概要・あらすじ
大手電機メーカー・太平洋電気の若手社員佐藤は、社長直々に小学生の息子の家庭教師となることを依頼される。しかし、その社長の息子は『悪魔くん』と呼ばれる天才児であった。悪魔くんは、佐藤を教師とは認めず、蛙男なる異様な男と共に森の中へ姿を消す。その後を追った佐藤は、森をさまよった挙句にヤモリの大群に襲われ、気を失ってしまう。
気が付くと、佐藤の姿はまったくの別人のものに変わり果てていた。佐藤は、自分が蛙男とともに悪魔くんに従う十二使徒のひとり・ヤモリビトとなってしまったことを知らされるが、呪医・フラン・ネールの力により佐藤としての意識を残したまま、悪魔くんに従う振りを続けることになった。
その悪魔くんの目的とは、悪魔を召還し、その力で真に平和な世界を創り出すことであった。
登場人物・キャラクター
悪魔くん (あくまくん)
日本有数の電機メーカー太平洋電気の社長令息。小学二年生ながら、「精神的異能児」と言われるほどの頭脳を持つ天才児であり、すべての人が平等で平和に暮らせる世界を創造しようとしている。ただし、一般に思われるような正義の味方でもなければ、善人でもなく、必要であれば反倫理的な行動も躊躇無く実行する。 目的達成の手段として、悪魔の召喚を試みる。
佐藤 (さとう)
太平洋電気の平社員。社長から息子である悪魔くんの家庭教師となるよう依頼される。しかし、森の中の遺跡で悪魔くんの使徒であるヤモリビトの魂に憑依され、姿もヤモリビトのものに変わってしまう。しかし、呪医・フラン・ネールの力で佐藤としての意識を保つことに成功し、それを隠したまま十二使徒のひとりとして悪魔くんに従う振りを続ける。
蛙男 (かえるおとこ)
その名の通り、カエルのような容貌を持つ人物で悪魔くんの十二使徒のひとり。元は佐藤の前に悪魔くんの家庭教師だった人間だが、ヤモリビトとは異なり、普通の人間だった頃の意識は完全に失われており、悪魔くんに絶対的な忠誠を示す。
ファウスト博士 (ふぁうすとはかせ)
一万年にひとり現れるという東方の神童を探し続けていた老人。いかなる手段によるものか、400年以上の生を重ねている。長い流浪の末に、ついに悪魔くんとの邂逅を果たし、悪魔召喚法の秘密とソロモンの笛を託して息絶える。
悪魔 (あくま)
ファウスト博士に伝授された召喚法によって悪魔くんに呼び出された悪魔。9000万円を代償に、悪魔くんと契約した。見た目は人間と変わらず、特別な力も持っていないと語り、事実、何の役にも立たなかった。しかし、頭脳は優れていたらしく、契約で得た金を元手に金貸しを始め、後には日本の経済界を牛耳るようになる。
サタン
表の顔はアメリカの石油会社の代表で、世界の石油の三分の一を支配するという財界の大物。しかし、その正体は悪魔サタンの末裔にして世界制覇を目論む黒魔術の大家である。悪魔を使役する術は自分だけのものと考えており、悪魔くんと対立する。
スフィンクス
エジプトの砂漠に残されていた人面獣身の巨像。単なる石像であったはずが、サタンが悪魔くんによって殺されたことで、日本へと移動し始める。
キリヒト
父親に頼まれて悪魔くんが通うことになった東京第一小学校の生徒。学校では頭脳明晰で聖人然とした優等生だったが、実はサタンの部下であり、悪魔くんの暗殺を謀る。
フラン・ネール (ふらんねーる)
インドからやって来た呪医で、心までヤモリビトになりかけた佐藤を救った人物。実は、蓬莱島に住む八仙人の配下であり、その命により悪魔くんからソロモンの笛を奪い、さらに悪魔くんを抹殺するためにヤモリビトである佐藤を唆す。
八仙人 (はちせんにん)
常人にはたどり着けない仙境蓬莱島に暮らす八人の仙人たち。理想郷の創造を目指す悪魔くんの活動を世界の平和を乱すものとみなし、フラン・ネールに命じてソロモンの笛を奪取した。
松下社長 (まつしたしゃちょう)
悪魔くんの父親で、太平洋電気を始めとする13の企業を経営する実業家。超天才児である息子を理解できず、家庭教師を依頼した佐藤にその教育を任せようとしていた。サタンとの商談に乗り、魔力を秘めた土地である奥軽井沢を売り渡してしまう。
琵琶法師 (びわほうし)
蛙男が普通の人間だった頃の父親で、行方不明となってしまった息子を探して各地をさまよっている。
カラス
悪魔くんの前に現れた、人語を話すカラス。元は人間であり、悪魔の召喚法を発見したためにサタンによって姿を変えられてしまったと語る。しかし、実はフラン・ネールの配下であり、悪魔くんの情報を探り、誘導しようとしていた。
その他キーワード
ソロモンの笛 (そろもんのふえ)
ファウスト博士から悪魔くんに託された、悪魔を操ることができるという横笛。この笛が奏でる音は、悪魔に大きな苦痛を与えると言われる。悪魔くんが召喚した悪魔も、この笛の存在を知って契約を結ぶことを承諾していた。ただし、八仙人によれば、この笛には真の使い方があるらしく、悪魔くんがそれを知っていたなら大変なことになっていた、と語っている。