あらすじ
第1巻
悪質宇宙人メフィラス星人は、目が覚めるとウルトラマンとの戦いに敗れた怪獣たちが送られてくる「怪獣墓場学園」で、女の子のメフィラスの姿になっていた。メフィラスは自分の姿に違和感を覚えるが、そのかわいらしい姿はまんざらでもなく、複雑な心境を抱えながらも、女子高校生として第二の人生を歩むことになる。そこでメフィラスが最初に遭遇したのは、エレキングだった。その愛らしさでメフィラスの心を奪ったエレキングは、学園生活の楽しさを語り、メフィラスのかつての語り口をいじりながら、彼女を暖かく迎え入れる。そして、メフィラスはほかの元怪獣たちと協力し、再び地球侵略を目指して活動を始める。(第1話「禁じられたこ・と・ば☆」。ほか、15エピソード収録)
第2巻
「怪獣墓場学園」の生徒たちは、日帰り遠足で念願の地球へと赴くことになった。ひそかに地球侵略をもくろんでいたメフィラスやエレキング、レッドキング、テンペラー、メトロンの五人は、到着した富士五湖周辺から無断で離れ、侵略のための下見と称して秋葉原への潜入調査を目的に、こっそりと活動を始める。目立たないようにと、制服を着用した五人だったが、尻尾や触覚、角など隠しきれない怪獣感が地球人たちの目を釘づけにし、秋葉原ではすっかり人気者になっていた。そしてメフィラスたちは成り行きで、アイドルグループ「ダークネス・ブラック」を結成。アイドルが人の心を奪う様を利用して、地球人の心を奪って地球侵略につなげようと画策する。その後、お土産選びに夢中になる五人だったが、帰りの宇宙船の出発時間が差しせまり、全速力で集合場所へと向かうのだった。(第17話「ウルトラ怪獣作戦第一号」、第18話「あなたは だ・あ・れ☆」。ほか、14エピソード収録)
第3巻
メフィラスたちは、レッドキングとの再会を果たし、地球侵略ユニット「ダークネス・ブラック」を結成してついに地球侵略を開始した。アイドル活動を通して地球人をとりこにし、人の心を奪うことに成功したと思った矢先、アジトであるアパートのとなりの屋敷に、不穏な空気を放つイカルスの存在を確認する。同じく地球侵略を目的とする彼女が、メフィラスたちを前に東京タワーを破壊して、力を誇示したことでイカルスからの挑発に乗る形となり、メフィラスは街中で巨大化し、一対一の戦いを繰り広げることになる。しかし、街への被害を最小限に抑えるための戦いに徹したメフィラスの策により、あっけなく勝負が決まり、折れてしまった東京タワーを直すメフィラスの姿が報道されたことで、地球人への悪印象は最小限に抑えられる。そんな中、あらためてアイドル活動へと勤しむメフィラスたちは、当初の予定どおり、ビラ配りを行うために秋葉原へと向かう。(第34話「偽善もいいとこじゃなイカ」、第35話「ダークネス・ビラくばり」。ほか、14エピソード収録)
第4巻
アイドルユニット「ダークネス・ブラック」として地球侵略を企てたメフィラスたちだったが、あえなく失敗に終わり、イカルスの宇宙船を借りて怪獣墓場へと帰還することになる。しかし、そこでメフィラスたちを待ち受けていたのは、40億6千万の同胞を連れ、住処(すみか)を求めてやって来たバルタンだった。共存ではなく、明け渡しを求めるバルタンを制止しようと攻撃したゼットンだったが、バルタンはこれを簡単に回避し、自分たちを受け入れようとしない怪獣墓場学園側を攻撃しようと一触即発の雰囲気になってしまう。そこで校長は、解決策として怪獣デュエルを提案。バルタンをリーダーとするスノーゴン、サラマンドラのチームと、ゼットンをリーダーとするメフィラス、ジャミラのチームにより、怪獣墓場の明け渡しを懸けた戦いの火ぶたが切って落とされる。(第50話「バラされた過去」、第51話「怪獣デュエルの始まり」。ほか、14エピソード収録)
第5巻
