悪女

悪女

一流企業の中の落ちこぼれ社員・田中麻里鈴が、一目惚れした相手にふさわしい女性になるために奮闘する様子を描いた作品。第15回講談社漫画賞一般部門を受賞(1991年)。2022年4月実写ドラマ化。

正式名称
悪女
ふりがな
わる
作者
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概要・あらすじ

一流商社の近江物産にコネで就職したものの、資材管理室という落ちこぼれ社員のたまり場に配属された田中麻里鈴は、ある日、偶然出逢った近江物産の男性社員に一目惚れしてしまう。なんとか想いを告げるため、「T.O」というイニシャルだけを頼りにその男性を探す麻里鈴だったが、実は彼は、社内でもトップクラスのエリート社員だった。

告白するためには、彼に釣り合うだけの女性にならなければいけない。そう心に決めた麻里鈴の奮闘が、こうして幕を開けたのであった。

実写ドラマ

2022年実写ドラマ化。『悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』のタイトルで4月13日より日本テレビ系列で放送。キャストは、主人公の田中麻里鈴を今田美桜、「T.Oさん」こと田村収を向井理、峰岸雪を江口のりこ、小野忠を鈴木伸之が演じる。なお、本作は1992年にも実写ドラマ化されており、2度目の実写ドラマ化となる。

登場人物・キャラクター

田中 麻里鈴 (たなか まりりん)

近江物産社員。三流の大学を四流の成績で卒業し、父の知人のコネで近江物産に入社した。最初の勤務先は資材管理室で、のちに秘書課、庶務課、システム企画課と異動していく。宴会芸を得意とし、酒にも非常に強い。名前の由来は父親がマリリン・モンローのファンだったため。

田村 収 (たむら おさむ)

近江物産の超エリート社員。麻里鈴のコンパクトを拾ってあげたことで、麻里鈴に一目惚れされる。当初はイニシャルのT.Oしかわからなかったため、麻里鈴は「T.Oさん」と呼んでいた。長身でイケメン。筑波第3研究所に属し、アメリカと日本の間を行き来している。

峰岸 雪 (みねぎし ゆき)

麻里鈴が最初に配属された資材管理室の先輩社員。麻里鈴に出世するためのノウハウを伝授した。実は近江物産の女性社員の中で最も出世した人物で、訳あって資材管理室に勤務していたが、奮闘する麻里鈴に触発され、一線に復帰。「レディスシンクタンク」という関連事業の事実上のトップになる。 麻里鈴がレディスシンクタンクに出向してきた時は、組織のあり方を巡り、麻里鈴と対立する立場となった。

夏目 (なつめ)

近江物産秘書課チーフ。かつて峰岸に恋人を奪われた経緯があり、峰岸のことを恨んでいた。麻里鈴が峰岸と仲が良いことを知り、麻里鈴を追い出そうと画策した。のちに麻里鈴のことを認め、峰岸とも和解した。

小野 忠 (おの ただし)

近江物産社員。麻里鈴が「T.O」さん探しを始めた頃に出逢った男性社員で、のちに同じプロジェクトで仕事をするようになる。入社したての頃は知的でない女性は一括りに見下していたが、麻里鈴と仕事をするうちに考えが変わっていく。麻里鈴に振り回されつつも、陰で支えてくれる良き先輩。

沼田 総一郎 (ぬまた そういちろう)

近江物産社長。麻里鈴が迷い込んだ部屋にいた男性で、麻里鈴とオセロ勝負をして負ける。以来、麻里鈴には「オセロのおじさん」と呼ばれるようになる。麻里鈴のことを気に入ってはいるが、社長として会う時には他人のふりをするなど、私情を交えずに接する。麻里鈴の活躍で、長年わだかまりのあった甥の平賀勝と和解する。

佐々木 チエ (ささき ちえ)

近江物産庶務課勤務。「ミス総務」とも呼ばれる美人社員。麻里鈴が庶務課に異動してきた当初は、麻里鈴のことが気に入らず、さまざまな意地悪をしてきたが、同僚の男子社員・石井に失恋した時は麻里鈴と一緒に号泣した。その後、麻里鈴と少し仲良くなった。

