あらすじ
第1巻
世界に起きた異変から、国王は初代魔王ルキメデスが復活したと判断し、討伐のために勇者75人とそのお付きとなる王宮戦士たちを派遣した。激闘の末に、初代魔王ルキメデスはロスによって封印されるが、ロスは次元の狭間に閉じ込められ、姿を消してしまう。魔王復活の危機が去ってから1年後、国王に派遣された勇者の一人であるライマンに付き添う王宮戦士のエルマ・トリュウは、正義感はあるものの戦闘経験がなく、スライムにまで土下座する情けないライマンに呆れていた。そんなライマンとトリュウの前に強力な魔物が現れ、二人はなす術もなくピンチに陥ってしまう。そこへ、あちこちで噂になっている「レッドフォックス」の異名を持つ勇者のアルバが現れた。アルバはライマンたちと協力して、襲われていた子供たちを守りながら魔物に対抗するが、魔物は再び子供たちを襲おうとする。そんな魔物には謎の砲撃が降り注ぐが、それは「謎の天才科学者エックス」を名乗るアレスが放った攻撃であった。魔物を退治してアレスとヒメちゃんに再会したアルバは、ヒメが父親である国王の罪滅ぼしをしようとしている事、フォイフォイが城の執事になったために恥ずかしくて城に居づらくなった事を知る。アルバは自分が再び冒険に出た経緯を振り返るが、城の中の宝物庫付近では、何者かによる爆発事故が起こっていた。
第2巻
失恋したヒメちゃんを励ますために、アレスが開催したサッカー大会に参加していたアルバはヤヌア・アインと再会し、消えてしまったロスに関する新たな情報を得る。それは、ロスのかつての故郷が魔界にある村「オリジニア」であるという、衝撃の真実だった。その頃、サッカーボールを探していたルキはノイン・ゼプテンバーと遭遇し、ノインのとなりにはルキの父親の二代目魔王ルキメデスが立っていた。ルキはノインが二代目魔王ルキメデスを襲撃し、自分の意のままにあやつっている事を知り、衝撃を受けて呆然としてしまう。ノインのあやつり人形となってしまった二代目魔王ルキメデスにアルバたちは苦戦を強いられるが、ヒメちゃんのヒメンダムによる攻撃でピンチを脱却する。しかし追い詰められたノインは、二代目魔王ルキメデスのゲートの魔法を発動させ、その場にいる者たちを別のどこかに飛ばしてしまう。アルバが目を覚ましたのは魔界で、そこはヤヌアが言っていたロスのかつての故郷、オリジニアであった。オリジニアには伝説の勇者のクレアシオンを称える「クレアシオンランド」が建設されていた。アルバはクレアシオンランドの管理人をしているおじいさんの魔法により、夢の世界に入り込むのだった。
第3巻
魔法で夢の世界に入り込んだアルバは、魔界のオリジニアで暮らすロスの少年時代と、千年前にオリジニアで起こった悲劇の真実を知る。まだ魔界が存在しなかった時代、平和なオリジニアに住んでいたのは、少年時代のロスである「シオン」とその親友のクレア、そしてシオンの父親であるルキメデスだった。平和に暮らすシオンたちの日々は、ある研究に没頭していたルキメデスの野望によって崩れ去る。ルキメデスは負の感情から魔力を作り出す「魔力ツクール君」を開発し、自らが魔王となって世界征服をもくろんでいた。クレアを傷つけ、魔力ツクール君の力で「初代魔王ルキメデス」となったルキメデスは、クレアの体を乗っ取ってそのままシオンの前から姿を消してしまう。ロスの過去を見たアルバは、彼が初代魔王ルキメデスの息子であった事、彼が初代魔王ルキメデスを殺さずに封印するしかなかった理由を悟る。一方、アルバが姿を消したと知ったルキは、彼を探してヤヌア・アインを訪ねる。そしてルキは、ヤヌアの転送魔法で魔界に滞在するアルバのもとへ向かい、ロスの過去や初代魔王ルキメデスに関して、自分が知っている事をアルバに語るのだった。
第4巻
