けものみち

けものみち

異世界を舞台に、魔獣を扱うペットショップ経営に奮闘する覆面レスラー、源蔵の姿を描いた日常コメディ。「月刊少年エース」2017年1月号から連載の作品。コミックス第1巻の巻末には、原作者である暁なつめによる書き下ろし短編小説「正しいニートの使い方」、第2巻には「狼飼いませんか?」が収録されている。

正式名称
けものみち
ふりがな
けものみち
原作者
暁 なつめ
漫画
漫画
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
全14巻完結
関連商品
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あらすじ

第1巻

あらゆる獣を溺愛する覆面プロレスラーの源蔵は、大事な試合の開始前に突然、見知らぬ異世界に召喚される。源蔵はエドガルド王国に仇なす魔獣と魔王を倒す勇者として、間違いで召喚されたのだった。源蔵を召喚したエドガルド・ラティス・アルテナから魔王と魔獣の討伐を依頼された源蔵だったが、たとえ魔獣であっても獣を愛している彼はその依頼を聞き入れられず、アルテナにジャーマンスープレックスを食らわせて城から逃亡。兵士たちに追われる源蔵は、エドガーに売られそうになっていた狼少女のシグレと出会う。シグレの協力を得られるようになった源蔵は、紆余曲折を経てレスラー時代からの念願であったペットショップ「けものみち」を開店する。しかし、異世界には動物を飼育するペット文化がないうえに、人々から恐れられる魔獣をペットとして売るのは難しく、店はいつも閑古鳥が鳴くほどに寂れていた。そんな赤字続きのけものみちには、大食いドラゴンハーフの少女の花子とその従者のカーミラが新たな従業員として加わり、源蔵は仲間と大好きな魔獣に囲まれながら、にぎやかで騒々しい日々を送っていた。けものみち開店から半年後、異世界に慣れてきた源蔵は引き続きけものみちのオーナーとして、魔獣を愛でることの素晴らしさを広めるようと奮闘していた。だが、新たな魔獣を入手しても源蔵が愛情を注ぐばかりでなかなか売りに出せないこともあり、店は相変わらず赤字続きで経営難のままだった。そんな中、魔境に住むグリフォンの情報を得た源蔵たちは、経営を立て直す資金を得るために、グリフォンの入手に乗り出す。

第2巻

花子と二人でけものみちの店番をすることになった源蔵は、相変わらず大食いな彼女を見ながら、半年前の出来事を思い出していた。まだ源蔵がけものみちを開店して間もない頃、アルバイトに向かったシグレを見送って店番をしていた彼は、ドラゴンハーフを名乗る花子に出会う。花子は魔獣を展示販売しているけものみちに興味を持つが、食欲旺盛な彼女は魔獣を愛玩のためではなく食欲を満たすために求めるばかりで、結局何も買わずにそのまま店を去ってしまった。そんな中、警備のアルバイトから帰ったシグレは、最近何者かが夜な夜な人を襲う奇妙な事件が発生していることを源蔵に告げる。花子に嫌疑がかけられていると気づいた源蔵は、久々にケモナーマスクの正装に着替え、彼女を守るために真犯人を捕まえようと動き出す。街に出た源蔵は特製ペットフードと檻を使った罠を仕掛けるが、すぐにその罠にはまったのは花子であった。花子を檻に捕らえている場面を街の人々に目撃された源蔵は変質者と疑われてしまい、花子と共にその場から逃げ出す。だが、そこに花子の従者を名乗るカーミラが現れたことでその場はますます混乱し、源蔵は花子をさらった誘拐犯だと誤解されてしまう。得意のプロレス技でカーミラを退けた源蔵は、覆面好きのカップルのフリをして逃げるという作戦を思いつき、花子に予備のマスクを渡して変装させる。 