石井 (いしい)

近江物産庶務課勤務。麻里鈴に興味を持ち、若手社員の集まるサークルに麻里鈴を誘う。麻里鈴の人柄に触れるうちに徐々に意識し始め、ついには本気で好きになるが、麻里鈴に片思い中の相手がいると知って諦めた。後に紺野涼子と結婚した。

梨田 友子 (なしだ ともこ)

近江物産広報課勤務。ケチで倹約家。社内の人間相手に金貸しを行っており、「近江物産のシャイロック」の異名を持つ。社内情報に詳しい。麻里鈴にお金を貸すと同時にT.Oさん探しに協力した。また、麻里鈴同様「Cプロジェクト」の一員にも選ばれている。古くからの友人である新聞記者の大和正義に恋しており、のちに結婚する。

木村 美佐子 (きむら みさこ)

近江物産庶務課勤務。麻里鈴とほぼ同時期に庶務課に配属された女子社員。上昇志向が非常に高く、日々の努力を欠かさない。頭も切れるが目的のためには手段を選ばない強引さを持つ。麻里鈴を敵視しており、小野忠をT.Oさんだと思い込み、麻里鈴から横取りしようと画策した。

山瀬 修 (やませ おさむ)

近江物産システム企画課勤務。非常に背が高くイケメンで、女子社員に抜群の人気を誇る。兄弟たちはみんな大きい。コップ半分のビールで酔いつぶれるほどの下戸。麻里鈴のことを想っており、なにかと協力する。

板倉 夕子 (いたくら ゆうこ)

近江物産海外事業部勤務。麻里鈴のいるシステム企画課に短期のシステム研修に来た。高校2年までアメリカで暮らしていた帰国子女で、丁寧だがややおかしな日本語を使う。山瀬に一目惚れして、以来、ずっと想い続けている。のちに海外事業部で麻里鈴と再会。不本意ながら対立することとなる。

三島 (みしま)

近江物産システム企画課課長。女性社員に対して偏見を持っており、麻里鈴にも厳しく当たっていたが、女子社員の飲み会参加を賭けた麻里鈴との賭けに負けて、女子社員と飲むこととなる。これがきっかけとなり、女子社員に対しても理解を示すようになった。

相馬 理英子 (そうま りえこ)

近江物産システム企画課勤務。麻里鈴の先輩にあたる。お局的な存在で、趣味は新人いびり。女性だと出世できないことに失望し、女性社員で結束することを考えていた。麻里鈴にも辛くあたっていたが、よしえママと飲み明かした際に心情を吐露し、仕事へのやる気を取り戻す。のちに好意を抱いていた男性と見合い相手として再会。 そのまま結婚に到る。

宮園 桃子 (みやぞの ももこ)

近江物産文書法務課勤務。社内サークル「ホワイトローズクラブ」の会員でリーダー的存在。生粋のお嬢様。はじめは麻里鈴のことを快く思っていなかったが、麻里鈴との交流を深めるうちに、麻里鈴の味方となる。

杉乃井 和子 (すぎのい かずこ)

近江物産経理課勤務。ホワイトローズクラブの会長。正体を隠し、経理課の一社員として麻里鈴に協力する。本来の理念からかけ離れてしまったホワイトローズクラブのことを憂いており、麻里鈴のプロデュースした定例会を最後に、ホワイトローズクラブの解散を宣言する。

高井 繁 (たかい しげる)

レディスシンクタンク専務取締役。レディスシンクタンク内のトラブルを解決させるべく、麻里鈴を引き抜いた。レディスシンクタンクの在り方を巡って峰岸と対抗する立場におり、辞職も覚悟の上で、事態の解決に尽力していた。

土浦 美意子 (つちうら みいこ)

レディスシンクタンクの社員。働くのは「お金を稼いでのんびり暮らすため」という信条を持っている。人懐っこく、誰でも仲良くなれるという特技を持っており、それを活かして麻里鈴のために情報収集に活躍する。

根津 緑 (ねづ みどり)

