概要・あらすじ
伊賀の里からやってきた少年忍者ハットリくんと仲間たちは、ケン一くんの家に居候することになった。生真面目で社会に馴染みのなかったハットリくんだが、得意の忍法でケン一くんを助けて大活躍する。甲賀の少年忍者ケムマキと、忍者猫の影千代も現れ、ライバルである伊賀者のハットリくんに邪魔をしかけてくる。
次々と登場する忍者たちも巻き込んだ、賑やかな日々が続く。
登場人物・キャラクター
ハットリ カンゾウ
通称ハットリくん。伊賀の里からやってきた優秀な少年忍者。どんぐりまなこに「へ」の字口、頬には渦巻きの模様がある。忍者装束の色は黒だったが、リバイバル時に青に変更された。下着はふんどしを身に着けている。また万一の時に備えて、現金数万円や小判を衣服のあちこちに隠し持っている。 性格は真面目で冷静沈着だが、情に厚い。口調は1人称が「せっしゃ」、語尾は「~でござる」。口ぐせは「ニンニン」。忍法ムササビ、忍法金しばり、忍法もぐり影などの様々な忍法を使いこなすほか、動物と会話したり、絵もうまく描くことのできる多才な少年。ケン一の部屋で眠るときは、天井に張り付いたまま寝ている。 カエルが大の苦手。名前のモチーフは歴史上の実在の人物、服部半蔵と思われる。
ハットリ シンゾウ
ハットリくんの弟。通称シンちゃん。赤丸ほっぺのやんちゃな少年伊賀忍者。忍者装束は水色だったが、リバイバル時に赤に変更された。1人称は「おれ」。ハットリくんを「兄上」と呼んで慕う。まだ一人前ではないため、竹製の手裏剣や刀しか持たせてもらえない。各種忍法もまだ上手く使いこなせないが、泣きわめいた時の大声は衝撃波となって周囲の人間を気絶させるほどで、「なみだパワー」と呼ばれ恐れられている。 走る時には「シンシンシン…」と言う。シノビノ科学研究所のオヒメちゃんと仲が良い。
獅子丸 (ししまる)
ハットリくんを「カンさま」と呼んで仕える、ドジな伊賀の忍者犬。体型は丸っこいが、身体のスタイルをある程度意識的に変体させることができる。額に「獅子十字」と呼ばれる印がある。2本足で立って歩くことも可能で、人間の言葉を喋る。チクワが大好物で、特にカネテツのチクワが好き。 投げる武器は骨手裏剣。高速に転がりながら怒りのエネルギーを炎に変えて体当たりする忍法イカリ火の玉が得意技。一人称は「ワシ」や「おれ」など。語尾には描き文字で「ワン」が付くことが多い。過去忍者学校で修業したが、忍者犬部始まって以来の劣等生で、何回も卒業試験に落ちた。また金目の物の臭いを嗅ぎあてるのが得意。 1984年には連載のタイトルが『忍者ハットリくん ワシ獅子丸!!』となり、一時的に主役となった期間があった。
ケムマキ ケムゾウ
甲賀流の意地悪な少年忍者。伊賀流のハットリくんに強い対抗意識があり、子分の忍者猫影千代と組んで邪魔をしかける。普段はケン一と同じ小学校のクラスに通っているが、ケン一や他の忍者以外の前では大人しい優等生のふりをしている。髪の毛を後ろで結び、頬にはそばかすがある。 アパートで影千代と暮らしている。ひねくれ者だが根は寂しがり屋で、内緒で寝たきりの老人の面倒をみるなど、いい面も持ち合わせている。兄弟に、優しく礼儀正しい双子の兄ケムノスケや、毛虫をあやつる弟ケムシがいる。
影千代 (かげちよ)
ケムマキを「ボス」「ご主人さま」と呼んで仕える、甲賀の忍者黒猫。2本足で立って歩き、人間の言葉を喋る。主に偵察係を務めている。額には「影十字」と呼ばれる印があり、首にはスカーフを巻いている。1人称は「おれ」。語尾には「ニャー」や「ニャリーン」を付ける。 下敷きで身体を擦って全身静電気の塊になる忍法シビレネコを編み出した。ケムマキとは固い絆で結ばれているが、待遇の悪さには普段から不満を抱いている。
三葉 ケン一 (みつば けんいち)
勉強や運動が苦手で、漫画やテレビ番組が好きな小学生。メガネをかけており、イニシャルの「K」マークが付いた服や野球帽をよく身に付けている。下手だが野球が好き。クラスメイトのユメコちゃんが大好きで、よく勢いで見栄をはってでまかせを言ってしまい、ハットリくんに助けてもらっている。 気絶するほど雷が苦手だったが、雲隠才蔵の忍法でむしろ好きになった。
河合 夢子 (かわい ゆめこ)
リバイバル版のヒロイン。ケン一やケムマキのクラスメイト。かわいくて女の子らしいみんなの憧れだが、怒りっぽい面も。庭の広い立派な家に住んでいて、ゴルフやテニスなど、様々なものに興味を持ってチャレンジしている。ケーキやカレーなどを作っては、ケン一たちを招いて感想を聞いている。 英会話ができる。ポメラニアンの愛犬トコちゃんや、文鳥のピーコといったペットを飼っている。サーフィンが上手な、車を運転できるお兄さんがいる。少女雑誌『リリィ』を毎月購入。
