悪鬼のウイルス

悪鬼のウイルス

二宮敦人による同名小説のコミカライズ。漫画は『あえじゅま様の学校』などのオリジナル作品がある鈴丸れいじが担当。外部から隔離された田舎の村が舞台。廃村に探検に出かけた4人の高校生は、武装した子どもたちに捕まってしまう。子どもが大人を支配する異常な村で繰り広げられる惨劇を描いたホラー・サスペンス。2020年8月19日「LINEマンガ」にて先行連載を開始。その後ドワンゴ「ニコニコ静画」などで2020年9月21日から2021年8月26日まで連載。原作小説は、村重杏奈主演で実写映画化され、2025年1月24日に公開。

正式名称
悪鬼のウイルス
ふりがな
あっきのういるす
原作者
二宮 敦人
漫画
ジャンル
ホラー
 
スプラッター・猟奇
レーベル
コロナ・コミックス(TOブックス)
巻数
全2巻完結
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大人は全員家畜という、子どもが支配する村

高校最後の夏休みに、智樹、颯太、奈々枝、日名子の4人は、人里離れた陸の孤島・石尾村へ向かう。5年前の台風で外部に通じる唯一の道であるつり橋が崩落した村は、数時間に1本の電車以外は移動手段がないという。遊びで廃村に探検に来た4人だったが、子どもの集団が小さな女の子を散弾銃で撃ち殺す現場を目撃し、捕まってしまう。子どもたちのリーダーであるマイは、17歳の颯太と奈々枝は、テストに合格すれば仲間に入れてやると言う。一方、18歳の智樹と日名子は、アパートの地下に監禁された。そこは大勢の大人たちが一緒に暮らす悪臭漂う牢獄だった。シンという青年によると、石尾村では、武装した子どもが村を支配しており、18歳以上の大人は全員家畜扱いされているらしい。過酷な仕打ちに耐えながら情報を集め、智樹は4人全員での脱出を目指す。

腐り鬼の言い伝え

シンの話では、子どもたちが大人を監禁するのは、「腐り鬼」という村の言い伝えが原因だという。鬼の住む山から吹き下ろす風には邪気が含まれていて、長年邪気にあたっていると鬼になってしまう。鬼になるのは18歳以上の大人だけで、鬼と化した者は子どもに敵意を剥き出しにし、暴力や性的暴行を加えるというのだ。腐り鬼は外見は変わらず、頭の中だけが汚染される。しかも治療方法がないため、子どもたちは武装して、予防のために大人を監禁・使役し、時には殺処分を行う。にわかには信じがたい話だが、シンは「腐り鬼」を、北アメリカに住むごく一部の部族にみられる「ウェンディゴ症候群」や、パプアニューギニアの原住民の間で発生する「クールー病」のような、風土病だと考えていた。

極限状態でのサバイバルストーリー

物語冒頭で少女が散弾銃で頭を撃ち抜かれたり、監禁された智樹が死体の解体作業や人骨の粉砕を強要されたりするなど、残酷でグロテスクなシーンが、本作の大きな特徴である。また、ぎりぎり子どもだと判断された17歳の奈々枝は、仲間に入れてもらうための試練として人殺しを強要される。その結果、精神的に追い詰められた奈々枝は心を壊し、幻覚に苛まれるようになってしまう。石尾村で分断されてしまった4人に起きるそれぞれのドラマと人間関係を描いた、極限状態でのサバイバルストーリーが、本作の見どころの一つである。

登場人物・キャラクター

智樹 (ともき)

18歳の高校3年生の男性。奈々枝に好意を寄せているが、颯太の彼女であるために諦めている。一方、日名子が自分を好きなことにも気がついている。仲間思いで、なんとか全員で石尾村を脱出しようと努力する。

日名子 (ひなこ)

18歳の高校3年生の女性。黒のロングヘアーが特徴で、ポジティブな性格の持ち主。智樹に好意を抱いている。一緒に監禁されている智樹のためにバナナを確保するなど、芯の強いところがある。石尾村を脱出するため、智樹に協力する。

颯太 (そうた)

17歳の高校3年生でメガネをかけた少年。3年間、奈々枝と交際している。陸の孤島である石尾村に探検に行こうと皆を誘った張本人。子どもたちのリーダーであるマイに従うフリをしながら、なんとか4人で脱出する方法を探る。

奈々枝 (ななえ)

17歳の高校3年生でボブヘアーの少女。3年間、颯太と交際している。命あるものなら雑草を引き抜くことすら嫌がる、優しい心を持つが、殺人を強要されてパニックに陥ってしまう。

クレジット

原作

二宮 敦人

書誌情報

悪鬼のウイルス 全2巻 TOブックス〈コロナ・コミックス〉

第1巻

(2020-10-15発行、978-4866990682)

第2巻

(2021-08-02発行、978-4866992921)

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