戦闘員、派遣します!

戦闘員、派遣します!

暁なつめの小説『戦闘員、派遣します!』のコミカライズ作品。悪の秘密結社の下っ端戦闘員である戦闘員六号は、突然、別の惑星の調査任務を言い渡され、剣と魔法のファンタジー世界を探索することとなる。悪の組織の戦闘員が魔王軍と戦うさまを描いた侵略系バトルコメディ。コミックス第1巻には、暁なつめ書き下ろしの小説も収録されている。「コミックアライブ」2018年5月号から掲載の作品。原作小説版が2021年4月テレビアニメ化。

正式名称
戦闘員、派遣します!
ふりがな
せんとういんはけんします
原作者
暁 なつめ
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
ファンタジー
レーベル
MFコミックス アライブシリーズ(KADOKAWA)
巻数
全12巻完結
関連商品
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あらすじ

工作員、派遣します!

世界征服を企む悪の組織「キサラギ」の下っ端戦闘員である戦闘員六号は、組織が開発した別の惑星への転送装置を使い、新たな征服地である惑星の調査任務を任せられる。戦闘員六号は、サポートアンドロイドのキサラギ=アリスを連れて意気揚々と別の惑星に行こうとするが、ポンコツマッドサイエンティストであるリリスの作った転送装置でさっそくトラブルに遭い、別の惑星に到着早々死にかけてしまう。辛うじて助かるものの剣と魔法のファンタジー世界である別の惑星にはモンスターが存在し、戦闘員六号は早くもこの任務を受けたことを後悔し始める。戦闘員六号たちはモンスターに襲われているところを、グレイス王国の近衛騎士団隊長スノウに助けられ、彼女に便宜を図ってもらい、王国の権力者たちと出会う。王国は雨ごいに使う伝説の遺物が故障しており、水不足にあえいでいたが、アリスは異物が科学技術の産物であると見抜き、その修理を申し出る。修理は無事に終わったが、戦闘員六号が下品な言葉をパスワードに設定したために遺物は使えなくなり、二人はその所業がバレて捕まってしまう。辛うじて処罰は免れたが、二人は王国の一員として隊を率いて邪悪な魔族と戦うこととなり、新たな仲間にロゼグリムを加えて遊撃隊を結成する。スノウも連帯責任を取らされ、戦闘員六号の遊撃隊に所属するものの、戦闘員六号のせいで降格したスノウは恨みを果たそうと考えていた。

商売仇を蹂躙せよ

遊撃隊を率いて魔族と戦うこととなった戦闘員六号だったが、メンバーはいずれも個性的な問題児ばかり。戦闘員六号は前途多難な状況ながら魔王四天王の一人ハイネと戦い、これを退ける。そして、戦闘員六号は得意とする外道戦術で難攻不落のダスターの塔を攻略し、着々と手柄を立てていくものの、調子に乗った戦闘員六号は参謀の怒りを買い、さらに危険な戦地に送り込まれてしまう。戦闘員六号はハイネと再戦し、魔族の新兵器であるゴーレムと死闘を繰り広げる。戦闘員六号は切り札を使って辛うじてゴーレムを倒すが、身動きが取れない状況となり、ハイネに無防備な姿をさらしてしまう。危機的な状況の中、遊撃隊は今までにないほど息の合った攻撃で、ハイネからその力の源となっていた魔導石を奪うことに成功する。ハイネを無事に撃退した戦闘員六号は凱旋し、隊のみんなで打ち上げを行う。当初は戦闘員六号に対して恨みを抱いていたスノウも態度を軟化させ、少しずつ彼を見直すようになる。しかしそこに参謀が現れ、スノウに二人で戦闘員六号を追い落とそうと提案する。その提案を一顧だにせず戦闘員六号に報奨金を渡しに行くスノウだったが、ちょうどその時、戦闘員六号は気を抜いており、キサラギ=アリスに悪だくみを相談していた。そこでスノウは戦闘員六号のこぼした言葉を聞き、彼が悪の組織から送り込まれたスパイであることを知るのだった。

戦闘員、派遣します!

戦闘員六号スノウにスパイであることがバレてしまい、せめてもの温情として捕まえられずに、そのまま追放される。スノウは結果的に参謀の提案どおり動いたことで近衛騎士団の隊長に返り咲き、魔王軍との戦いに臨むこととなる。しかし激戦の中、魔王を倒す力を持つ勇者は行方不明となり、人類側は一気に劣勢となる。戦闘員六号は自分には最早かかわりないことと見て見ぬフリをしようとするものの、仲間を見捨てられず、魔王軍に獲物を横取りされるのを気に入らないと口実を作り、彼らの戦いに介入することを決める。魔王軍の大攻勢が始まり、グレイス王国ガダルカンドハイネに王城まで攻め込まれ、陥落寸前に陥る。スノウは最後まで戦い抜く覚悟を決めるも、次第に追い込まれ、遂にはロゼグリムまで危機にさらされてしまう。スノウは仲間を救うため、戦闘員六号に頭を下げて助力を乞う。戦闘員六号はなけなしの悪行ポイントを使って武装を取り寄せ、魔王軍を攻撃。ガダルカンドを打ち倒し、ハイネを見逃す代わり、1か月間の停戦協定を結ぶことで魔王軍を撤退させ、王国は危機を脱するものの、被害は甚大だった。そのため、戦闘員六号は傭兵として自分たちを売り込み、仲間たちのもとに帰るのだった。

