概要・あらすじ
都内で一人暮らしをする元看護師のアラサー喪女。彼女の唯一の楽しみは、風呂場でネット小説を読み漁(あさ)ることだった。西暦20XX年12月24日。いつものように風呂で小説を読んでいた彼女は、うっかり寝落ちして溺れてしまう。そして気がつくと、金髪翠眼(すいがん)の伯爵令嬢、リーゼリット・フォン・ロータスに転生していた。リーゼリットは、王都の別邸に行く途中、交通事故現場に出くわす。馬車に轢(ひ)かれた17、8歳の青年は、すでに呼吸をしていなかった。リーゼリットは、前世の知識から心肺蘇生(そせい)法を行う。人工呼吸でざわつく周囲を無視し、懸命に救助活動をしたかいがあり、青年は息を吹き返した。医者も到着し、リーゼリットがその場を去ろうとしたとき、被害者の弟だという少年に呼び止められた。礼をしたいから名前を教えてほしいという。しかし、自分の突発的な行動が、厄介事に発展することを危惧したリーゼリットは、さっさとその場を立ち去った。後日、王家主催のお茶会に参加したリーゼリットは、そこで、自分が助けた青年とその弟に再会する。彼らは、この国の第一王子、ファルスと第二王子、ギルベルトであった。そこでリーゼリットは、この世界が「転生先でも医師になってみせますわ」というネット小説であることを理解した。リーゼリットは、その小説の主人公の悪役令嬢だったのだ。そして彼女は、この先に起こることも思い出す。自分がこの世界の医療環境向上に成功しないと、多くの人が戦争で命を失うことになるはずである。医療に関わる人間として、助けられる命から目をそらすことなんてできない。そのために自分ができることは、看護力の向上である。リーゼリットは、この世界でナイチンゲールを目指すことを決意した。
登場人物・キャラクター
リーゼリット・フォン・ロータス
20XX年のアラサー喪女が転生した、金髪翠眼で14歳の美少女。名門伯爵家の三女で、ツインテールと大きな二つのリボンが特徴。前世では元看護師であり、後に博士課程を経て看護大学で教職に就いている。「転生先でも医師になってみせますわ」というネット小説の主人公で悪役令嬢。医療水準が低い世界で、多くの人の命を救うため、ナイチンゲールのような存在を目指す。
ファルス
王国の第一王子。17、8歳の青年で、プラチナブロンドの髪に金の瞳が特徴。「転生先でも医師になってみせますわ」というネット小説の冒頭では、すでに亡くなっている。しかし、アラサー喪女が転生したリーゼリット・フォン・ロータスにより、命を救われる。命の恩人を探すため、急遽(きゅうきょ)お茶会を主催するが、間違えて別の令嬢と結ばれる。
ギルベルト
王国の第二王子。14歳ぐらいの少年で、アッシュブロンドの短髪に赤褐色の瞳が特徴。俺様キャラだが照れ屋。ツンデレでもある。兄ファルスの命を救ったのが、リーゼリット・フォン・ロータスであることを知っており、密かに彼女に好意を持つ。自分への縁談を断るためという理由で、リーゼリットを婚約者に指名する。
その他キーワード
転生先でも医師になってみせますわ (てんせいさきでもいしになってみせますわ)
20XX年のアラサー喪女が読んだことのあるネット小説。架空の乙女ゲームの世界に、悪役令嬢として転生した医師が、医療系の試練を乗り越えて、ハッピーエンドを迎えるという内容。物語開始時に、第一王子のファルスは死んでいるが、アラサー喪女が転生したリーゼリット・フォン・ロータスがファルスの命を救ったため、冒頭から物語の前提が変わってしまう。
クレジット
- 原作
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さと
書誌情報
悪役令嬢は夜告鳥をめざす 4巻 小学館〈裏少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2021-05-19発行、 978-4098505791)
第2巻
(2021-11-11発行、 978-4098507856)
第3巻
(2022-05-18発行、 978-4098511174)
第4巻
(2023-06-19発行、 978-4098521432)