怪獣のトカゲ

愛犬のポチと共に散歩に出かけていた小学生の咲は、大きな卵を発見する。卵の中から怪獣が生まれることを期待する咲は、卵を家に持ち帰って姉の仁美に世話をしたいと申し出る。しかし仁美は怪獣などいるわけがないと言って取り合わず、卵を料理に使おうとする。その瞬間、卵の中からトカゲの姿をした女の子が現れる。トカゲは中から卵を割ろうとしたが殻が硬くて出ることができずにいたが、姉妹の薄いリアクションに感情が高ぶり、力任せに卵の殻を壊したのだった。咲はトカゲの外見が怪獣とまったく違うことにがっかりしながらも、仁美の許可を得てトカゲと共に暮らすようになる。

トカゲは強く立派な怪獣になりたいと願っており、自らを大きく逞(さくま)しい存在であることをつねにアピールしている。だが、人間界はトカゲが思った以上に難解かつ刺激的で、一人で留守番をすることにすら不安を抱えていた。しかしマイペースながらも優しい咲と仁美や、娘のようにかわいがってくれる犬のポチなど、自分を気遣ってくれる存在に安心感を覚える。そんな中、トカゲは咲の小学校や仁美の高校に通うようになり、人間には人間の義務があることを知り、二人のことをより理解するようになる。

トカゲが咲たちの家に馴染(なじ)んでからしばらく経ったある日、カメの甲羅を背負った怪獣のカメじろーが現れる。そしてカメじろーは、咲たちの家の床を破壊して人類をせん滅すると宣言するが、あまりの迫力のなさに誰も信じていなかった。カメじろー自身も人類をせん滅するつもりはなく、威圧的に振る舞ったのは、トカゲをからかうためだったと白状する。トカゲはカメじろーの曲者(くせもの)ぶりを警戒するが、河原で遊んでいるうちに意気投合し、すっかりなかよくなる。