アルバがロスの過去を見ていた頃、ロスは次元の狭間で初代魔王ルキメデスとの攻防を繰り広げていた。そこにエルフ・ノベンバーが介入した事で、ロスは初代魔王ルキメデスの封印に失敗してしまう。そして、ロスが放った魔法をきっかけに、ロスは力を失った状態で外界に飛ばされてしまう。ロスが飛ばされた先は、魔界のオリジニア付近の街であった。時間の流れが異なる次元の狭間にいたロスは、どのくらいの年月が経ったのかわからないまま、状況を探るために街を放浪する。一方、ルキの話を聞いてロスの事情と世界の現状を知ったアルバは、初代魔王ルキメデスを復活させる方法とクレアの魂を救い出す方法を見つけるべく、いつかはロスに再会できる事を夢見てルキと共に旅立とうとしていた。ヤヌア・アインに会おうと街に出たアルバたちは、街中で偶然ロスと再会。ロスの話を聞き、彼の事情と新たな目的を知ったアルバは、ロスをサポートするためにいっしょに行こうと提案する。しかし、アルバは魔界で勇者を堂々と名乗ってしまった事で捕えられ、投獄されてしまう。その頃、ロスに力を奪われた状態で次元の狭間から抜け出し、魔界の森で迷っていた初代魔王ルキメデスはモルトモーメ二世に遭遇していた。
第5巻
投獄されたアルバに取り残されたロスとルキたちは、アルバ釈放の鍵となる鮫島を捜そうとしていた。一方、次元の狭間から出た初代魔王ルキメデスは、己の魔力の回復を確認するために、魔界の森で遭遇したモルトモーメ二世と鮫島をいたぶっていた。二人との戦いの中で、初代魔王ルキメデスは昔の調子が戻りつつある事を実感する。さらに初代魔王ルキメデスは、予備の魔力ツクール君を使って魔力を取り戻し、再び世界征服をもくろむようになる。その時、鮫島を捜して移動してきたロスたちが現れる。ロスと初代魔王ルキメデスが再会した事で、新たな戦いが始まろうとしていた。その頃、投獄されたアルバは謎の女性のギルティ・ジャスティスに一目惚れされ、彼女に連れ出されて無理やり脱獄していた。アルバは初代魔王ルキメデスと対峙していたロスたちと合流するが、そこには初代魔王ルキメデスに味方するディツェンバー一味も乱入していた。ギルティはその場にいたディツェンバー・ツヴォルフに一目惚れし、アルバからあっさり彼に乗り換える。スキを見た初代魔王ルキメデスはディツェンバーに書き置きを残し、その場から逃げ出してしまう。その頃、フォイフォイを探すためにアレスたちから離れてある街を訪れたヒメちゃんは、執事のトイフェル・ディアボロスと遭遇していた。
第6巻
魔力を取り戻した初代魔王ルキメデスの気配を感じ取り、ディツェンバー・ツヴォルフを中心とする強力な魔族たちが初代魔王ルキメデスのもとに集結した。クレア救出の鍵となる魂の魔法を使えるトイフェル・ディアボロスと出会ったアルバたちは、ヤヌア・アインや鮫島など強力な助っ人を加え、初代魔王ルキメデスとの最終決戦に挑もうとする。当初は複数で攻撃したスキに乗じてトイフェルの魔法でクレアの体から初代魔王ルキメデスの魂を追い出す作戦であったが失敗し、武器を牢屋に置いてきてしまったアルバは、何もできず苦戦を強いられる。そこにライマンとエルマ・トリュウが現れ、アルバはすぐに倒されたライマンの剣を借りて魔族たちを次々と倒し、再び初代魔王ルキメデスに立ち向かう。しかし初代魔王ルキメデスの強力な攻撃でアルバは体を焼かれ、次元の狭間に飛ばされてしまう。怒ったロスはわずかな魔力で初代魔王ルキメデスに対抗しようとするが歯が立たず、最大のピンチに陥ってしまう。そこにヒメちゃんがヒメンダムで攻撃を仕掛け、駆けつけたフォイフォイも力を解き放つのだった。一方、次元の狭間に飛ばされてしまったアルバは、行方不明になっていたハニーと遭遇していた。
関連作品
本作『戦勇。メインクエスト第二章』の関連作品として、『戦勇。メインクエスト第一章』がある。復活した魔王の討伐のために旅立ったアルバとロスの冒険を描くギャグファンタジー。WEBコミックサイト「ニコニコ漫画(ニコニコ静画)」で2010年8月より連載されていたWEBコミック『戦勇。』を紙媒体向けに春原ロビンソンが描き直した作品で、WEBコミックサイト「水曜日のシリウス」にて2013年8月から2014年4月まで連載された。