レディスシンクタンクの社員。レディスシンクタンクに登録してはいるが、働くのが嫌いなダメ社員。退屈な時とお金のない時だけ働く。小野忠のことが気になり、彼とのデートを条件に麻里鈴に協力する。

佐伯 (さえき)

近江物産システム企画課課長。三島課長の後任として配属された。笑顔を絶やさない表の顔とは裏腹に、冷酷で陰湿なやり方で社員を追い詰める。麻里鈴に対しても同様の態度で接していたが、麻里鈴の熱意を認め、それまで無視し続けていたアメリカ研修用のレポートを受け取る。

杉村 (すぎむら)

近江物産海外事業部勤務。成り行きから、麻里鈴と一緒に平賀勝に会いに行くこととなる。おっとりした性格だが、好奇心旺盛で、麻里鈴と一緒に巻き込まれたトラブルも楽しんでいる。たいへんな力持ちで、平賀には「ロボコップ娘」というあだ名を付けられる。のちにアメリカ研修のメンバーとなり、麻里鈴にT.Oさんの写真を渡す。

紺野 涼子 (こんの りょうこ)

近江物産の近くにある焼き鳥屋「タイチロ」のアルバイト。実は名門女子大出身の才媛で、叔父の店で社会勉強のために働いていた。麻里鈴と仲良くなり、一緒にT.Oさん探しに尽力した。その際、知り合った近江物産の石井と恋仲になり、結婚した。

大和 正義 (やまと まさよし)

太陽経済の新聞記者。梨田友子とは古くからの知り合い。麻里鈴が関わる「Cプロジェクト」に興味を持ち、いろいろと調べ回る。その渦中、梨田友子の気持ちを知り、自分も好きだったと告白して結婚に到る。

よしえ

銀座のクラブ「璃羅」のママ。峰岸、オカちゃんとは大学の同級生。人を観る目に長けており、的確な人物評を行う。麻里鈴のことが気に入り、いろいろとアドバイスをくれる。

オカちゃん

何でも屋。破格の料金を取る分、かなり頼りになる人物。よしえの紹介なら無料で引き受けてくれる。峰岸とはそりが合わず、はっきり嫌いと公言しているが、峰岸の結婚式には参加している。

おさよ

銀座の飲み屋「おさよ」の女将。よしえの師匠のような存在。麻里鈴のプロデュースしたホワイトローズクラブの定例会に協力した。実は元ホワイトローズクラブの会員の一人。

川合 紫 (かわい むらさき)

川合商会の専務の娘で、社長の姪。川合商会が近江物産との取引をいきなり切られたことに不審を感じ、麻里鈴とともに佐伯課長に探りを入れた。スパイ小説オタクで、麻里鈴のためにT.Oさんの生年月日や家族構成を調べてあげた。

平賀 勝 (ひらが まさる)

自称・経営コンサルタント。「まさる」ではなく「かつ」と名乗っている。2歳の時、飛行機事故で両親を失っており、沼田に引き取られて育った。両親の死の原因が沼田にあると思い込んでおり、沼田に対して反発していたが、麻里鈴たちの努力で和解に到る。

集団・組織

レディスシンクタンク

『悪女』に登場する組織。女性専門の人材派遣会社。近江物産からの出向者が役員の多くを占めており、峰岸が事実上のトップに君臨する。能力のあるエリート社員だけを残し、多くの登録社員が切り捨てられるところだったが、麻里鈴の活躍により、リストラ案は見直されることとなった。

ホワイトローズクラブ

『悪女』に登場する社内サークル。淑女にふさわしいマナーを身に付ける場所として設立されたが、時が経つにつれ基本理念が形骸化し、単なるお嬢様社員の集まる場所となってしまっていた。その現状を打破し改革を断行するための特効薬として麻里鈴が送り込まれた。

近江物産 (おうみぶっさん)

『悪女』に登場する企業。海外事業部を中心に世界市場を相手にする一流企業。近江物産の関連会社としてレディスシンクタンクという派遣会社もある。主人公の田中麻里鈴が勤めている。

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