腹黒系汚職系騎士

戦闘員六号は仮の拠点を構え、そこに地球との転送装置を設置することで、応援を呼ぶことに成功する。キサラギに課せられた任務も終わりが見えてくるが、そこで戦闘員六号に新たな問題が起きていた。前回の魔族の大攻勢の際に悪行ポイントを大量に使いすぎたことで、戦闘員六号の悪行ポイントはマイナスにまで転じ、このまま帰ったら制裁されてしまうのだ。戦闘員六号はキサラギ=アリスの助言に従い、グレイス王国に傭兵として雇われることで地球への帰還を先延ばしにする。惑星の調査や仲間たちとの交流を進めていく中、戦闘員六号は王女であるクリストセレス=ティリス=グレイスに、スノウと共に友好の使者としてトリス王国に赴いてほしいと頼まれる。強欲なスノウはトリス王国の第一王子エンゲルに取り入るのを目的としていたが、トリス王国には魔族のハイネラッセルまでもがいた。魔族と裏で手を結ぼうとしていたトリス王国は、戦闘員六号にそれがバレて糾弾されるもののそしらぬ顔。ハイネとスノウ、二人の美女に取り合いにされるエンゲルを見て腹を立てた戦闘員六号は、下品なジョークをエンゲルに飛ばし、激怒したエンゲルはグレイス王国に宣戦布告。戦闘員六号とスノウの二人はティリスによって責任を取らされ、さらに危険な任務に放り込まれる。

強い相棒と賢い相棒

水不足に悩まされているグレイス王国は、トリス王国から水が湧き出る希少鉱石「水精石」を輸入していたが、関係が悪化したことで入手の目途が立たなくなっていた。そのため、クリストセレス=ティリス=グレイス戦闘員六号たちに、テザン砂漠から水が大量に凝縮された果実「水の実」を採集してくることを命じる。テザン砂漠には魔王すら敵わない大魔獣、砂の王が生息しており、水の実採集は命懸けだった。戦闘員六号たちは水の実を手に入れるものの砂の王に襲われ、砂漠のど真ん中で孤立してしまう。過酷な砂漠で遭難する一行だったが、持ち前のしぶとさを発揮し、なんとか砂漠を脱する。帰還する一行だったが、水の実の採集は結局失敗。さらに魔族がトリス王国にある古代遺跡を攻略し始めたという急報が入る。戦闘員六号たちはこのままでは水不足で敗北必至だと考え、古代遺跡で魔族たちに不意打ちを食らわせようとする。ハイネラッセルは、古代遺跡に眠る兵器を復活させようとしていたが、戦闘員六号はそこに乱入して二人に攻撃。しかし、すんでのところでラッセルを取り逃し、ラッセルは古の兵器である巨大ロボットを起動する。巨大ロボットの力は圧倒的で、絶体絶命の窮地に陥る戦闘員六号たちであったが、キサラギ=アリスの策を信じ、戦闘員六号はたった一人で時間稼ぎを行う。戦闘員六号は重傷を負うが、アリスが巨大兵器「デストロイヤー」を取り寄せたことで、辛うじて一命を取り留め、ラッセルのロボットを破壊する。そして水の力をあやつるラッセルを捕虜にしたことで、グレイス王国も水不足の急場をしのぐことに成功する。

アンデッド・フェスティバル

グレイス王国は先祖の霊を迎える「アンデッド祭り」の時期となり、不死の神を崇めるグリムはその準備に奔走していた。日本のお盆のような行事と軽く考えていた戦闘員六号だったが、アンデッド祭りでは先祖の霊がゾンビとなって実際に現れるため、トラブルに巻き込まれてしまう。またアンデッド祭りの準備中、スノウのささいなミスで戦闘員六号たちの仮アジトは爆発、四散する。戦闘員六号たちは野宿生活を送る羽目となったため、キサラギ=アリス指揮のもとキサラギのアジト建設に本格的に取り掛かるようになる。トリス王国とのゴタゴタ騒ぎの際に、どさくさにまぎれて手に入れた領土に戦闘員六号たちは新たなアジトを建設し始めるが、未開の地であるため、モンスターや蛮族による妨害を受け、建設は一向に進まない。さらにゾンビによる襲撃を受けるようになり、士気は最低にまで落ち込む。そして戦闘員六号は、グリムから今年のアンデッド祭りに現れる死霊の様子がどこかおかしいとの情報を得る。アンデッド祭り当日、死霊はぬいぐるみに取り憑いて街を歩き回るが、戦闘員六号はそんなぬいぐるみの中に挙動のおかしい者を発見。さっそく捕えて調べてみると、その中には魔族のハイネが入り込んでいた。

関連作品

小説

本作『戦闘員、派遣します!』は暁なつめの小説『戦闘員、派遣します!』を原作としている。原作は、悪の秘密結社の下っ端戦闘員である戦闘員六号が、個性的な仲間たちとドタバタを繰り広げる侵略バトルコメディとなっている。キャラクターデザインはカカオ・ランタンが担当している。2021年3月にはTVアニメ化を記念して、原作小説第1巻から第5巻まで、カカオ・ランタン描き下ろしのイラストでリニューアルされた新装版が刊行された。