メフィラスは、心の奥底に眠っていた地球人の少女、日高凛子の記憶があふれ出したあの怪獣ランドでの出来事を忘れてはいなかった。少女の記憶を忘れさせようとするゼットンを欺くため、メフィラスは忘れたふりをしてひそかに調査を行っていたのだ。そして、メトロンの発言から、怪獣墓場学園の矛盾に気づいたメフィラスは、学園が隠そうとしていることがなんなのかを暴く決心をする。その日、メフィラスは凛子として、ありふれた地球での一日の記憶を夢に見ていた。朝起きてから学校に行くまでの何げない母親との時間、学校では親友の望月エリとの他愛ないおしゃべり。しかし学校からの帰宅途中、いつもの凛子にとっての風景は一変する。自宅周辺が怪獣たちの戦いに巻き込まれ、被害に遭ったのである。そして自宅に残されたペットのチロルを助けに行くため、制止を振り切って自宅へと向かった凛子は、目の前に立ちはだかるバルタン星人の姿を仰ぎ見るのだった。この夢からメフィラスがある事実に気づきそうになった瞬間、彼女の目の前に姿を現したのは、地球人の少女「凛子」その人だった。(第78話「出た☆メフィラス星人だ」、第79話「凛子」、第80話「光り遠きダイアローグ」。ほか、13エピソード収録)
第6巻
真実を求めて校長室にやって来たメフィラスの前に姿を現したのは、メトロンだった。ひょうひょうとした物言いでみんなを煙に巻いてきたメトロンだったが、核心をつくメフィラスの様子に言い逃れができないことを察し、自分が怪獣墓場学園側と、生徒側を取り持つスパイであったことを明かす。これを皮切りにメフィラスは今まで疑問だったすべての答えを得ようと、椅子に腰を落ち着けてメトロンとの話し合いに臨む。怪獣たちはなぜ怪獣墓場で擬人化され、女子高校生となったのか、メトロンの口から驚くべき事実が語られる。そして、怪獣の犠牲になった少女と、地球で絶命した怪獣が一体化するウルトラ怪獣擬人化計画のすべてが明らかになる。(第81話「謀略宇宙人」、第82話「ウルトラ怪獣擬人化計画」。ほか、14エピソード収録)
登場人物・キャラクター
メフィラス
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られた女の子。もともとはウルトラマンとの戦いに敗れた「悪質宇宙人メフィラス星人」で、頭に付けたVの字の飾りが特徴。自分が女の子の姿に変わってしまったことにとまどいつつも、かわいらしさには満足しており、女子高校生としての生活も実はそんなに嫌ではない。怪獣時代に地球の子供に放った「そうだろうねぇ」というセリフが学園中でブームとなり、その言葉でいじられることが多い。悪者扱いされることに納得がいかず、気にしている様子を見せることもあるが、それは子供に対して言質を取ろうとしたり、キレやすいことがゆえんとなっている。学園では「ウルトラ兄弟討伐部」を作ろうと計画。同じ志を持つテンペラーと共に討伐部の設立を目指すが校長から一喝され、断念した。結局「ウルトラ兄弟分析部」と名称を変えて部を設立し、メフィラス自身は討伐部長となり、必殺部長であるテンペラーと結託してウルトラ兄弟を討つべくひそかに研究を続ける。スイーツが大好きで、エレキングのかわいらしさに心奪われており、彼女の作るスイーツには目がない。地球へと赴いた際、エレキング、レッドキング、テンペラー、メトロン、ゴドラ、ジャミラ、アントラーらと共にアイドルグループ「ダークネス・ブラック」を結成し、地球侵略をもくろむ。地球人の少女、日高凛子の記憶を持っている。瞬間移動が得意。
エレキング
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られた女の子。もともとはウルトラセブンとの戦いに敗れた「宇宙怪獣エレキング」。かなりの天然で、生誕40周年を記念して行われた人気投票で、「セブン最優秀怪獣賞」に選ばれただけあり、周囲を振り回すほどの悪魔的なかわいらしさを持つ。怪獣から女の子の姿に代わり、高校生として過ごす今の生活を気に入っており、ほかの元怪獣たちとの学園生活をエンジョイしている。太くて長いしっぽの先は、プラグ状になっており、電流を流すことができる。