登場人物・キャラクター
アルバ
国王に集められた勇者の少年。勇者ナンバーは45で、お付きの戦士はロス。旅立ったばかりの頃は、スライムにすら苦戦するほどに弱いヘタレ勇者だったが、さまざまな戦いを経て成長し、「レッドフォックス」の異名で呼ばれる伝説的な勇者となる。事あるごとに牢屋に入れられているため、アルバ本人も周囲も投獄慣れしてしまっている。特技はツッコミ。本名は「アルバ・フリューリング」で、母親はアスキーアートのような姿の女性で、父親のクラン・フリューリングは流れの医者をしている。戦いの末に、初代魔王ルキメデス復活の危機が去ってからは、彼を封印しようと姿を消したロスを復活させるために、国王に送り出されて再び冒険の旅に出る。しかし自らの名誉のために、勇者を集めてトラブルの種をまいた国王の事はあまり快く思っていない。ルキと合流後は、しばらく二人で行動していた。冒険の途中で仲間と離れて魔界のオリジニアに飛ばされ、そこで出会ったおじいさんの魔法でロスの過去を見る。ロスの抱える事情と人間界と魔界の現状を把握し、ロスと再会する方法やクレアを助ける方法を探すべく、ルキと再び旅立とうとするが、魔界の街で偶然ロスと再会。その後は一度投獄されるが、ギルティ・ジャスティスの力で脱獄してロスたちと合流し、初代魔王ルキメデスとの最終決戦に挑む。
ロス
アルバのお付きとして旅に出た、王宮戦士の青年。アルバの武器よりも大きい大剣と、謎のエンジンを装備している。アルバに対しては敬語で話すが、言動や態度などは非常にドS。正体は千年前に初代魔王ルキメデスを封印した伝説の勇者のクレアシオン本人で、勇者になる前の本名は「シオン」。ディツェンバー一味との戦いの中で復活した初代魔王ルキメデスを封印するために、自らを犠牲にして次元の狭間に姿を消した。シオンだった頃の少年時代は、故郷のオリジニアで、働かない科学者の父親、ルキメデスの世話をしながら親友のクレアと平和に暮らしていた。しかし、ルキメデスが初代魔王ルキメデスとなり、クレアの体を乗っ取った事で平和な日々が崩れ去る。初代魔王ルキメデスがクレアの体を乗っ取ったままのため、殺さずに魔力を奪って次元の狭間に初代魔王ルキメデスを封印しようとしていたが、エルフ・ノベンバーの介入により失敗し、力を失った状態で魔界に飛ばされる。その後は偶然アルバと再会し、魔界のどこかに逃げた初代魔王ルキメデスを再封印するために旅立とうとする。時間の流れが違う次元の狭間にいたため、アルバと離れてから再会するまでに数時間程度しか経っていない。このため、1年が経過して成長したアルバには身長が追いつかれている。投獄されていたアルバと合流後は、彼と共に初代魔王ルキメデスとの最終決戦に参戦した。
ルキ
桃色の髪に黒い羽のような角が生えた謎の少女。ポップコーンを作ろうとした際にまちがって召喚用の鍋を使い、魔界から魔物と12人の強力な魔族を召喚してしまう。以来、魔族と魔物を魔界に帰すために、一人で人間界を旅していた。明るく天然な性格で、時折ツッコミ役もこなす。正体は二代目魔王ルキメデスとハニーの娘「三代目魔王ルキメデス」だが、両親は数年前から行方不明となっている。好きな場所へ移動できる「空間移動ゲート」と呼ばれる魔法を得意としており、次元の狭間などもゲートによって移動できる。しかしふつうの人間にゲートを使うと、あばら骨に亀裂が入るなどの副作用が起こる。これらの力と魔王の肩書きを継承しながらも、世界滅亡や人類への敵意などは持っていない平和主義だが、たまに毒舌になる。旅の途中で遭遇したアルバや、ロスと行動を共にするようになる。初代魔王ルキメデス復活の脅威が去ったあとはとある村の神となっていたが、愚行が過ぎたために村人から火あぶりにされていたところを、再び旅立ったばかりのアルバに救出された。その後はアルバと二人で行動していたが、旅の途中で行方不明だった父親に遭遇し、父親がノイン・ゼプテンバーにあやつられている事を知る。本名は「リュミール」。