テレビアニメ

2021年4月から本作『戦闘員、派遣します!』の原作小説『戦闘員、派遣します!』を基にしたTVアニメ版『戦闘員、派遣します!』が、TOKYO MX、BS日テレ、AT-Xほかで放送された。制作はJ.C.STAFFが担当した。キャストは、戦闘員六号を白井悠介、キサラギ=アリスを富田美憂、スノウを菊池紗矢香が演じている。アニメ化に当たってコミカライズを担当する鬼麻正明は応援イラスト(https://twitter.com/kiasa_R18/status/1378754275002576897)を描き、Twitterに投稿している。

登場人物・キャラクター

戦闘員六号 (せんとういんろくごう)

キサラギに所属する下っ端戦闘員の男性で、中肉中背の黒髪青年。改造手術を受けており、人間の限界近くまで力を引き出すことができる。本名は不明で、組織内では「戦闘員六号」と呼ばれる。下っ端ながらキサラギの中では最高幹部に次ぐほどの古参メンバー。しかし、自己中で計画性がまったくなく、悪行ポイントを溜めずに散財しているため、長いあいだ戦闘員として活動しているものの、未だに旧式の装備を使っている。また、悪党というには非情になりきれない甘さがあり、大きな悪事には手を染めきれないでいる。このため出世には縁がなく、セクハラやイタズラレベルの悪事に手を染めて悪行ポイントを稼いでいる。武器は旧式ながら、生存率と任務達成率はかなり高く、そのしぶとさを買われて別の惑星の調査任務に就くこととなる。基本的に頭が悪いため、頭脳労働は相棒のキサラギ=アリスが担当している。後先考えず行動してピンチに陥ることも多く、たびたびアリスにサポートしてもらっている。しかし、目的のためなら手段を選ばない外道で、戦いでは不意打ち、脅迫、人質となんでも駆使するが、非情に徹しきれずに仲間を捨て駒にすることはできない。当初は別の惑星の調査任務がひと段落ついたら帰るつもりだったが、魔王軍との戦いで悪行ポイントがマイナスにまで転じてしまったため、制裁を避けるべく口実を作って地球への帰還を先延ばしにしている。また先延ばしにしているうちに情勢に変化が訪れ、帰ったら激戦区に放り込まれるのが決定となったため、さらに地球に帰りたくなくなっている。

キサラギ=アリス

キサラギが作り出した美少女型高性能アンドロイド。天才科学者リリスのこだわりが凝縮されているため、見た目は人間の10代前半の少女と見分けがつかないほど精巧。金髪のストレートロングヘアで、白いワンピースを身につけている。可憐な容姿とは裏腹に、一人称は「自分」で、口調は男っぽく口汚い。性格も計算高いうえに腹黒く、自分の見た目を利用して少女っぽく振る舞って周囲を騙している。この性格や言動は、戦闘員六号のサポートメカとして作られたのが原因で、彼の言動をサンプルに相性のいいアンドロイドとして用意されたため。またリリスの無駄なこだわりで、見た目同様の少女レベルの腕力しかなく、戦闘能力は皆無。このため、腹が立つことがあると、何かと自爆しようとする。しかし、機械や銃器の扱いに長けており、戦闘の際には戦闘員六号の悪行ポイントを使い、武器を取り寄せて戦う。また、有線で接続すれば直接機械を支配下に置けるため、それを利用して車や重機などの乗り物を運転することもできる。戦闘員六号の頭脳労働を補う目的で作られただけあり、交渉、商売、作戦計画、アジトの建設まで頭を使う仕事では八面六臂の活躍を見せる。腹黒い性格を除けば遊撃隊メンバーの中で最も有能に機能している。戦闘員六号の知らない場所で勝手にお金を稼いでくるため、次第に戦闘員六号の財布まで管理し始め、彼に小遣いまであげるようになる。スノウもアリスに借金づけにされたため、メンバーの中で一番の発言力を持つようになる。アンドロイドであるため、幽霊や呪いといったオカルトを信じておらず、グリムをうさん臭いと思っている。一方、超能力はキサラギでも実用しているため、魔法は超能力の類いと思っており、実在を認めている。相棒の戦闘員六号をバカだと思っているが、戦闘力に関しては信頼している。また、ふだんは扱いがぞんざいだが、戦闘員六号がケガを負った際にはかいがいしく世話をするなど、なんだかんだで面倒見がいい。

スノウ

グレイス王国の近衛騎士団の隊長を務める女性。水色の髪を長く伸ばした美女で、スタイル抜群。見た目はかなり大人っぽいが年齢は17歳。貧しい身分から努力で成り上がったため、高潔な騎士に見える。しかしその実、貧しかった身の上から金と手柄に固執しており、とても強欲な性格をしている。また刀剣マニアで、名剣や魔剣といった類いに弱く、よく散財して買いあさっている。戦闘員六号を一目見て自分の同類と見抜き、彼を利用して手柄を立てようと便宜を図ったが、戦闘員六号が遺物にいたずらをしたため、連帯責任で降格させられてしまう。その後、戦闘員六号の隊に副隊長として配属され、彼と共に魔族と戦うようになる。なんだかんだで国に愛着を感じており、亡国の危機に陥った際には騎士の務めを果たすため、戦闘員六号に頭を下げてまで救援を頼み込んでいる。しかし、戦闘員六号たちといっしょにいることで毒されているのか、どんどん言動が姑息なものとなっている。その後、手柄を立てて元の地位に戻るものの、戦闘員六号たちの騒動に巻き込まれて再び降格している。また、降格しても散財する癖は直っていないため、どんどん借金で首が回らなくなり、のちにキサラギ=アリスに借金を肩代わりしてもらったことで完全に頭が上がらなくなる。さらに借金返済の一環でアリスに弾丸作りのバイトを紹介してもらうものの、ミスで大爆発を引き起こし、アリスへの借金を膨れ上がらせてしまう。このため、アリスの呼び方が当初は呼び捨てだったが、「さん」付け、「様」付けへと変わっていく。よくも悪くも金に執着しているため、高額な報酬を前にすると仕事を完璧にこなそうとはりきる。そのため戦闘員六号からは、自分よりもよっぽどキサラギ向きな人材だと思われている。

