怪物王女ナイトメア

怪物王女ナイトメア

光永康則の『怪物王女』の続編。怪物が息づく現代社会を舞台に、王位継承戦を終えた日和見日郎たちが記憶を失った状態で再び王位継承戦に巻き込まれる姿を描いたダークホラーファンタジー。前作同様、古今東西の怪物をモデルにしたキャラクターたちが独自のアレンジを施されて登場する。講談社「月刊少年シリウス」2018年1月号から2021年5月号まで連載。

正式名称
怪物王女ナイトメア
ふりがな
かいぶつおうじょないとめあ
作者
ジャンル
お化け・妖怪
 
ダークファンタジー
レーベル
シリウスKC(講談社)
巻数
既刊7巻
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記憶喪失から始まる新たな戦い

本作は、光永康則の『怪物王女』の続編であり、前作のキャラクターたちが再び登場する。物語は、怪物たちの王族である姫と、その姫を守る「血の戦士」日郎、さらには人狼や吸血鬼、人造人間たちが、記憶喪失の状態で謎の別荘で目を覚ますところから始まる。全員が記憶を失っているため、彼らの関係性はリセットされており、互いの関係を再構築しながら、記憶喪失の原因を探ることになる。また、怪物たちが引き起こす騒動は、彼らの事情に関係なく発生するため、日郎たちは否応なくそれらの解決に奔走することになる。

怪物と人間の共存

本作には人間を襲う怪物たちも登場するが、その中には人間の血肉を食べなければ生きられない者もいる。怪物たちの狩りの方法は多様であり、子供を巧みに誘拐するなど、人間の価値観から見ると卑劣とされる行為も存在する。しかし、これはあくまで人間側の見解で、怪物たちにとっては生きるための正当な「狩り」であり、人間が牛や豚を食べるのと同じ行為である。姫は怪物たちの王族として、人間側に偏ることなく、人間と怪物の双方の調和を図る役割を担っており、単純な勧善懲悪の物語ではない点が特徴となっている。

再び始まる王位継承戦

前作『怪物王女』で一旦終結したはずの王位継承戦に、記憶を失った姫たちが再び巻き込まれることになる。しかし、彼女たちは記憶を失っているため、疑問を抱くことなく戦いに身を投じていく。読者の視点から見ると、前作には登場しなかった新たな王位継承者、カティアの出現など、さまざまな場面で違和感を覚える展開が繰り広げられる。前作を読んでいる読者ほど、本作に隠された謎をより深く楽しむことができる内容となっている。姫たちの記憶喪失の理由、王位継承戦が再開された背景、そして姫たちがどのように違和感に気づき、真実を追求していくのかが、本作の物語を解き明かす鍵となっている。

登場人物・キャラクター

日和見 日郎 (ひよりみ ひろ)

中学生の少年。平凡で気弱な性格で、一度死んだ際に姫から血を分け与えられ、復活を果たす。姫たちからは「ヒロ」と呼ばれている。姫を守る「血の戦士」となり、その身に宿る姫の血がある限り、何度でも蘇ることができる半不死身となる。軽い傷はすぐに再生し、致命傷を負っても時間をかければ完治するが、完全な不死身ではない。傷を癒やすたびに姫の血を消耗し、血が尽きると元の死体に戻ってしまう。また、何もしなくても日常生活を送るだけで数日で血は失われるため、数日に一度は姫から血をもらう必要がある。ある別荘で目を覚ました際、記憶を失っており、同じく記憶喪失となった仲間たちと再び力を合わせて戦うことになる。記憶を失っているため、王位継承戦で見せた力はほとんど失われ、元の気弱な少年に戻っている。一般人よりもわずかに強い程度の力しか持っていないため、姫も記憶を失う前の自分がなぜ日郎を血の戦士にしたのか疑問に思っている。気弱な性格のため、成り行きで姫と行動を共にするが、仲間の危機には身を挺して力を尽くすなど、記憶喪失前の性根は変わらず、姫もその姿を見て徐々に見直し始めている。

(ひめ)

怪物たちの頂点に君臨する不死鳥の一族の第2王女。流れるような金色のロングヘアと、血のように赤い瞳を持つ。王族らしく気高く、冷静沈着な性格で、品格のある立ち居振る舞いを見せる。本名は「リリアーヌ・フォン・フェニックス」だが、その名前を嫌っており、家族に本名で呼ばれると不機嫌になる。そのため、日郎などの臣下には「姫」と呼ばせている。敵対する怪異と遭遇した際は、二丁拳銃やチェーンソーなど、さまざまな武器を駆使して戦う。ある別荘で目を覚ました際、記憶を失っており、同じく記憶喪失となった仲間たちと再び力を合わせて戦うことになる。記憶は失っているものの、明晰な頭脳は健在で、冷静に現状を把握し、日郎たちを導いている。王位継承の争いに巻き込まれているが、記憶喪失の影響もあり、姫自身を取り巻く状況に疑念を抱いている。その後、王位継承権を狙う妹のカティアと出会う。当初は記憶喪失のせいだと考えていたが、カティアの存在そのものに不自然さを感じ始めている。

前作

怪物王女 (かいぶつおうじょ)

光永康則の代表作。数多くの異形たちの頂点となる王座を巡り、血を分けた兄弟姉妹との殺し合いを続ける姫の戦いを描いた作品。怪物たちによる恐怖表現やバイオレンス描写は強烈だが、多くのエピソードが古典的なホラ... 関連ページ:怪物王女

書誌情報

怪物王女ナイトメア 7巻 講談社〈シリウスKC〉

第1巻

(2018-05-09発行、978-4065114605)

第2巻

(2018-08-09発行、978-4065124512)

第3巻

(2018-12-06発行、978-4065139172)

第4巻

(2019-04-09発行、978-4065151242)

第5巻

(2019-08-08発行、978-4065164761)

第6巻

(2020-05-08発行、978-4065192450)

第7巻

(2021-08-06発行、978-4065244012)

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