概要・あらすじ
犬使いの伝承を残す地域・N県K市に引っ越してきた女子高生・神代春花は、多数の犬を飼い慣らす同級生・伏良平と知り合う。飼い犬のメイを追って犬塚の近くまできた春花は、自分の中に何かが入ってくるのを感じて気絶する。また、異形の犬がメイの腹を食い破って飛び出し、雪山の中に姿を消した。その夜から春花は自分でない若苗という女になった夢を見るようになる。
高橋留美子のシリアステーマ短編第4弾。雪深い土地を舞台に、かつて争い、相打ちとなって死んだ犬使いたちの魂の転生が描かれる。
登場人物・キャラクター
神代 春花 (かみしろ はるか)
犬使いの伝承を残す地域・N県K市の雪深い土地に引っ越してきた女子高生。伏良平と同じクラスの1年6組に転入してきた。メイという名前の小型犬を飼っており、家の近くには伏良平の犬小屋と犬塚がある。
伏 良平 (ふせ りょうへい)
神代春花と同じ1年6組に在籍する男子高校生。雪山にある小屋の中で、何十匹もの犬を飼い慣らしている。体が熱くなると頬に傷が浮かび上がる。学校にはほとんど顔を出していない。「天童」、「カルナ」という名前の二匹をメインに使う。
犬使いの老婆 (いぬつかいのろうば)
N県K市にかつて存在した犬使い。犬を自在に操り、旅人や近隣の村を襲って金品の強奪や殺戮を繰り返していた。里を守る犬使いの男と相打ちになって死亡した。その後、祟りを恐れた者たちの手によって、犬塚にその魂を封印された。
若苗 (わかなえ)
N県K市にかつて存在した犬使い。犬使いの老婆に育てられた女性。犬使いの腕は未熟で、自在に操れるのは麻奈志漏(まなしろ)という名前の一匹のみである。
犬使いの男 (いぬつかいのおとこ)
N県K市にかつて存在した犬使い。里を守るため、強奪と殺戮を繰り返す犬使いの老婆に戦いを挑む。「倶々囉(くぐら)」、「指倶囉(しぐら)」という二匹をメインに使う。
場所
犬塚 (いぬづか)
『忘れて眠れ』に登場する場所。神代春花の家の近所にある木造の塚。近づいた犬がみんなおかしくなるという噂のある、祟られた場所。伏良平も子どもの頃に犬塚の近くで倒れ、それ以来おかしくなった。N県K市の民間伝承によれば、かつて旅人や近隣の村を襲って強奪や殺戮を繰り返した犬使いの老婆と犬使いの女の魂を封印したとされている。