地球侵略へ向かうための宇宙船の動力源として、一人で電気を供給する活躍を見せた。また、アンテナのようにくるくる回すことができる2本の角も特徴の一つ。友達思いの優しい性格で、お礼を言うときに相手の頰にキスする癖がある。意識的なのか無意識的なのか、何かと巨大化しやすいところがあり、地球では巨大化した彼女を小さくしようとしたメフィラスが小さくし過ぎたこともあった。小さくなり過ぎた状態から元の大きさに戻すためには電気を与える必要がある。地球へと赴いた際にメフィラス、レッドキング、テンペラー、メトロン、ゴドラ、ジャミラ、アントラーらと共にアイドルグループ「ダークネス・ブラック」を結成し、地球侵略をもくろむ。地球人の少女、望月エリの記憶を持っている。
レッドキング
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラマンとの戦いに敗れた「どくろ怪獣レッドキング」。頭の右側にどくろの髪飾りを付けている。怪獣時代にウルトラマンから「八つ裂き光輪」を受けた際、全身を三等分されたことを気持ちよかったと語るなど、変態感が否めない。仲間思いの優しい性格で、細かいことは気にしない。エレキングとは特に仲がよく、地球への日帰り遠足の際に帰りの宇宙船に乗り遅れそうになったエレキングを、自らを犠牲にして宇宙船に投げ込み、自分が地球に残るという気風のよさを見せた。力自慢の怪力娘だが、宇宙船酔いしやすいという意外な一面も持っている。地球に一人残されたあとは、棟梁夫妻に拾われ、衣食住から職に至るまでを世話になっていた。その後、再び合流したメフィラス、エレキング、テンペラー、メトロン、ゴドラ、ジャミラ、アントラーらと共にアイドルグループ「ダークネス・ブラック」を結成し、地球侵略をもくろむ。棟梁の娘、麻里子の記憶を持っている。
ヤプール
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラマンAとの戦いに敗れた「異次元人ヤプール人」。切断技を得意としており、怪獣墓場の不思議ゾーンで「Q歯科医院」を営み、住人の歯科治療を行っている。もともと持っている能力を活用し、怪獣墓場でも超獣を生み出すべく、「超獣発生器β」を開発するが失敗続きで、生まれてくるのはなぜかウルトラマンA型の物体ばかり。ウルトラマンAに並々ならぬ思い入れがあり、敵視していると見せかけて、実はかなり強く思いを寄せている。バキシムに慕われており、よく行動を共にしている。
メトロン
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラセブンとの戦いに敗れた「幻覚宇宙人メトロン星人」。大きな帽子にツインテールの髪形で、ガードが甘く背後が無防備になりがち。アイドルが大好きで、オタ芸を勧めてきたり、学園のみんなにハマってほしいと自動販売機の中身をこっそり「眼兎龍茶」に差し替えたりと、若干怪しい行動が目立つ。自宅以外にも、学園内にはちゃぶ台を置いたメトロン部屋がいくつも用意されており、神出鬼没。何かにつけて他人を自分の世界に巻き込みたがり、部屋でいっしょにお茶をしたがる。地球へと赴いた際にメフィラス、エレキング、レッドキング、テンペラー、ゴドラ、ジャミラ、アントラーらと共にアイドルグループ「ダークネス・ブラック」を結成し、地球侵略をもくろむ。実は学園側が企むウルトラ怪獣擬人化計画をすべて知ったうえで、学園側と生徒側を取り持つ役割を担い、秘密裏にスパイ的な活動を行っていた。
テンペラー
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラマンタロウとの戦いに敗れた「極悪宇宙人テンペラー星人」。非常に小柄な体形で「だわよ」が口癖。何かにつけて教壇に立っては、生徒を先導しようとしたがる。学園ではウルトラ兄弟を倒すために「ウルトラ兄弟必殺部」を作ろうと画策し、メフィラスと協力しようとするが、校長の恐ろしさに屈して断念。結局「ウルトラ兄弟分析部」と名称を変えて部を設立し、テンペラー自身は必殺部長として、討伐部長であるメフィラスと結託してウルトラ兄弟を討つべく、ひそかに研究を続けている。のちに地球を訪れた際にメフィラス、エレキング、レッドキング、メトロン、ゴドラ、ジャミラ、アントラーらと共にアイドルグループ「ダークネス・ブラック」を結成し、地球侵略をもくろむ。