フォイフォイ
国王に派遣された勇者の青年。勇者ナンバーは14で、顔の中央に傷跡があり、謎の倒置法で話したりポエムのような日記をつけたりなど「中二病」の症状が見られる。かつて魔王討伐の賞金目当てでお付き戦士のルドルフと共に旅立ち、アルバたちと対峙した。高い戦闘力を持つが、現在は勇者を辞めて城の執事をしており、ひそかにポエム調の日記をつけている。マルーという妹がおり、妹の事は日記にも記されている。病にかかっている妹を救うために魔族と手を組み、王宮の宝物庫を破壊するクーデターを起こし、ヒメちゃんとの戦闘の末に執事を辞めて姿を消した。その後は別の街で暮らすようになり、目を覚まさなくなったマルーの病を治すために、アプリールに魂の魔法をかけるよう依頼する。一度はアプリールによってマルーをモンスター化されてしまうものの、トイフェル・ディアボロスによって救われて目覚めたマルーと再会。その後は自分に好意を持ってくれるヒメちゃんのために、初代魔王ルキメデスとの戦いに参戦する。
ルドルフ
フォイフォイのお付きとして派遣された、王宮戦士の男性。12歳以下の女の子しか愛せないロリコンの老人で、その証として首元には「ロリ魂」の文字があり、「恋のシンデレラ」を自称している。特にルキの事を気に入っており、彼女を「ルキたん」と呼んで付きまとっている。戦士としてはベテランであり、特に戦いに幼女が絡むとさらに強くなる。フォイフォイと共に城にいたが、彼がクーデターを起こした事により負傷し、しばらくはアルバやルキたちと行動を共にしていた。
ヒメちゃん
国王の娘。金髪碧眼の可憐な少女で、トイフェル・ディアボロスの世話を受けながら城で暮らしていた。ところが、ある日突然、アレスのお付き戦士として王宮を抜け出し、彼女の作った巨大鎧ロボ「ヒメンダム」をまとって旅に出た。小柄で照れ屋だが健気でしっかりした性格で、数少ないツッコミ役でもある。フォイフォイに片思いしているが彼に対してなかなか素直になれず、暴力的な行動を取ってしまう事が多い。旅に出た目的は、父親の行動によって起こったさまざまなトラブルを償うためであったが、執事として城に住むようになったフォイフォイへの照れからでもある。フォイフォイが爆発事故を起こした際は、彼に思いを告げて力づくで止めようとするも失敗。その後、フォイフォイの日記を読んで彼の目的を知り、姿を消した彼を探して城を離れ、一人で街に出る。フォイフォイとマルーの再会を見届けたあとは、初代魔王ルキメデスとの最終決戦に参戦する。
アレス
ヒメちゃんと共に旅に出た、勇者の女性。元は王宮で働くメイド長であったが、ヒメちゃんと共に巨大なハンマーを持って旅立った。現在は白衣をまとった科学者となり、「謎の天才科学者エックス」を名乗っている。ヒメちゃんがふだん入っている鎧「ヒメンダム」を作り、メンテナンスも担当している。片思いをしている純情なヒメちゃんをからかう事が多いが、本心ではとても大事に思っている。ヒメちゃんやアルバと合流後は、初代魔王ルキメデスとの最終決戦に参戦する。
国王 (こくおう)
人間界をおさめる男性。ヒメちゃんの父親。魔王討伐のために勇者を派遣しようとするが、誰が伝説の勇者のクレアシオンなのかがわからないため、彼の子孫と思われる75人を集結させて世界に派遣した。「世界を救った勇者を派遣した王」として、世界中に称えられるのを夢見ている。初代魔王ルキメデス復活の危機が去ったあとは事後処理に追われながら、野望と名誉のために初代魔王ルキメデスの復活をもくろんでいた。別の理由で初代魔王ルキメデスを復活させようとしているアルバを見込み、再び勇者として旅立たせた。
ヤヌア・アイン