ロゼ

戦闘員六号の遊撃隊に配属された少女で、年齢は10代前半くらい。オッドアイに銀髪という特徴的な見た目で、前髪に赤のメッシュ、頭頂部分にライトブルーのメッシュを入れている。食した魔物の力を取り込める「戦闘用キメラ」で、大きな翼と尻尾を生やし、右側頭部分に大きな角がある姿をしている。仰々しい中二病チックな言動で名乗りをあげるが、これは彼女を製造した「おじいちゃん」の遺言らしく、素のしゃべり口調は年相応で、名乗りも恥ずかしいと思っている。遺跡に安置されていたところを起こされ、一部の記憶を失っているため、数少ないおじいちゃんとの約束を大事にしている。ただ、おじいちゃんはかなり問題がある人物だったらしく、「人類は愚かで滅ぼすべき存在」など物騒な遺言も残している。仲間思いな常識人で、戦闘員六号隊のメンバーの中では一番まとも。ただかなりの大食漢で、給料のほとんどを食費に費やし、ご馳走を見たらわれを忘れるなど食への執着は貪欲。特に空腹時は理性が飛ぶほど食欲に忠実となり、人間すら捕食対象として見るようになる。過去の記憶の大半を失っているため、それを調べてもらうのを条件に戦争に参加している。しかし実態は、都合のいい鉄砲玉扱いされているため、それを見かねた戦闘員六号とキサラギ=アリスに強制的にキサラギに迎え入れられ、見習い戦闘員となる。戦闘能力は非常に高く、食べた魔物の力をコピーしたおかげで炎を吐くなどいくつかの技を持つ。ただしおじいちゃんの遺言のせいで、必殺技を放つ際には仰々しい言動を取らなければならない。五感が優れており、特に視力は改造手術を受けた戦闘員六号をも凌ぐ。また嗅覚も優れているため、ゾンビなどの臭い敵を苦手としている。

グリム

戦闘員六号の遊撃隊に配属された女性。赤い髪を長く伸ばした女性で、いつも車椅子に座って移動している。不死と災いを司る女神「ゼナリス」の大司教で、不可思議な呪いをあやつる力を持つ。余裕のある大人の女性を演じているが、その実、行き遅れの独身女性で婚期にあせっている。このため、グリムの前で恋愛と年齢の話題はタブーで、カップルを見かけた際には嫉妬に狂って嫌がらせをしている。このような性格から、友達もロゼ以外おらず、大司教でありながら厄介者扱いされて遊撃隊に派遣されている。グリムの崇めるゼナリスは一般的には邪神として有名で、タンスの角に小指をぶつけたり、立ちくらみを起こしたりするといったしょうもない呪いをかけることができる。呪いは成功すれば相手に降りかかるが、失敗したら反動で自分に降りかかるため、時々自分の呪いで自滅している。ふだんは車椅子で移動しているのも、過去に「靴がはけなくなる」呪いをかけて失敗したために自分に降りかかった。また、ゼナリスの加護で不死の存在となっており、殺されても祭壇に供物を捧げて放置しておけば復活する能力を持つため、戦場でたびたび死んでいるが復活している。不死の力を持つ大司教であるため、グレイス王国のアンデッド祭りを取り仕切っており、グリムが厄介者扱いされつつも国を追い出されないのはひとえにこの役目があるから。アンデッドに対してはかなり強く、アンデッドから強制的に不死の力を取り払い、成仏させることができる。ただし、この技は自分の不死の加護まで取り払う自滅技でもあるため、使った瞬間死亡する。またこの技を使うと信仰対象であるゼナリスからも自分の加護を取り払ったバカとして、神託で説教される。

クリストセレス=ティリス=グレイス

グレイス王国の王女。上品でおしとやかそうな雰囲気を漂わせた美少女だが、実は非凡な才覚を持ち、凡夫な王に代わって王政の実務を取り仕切っている。人のよさそうな笑みを浮かべているが、かなり腹黒いところがあり、顔色一つ変えず情け容赦ない奸計(かんけい)を張り巡らしている。未知の知識を持つ戦闘員六号たちを部下として引き入れるが、自分の常識が通用しない戦闘員六号たちの言動には頭を痛めている。

アスタロト

キサラギの最高幹部の一人である女性。腰まで伸ばした艶やかな黒髪に、露出の多い白い衣装を身にまとっている。「氷結のアスタロト」の異名で呼ばれる。露出度の高い服を着ているのは幹部としてのキャラづけのようなもので、よく服がズレそうになるのを直している。最高幹部の中では比較的まじめで、世界征服後の大量リストラを避けるため、新たな征服地を探すのを組織の方針としている。怜悧(れいり)な態度を取っているが、戦闘員六号に対してはかなりツンデレ的な言動をとっており、彼の言動にやきもきしている。戦闘員六号を別の惑星の調査に送り込むものの、任務に区切りがついても帰ってこない戦闘員六号が現地妻をつくっているのではないかと不安に思っている。