ジャミラ
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラマンとの戦いに敗れた「棲星怪獣ジャミラ」。以前は人間の宇宙飛行士だったが、極限環境の星に適応していくうちに怪獣になったという過去がある。その後、最後の戦いではウルトラマンのウルトラ水流を受けて絶命した。その時のトラウマがあり、女の子の姿になっても乾燥肌に悩まされており、水を怖がるあまりにお風呂に入るのを嫌がっている。ほかにも、「人間らしい心をなくしてしまったのか」という問いかけにもトラウマがあり、そう声を掛けられると、数秒間固まって動けなくなってしまう。地球に行きたい願望が強くあるが、ことあるごとにそのチャンスが奪われ、地球に行くことができない。地球侵略のためにメフィラス、エレキング、レッドキング、テンペラー、メトロン、ゴドラ、アントラーらと共に結成したアイドルグループ「ダークネス・ブラック」の一員ではあるものの、つねに怪獣墓場に残された状態で、活動に参加できたことはない。
アントラー
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラマンとの戦いに敗れた「磁力怪獣アントラー」。首元にあるクワガタのようなはさみが特徴。いつも女の子に後ろから近づき、胸をもみしだいている。誰にでもお姉さまと言い寄り、親しくなろうとするが、記憶力が虫以下のために相手が誰だかすぐに忘れてしまう。地球を訪れた際にメフィラス、エレキング、レッドキング、テンペラー、メトロン、ゴドラ、ジャミラらと共にアイドルグループ「ダークネス・ブラック」を結成し、地球侵略をもくろむ。
ゼットン
初めて怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られたとされている女の子。もともとは「宇宙恐竜ゼットン」だが、ウルトラマンとの戦いには敗れていない。情け容赦のない性格で、空気がまったく読めない。怪獣墓場にある怪獣墓場霊園で墓守を務めており、そこで再生された女の子たちを怪獣墓場学園へと誘導する役目を担っているが、謎が非常に多い。怪獣デュエルが行われた時には、メフィラスやジャミラとタッグを組み、バルタン、サラマンドラ、スノーゴンのチームと戦い、バルタンに勝利した。
ゴドラ
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラセブンとの戦いに敗れた「反重力宇宙人ゴドラ星人」。カニの爪に似た手先と、のろい動きが特徴。捕獲対象を円柱状のカプセルで捕まえることができるが、カプセルの作りが甘くて後ろ側が開いていたりするため、すぐに逃げ出せる仕様になっている。対象物そっくりに変身する能力を持っている。自宅のお屋敷でカジノを開催しており、カジノに興じながら優雅に暮らしていくことを望んでいる。怪獣時代にウルトラセブンと戦った際、背中を向けて逃げようとしたことを問われると、「彼に後ろから追いかけてきてほしかった」と、ウルトラセブンである「モロボシ・ダン」に対しての思いを告白。それにより、メトロンと意気投合することになる。のちに地球を訪れた際、メフィラス、エレキング、レッドキング、テンペラー、メトロン、ジャミラ、アントラーらと共にアイドルグループ「ダークネス・ブラック」を結成し、地球侵略をもくろむ。
バキシム
