怪人開発部の黒井津さん

怪人開発部の黒井津さん

秘密結社「アガスティア」の怪人開発部に所属する黒井津燈香は、限られた予算と納期で怪人を生み出し、正義のヒーローを倒すべく戦いを挑んでいた。何度失敗してもあきらめず、上司に振り回されながらもアガスティアを裏から支える黒井津の奮闘する姿を描く日常コメディ。「COMICメテオ」で2019年4月から配信の作品。2022年1月にテレビアニメ化。

正式名称
怪人開発部の黒井津さん
ふりがな
かいじんかいはつぶのくろいつさん
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
メテオCOMICS(フレックスコミックス)
巻数
既刊9巻
関連商品
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あらすじ

秘密結社「アガスティア」は世界征服のため、剣神ブレイダーをはじめとした正義のヒーローと日々戦っていた。アガスティアの怪人開発部に所属し、ブレイダーたちと戦う怪人の開発に携わっている黒井津燈香は、首領や幹部が出席する会議で、次に開発する怪人のプレゼンテーションを行っていた。しかし提出した企画書は、上司の佐田巻始がその場しのぎで作ったいいかげんなものだったため、参謀のメギストスからは仕様や予算など、あらゆる面で不備を指摘されてしまう。怪人開発部が提案した怪人は不採用となるが、プレゼンテーション中に思いついた黒井津のアイデアが斬新だったため、彼女はメギストスから褒められるのだった。(第1話「怪人企画会議」)

バレンタインデーが近づいたある日、行きつけの弁当屋の店員との会話から怪人開発のヒントを得た黒井津は、次のプレゼンテーションでバレンタインデー怪人を提案する。無事にプレゼンが通り、黒井津は怪人に使うチョコレートを考えていると、アカシックからバレンタインチョコにかける乙女心を理解するための特訓に強制的に参加させられる。黒井津は特訓の成果と怪人に使うのに適したチョコレートを見つけたことで、満足のいく怪人を開発することができたが、ウルフ・ベートから衝撃的なニュースを知らされる。(第11話「戦慄のバレンタイン作戦」)

黒井津と佐田巻は、水中戦ならば剣神ブレイダーと有利に戦えると考え、怪人の戦い方を考察し始める。そんな二人の会話を聞いていたアカシックは、怪人たちを連れて海へと向かう。実戦的なシチュエーションで、水中適応試験を行うために怪人たちはさまざまなテストを実施し、順調に有用なデータを手に入れる。しかし泳ぎのテスト中、カノン・サンダーバードが身動きが取れなくなり、海底に沈むアクシデントが発生する。(第17話「海中適性検査」)

剣神ブレイダーに有効な攻撃を模索する佐田巻は、全方位に放射される音を使えばブレイダーに確実にダメージを与えられることに気づいた。開発部の前任者が残した怪人研究ファイルにある音波兵器に関しての記述を参考にして、黒井津たちは新しい怪人の開発に着手する。ウルフ・ベートの協力もあり、さまざまな波長をあやつる怪人、バンシーを開発した。その後、殺人音波が放射するように調整されたバンシーは、ブレイダーを窮地に追い込むものの、途中で殺人音波が放射するのを止めてしまう。(第23話「恐怖の殺人音波作戦」)

メディア化

テレビアニメ

2022年1月から4月にかけて、本作『怪人開発部の黒井津さん』のテレビアニメ版『怪人開発部の黒井津さん』がABCテレビ・テレビ朝日系列やAT-X、インターネット配信ほかで放映された。制作はQuadが担当している。キャストは、黒井津燈香を前田佳織里、ウルフ・ベートを天野聡美、佐田巻始を梅原裕一郎、アカシックをM・A・O、メギストスを稲田徹、剣神ブレイダーを寺島拓篤が演じている。

登場人物・キャラクター

黒井津 燈香 (くろいつ とうか)

秘密結社「アガスティア」の怪人開発部に所属する女性。研究助手として上司の佐田巻始をサポートしている。休日も怪人の開発プランを考えるような仕事人間ながら、あくまで大幹部になって高給を貰いたいとの目的があり、そこまで研究者としての誇りがある訳ではない。しかし開発する怪人のことは、身内のように大切に思っている。剣神ブレイダーとの戦闘でも怪人を率いて前線での指揮を担い、開発以外のことも積極的に行なっている。「幹部が怪人より弱いわけにはいかない」という理由から身体を鍛えており、近接戦特化型の大幹部と互角の接近戦を行えるほどの戦闘能力を誇る。