ベリアル

キサラギの最高幹部の一人で、組織内で最も武闘派とされる女性。毛先に金のメッシュを入れた赤髪を長く伸ばし、軍帽をかぶって露出度の高い軍服を身にまとっている。さっぱりとした女傑で、面倒見のよい性格もあって組織内ではかなり人望が厚い。また、キサラギの最高戦力と謳われるほど強力な力を持ち、「業火のベリアル」の異名でも呼ばれている。ただし動物好きで、動物の類いは攻撃できないため、動物型ヒーローを前にすると無力となる。基本的に頭が悪く、手紙を書くとふだんの口調とは打って変わって子供のような文体となる。また書けない漢字が多いため、ひらがなを使うことが多い。家の前に現れ、戦い始めた勇者とファウストレスを、二人とも倒して部下とする。勇者とファウストレスのケンカを腕力を使って毎回止めており、なんだかんだ二人からも慕われている。

リリス

キサラギの最高幹部の一人で、天才科学者の少女。小柄な体型に白衣をまとい、黒い髪をボブカットにしている。一人称は「僕」。怪人、アンドロイドを含む数々の兵器を開発した天才で、「黒のリリス」の異名で呼ばれている。キサラギ=アリスもリリスが作り出したが、基本的に「頭のいいバカ」で、アリスも高性能とリアルさを追求するあまり、少女並の戦闘力まで再現するなど明晰な頭脳を無駄遣いすることが多い。また、自分の優れた技術力にケチがつくのを嫌い、成功率が下がるという理由だけで発明品の実験回数を少なくしたり、そのことを黙って部下に発明品を使わせたりと、ロクでもないことしかしていない。このため、組織内では最高幹部でありながら一番人望がない。地球外惑星への転送装置を開発し、戦闘員六号を惑星調査のために別の惑星に送り込む。しかし、転送装置も危険極まりない代物だったため、戦闘員六号から恨みに思われている。

トラ男 (とらおとこ)

キサラギに所属する怪人。虎の頭と毛並みを持つ大男で、目元にサングラスを掛けている。キサラギの中堅幹部の一人で、戦闘員六号の応援としてグレイス王国に送り込まれる。ロリコンの変態で、怪人になったのも着ぐるみになれば子供たちに受けると思ったからで、美少年と美少女を何よりも愛している。子供受けを狙って語尾に「にゃん」を付けてしゃべるが、慣れていないために時折素の口調が出てしまう。怪人を引退いたら自分を美少女に改造してもらおうとしているほどの変態だが、ロリコンであってもペドフィリアではないのを誇りにしており、幼児には絶対に手を出さない。変態であることを除けば森での戦いならば、同僚のカメレオン男と並んでキサラギ内でツートップを張れるほどの戦闘能力を誇る。グレイス王国での防衛線でも森でゲリラ戦を仕掛け、数々の魔族を返り討ちにしている。美少年のラッセルのことを気に入り、捕虜になった彼をメイド服姿にして愛でている。

ラッセル

魔王軍四天王の一人で、「水のラッセル」の異名を持つ少年。ロゼと同じ戦闘用キメラ。銀髪オッドアイで、毛先に青のメッシュが入っている。左側頭部から大きな角が生え、魚系の特徴を持つ尾が生えている。ロゼと同じく遺跡で眠っていたが、ロゼと違って過去の記憶を完全な状態で持ち、人間を滅ぼす存在として見下し、魔族に力を貸している。大量の水を生み出す力を持つほか、古代兵器の在りかを把握しており、砂の王討伐のためトリス王国に眠る古代兵器を復活させる。古代兵器である巨大人型ロボットに搭乗し、戦闘員六号を追い詰めるが、デストロイヤーを取り寄せたキサラギ=アリスに敗北し、捕虜となる。傲慢な性格で、当初は戦闘員六号たちに対しても強気な態度を取っていたが、尋問相手がロリコンで変態のトラ男になったことで本気で恐怖する。その後、トラ男が手を出さないことを条件に全面降伏。自分の水を生み出す力を使って水不足のグレイス王国に水を供給する仕事に就く。また、トラ男の熱烈な要望で、メイド服に女装して家事などの雑用をこなしている。女装姿の完成度が恐ろしく高いため、トラ男はおろか下っ端の戦闘員たちからもアイドルのような扱いを受けており、満更でもない気持ちで家事を行っている。そのためその姿を見たロゼは、ラッセルが特殊な趣味を持つ人間だと判断。同族だけどかかわろうと思わなくなり、過去を知る手がかりながら近づこうとしなくなる。

戦闘員十号 (せんとういんじゅうごう)

キサラギに所属する戦闘員の中年男性。ヒゲを蓄え、ベテランの風格を漂わせている。見た目だけならナイスミドルの古強者だが、その実、変態とバカしかいない戦闘員の中でも指折りといわれるほどの変態バカ。年頃の妹に数々の変態行為をして悪行ポイントを稼いでおり、数多くの高級装備を所持しているが、その高級装備を使ってさらなる変態行為を繰り返している。

参謀 (さんぼう)