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラマンAとの戦いに敗れた「一角超獣バキシム」。頭の上の大きな角が特徴。ヤプールを慕い、彼女に付き従っている。姿を現すときはなぜかいつもガラスを割っての登場が多く、ヤプールを困らせている。
森次 晃嗣 (もりつぐ こうじ)
地球の江の島で、「モロボシ・ダンの店 カフェテリア ジョリーシャポー」のオーナーを務める男性。店で好き勝手に振る舞うテンペラー、メトロン、ゴドラ、アントラーの四人を「うるさい!! 食べろ!!」と一喝し、おとなしくさせた。実在の人物、森次晃嗣がモデルで、ジョリーシャポーも実在する店舗である。
ゴモラ
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラマンとの戦いに敗れた「古代怪獣ゴモラ」。おでこから生えた角と、頭部に生えた2本の大角が特徴。非常におしゃべりで、関西弁を話す陽気な性格をしている。とかげのように生えたしっぽは、何度でも再生されるために自ら切って炙って食べることもあり、かなりの珍味らしい。なりゆきで、単身地球に乗り込むこととなり、嫌がるイカルスを巻き込んで大阪訪問を楽しむ。
棟梁 (とうりょう)
地球で大工を務める男性。夫婦で釣りに行った際、地球に置いて行かれたレッドキングと出会い、事情を知ったうえで自宅で保護することを決めた。またレッドキングに現場を紹介し、仕事をあっせんした。実はメトロンが怪獣時代にアパートの建設にあたって世話になった人物でもあり、宇宙人の存在には慣れている。その後、レッドキングと合流したメフィラス、エレキング、テンペラー、メトロン、ゴドラ、アントラーら七人を、棟梁自身の所有するアパートに1万円で住まわせた。実は怪獣が暴れたせいで、一人娘の麻里子を幼くして亡くした過去を持つ。初めは恨みの気持ちを持ち続け、自暴自棄になりかけたこともあったが、妻と話し合って恨み続けてもなんの解決にもならない、考え方を変えないと前に進むことができないと結論を出した。その結果、怪獣を恨むことはせず、地球人も怪獣も宇宙人もなかよくやっていけたらいいとの考えに改めた。非常に温かい人柄をしている。
イカルス
地球で知り合った「異次元宇宙人イカルス星人」の女の子。「イカ」という言葉を多用し、大きく広がった耳が特徴。もともとは、ほかの女の子と同様にウルトラセブンとの戦いに敗れ、怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られた。しかし周囲の生ぬるい環境と、牙を抜かれた状態の怪獣たちの姿に愕然とし、怪獣墓場を抜け出した。学園側はその事実を知りながら、隠蔽しているが、怪獣たちのあいだでは地球に行ったのではないかと噂されていた。事実、四次元空間からの地球侵略をもくろみ、異次元コントロールマシンを使って地球上にとどまっている。地球に残されたレッドキングが暮らすアパートのとなりの屋敷に隠れ住んでおり、力を誇示するために東京タワーを破壊したことがきっかけで巨大化し、メフィラスと戦うことになる。その後も、単身地球にやって来たゴモラの面倒を見る羽目になるなど、つねにほかの怪獣たちに振り回されている。
バルタン
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラマンとの戦いに敗れた「宇宙忍者バルタン星人」。ずいぶん前から失踪した状態になっていたが、宇宙に離散した、40億6千万人の仲間を連れ、サラマンドラとスノーゴンと共に怪獣墓場に帰還した。しかし怪獣墓場を自分たちの住処(すみか)にするため、共存ではなく明け渡しを要求する。もともと蟻のような多数の個体からなる組織生命体という説があり、複数の人格が同時に存在しているような状態で、そのために戦闘中はピンチに陥ったりする。また、日常であっても、より有利な人格や主張したがる人格へとチェンジすることがあり、話し方や態度などがまったく別人になる。怪獣デュエルが行われた時には、ゼットンとの戦いを繰り広げるが敗北を喫する。
サラマンドラ