ルキによって召喚された、強力な12人の魔族の一人の少年。中性的な見た目で、忍者にあこがれており、語尾に「〜でござる」を付けて話す。目下に三日月のような模様があるが、実はヤヌア・アイン自身による手描きである。自分の使う魔法を「忍術」と言い張っており、「魔法」だと指摘されるのを嫌う。主に転送魔法を使うが、行き先にいる人の気配を感知して移動するため、基本的には知り合いが存在する場所にしか移動ができないなど、いくつかの制限がある。代々忍者の家系と言い張っているが、実家は魔界にある農家で、実家では大好物のトマトを栽培している。鮫島とは親友関係だが、通っていた学校は留年を繰り返す彼よりも先に卒業した。魔界でアルバたちと合流した際にハセガワラ龍聖に結婚を申し込まれるが、全魔界一最強トーナメントにて直接戦って勝利する事で回避した。その後は、しばしばアルバやロスたちを転送魔法でサポートしつつ、初代魔王ルキメデスとの最終決戦に参加する。
ミーちゃん
ヤヌア・アインの友達で、変態でドMな猫。ヤヌアと友達になった事から、彼の魔力の影響を受けて二足歩行で歩くようになり、言葉も話せるようになった。現在でもヤヌアの近くにいると、体が変形して頭身が高くなるなどの影響を受ける。本名は「ミケラジェウル・ロールテリア」。
鮫島 (さめじま)
男気あふれる友人思いの赤髪の男性。いつも学ランを着ていて、愛称は「アニキ」。学生だが通っている高校は87回も留年を繰り返し、クラスメートで親友でもあるヤヌア・アインに先に卒業されている。ようやく2年生に進級したが、現在でも友人のピンチを察知しては授業を抜け出している。「男気」と呼ばれる謎の力を使用するが、実際は無自覚に特殊な魔法を使用している。ダッシュで次元を移動したりパンチで洗脳を解いたり、胸に潜めた懐中時計で攻撃を回避したりなど、理屈や常識を無視した攻撃や防御も可能。困っている人を放っておけないお人よしな性格で、特に友人のピンチには敏感。ヤヌア以外にもモルトモーメ二世など、複数の友人がいる。必殺技は「男気ビーム」と「炎殺滅竜拳」。魔界の森で初代魔王ルキメデスに襲われていたモルトモーメのピンチに駆けつけ、初代魔王ルキメデスと戦うが敗北する。その後はロスたちと再会し、初代魔王ルキメデスとの最終決戦に参戦した。
エルマ・トリュウ
伝説の勇者「レッドフォックス」にあこがれている王宮戦士の少年。勇者のライマンのお付きとして旅をしている。弱小モンスターにまで土下座するライマンには呆れており、戦闘面ではまったく信用していない。ライマンと共に魔物に襲われていたところをアルバに救われ、彼こそがレッドフォックスである事を知り、「師匠」と呼んで一方的に慕うようになる。
ライマン
国王に派遣された勇者の一人の男性。正義感が強い。飲み屋で勇者人事の人と意気投合して勇者になり、お付き戦士のエルマ・トリュウと共に旅をしている。人々を守るために戦う勇敢な性格だが、魔物に土下座したりかっこいい台詞を言ってもすぐに倒されたりなど、戦闘レベルはかなり低い。
ノイン・ゼプテンバー
強力な12人の魔族の一人の少年。ディツェンバー一味の一員。銀髪の小柄な少年で、左目に星型の紋様がある。また、相手を怖がらせるためにクマの帽子をかぶっている。ディツェンバー・ツヴォルフとの付き合いは長い。戦闘能力はあまり高くないが、瀕死にした相手をあやつる特殊能力「マリオネットドール」を使う。数年前にディツェンバーとエルフ・ノベンバーと共に二代目魔王ルキメデスを襲撃し、エルフの攻撃で瀕死状態にした彼をあやつり人形にする事に成功した。しかし戦いの中で、二代目魔王魔王ルキメデスのゲートの能力によって左目をえぐられたため、義眼を入れている。アルバたちとの最終決戦では、二代目魔王ルキメデスを連れて初代魔王ルキメデスをサポートした。
二代目魔王ルキメデス (にだいめまおうるきめです)