グレイス王国で参謀を務める初老の男性で、本名は不明。頭の毛は薄くなり、右目に大きな傷がある。軍内部では将軍に次ぐ権力を持ち、作戦参謀でありながらまともに作戦も立てることができない無能者。そのくせ無駄にプライドだけは高く、スノウたちを出自が卑しいと見下している。戦闘員六号が手柄を立てるのを苦々しく思っており、彼らを危険地帯に送り込んで抹殺しようとしたり、粗を探して失脚させようとしたりと暗躍している。戦闘員六号からも「姑息な卑怯者」として嫌われているが、周囲からは同族嫌悪と思われている。スノウを利用して戦闘員六号を失脚させるものの、その後、魔王軍の攻勢で活躍して戦闘員六号は返り咲きを果たし、彼に仕返しを食らう。実はロゼたち厄介者を捨て駒扱いしていた張本人でもある。仕返しの際にスノウや厄介者部隊を盾に使おうとするが、その態度が「悪党ですらない」と完全に見切りを付けられ、戦闘員六号たちに凄惨な目に遭わされる。その後は参謀職を辞任し、いずこかへ去ったために消息不明。

エンゲル

トリス王国の第一王子。太った体型の中年男性で、気に入った女性に手当たり次第手を出す好色として有名。グリムがトリス王国を訪れた際、戦闘員六号が暴言を吐いたため、彼に向かって不能の呪いを放つ。戦闘員六号はすんでのところで回避するものの、エンゲルは何も知らずにその後ろにいたため、不能の呪いが直撃。それからは、生まれ変わったように女性に興味がなくなった。魔族との戦いに関しては日和見的な考えを持ち、リスクを背負わず、勝ち馬に乗りたいと考えている。そのため、表立っては各国と協調路線を取りつつ、裏では魔族とつながって不可侵条約を結んでいる。外交の要となる人物で、ハイネとスノウの取り合いとなるが、美女二人が中年男性を取り合う図を見て腹を立てた戦闘員六号に、下品な宴会芸をされてしまう。これに怒り狂い、グレイス王国に宣戦布告するが、キサラギ=アリスの提案で逆に魔族と手を組もうとしていたことを各国にバラされてしまう。

ハイネ

魔王軍四天王の一人で、「炎のハイネ」の異名を持つ魔族の女性。褐色肌でグラマラスな体型の美女で、頭から大きな角が生えている。有能な者を好み、からめ手を使う戦闘員六号の手腕を見抜き、スカウトした。戦闘員六号のことを気に入っており、スカウトを二度したが、その後、戦闘で敗北して戦闘員六号に辱めを受けたことで、彼を強く憎むようになる。魔族ながらも比較的常識人なため、戦闘員六号にひどい目に合わされてばかりで不憫な思いをしている。炎をあやつる力を持つが、戦闘員六号に力を使うための触媒となる「魔導石」を奪われたうえに破壊されたため、魔法の威力は大幅に弱体化している。同じ四天王のラッセルを見た目相応の少年としてかわいがっており、トリス王国ではラッセルと組んで仕事を行う。ラッセルが戦闘員六号たちに敗北したあとも、その安否を気遣っている。

ガダルカンド

魔王軍四天王の一人で、「地のガダルカンド」の異名を持つ魔族の大男。筋骨隆々とした体に紫色の肌を持ち、毛のない頭からは四本の角が生えている。見た目どおりのパワーファイターで、大きな金棒を振り回して戦う。非常に残忍な性格で、人間をいたぶって殺すのを好む。その大きな翼で飛行することもでき、でかい体格の割に機動力も高い。基本的に弱者に対しては力押しで、強敵に対してはすぐさま対応策を講じるなどかなりの戦上手。グレイス王国王城に攻め込み、陥落一歩手前まで追い込むが、戦闘員六号にRバッソーでなます切りにされて死亡する。

勇者 (ゆうしゃ)

グレイス王国の王子で、魔王を倒す運命にある青年。手に勇者の証となる紋章が浮かび上がっている。ファウストレスとの戦いで、ランダムテレポートに巻き込まれてしまい、行方不明となる。実はファウストレスと共に地球に転移しており、ベリアルの家の目の前で戦っていたところ、ファウストレスもろとも叩きのめされ、そのまま「戦闘員Fの十八号」としてキサラギに所属させられる。同じく戦闘員Fの十九号となったファウストレスとは、よくいっしょに仕事をしているが犬猿の仲で、ケンカしてはベリアルに両成敗されている。

ファウストレス

魔王軍四天王の一人で、「風のファウストレス」の異名を持つ男性。勇者との戦いで相打ちを狙い、その身を犠牲にしてランダムテレポートを行って消滅して行方不明となる。実は勇者と共に地球に転移しており、ベリアルの家の目の前で戦っていたところ、勇者もろとも叩きのめされ、そのまま「戦闘員Fの十九号」としてキサラギに所属させられる。同じく戦闘員Fの十八号となった勇者とは、よくいっしょに仕事をしているが犬猿の仲で、ケンカしてはベリアルに両成敗されている。

アレキサンドライト=グレイブニール

グレイス王国に住む老人。年齢は80歳を超えているが、厄介者部隊に所属して魔族と戦っている。通りすがりのキサラギ=アリスを孫とカンちがいするなど、言動がかなりボケ気味ながら、「武神」と謳われるほどの強者。目にも止まらぬ速さで魔物を仕留めたり、誰にも気づかれずに館に忍び込んだりと、年老いてなお卓越した武術の腕を誇る。遊撃隊のメンバーを選ぶ際に名前が挙がったが、年齢を理由にアリスには採用されなかった。のちにその武術の腕前を見たアリスに、自らの選択を後悔させることとなった。

砂の王 (すなのおう)