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラマン80との戦いに敗れた「再生怪獣サラマンドラ」。怪獣時代は「ゴルゴン星人」からあやつられていた「操られ怪獣」の性質があり、あやつる主人の能力に強さが左右されるところがある。また再生能力を持っているため、攻撃を受けても何度でも立ち上がることができる。バルタンの配下となって行動を共にし、怪獣デュエルではメフィラスと戦って勝利した。同じくバルタンの配下であるスノーゴンとは水と油の関係ではあるが、互いに再び旅立ったバルタンから置き去りにされたあと、いがみ合っていた際にバルタン星の同胞が住む金魚鉢を割ってしまったことで一致団結。これを機にバルタン不在のあいだ、テンペラーにボスになってほしいと声を掛け、すべての責任をテンペラーになすりつけることで自己の保身を図ろうとする。
スノーゴン
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラマンジャックとの戦いに敗れた「雪女怪獣スノーゴン」。対象物を凍らせたり、吹雪を起こしたりするのが得意。バルタンの配下となって行動を共にし、怪獣デュエルではジャミラと戦って敗北を喫した。同じくバルタンの配下であるサラマンドラとは水と油の関係ではあるが、互いに再び旅立ったバルタンから置き去りにされたあと、いがみ合っていた際にバルタン星の同胞が住む金魚鉢を割ってしまったことで一致団結。これを機にバルタン不在のあいだ、テンペラーにボスになってほしいと声を掛け、すべての責任をテンペラーになすりつけることで自己の保身を図ろうとする。
ケムール
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとは地球での戦いに敗れた「誘拐怪人ケムール人」。頭のてっぺんにある管から出される液状の「消去エネルギー源」は、触れたものをすべて消滅させてしまう。再生されてすぐに、その能力で二~三人の生徒を消してしまったため、危険と判断されて昔ゾーンの一角にある自宅で学習することになった。ケムール本人に攻撃性はなく、百合小説を執筆することが趣味のオタク。興奮すると、「腐乙、腐乙」と鳴き声を発する。
ピグモン
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとは地球上で絶命した「友好珍獣ピグモン」。怪獣だった時にレッドキングから岩石を投げつけられて死んだため、レッドキングの姿はトラウマとなっている。怖がりで弱々しいために再生されても、生まれた途端にトラブルに苛まれ、何度も絶命と再生を繰り返して、ようやく女の子としての生活が定着した。怪獣寮で暮らし始めてから、ブログを開設した。しかし、空の写真や謎のポエムなどの投稿が多く、承認欲求が強めでかまってちゃんなところがある。
望月 エリ (もちづき えり)
エレキングの記憶の中に残っている小学生の女の子。外国で暮らしていたが、両親の仕事の都合で日本へと転入してきた。その際に学校で同じクラスになり、となりの席になった日高凛子と仲よくなったが、怪獣同士の戦いの被害に遭い、凛子が亡くなってしまったことに深く傷ついた。その後、家族で登山に行った際にジュースをこぼして駄々をこねていた麻里子に、ココアをあげたことで麻里子とかかわりを持っていた。のちに、突然姿を現した宇宙怪獣エレキングの被害に遭い、亡くなった。その存在は、エレキングと溶け合うことでエレキングの奥底に生き続けているが、溶け切らずにエリとして残っている。
日高 凛子 (ひだか りんこ)
メフィラスの記憶の中に残っている小学生の女の子。学校で同じクラスに転入してきた望月エリと、となりの席になったのをきっかけになかよくなった。自宅ではインコのチロルをかわいがっていた。自宅付近がバルタン星人とメフィラス星人の戦いの被害を受けたことを知り、インコを救出するために自宅へと戻り、亡くなった。その存在はメフィラスと溶け合うことでメフィラスの奥底に生き続けているが、溶け切らずに凛子として残っている。