カヨちゃん
旧連載版に登場していたヒロイン。ショートカットの女の子で、ケン一の同級生。茶道を習っている。
成金 キザオ (なりがね きざお)
お金持ちのイヤミな小学生。吊り目でメガネをかけている。自宅にはプールがある。ウインドサーフィンやグラススキーをする兄さんがいる。
三葉 健太郎 (みつば けんたろう)
ケン一くんの父親。会社では総務部の課長だが安月給。仕事が忙しくいつも帰りが遅いため、なかなか子供と遊ぶ時間が作れない。月給日には獅子丸にチクワを買って帰る。体型は小太りで、初期は口ヒゲをはやしていたが、リバイバル時に昔の原稿の顔も修正されヒゲはなくなった。ゴルフは下手だが、会社のゴルフ大会で奇跡的に優勝したことがある。 車の運転免許を持っているが、10年間運転していなかった。
ママ
ケン一くんの母親。しっかりした性格で、漫画を読むことに対しても厳しいが、子供の頃は少女漫画『バラの騎士』に夢中だった。
小池先生 (こいけせんせい)
ケン一くんが通う小学校の担任の先生。天然パーマでメガネをかけており、口ひげを生やしているときもある。藤子不二雄作品に登場するキャラクター小池さんのバリエーションキャラクター。
ハットリ ジンゾウ
ハットリくんの父親。どんぐりまなこで髭をたくわえ、髪を後ろで結んでいる。お酒を飲むと気が大きくなるが、伊賀忍法の腕は確かで、忍者学校を開設したこともある。反面、これからの忍者は新しい時代の空気を吸わないとだめだとも考えており、将来は2人の息子を大学にいかせるつもりである。 小包を紐で縛るときは、紐が「父」の字の形になる父結びという特別な結び方をする。ハットリくんの伯父にあたる、諸国漫遊の旅をしている老人もハットリジンゾウという名前だがこの父親とは別人である。
母上 (ははうえ)
ハットリくんの母親。ふくよかな体格でおたふく顔をしており、福の神のようにいつもホッホッホッと笑顔を絶やさない。ほがらかでのんびりした性格だが、夫のジンゾウを、優しい口調でたしなめ、上手にフォローしている。
猿飛 猿助 (さるとび さるすけ)
猿のような身のこなしをする伊賀の少年忍者。ハットリくんの幼友達で、通称「3匹の忍者]」のひとり。垂れ目で背はひょろりとしている。語尾は「~ごサル」。猿の臭いを発している。名前のモチーフは猿飛佐助と思われる。ひねくれた忍者猿のサルキチを飼っている。
石川 五助 (いしかわ ごすけ)
手癖が悪く、盗みの術に長けている伊賀の少年忍者。ハットリくんの幼友達で、通称「3匹の忍者」のひとり。背は小さく、ドロボーのようなほっかむりをしている。野球では盗塁が大好き。名前のモチーフは歴史上の実在の人物、石川五右衛門と思われる。
雲隠 才蔵 (くもがくれ さいぞう)
雲をあやつる伊賀の少年忍者。ハットリくんの幼友達で、通称「3匹の忍者」のひとり。顔や身体つきは丸くて大きい。上に乗れる雲を作りだして空に浮かんで移動したり、雷雲をボディーガードにするなどの特殊な忍法を使う。名前のモチーフは講談などに登場する忍者、霧隠才蔵と思われる。
ロボ丸 (ろぼまる)
シノビノ博士が作った機械流忍者ロボット。電気が走る刀、電光丸を使い、口から十方手裏剣やミサイルを発射する。すぐひがむ性格で、壊れて暴走することもしばしば。シノビノ博士の娘オヒメちゃんのボディーガードをしており、共に小学校に通っている。オヒメちゃんには頭が上がらず、家事を手伝わされる。 シンゾウやジッポウ、トゲ次郎とは仲が悪い。ジッポウにつぶされて、「シノビノ・モンスター1号戦闘機」に作り変えられたことがある。言葉をしゃべる時の表記はカタカナ。ロボットだが毎晩健康のためにジョギングをしている。
シノビノ博士 (しのびのはかせ)
『忍者ハットリくん』の登場人物 。シノビノ博士科学研究所の所長。ロボ丸やロボット犬などを作った研究家。背が小さく、頭は禿げており、メガネをかけている。しつこい性格で、機械ばかりいじっているため、機械と人間の区別がつかなくなってしまっている。超能力の研究もしており、サボテンに超能力レーザーをあびせ、トゲ次郎などの超能力サボテンも生み出した。 娘のオヒメちゃんがシンゾウと仲がいいのを快く思っていない。
シノビノお姫 (しのびの おひめ)
親のシノビノ博士やロボットのロボ丸らとシノビノ博士科学研究所で暮らしている。幼い女の子だが、しっかりもので気が強い。年の近いシンちゃんと仲が良い。料理は下手。ロボ丸と共に小学校に通っている。