ウルフ・ベート

秘密結社「アガスティア」で開発された近接戦特化型の女性怪人。もともとは狼男をベースに開発されていたが、完成間近になって首領のアカシックがかわいい女子型の怪人を要望したことで外見は狼娘となっている。脳幹部分を作り直す予算がなかったため、そのまま思考は男性というアンバランスな状態となっている。メンタルは男子中学生がベースとなっているため、女性の体に戸惑を覚え、いつかは男性の体に戻りたいと思っている。剣神ブレイダーとの戦闘を目的に開発されたが、人手不足の怪人開発部に所属させられたため、戦闘以外にもさまざまな仕事をこなしている。黒井津燈香と共に行動するうちに黒井津にあこがれるようになるが、黒井津からは妹のような扱いをされており、いつかは男性として見られたいと、忸怩(じくじ)たる思いを抱いている。

佐田巻 始 (さだまき はじめ)

秘密結社「アガスティア」の怪人開発部に所属する男性博士。黒井津燈香の上司にあたる。怪人開発に対しての情熱にあふれ、開発中はつねにARゴーグルを装着している。人付き合いはあまり得意ではないが、ライバル組織の秘密結社「ブラックロア」で、怪人を開発している学生時代のクラスメイトの峰円小春とは交流が続いている。剣神ブレイダーである「佐田巻健司」の兄で、いっしょに住んでいるが、ブレイダーが健司であることには気づいていない。

アカシック

秘密結社「アガスティア」の首領を務める少女。自由奔放な性格でかわいいものが大好き。男性型として完成間近だったウルフ・ベートの体を女性型に変更させたり、カノン・サンダーバードをヒヨコのような見た目にさせるなど、部下を何かと振り回している。しかし部下のことを大切に思っており、部下を傷つける者には容赦しない。幼い見た目に反して力は非常に強く、ほかの組織の怪人を一撃で粉砕したり、手刀の風圧だけでモーゼの十戒の如く海を割ることができる。

メギストス

秘密結社「アガスティア」の参謀を務める男性怪人。アガスティア最高の頭脳の持ち主で、アガスティアの全権を任されており、自由奔放なアカシックの御目付け役も務めている。冷静沈着かつ穏やかな性格で、何事にもスキがないため「絶対零度参謀」、人の3倍は働いているため「三倍偉大」とも呼ばれている。並外れた体軀で威圧感もあり、立場上厳しい物言いをするがコンプライアンスに厳しく、部下思いでお人好しな一面がある。カリスマ性にも優れており、周囲からの信頼は厚い。つねに状況に合わせて、主観的及び客観的な思考を行える分割思考ができる。ゲームアプリや化粧品、生活雑貨などアガスティアのフロント企業が製造している製品をすべてチェックしている。

カミュラ

秘密結社「アガスティア」の大幹部を務める女性怪人。「究極万能」と呼ばれる特殊な細胞で全身が構成された吸血鬼怪人で、周囲からは「不滅のカミュラ」とも呼ばれている。つねに組織の利益を考えているため、「仕事の鬼」とも評されるほどに徹底した規律主義の持ち主。周囲には秘密にしているが重度のアイドルオタクで、「BAVAROIS」という二人組の女性アイドルユニットをデビューからずっと応援している。初めてライブに行った時に黒井津燈香と遭遇したこともあり、黒井津にはアイドルオタクであることがバレている。

アラクネ

秘密結社「アガスティア」の大幹部を務める女性怪人。次元の狭間(はざま)に自分のフィールドを作って引きこもっており、ほとんど外に出ることはない。自分のフィールド内では戦闘能力は3倍になるが、素の能力は不明なため開発者魂に火がついた黒井津燈香に興味を持たれる。

カノン・サンダーバード

秘密結社「アガスティア」で開発された長距離狙撃特化型怪人。アガスティア初の半機械怪人なため、開発部は怪人開発部だけなく戦略推進部や、デザイン部など多くの部署が共同で担当している。各部署からダメ出しされるたびに設計を修正した結果、最初のプレゼンからはかけ離れたものとなる。それでも半機械怪人としてロボットのような見た目は保っていたが、首領のアカシックの一言で最終的に巨大なヒヨコのような外見となった。内部には複数のエネルギー変換機構が備えられており、落雷誘導システム「グレート・スピリッツ」で雷をあやつることもできる。

ヒュドラ

秘密結社「アガスティア」で開発された女性型の再生怪人。異空間から一姉、二姉、三姉、四姉と名づけられた4匹の蛇型のサブ首を呼び出すことができる。サブ首たちはそれぞれ独立した意識を持っており、サブ首たちからは「末妹」と呼ばれている。また、ヒュドラ自身とサブ首は、ヒュドラの体内エネルギーが尽きるまで何度も再生が可能。マギアローゼとマギアズワルトに襲われてピンチに陥った際にカノン・サンダーバードに助けられ、カノンに好意を寄せるようになる。