二代目魔王。ルキの父親で、娘のルキと同様、ゲートを生み出す強力な魔法を使えるが、移動だけでなくゲートから直接攻撃するなど、戦闘にも大いに活用している。初代魔王ルキメデスが封印されたあとに、伝説の勇者・クレアシオンの計らいで「魔王ルキメデス」の名を継ぐ。平和主義者で、しばらくは荒廃した魔界の復興に専念していた。また魔界に学校や役所などの施設を作り、千年の月日をかけて魔界の復興に成功する。人間界との差別化にも尽力し、お互いの世界の秩序を乱す事のない平穏な世界を目指す。ハニーと結婚し娘のルキが生まれたあとは、魔界の平和を守りながら家族と共に幸せな日々を送っていた。しかし初代魔王ルキメデスを支持するディツェンバー一味の襲撃を受け、エルフ・ノベンバーの攻撃で瀕死となり、これ以降はノイン・ゼプテンバーのあやつり人形となってしまう。最終決戦では、ノインにあやつられたままにアルバたちの前に再び姿を現す。
ハニー
二代目魔王ルキメデスの王妃。ルキの母親。いつもニコニコしているおおらかな性格で、娘のルキ以上にマイペースでもある。魔界の平穏を守ろうとする夫を支えながら、ルキを育てていた。二代目魔王ルキメデスと共にディツェンバー一味に襲撃された際に封印魔法を発動し、夫と共にルキの前から姿を消して行方不明になっていた。長らく家族と離れていたが、復活した初代魔王ルキメデスの戦いの中で、次元の狭間に飛ばされたアルバと遭遇。また初代魔王ルキメデスが開発した魔力ツクール君を偶然拾っており、魔力ツクール君をアルバの体内に埋め込んで大幅に強化し、彼を送り出した。
エルフ・ノベンバー
「機械都市タートル」でアルバたちが出会った謎の少年。黒髪と灰色の肌が特徴。マイペースな性格で、関西弁で話す。実は四大魔族の一人で戦闘力がとても高く、相手の見た目そっくりの着ぐるみを瞬時に作り出し、相手の能力を模倣できる特殊能力も持つ。肉弾戦も得意だが、頭は非常に悪い。数年前にディツェンバー一味に金で雇われる形で二代目魔王ルキメデスを襲撃し、二代目魔王を瀕死状態にした。のちに次元の狭間に封印された初代魔王ルキメデスとロスの戦いに介入し、クレアに化けてロスにゆさぶりをかけ、ロスの封印魔法が失敗する原因を作った。実は二千年以上前から生きており、初代魔王ルキメデスよりもかなり年上。また、人間だった頃の初代魔王ルキメデスに魔力の概念を教えて魔王に導くなど、その目的や正体は謎が多い。
ユーリ・ジーベン
強力な12人の魔族の一人の少年。ディツェンバー一味の一員。小柄な体形で、金髪を後ろで縛っている。幼い見た目に反して、性格は非常に凶暴。体の一部または全身を巨大なドラゴンに変化させる能力を持ち、一味にとっての邪魔者を掃討する役割を持っている。ノイン・ゼプテンバーと同様、ディツェンバー・ツヴォルフとの付き合いは長い。
クレアシオン
千年前に初代魔王ルキメデスを封印したとされる、伝説の勇者。正体は勇者として活躍していた頃のロスであり、初代魔王ルキメデスを封印したあとは自らも千年の眠りについていた。のちに初代魔王ルキメデスとクレアシオン自身への封印が解けた際に城に潜入し、正体を隠してロスと名乗り、アルバと旅立っていた。
ディツェンバー・ツヴォルフ
ディツェンバー一味を率いる、強力な12人の魔族の一人の男性。通称「影男」。黒いファーコートを羽織った、若い男の姿をしている。サイコロ状の菱形の赤目を持ち、人格が変わると目の模様や性格、能力も変化する。実は四大魔族の一人でもあり、強力な魔力を持つ。必殺技は影のような闇に質量を持たせて攻撃する「ドゥンケルハイト」。ふだんはクールをきどっているが、六人の人格を持つ多重人格者で、状況に応じて分身を作り出して人手を増やしたりもできる。数年前にゲートの力を手に入れるため、ノイン・ゼプテンバーとエルフ・ノベンバーを連れて二代目魔王ルキメデスを襲撃していた。初代魔王ルキメデスに強い忠誠を誓い、彼を復活させる事を最大の目的としている。一時はロスとの力の差に意気消沈していたが、初代魔王ルキメデスの復活を知ったあとは分身体と統合して力を取り戻す。偶然出会ったギルティ・ジャスティスに一目惚れされてペースを乱されるが、初代魔王ルキメデスとの世界征服を叶えるためにアルバたちとの最終決戦に参戦。成長したアルバの剣技に圧倒され、最後の魔力を初代魔王ルキメデスに捧げて消滅する。