トゲ次郎 (とげじろう)
シノビノ博士がサボテンに超能力レーザーをあてて誕生させた超能力サボテン。目や口があり、人の言葉を理解して自らも「トゲー」としゃべる。超能力で飛んだり、怒ると赤くなって相手を攻撃するため、しばしばケムマキに利用される。口から発射するトゲは敵への攻撃に使用するが、逆に針治療として相手を回復させることもできる。 全身に生えたトゲは、好きな相手に対しては柔らかくなる。純真であまりにも正しいことを言うため、ロボ丸とは普段から仲が悪い。弱点は頭のてっぺんのトゲで、これを切られるとヘナヘナになってしまう。逆に水をかけられるとパワーがでる。
ジッポウ
伊賀のかくれ谷のそのまた奥に住む、図体の大きい亀のような姿をした忍者怪獣。ハットリくんが4歳の頃からの修行友達で、後を追って上京してきた。ハットリくんのことを「カンチャン」と呼ぶ。便利な尻尾は回転させて空を飛んだり、ドリルにして地中を掘り進んだり、手裏剣状の鱗を飛ばすことができる。 鼻からはガスを噴出できる他、転がって体当たりする岩車輪、大きな両足で挟む64文サンド打ちなどの技がある。丸まって岩に化けることができるが、本人曰くけっこう疲れるという。大好きなものは犬と大福。風呂が嫌いだが、自分が掘り当てた温泉は気に入っているようだ。台詞はカタカナだったが、再上京してからは普通の表記になり、語尾に「ポー」を付けるようになった。
ツバメちゃん
伊賀の少女忍者。ハットリくんのことが大好きで、「ハットリさま」と呼んで慕っている。服装はミニスカートのくの一装束。長い髪を後ろで一つ結びにし、手裏剣型の大きな花飾りを付けている。
ハゲベエ
額に「影十字」の印があるハゲタカで、甲賀の鳥忍者。羽を手裏剣にして飛ばすタカの羽という得意技を使う。犬が大好物で、特に太ったムク犬が好き。ケムマキの後を追って修行ために甲賀から出てきた。以来、普段はケン一くんの通う小学校の標本室で、剥製のふりをしている。 空を飛べる特性を活かし、ケムマキの命令で空から襲いかかったり、ケムマキが翼代わりに一緒に飛行したりする。性格はすごく疑り深い。本作の他の多くの動物忍者のような日本語をしゃべる描写はない。
白猫斎 (はくびょうさい)
甲賀の忍者猫の総元締めで、100年は生きていると言われる。常に堂々たる態度で、フサフサした毛に覆われており、額には「影十字」の印がある。相手の脳内にテレパシーで語りかける他、念力、透視、催眠術などを使う。また猫まねきの術で竜巻を作り、相手に触れずに何度も叩き落とす。 「泣く子も黙る」「トラも逃げる」などと言われ、下っ端の弟子だった影千代は白猫斎をものすごく恐れている。人間のケムマキさえも白猫斎には敬語を使う。
その他キーワード
忍法ムササビ (にんぽうむささび)
『忍者ハットリくん』に登場する技。ハットリくんたち伊賀忍者が空を飛ぶときに使用する忍法。大きな布の4隅を手足で掴んで背中側で広げ、風に乗って空を飛ぶことができる。ハットリくんが動物のムササビを見て考案し、猛特訓の末完成した。小さいときから修業を積んだ者しかできない荒技。獅子丸は布の代わりに自分の体をつまんで拡げて行う。 ケムマキは同様の技「甲賀忍法モモンガー」や、マントを使った「甲賀忍法コウモリ飛び」を使用する。この忍法ムササビは滑空が基本であり、「平地からは舞い上がれない」「高く飛べない」という欠点があったが、足で挟む部分をあらかじめ服の腿の裏側に繋げておき、空いた両足をパタパタと動かすことによって上昇気流に乗ることができるようになるなど、日々向上を重ねている。 またビルの吹き上げ風を利用して超高層ビルに上ったこともある。テレビに映ったパラ・セーリングを見てハットリくんが改良した忍法「大ムササビ」では、車とパラシュートを使って空高く飛んだ。
ニンニン
『忍者ハットリくん』の主役、ハットリくんの口ぐせ。アニメ版ハットリくん役の声優堀絢子のアドリブより生まれ、漫画でも時折使用されるようになった。タイトルやグッズ名にも転用され、『忍者ハットリくん』、果ては忍者というジャンルそのものを連想させる有名なフレーズとなった。主に走っている時にも使用される派生フレーズとして、シンゾウの「シンシン」などがある。
ズコー!
『忍者ハットリくん』の登場キャラクターたちがずっこけたときに出る台詞または描き文字による擬音。「ズコッ」「ズコ!」などと書かれることもある。アニメ版からの逆輸入フレーズで、『パーマン』の「ヘコー」などに受け継がれた。