ツインテール
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとは地球でウルトラマンジャックと交戦中に、怪獣「グドン」に嚙みつかれ、絶命した「古代怪獣ツインテール」。超ロングのツインテールが特徴の美少女。ピグモンよりも先に入学していたが、根暗が要因で誰にも気づいてもらえなかった。グドン犬の集団に襲われていたところを、ようやくエレキングに気づいてもらえたほどに影が薄い。
エースキラー
ヤプールが「超獣製造機γ」によって、ウルトラマンAを憎む心から作り出した「異次元超人エースキラー」の女の子。ウルトラマンAをただただ憎んで敵視し、ウルトラマンAを連想させるものすべてに攻撃を仕掛けようとする。
麻里子 (まりこ)
棟梁の娘。小学生の頃に家族で登山に行った際、手に持っていたジュースを落としてしまい、泣いて駄々をこねていた。そこへ、同じく家族で登山に来ていた望月エリが通りがかり、エリの母親からココアをもらったことがあった。その後、突然姿を現したどくろ怪獣レッドキングの被害に遭って亡くなった。
ジェロニモン
もともとは、地球上での戦いに敗れた「怪獣酋長ジェロニモン」が女の子として再生された姿。あまり頭がよくないため、話す言葉はすべてひらがなとカタカナで表記され、語尾に「うが」が付くのが特徴。怪獣をよみがえらせる能力が買われ、ウルトラ怪獣擬人化計画に一役買う形となった。現在、怪獣墓場学園で余生を送る擬人化された怪獣たちは、すべて彼女の研究所で生み出された。
ベムスター
怪獣墓場で再生され、怪獣墓場学園に送られてきた女の子。もともとはウルトラマンジャックとの戦いに敗れた「宇宙大怪獣ベムスター」。ジェロニモンの研究所で生まれた直後、少女の心を強く残した状態で、「おかあさんに会わせろ」と言いながら研究所を破壊し、逃げてしまった。地球人の少女として、自分が死んだことを自覚しておらず、訳もわからず母親と引き離されたことを怒っている状態。
モチロン
怪獣墓場学園で給食を担当している怪獣。体の大半が臼でできているため、メニューは餅ばかり。生徒たちの食事の世話に喜びを感じており、生徒たち思いの優しい性格の持ち主。影の状態で描かれている。
校長 (こうちょう)
怪獣墓場学園の学園長を務める。その姿は赤い球で描かれるが、実体は謎に包まれている。ウルトラマンたちに敗れた怪獣たちが女の子の姿に変わり、穏やかな学園生活を送るべく見守っている存在。ウルトラ兄弟討伐部を立ち上げようとしたメフィラスや、ウルトラ兄弟必殺部を立ち上げようとしたテンペラーに対しては、そんな物騒な部は認められないと一蹴した。ウルトラ怪獣たちを、怪獣の被害者である少女と一体化させ、擬人化するウルトラ怪獣擬人化計画を実行するにあたり、黒幕とされている人物。
ガッツ鳥 (がっつどり)
「怪獣墓場学園」で飼育されている飼育用兼食用の生き物。ガッツ星に生息する鳥類で、小さくてまん丸でモフモフした姿がかわいらしい。対戦相手を十字架状のカプセルに入れて徹底的に分析するという能力に長けているため、小屋を清掃する際には扉を閉めて、逃げないように細心の注意を払う必要がある。また、押さえつけられると分裂する能力を持つ。
グドン犬 (ぐどんけん)
怪獣墓場の山奥に生息する野犬。全身がトゲトゲで、腕が鞭状になっている古代の怪獣「グドン」と同等の性質を持った危険な野犬。最近は怪獣墓場学園に姿を現すことが確認されており、注意喚起がなされている。
集団・組織
ダークネス・ブラック