初代魔王ルキメデス (しょだいまおうるきめです)
初代魔王で、魔界の創始者でもある男性。ルキからは「おじーちゃん」と呼ばれているが、ルキや二代目魔王ルキメデスとは直接の血縁関係はない。千年前に人間界を含む世界征服をもくろんでいたが、伝説の勇者のクレアシオンによって魔力を奪われて、長らく封印されていた。目覚めた際にロスの封印魔法を受けて次元の狭間に飛ばされるが、エルフ・ノベンバーの介入で次元の狭間から抜け出し、魔界に飛ばされる。正体はロス(当時はシオン)の父親であり、元はオリジニアで息子たちと暮らす、人間の科学者「ルキメデス」だった。人間だった頃はオリジニアで研究者をしながら、シオンとクレアと共に平穏な日常を送っていたが、森の神殿にある書物で魔力や魔法の存在と概念を知り、それらの研究に没頭するようになる。魔力の源が負の感情にある事を知り、クレアを傷つけてシオンを怒らせ、魔力ツクール君に溜め込んだ魔力を利用し、クレアの体を乗っ取る。魔力ツクール君とクレアに宿った強い魔力を使って新たな世界「魔界」を作り、魔族を生み出した。次元の狭間から抜け出したあとは、予備の魔力ツクール君といくつかの戦闘を経て魔力を取り戻していき、ディツェンバー一味と共に再び世界征服をもくろむ。
おじいさん
魔界のオリジニア内に建てられた「クレアシオンランド」を管理している謎の男性。お金が大好きな変わり者だが親切な老人で、魔界に飛ばされてきたアルバを保護し、魔法によって千年前のオリジニアで起こった出来事(ロスの過去)を見せた。土地や人の過去を見たり、夢を通して相手に過去を見せたりできる特殊な魔法が使える。しかし魔法の発動には相手に添い寝するか、相手に膝枕をする必要がある。また夢の世界に入り込みすぎると、なぜか美女の姿になってしまう。
ハセガワラ龍聖 (はせがわらりゅうせい)
魔界のオリジニア内に建てられた「クレアシオンランド」でおじいさんと暮らす謎の雄牛。牛が魔力の影響で変身した事で変化し、全裸に蝶ネクタイと靴下を着用した「牛紳士」となっている。実は戦闘力が高く、全魔界一最強トーナメントの連続覇者。ヤヌア・アインに惚れ込み、捕縛して無理やり結婚しようとする。
クレア
ロスの幼なじみにして親友の少年。千年前にオリジニアで、少年時代のロス(当時はシオン)と暮らしていた。明るく何事にもポジティブな性格で、あまり深く物事を考えていない。外の世界にあこがれながらもシオンたちと共に平穏な毎日を過ごしていたが、人間だった頃の初代魔王ルキメデスの攻撃で負傷。その際に強い魔力が宿った事で一命を取り留めるも、体を初代魔王ルキメデスに乗っ取られ、魂が眠った状態になってしまう。これによってシオンはクレアに移った初代魔王ルキメデスを攻撃できなくなり、魔力を奪って封印するしかなかった。長らく体を乗っ取られたまま意識が眠っていたが、初代魔王ルキメデスの魂が追い出された事で目覚め、ロスと再会を果たす。
モルトモーメ二世 (もるともーめにせい)
魔界の住人で、格闘家兼タレントの男性。戦闘力は高く、全魔界一最強トーナメントの優勝者で多くのファンがいる。片腕に装着したドリルで攻撃する。ドリルは着脱可能だが、家にある専用器具でしか外せず、ドリルを使用した日は一日中痒くなる。トーナメントで優勝したあと、魔界の森で初代魔王ルキメデスに遭遇し、戦いを挑むが敗北する。実は鮫島の友人。
ギルティ・ジャスティス
