概要・あらすじ
春野わかばは、高校入試の日、会場前で受験票をなくしてしまったことに気づく。絶望していると、受験票を拾った男の子が走って追いかけて来てくれた。同じ高校を受験するその男の子、一ノ宮爽に一目惚れしたわかばは、彼が男女共同の寮に入ると聞いて、自分も申し込みをしてしまう。入学式のあと、緊張しながら寮へ向かうわかば。寮がレトロでかわいかったので、写真を撮っていると、後ろにいた男の子に気づかず彼の足を踏んでしまった。わかばはすぐにあやまるものの、その男の子、天見龍之介からにらみつけられてしまう。寮生男女六人が集まったところで、寮の責任者の空間からあいさつがあった。彼は社会心理学の教授で、若者の恋愛心理を研究するためにこの寮「愛メゾン」を作ったのだという。国から助成金が出るため、入寮している1年間は寮費、生活費はすべて無料。ただし、六人は生活する上で変わっていく人間関係、気持ちの変化、恋愛事情などを研究対象として観察される。恋愛するしないは個人の自由だが、1年後寮内でカップルが成立したら、空間が1億円の祝い金を出してくれるという。寮のメンバーは、その金額に驚き、ざわついた。部屋に戻る時、爽はわかばに「入試で会ったよね?」と声をかけてくれた。覚えていてくれたことに感激するわかば。部屋に入る前に女子メンバーの日比木綾がわかばの手をとって「わかば、女子会をしよう」とフレンドリーに声を掛ける。綾はもう一人の女子メンバーの折原百合乃も誘うが、彼女は「ライバルなんだし、仲良くする気はない」と断り、綾と意見が対立。わかばはどちらの味方もできずに最悪の雰囲気に。ふて寝し、頭が痛いという綾の役に立ちたいと、わかばは彼女が希望するザクロ味のアイスを買いに行き、帰りに雨に降られてしまう。綾とは仲直りできたが、天見から「無駄に振り回されてる。それは優しさじゃなくて自己犠牲のお人好しだ」と辛辣なことを言われる。わかばが落ち込んでいると、心配した爽がタオルで髪を拭いてくれた。そして「気まずい雰囲気を飛ばしてくれた。わかばがここにいてくれてよかった」と慰めてくれた。わかばは受験票をなくして心細かった時、爽が助けてくれ、嬉しかったことを思い出し、つい「好きだなぁ」と本心を語ってしまう。爽から「ごめん」とあやまられ、わかばは「大丈夫。気にしないで」とその場を去った。翌日、爽はふつうに接してくれたが、わかばはとても気まずかった。2日後、庭でのキャンプで上の空でテントを張っていたわかば。同じテント係の天見が、わかばの張ったゆるいテントを直そうとした時、強い風が吹いてテントが倒れてきた。すると、天見は体を張ってわかばを守ってくれ、わかばのミスもかばってくれた。その後、爽に呼び出されたわかばは「ごめんと言ったのは本当の好きとか恋が良くわからないから。これは俺自身の問題。わかばが嫌でなければ、これからもっと仲良くなりたい」と言われる。わかばから「爽とは付き合っていない」と聞いた百合乃は「では私が狙っても問題ないよね?」とわかばに宣戦布告する。百合乃は1億のためにまずは爽をターゲットにしたのだ。お昼ご飯も二人で食べるなど積極的に爽にアプローチする百合乃。爽とわかばが買い物に行く約束をしていると、百合乃がいっしょに行きたいと言い出した。わかばは嫌だったが断り切れなかった。すると岸悠馬も「楽しそうだから俺も行く」と言い出し、四人で買い物に行くことに。爽を巡って百合乃とわかばのバトルに気づいた岸は、わかばの恋を応援するから綾との仲を取り持ってほしいとわかばに提案するのだった。岸の働きで百合乃に邪魔されず、爽と二人の買い物を楽しむことができたわかば。岸とわかばが手を組んでずるいと百合乃は不満を漏らしたが、岸から「それも戦略。何でもありだろ」と言われて納得する。次に百合乃はリビングのソファにいる爽を押し倒し、顔を近づけて「私と恋人にならない?」とせまるのだった。