テザン砂漠を縄張りとする魔獣で、巨大なモグラの姿をしている。地中を高速で移動することで、周囲の環境は徐々に砂漠化している。砂の王の縄張りは魔族の住む領域に隣接しており、砂の王の活動が活発化することで魔族の領域は砂漠に飲み込まれつつある。人間と魔族の戦争の元凶ともいえる存在だが、魔王ですら倒せないため、人間と魔族の両方からその存在を忌避されている。モグラであるために視力は弱いが、音に敏感で小さな音にも反応して追い掛ける習性がある。また、大量の水を賄える「水の実」は実は砂の王の水を蓄える器官で、これを採集すると激怒して攻撃を始める。

集団・組織

キサラギ

世界征服をもくろむ悪の組織。表向きは大企業として、国やさまざまな組織と取り引きを行っているが、裏では怪人や兵器を作り出し悪事を行っている。日和見の国を中心に難癖をつけて不平等な条約を結び、それを利用して国を乗っ取るということを繰り返し、世界征服一歩手前までその勢力を拡大させている。しかし、ヒーローによる反撃作戦が行われ、完全な世界征服には至っていない。また、組織では悪行ポイントと呼ばれるポイント制を採用しており、悪事を積極的に行うことを推奨している。ただし、セクハラ程度なら推奨しているが、子供など無抵抗な存在に手を出すことや強姦は固く禁じられ、これらを破った者は制裁される。さらに、麻薬の密売も行っているが、依存性や体への害がない新型の合成麻薬を開発して、それを売りさばくことで既存の麻薬を駆逐するといった独自の矜持に基づいた悪事となっている。世界征服のあかつきには、戦闘員の大量リストラをする方針だが、それを避けるために新たな征服地を探しており、転送装置を開発して別の惑星を侵略しようとしている。また、これには増え過ぎた地球人類を移住させるという目的もあり、悪の組織でありながら世界の命運をにぎっている。数々の超技術を保有し、怪人を量産しているが、バッタ型の怪人だけはタブーで作るのを禁止している。

場所

グレイス王国 (ぐれいすおうこく)

地球とは別の惑星にある王国で、文明レベルは地球と比較してかなり遅れている。しかし魔法が存在し、独自の文明を築いている。また、文明レベルに似合わない科学技術の産物が「遺物(アーティファクト)」として伝わり、戦車としか思えない遺物が辛うじて原型が残る形で保存されたりしている。このほかにも、王族には雨を降らせる遺物が伝わっていたが、現在は故障中。このため、グレイス王国は全体的に水不足で悩まされており、野菜の類いは希少となっている。モンスターの生息域が近いため、肉の類いは比較的安価で手に入る。また、トリス王国より水を生み出す希少鉱石「水精石」を輸入することで、辛うじて水不足をしのいでいる。キサラギ=アリスが国を訪れた際に、雨を降らせる遺物を修理するものの、戦闘員六号が勝手にパスワードに「おち〇ちん祭」と下品なワードを設定したため、使えなくなってしまう。戦闘員六号たちはその所業があっさりバレたが、遺物を修理した手ぎわから未知の知識を持つと見抜かれ、辛うじて処罰を免れている。現在は魔族による侵略戦争を受け、度重なる戦いで男手を失っており、女性や老人が戦闘員として狩り出されるほど疲弊している。このため、戦闘員六号たちも戦力として受け入れられ、魔族と戦っている。

その他キーワード

アンデッド祭り (あんでっどまつり)

グレイス王国で毎年行われている祭事。ある時期に先祖の霊が帰ってきて、街中を歩いて生者と過ごすとされる。日本でいうお盆のような行事だが、グレイス王国では実際に先祖の霊が現れるのが最大の特徴。霊はそのままにしておくとゾンビとなったり、土くれに取り憑いて混乱を巻き起こしたりするため、不死の女神である「ゼナリス」の信徒が霊の依り代となるぬいぐるみを用意して、祭りを取り仕切ることとなる。祭りの本番では、霊が取り憑いたぬいぐるみが列をなしてパレードを行うため、それを見物に来る客でにぎわう。

戦闘服 (せんとうふく)

キサラギが作り出した戦闘用のパワードスーツ。見た目以上に頑丈な作りで高い防御力を持つほか、スーツには動力が内臓されており、装着者のパワーをアシストする機能がある。また、通常時は安全装置で制限されているが、制限を取り払えばさらなる怪力を発揮することができる。ただし、安全装置を解除するとしばらくのあいだクールダウンする必要があり、およそ3分間はパワーアシスト機能が切れて無防備状態をさらすこととなる。戦闘員六号の戦闘服は旧式であるため、通常のものより重く、クールダウン中は身動き一つ取れなくなってしまう。

Rバッソー (あーるばっそー)

キサラギが作り出した切断機。正式名称は「対装甲車両切断用振動バッドソード タイプR」で、「Rバッソー」は通称。エンジンで刃を高速振動させて対象を切り刻む武器で、戦車だろうがなんだろうが切り刻むチェンソーとして使われている。戦闘員六号の愛用武器の一つで、戦闘服の安全装置解除と合わせて使えば、高速の斬撃を四方八方に放つことができる。その威力は圧倒的で、ガダルカンドとの戦いではわずかな時間のあいだに敵を切り刻んでいる。