メルティ

秘密結社「アガスティア」で開発された女性型のチョコレート怪人。バレンタインデーに合わせて開発されたため、バレンタインの時は強い力を発揮するが、時期が過ぎると力が半減してしまう。首領のアカシックの特訓の甲斐(かい)があって満足いく性能となったが、金属片の混じったチョコレートを使っていたことが判明したため、メギストスによって中枢部分以外は破棄されてしまう。

マミー

秘密結社「アガスティア」で開発された女性型の対剣神特化型怪人。剣神ブレイダーとの戦いのためだけに開発され、体の至るところから刃物を生成することができる。非常に高い戦闘能力でブレイダーを追いつめるものの、戦闘中に「BAVAROIS」という二人組の女性アイドルユニットの映像を見たことから、アイドルになりたいと夢を抱くようになる。内部機構の影響で声帯機構を搭載できなかったため、声が出せなかったが夢をあきらめきれず、ダンスや歌の練習に励むようになる。ダンスはウルフ・ベートのサポートもあって形になってきたが、声が出せないため歌だけはどうにもならなかった。しかし、マミーのことを見守っていたカミュラに、究極万能と呼ばれる特殊な細胞を埋め込まれたことで、声帯が発生して声が出るようになった。

バンシー

秘密結社「アガスティア」で開発された女性型の怪人。さまざまな波長の音を発生させる機能や、音を読み取って分析する能力を持つ。戦闘能力はまったくないが、特定の人物だけに有害となる音を出すように調整すれば非常に強力な怪人となる。目的達成のために全力を尽くすが時間外労働はしないタイプで、たとえ戦闘中でも定時になると帰宅する。

峰円 小春 (ほうえん こはる)

秘密結社「ブラックロア」の怪人研究所の研究主任を務める女性。佐田巻始とは学生時代の同級生で、テストで一度も勝ったことがない佐田巻をライバル視している。口には出さないが、学生時代に陰口を言われて苦しんでいた際、助けてくれた佐田巻に今でも感謝している。

エルバッキー

秘密結社「ブラックロア」で開発された女性型の宇宙猫怪人。ブラックロアのフラグシップモデルとして開発され、戦闘性能は非常に高い。しかし性癖は歪(ゆが)んでおり、初対面のウルフ・ベートにセクハラをしたり、峰円小春に毒舌を吐くなど問題行動が多い。

剣神ブレイダー (けんしんぶれいだー)

正義のヒーローとして悪の組織と戦っている男性。剣を主体に戦い、数々の怪人を退治してきた実力者で、秘密結社「アガスティア」からも危険人物と認識されている。ふだんは「佐田巻健司」として弁当屋でアルバイトしており、怪人の気配を感じると小刀のアイテムで剣神ブレイダーに変身する。正義感が非常に強く、悪は絶対に許さない。女性に対して免疫がないことから目を合わすことができず、会話する時は全体をぼやっと見ている。そのため弁当屋の常連である黒井津燈香が、怪人の戦闘指揮で戦場に現れても気づかなかった。

マギアローゼ

二人組の認可ヒーロー「魔法少女ピリアマギア」として悪の組織「アガスティア」や「ブラックロア」と戦う少女。その正体は女子中学生の「式島怜央」。勝ち気な性格で頭の回転が速く、いっしょに戦うマギアズワルトに指示を出すことが多い。

マギアズワルト

二人組の認可ヒーロー「魔法少女ピリアマギア」として悪の組織「アガスティア」や「ブラックロア」と戦う少女。その正体は男子中学生の「日賀谷雄杜」で、変身時には体型や性別が変化する。気弱でネガティブな性格ながら、いっしょに戦うマギアローゼがピンチの時には身を挺(てい)して守るなど、男気を見せる。

集団・組織

アガスティア

正義のヒーローと戦う悪の秘密結社。「焦らずゆっくり世界征服」をモットーにしている。ゲームアプリ、化粧品、生活雑貨など多くのフロント企業を有する巨大組織で、これらを隠れ蓑(みの)にした偽装ビルの地下には多くの部署があり、怪人を開発している。参謀を務めるメギストスの方針で労働環境は非常によく、残業代も時間単位で出たり、有休も取りやすくプレミアムフライデー制度も導入している。

ブラックロア

正義のヒーローと戦う悪の秘密結社。ライバル組織のアガスティアよりも規模は大きいが、労働環境は非常に劣悪で離職率も高い。成果を挙げられない人間や怪人は、特別な部屋に閉じ込められ、精神が壊れる可能性のある過酷な懲罰を受ける。

書誌情報

怪人開発部の黒井津さん 9巻 フレックスコミックス〈メテオCOMICS〉

第5巻

(2022-08-08発行、 978-4866752365)

第6巻

(2023-02-10発行、 978-4866752686)

第7巻

(2023-08-08発行、 978-4866753003)

第8巻

(2024-02-09発行、 978-4866753386)

第9巻

(2024-08-08発行、 978-4866753683)

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