登場人物・キャラクター
春野 わかば (はるの わかば)
高校1年生の女子。受験票を拾ってくれた一ノ宮爽に一目惚れし、彼に近づきたくて男女共同の寮「愛メゾン」に入ることを決めた。髪型は肩までのボブカット。すぐに周りの空気を読んでしまい、気弱であまり自分の意見をはっきり言えない。お人よしで思いやりのある女の子。恋愛初心者で素直に感情が顔に出てしまう。家は菓子店を営んでいる。
一ノ宮 爽 (いちのみや そう)
高校1年生の男子。前髪長めでややタレ目のイケメン。優しくスマートで爽やかな王子様。女の子にモテるため、告白されて付き合った経験はあるが、付き合った相手に「本当に自分のことを好きなのか」と言われ、結局ふられてしまう。本当の恋を知るために「愛メゾン」に入った。春野わかばの一目惚れの相手。動物好きで、中でも鳥が好き。
天見 龍之介 (あまみ りゅうのすけ)
高校1年生の男子。黒髪でとても不愛想な男の子。寮が無料という理由で「愛メゾン」に入る。周りに媚びない一匹狼で、思っていることをはっきり言うタイプ。自分のこともほとんど話さず、他人と距離をとる。人とかかわって面倒に巻き込まれるより、将来のために勉学に励む。春野わかばに文句を言いながらも的確なアドバイスをしたり、助け舟を出したりする。広島出身。祖母が広島で小さな和菓子店をやっており、和菓子を食べるのも作るのも好き。
日比木 綾 (ひびき あや)
高校1年生の女子。明るくフレンドリーでよくしゃべる女の子。髪型は背中までのロングスタイル。感情の起伏が激しく、わがままなところがあるため、友達をつくるのが苦手。中学時代はいじめられていた。高校でも入学してからなかよくしていたクラスの友達とうまくいっていない。学校以外の居場所が欲しくて「愛メゾン」に入寮した。趣味はゲーム。
折原 百合乃 (おりはら ゆりの)
高校1年生の女子。髪型は顎までの長さのセンター分け。美人なのだが、性格がきつく、トラブルメーカー。腹が立つこと、思っていることは相手の気持ちを気にせず発言する。「愛メゾン」に入った理由は無料だから。とにかくお金重視で、1億円を狙って手段を選ばず、カップルになろうとしている。特技は花札と麻雀。
岸 悠馬 (きし ゆうま)
高校1年生の男子。前髪は眉毛までの長さで、サイドを少し刈り上げている。明るく元気なお調子者で、寮のムードメーカー。「愛メゾン」には面白そうだからという理由で入った。中学までは野球をしており、今は帰宅部。日比木綾が気になっており、春野わかばに協力をあおぐ。
空間 (そらま)
大学教授で、メガネを掛けた細身の明るいおじさん。妻子持ち。社会心理学の教授で、若者の恋愛心理を研究している。国から助成金をもらい、男女共同の寮で若者の恋愛を観察するため「愛メゾン」を作る。入寮する生徒の費用負担はない。彼らが恋をするため、キャンプや弁当交換、恋人ごっこなどさまざまなイベントを計画する。家は地主で金持ちのため、カップルが成立したら、祝い金としてポケットマネーで1億円を払う。
場所
愛メゾン (らぶめぞん)
社会心理学の教授、空間が若者の恋愛心理を研究するために作った男女共同の寮。国から研究のための助成金をもらって運営している。入寮期間は1年間で、その間の寮費、生活費は無料。寮に入った者は、決められたイベントに参加し、気持ちの変化やその日の出来事、恋愛に関しても報告していく。