪音をいじめている。二人とは異なり、直接暴力を振るう事はないが、助けるでもなく静観している。雪音に対しては「かわいい」と口にする事もあり、嫌っているわけではない様子。つねにだるそうにしており、学校では遅刻魔として有名。
小田切 春兎 (おだぎり はると)
高校1年生の男子で、年齢は16歳。小鳥遊雪音と同じ学校に通っている。小田切蒼空の弟で、雪音とは直接面識はないものの、「壮絶ないじめに遭っている同級生がいる」とその存在は知っている。つかみどころのない性格でひょうひょうとしており、蒼空同様にいじめなどの陰湿な行為を嫌っている。いじめの加害者である結城奏汰を前にしても遠慮せず、言いたい事ははっきりと口にする。
藤村 (ふじむら)
高校1年生の男子で、年齢は16歳。小鳥遊雪音と同じ学校に通っている。食べ物にしか興味がなく、肥満体形をしている。つねに何かを食べており、クラス内では浮いた存在ながら、藤村自身はまったく気にしていない。結城奏汰、風祭うる、桜田流星の企みにより、雪音が自分に好意を抱いていると騙されている。その後、雪音は好みのタイプではないからと、カンちがいしたままふってしまう。
小鳥遊 仁 (たかなし じん)
小鳥遊雪音の実父。結城玲奈と再婚し、結城奏汰が義理の息子となる。雪音の実母にあたる前妻とは、事故によって死別している。玲奈と交際してからは雪音にまったく無関心になり、学校でいじめを受けている事にも全然気づいていない。のちに父親としての至らなさを猛省し、雪音に謝罪する。
結城 玲奈 (ゆうき れな)
結城奏汰の実母で、小鳥遊仁と再婚した。明るくノリのいい性格で、義理の娘となった小鳥遊雪音に対しても友好的に接している。しかし奏汰に対しては、激しい暴力を受けた末に離婚をした前夫の面影が強いため、優しくできずにいる。奏汰が雪音をいじめている事にはまったく気づいていない。