メフィラス、エレキング、レッドキング、テンペラー、メトロン、ゴドラ、ジャミラ、アントラーの八人で結成したアイドルグループの名称。日帰り遠足で地球へ行き、秋葉原を訪れた際に地球人がアイドルに熱狂する姿を目撃。人の心を奪うために利用できると判断し、地球侵略のための第一歩として活動を始めた。地球でのアジトは、地球に取り残されたレッドキングを助けた棟梁が貸してくれたアパートの一室。組織内では、実行部隊のメフィラスとテンペラー、アイドル部隊のエレキング、レッドキング、メトロン、ゴドラ、アントラー、ジャミラの2部隊に別れている。ただし、ジャミラに関しては、怪獣墓場に取り残されており、実際には活動できていない。
場所
怪獣墓場学園 (かいじゅうはかばがくえん)
高度4万メートルのウルトラゾーンに存在する怪獣墓場の中心部にある学校。在籍する生徒たちは元怪獣や宇宙生物などだが、基本的にはウルトラマンとの戦いに敗れ、絶命した者が女の子の姿に再生され、高校生として通っている。生徒たちは勉強やクラブ活動に励み、放課後にはお茶を楽しむなど、穏やかな学園生活を送っている。一部の生徒は学校専用の「怪獣寮」に入寮している。学園における懲罰は厳しく、一定期間「影」の状態になるというもの。影になると、食事がまずくなるらしい。
怪獣墓場 (かいじゅうはかば)
高度4万メートルのウルトラゾーンに存在する場所。大きく四つのエリアに分かれており、その中心部に怪獣墓場学園が存在する。どのエリアも懐かしさを感じさせる作りになっており、「不思議ゾーン」にはヤプールが営むQ歯科医院が、「自然ゾーン」には自然豊かな野山やメトロンのアパートが、「未来ゾーン」には怪獣たちに人気の遊園地である怪獣ランドが、「昔ゾーン」には怪獣墓場商店街や怪獣墓場霊園が存在する。怪獣墓場霊園は、地球での戦いに敗れた者たちが再生され、生み出される最初の場所となっており、そこで墓守をしているゼットンによって怪獣墓場学園へと連れられて行くシステムになっている。ウルトラ兄弟と戦い、負けた者たちが送られてくると説明されているが、実際は絶命していない者や戦いに敗れていない者も存在している。
その他キーワード
怪獣デュエル (かいじゅうでゅえる)
個人または団体による己の力量の身を用いた決闘。怪獣墓場において、血の気の多い怪獣たち同士で衝突が起きた際の解決策として用いられてきた方法。相手を決して殺めてはならないというルールがあり、殺さずに戦いを制した者が強者であるという神武不殺の掟をもって行われる。怪獣墓場の明け渡しを懸けた時の戦いは、特設リング上で1対1で行われた。ダウンして10カウント以内で立ち上がれない場合、またはリングアウトして10カウント以内で戻れない場合は負けとなる。相手を殺めようとした場合は即中止となり、その場で怪獣墓場から永久追放となる。
ウルトラ怪獣擬人化計画 (うるとらかいじゅうぎじんかけいかく)
怪獣と人間の心を溶け合わせ、一つにする計画のこと。怪獣や宇宙人などが地球上で起こした戦闘により、被害を被って亡くなった犠牲者のうち、幼くして亡くした命に限り、怪獣墓場で再生される怪獣の心と溶け合わせる。これにより、怪獣たちの持つ凶暴性は薄れ、怪獣墓場で平和に暮らしていくことができるほか、亡くなった少女たちは怪獣たちの生命力によって消滅を免れ、生きていればこの先経験するはずだった青春時代を過ごすことが可能になる。それが両者の供養になると考えた怪獣墓場学園の校長らによって、秘密裏に実行されてきた。基本的には、怪獣自らが殺してしまった少女と一心同体となるものだが、擬人化のルールはかなりアバウトなものとなっており、これに当てはまらない特殊なケースも含まれる。そのため、「ウルトラマンに負けた者が送られる」というルールも、学園側が便宜上使っているだけであって、実際はケースバイケースとなっている。
半溶解種 (はんようかいしゅ)
ウルトラ怪獣擬人化計画において、少女の心と怪獣の心の溶け合わせが不十分な状態で生まれ変わった怪獣のこと。凶暴性が失われておらず、怪獣の心のままに行動するため、攻撃的であったり、怪獣墓場を出て行ってしまったりする者もいる。
クレジット
- 原作
-
円谷プロ
- 企画
-
POP/ぱすてるデザイン
- キャラクター原案
-
POP/ぱすてるデザイン