デストロイヤー

キサラギが作り出した巨大多脚型戦闘車両。巨大な蜘蛛型の戦闘ロボットで、前足部分がドリルとなっている。ラッセルが搭乗した巨大ロボットとの戦いで、キサラギ=アリスが戦闘員六号の悪行ポイントを使って取り寄せる。ラッセルとの戦いでは勝利をおさめたものの、多大なダメージを負ったため、修理するまでのあいだは安置されている。

悪行ポイント (あくぎょうぽいんと)

キサラギが採用しているポイント制。模範的な悪の組織の一員を育て上げるための制度で、悪事を働くとその悪事に応じてポイントに換算される。溜めた悪行ポイントは強力な装備や嗜好品へと交換することができ、悪行ポイントを溜めることが強くなる最も早い方法となっている。物資の交換は、小型の転送機にメモを貼り付けて送ることでその場に物資が届く仕組みで、デストロイヤーのような巨大なものは分解して現地で組み立てるようになっている。なお悪事のポイント換算は、各員に埋め込まれたチップによって行われており、その判断基準はかなり特殊で、同じ悪事でも相手が嫌がっていなければ悪事と判断されなかったりする。また、悪行ポイントは善行を行ったり、キサラギの名を貶める行いをしたりすると減少する。ポイントが減少して、0を超えてマイナスに転じると制裁対象となる。制裁は非常に恐ろしいものらしく、受けた者は人格すら変わるとされている。また、悪行ポイントで物資を取り寄せた際も、所持ポイント以上の物を取り寄せた際にはポイントがマイナスに転じることがある。

ミピョコピョコ

カエルのような姿をしたモンスター。背中に奇妙なコブがある以外はふつうのカエルだが、刺激を与えると爆発してしまう。動き回って爆発する生きた爆弾ともいうべき存在で、群れを成して敵に襲いかかることもあるため、非常に危険なモンスターとなっている。また、非常に酷似した見た目の「ムピョコピョコ」というカエルがいるが、こちらは食用として扱われている。

モケモケ

ザリガニのような姿をしたモンスター。大きさは2~3メートルほどで、両腕の巨大なハサミを使って敵を攻撃する。その肉は煮ても焼いても美味なため、高級食材として人気がある。また、新鮮であれば生で食べることもできる。モンスターは基本的に凶暴な性格だが、戦闘員六号が出会ったモケモケは友好的な個体だったらしく、戦闘員六号は友情を感じていた。その個体はスノウが殺してしまったが、戦闘員六号はそれ以降もモケモケを気に入り、モケモケ愛好家を名乗っている。ただ、戦闘員六号はモケモケを食べるようになってふつうに味を気に入ったため、次第にそのことを忘れ、ロゼを呆れさせた。

美少女の成る木 (びしょうじょのなるき)

植物系のモンスター。名称は不明で、全裸の人間の美少女が植物のつたに絡まった姿をしている。愛らしい見た目に反して非常に危険かつ凶暴なモンスターで、植物のつたを触手のようにあやつったり、種を弾丸のように飛ばしたりして攻撃する。その弾丸の威力は戦闘服を着ていてもダメージを与えるほどで、生身の部分に当たれば肉体がザクロのように爆裂して四散するほど強力。また頭部を開帳させ、大型の種を高速で放つ攻撃もあり、これは重機を一撃で破壊するほどの威力を誇る。見た目が美少女なだけに、大型種を放つ際の姿は凄惨の一言で、戦闘員六号もその姿を見て大声を上げている。

カチワリ族 (かちわりぞく)

森に住む蛮族。非常に縄張り意識が強く、好戦的な性格をしている。名前は「獲物の頭を鈍器でかち割りに来る」が由来となっている。百舌のはや贄のように、死んだ獲物を木に串刺しにする習性があり、これを行って自分たちの縄張りを主張する。奇妙な化粧と衣装を身にまとった集団で、縄張りに侵入した外敵には問答無用で襲い掛かる。また、意外にもクレバーなところがあり、相手を強敵と判断すればモンスターをけしかけて消耗戦を仕掛ける。戦闘員六号たちがキサラギのアジトを建設し始めてから、彼らのアジトにたびたびモンスターをけしかけている。

ヒイラギ族 (ひいらぎぞく)

森に住む蛮族。腰みのを身につけ、顔を奇妙なお面で隠している。肌の露出した部分には奇妙な紋様を施している。自然との共生を旨とする一族で、カチワリ族に比べて人間に対しては好戦的ではない。ただし、森のそばに建造物を建てると攻撃し始める傾向にあり、魔法とも違った不思議な力をあやつり、建造物を攻撃する。ヒイラギ族が奇妙な儀式を始めると、途端に太陽光が収束され、対象を焼き尽くす。キサラギ=アリスの分析によると「ソーラー・レイ式の光学兵器」に近い攻撃らしいが、衛星など使った形跡はなく、その攻撃の原理は謎が多い。

クレジット

原作

キャラクター原案

カカオ・ランタン

書誌情報

戦闘員、派遣します! 全12巻 KADOKAWA〈MFコミックス アライブシリーズ〉

第3巻

(2019-09-20発行、 978-4040640273)

第4巻

(2020-03-23発行、 978-4040645001)

第6巻

(2021-03-23発行、 978-4046803054)

第7巻

(2021-09-22発行、 978-4046807342)

第8巻

(2022-03-23発行、 978-4046812247)

第9巻

(2022-10-21発行、 978-4046817679)

第10巻

(2023-03-23発行、 978-4046822444)

第11巻

(2023-11-22発行、 978-4046828392)

第12巻

(2024-05-23発行、 978-4046835666)

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