魔界の住人で、明るく元気いっぱいな女性。額にハチマキを巻き、巻き毛のようなアホ毛がある。「正義が味方してくれる」という謎の理屈から「正義そのもの」を自称している。かなり惚れっぽい性格で、特に暗い顔をした男性を好む。魔界で勇者を名乗って捕まっていたアルバに一目惚れし、投獄された彼を救い出す。アルバをはじめ、気に入った男性を一方的に「ダーリン」と呼ぶ。一見ふつうの女性だが実は四大魔族の一人で、高い戦闘力を持つ。アルバを連れ出してディツェンバー・ツヴォルフに遭遇した際に一目惚れし、あっさりアルバから乗り換えた。
トイフェル・ディアボロス
城に勤めている執事の男性。かつてはすばやく仕事をこなす優秀な執事であったが、それは単に昇給のためであり、実際はかなりの怠け者で面倒くさがりな性格。執事長になってからは、働かずに楽な生活をしたいとあらゆる手段でサボろうとしており、仕事をサボるためであれば努力を惜しまない。実は強力な力を持った魔族だが、人類に危害を加えるつもりはなく、人間の振りをしながら城で働いていた。希少な魂の魔法を使う事が可能で、その実力はアプリールを上回り、魂に直接攻撃する事もできる。しかし、魂の魔法の使用後は副作用として肩が凝る事と、ある組織に利用されていた過去から、めったに使わないようにしている。ヒメちゃんの頼みで、フォイフォイを探す中で彼の住むマンションを見つけ出し、アプリールの魔法でモンスター化したマルーを救い出した。その後はクレアを救おうとするロスの頼みを嫌々聞き入れ、彼らと共に初代魔王ルキメデスとの決戦に参戦する。
アプリール
ディツェンバー一味の一人で魔族。一見少年のように見えるが少女で、一人称は「ボク」。魂に語りかけて強化させる希少な魂の魔法を使えるが、使用後は副作用で肩が非常に凝る。病弱なマルーに目をつけてフォイフォイを騙し、彼女をモンスター化させようとしたが、さらに強力な魂の魔法を使えるトイフェル・ディアボロスに邪魔されて失敗。さらにトイフェルの魔法により、モンスター化したマルーの体と魂が入れ替わり、モンスターとなる。その後は初代魔王ルキメデスに連れ去られる。
マルー
フォイフォイの妹。病で倒れたまま眠り続けていたが、アプリールの策略で魂を強化され、肉体が黒いモンスターと化してしまう。理性を失って暴れ、モンスターのままで命を落としかけていたところをトイフェル・ディアボロスに救われ、アプリールの肉体に魂を移される形で復活した。もともと明るく気の強い性格であったが、復活後は少々性格が変わっている。好きなタイプは30代後半の男性。
集団・組織
ディツェンバー一味 (でぃつぇんばーいちみ)
ディツェンバー・ツヴォルフが率いる魔族の集団。その大半は強力な魔族によって構成されている。初代魔王ルキメデスの復活と、魔族による世界征服をもくろんで暗躍し続けている。
場所
オリジニア
魔界にある村で、少年時代のロス(当時はシオン)やクレアが暮らしていたかつての故郷。森の中には「聖なる神殿」がある。伝説の勇者のクレアシオンを称える「クレアシオンランド」が建設されているが、建物は半壊し寂れている。
次元の狭間 (じげんのはざま)
魔界でも人間界でもない謎の空間で、伝説の勇者のクレアシオンが初代魔王ルキメデスを封印していた場所でもある。時間の流れはほかのどの世界とも異なっている。
その他キーワード
魂の魔法 (たましいのまほう)
アルバとロスが、初代魔王ルキメデスに体を乗っ取られたクレアの魂を救い出すために探している、希少な魔法。魂に直接語りかけたり、体を乗っ取られた者を救い出す事ができるが、使い手はわずかしか存在しないとされる。
魔力ツクール君 (まりょくつくーるくん)
まだ初代魔王ルキメデスが人間の科学者だった頃に開発した、魔力を作り出して溜め込む装置。人間の持つ怒りや憎しみといった負の感情を、魔力に変換させて溜め込む事ができる。初代魔王ルキメデスが最初に作った魔力ツクール君は伝説の勇者のクレアシオンによって封印され、彼が持ち歩いていた。