第3巻

源蔵たちがけものみちで各々の仕事に励んでいると、新人ハンターのセリスが源蔵に会うために訪ねて来た。セリスの目的は、「魔獣殺し」の異名で恐れられる源蔵に弟子入りして強くなることだった。当初は断っていた源蔵だったが、セリスが美しいウロコに満ちた腹と背中を持つリザードマンの先祖返りであるとわかった途端に態度を変え、彼女の師匠として戦い方を教えることになる。シグレたちの協力も借りながら、修行を重ねたセリスは確実に強くなっていったが、強くなろうとする理由が気になった源蔵は直接話を聞く。セリスの話を聞いた途端に激怒した源蔵はハンターギルドに殴り込み、ギルドマスターに苦情を入れる。セリスは亜人の新人ハンターであることから、ほかのハンターたちにからかわれたり嫌がらせを受けており、源蔵は彼女への迫害を許せなかったのである。身も心も成長したセリスの寛容で優しい言葉を受け、ハンターたちが素直に謝罪したことでその場は丸く収まったように見えたが、一人納得がいかない源蔵は、彼女にハンターたちと決闘して力を見せるべきだと提案。決闘ではなく寸止めの手合わせという条件で、男性ハンターと試合をすることになったセリスは、一度は苦戦するものの源蔵に教わった技を決める。勝負は引き分けに終わり、セリスと男性ハンターが和解したことでその場は丸く収まったように見えたが、またしても源蔵が一人納得いかず不満を漏らす。

第4巻

源蔵を異世界に召喚した張本人であるエドガルド・ラティス・アルテナが、突然けものみちに乗り込んで来た。アルテナは改めて源蔵を召喚した目的を話し、彼に勇者として魔王と魔獣を討伐して欲しいと依頼する。だが、源蔵は魔王に興味を持ちつつもアルテナの依頼を再び拒否。簡単には引き下がれないアルテナは、兵士を呼び出して源蔵を捕らえようとするが、源蔵は彼女に再びジャーマンスープレックスを食らわせて追い払うのだった。けものみちには平和な日々が戻り、魔王に強い興味を持つようになった源蔵は、いずれ魔王を捕まえて飼いたいと思うようになる。しかし、相変わらずけものみちは経営難のままで、難局を乗り切るために源蔵たちは再び魔獣を捕獲して金を稼ぐことになる。ターゲットは希少種であるガルーダの卵で、なんとかスキを作り出した源蔵はガルーダの卵をシグレに託すことに成功。誤解したシグレとひと悶着あったものの、源蔵はガルーダの目をくらますためにヒナ鳥のフリをしようとする。そのためにシグレとカーミラの協力を借りて、ガルーダの羽根を大量にまとい珍獣のような姿になった源蔵は、改めてシグレに卵を預けて先に逃げるよう指示するが、ガルーダに苦戦する花子の戦いに源蔵が割り込んだことでさらなる混乱が生じる。ガルーダを煽った源蔵はそのまま連れ去られてしまい、シグレたちと離れ離れになってしまう。それから数日後、源蔵がいなくなったけものみちの営業を細々と続けるシグレたちは、ガルーダに捕まったままの彼を心配し、迎えに行くことを決意する。

第5巻

カーミラひろゆきの散歩の途中で連れ帰ったのは、フェンリル家の令嬢で狼獣人の少女のフブキだった。源蔵はフブキをけものみちのアルバイトとして雇うことになり、初めてかわいい後輩ができたと喜ぶ花子は、彼女に魔獣たちの世話の仕方を教える。フブキは順調に仕事を覚えていくが、彼女が実家を飛び出して来た理由はわからないままだった。すっかりけものみちの仕事に慣れ、響子にも一人でエサやりができるほどになじんだフブキだったが、フブキの兄が妹を連れ戻すためにけものみちに乗り込んで来る。フブキがクラスタに来ていた本当の理由は、一人でハンターを狩るというフェンリル家の儀式「一匹狼」を実行することであった。だが、フブキはけものみちで源蔵たちと過ごすうちに、街の人々に情が移ってその儀式を実行できなくなっていた。兄に再会したフブキは源蔵たちと共に説得を試みるが、ハンターを敵と見做す兄は聞き入れる様子がない。源蔵はフブキの気持ちを理解し、彼女の健気な思いを守るためにフブキの兄に戦いを挑むが、あっさりと返り討ちに遭ってしまう。とどめを刺そうとする兄を止めようとしたフブキは、一晩だけ源蔵たちと最期のひと時を過ごしたいと願い、シグレたちはケガをした源蔵を連れて一旦けものみちに戻るのだった。その夜、ケガから回復した源蔵はケモナーマスクの衣装をまとい、フブキのために再びフブキの兄に戦いを挑む。

第6巻

世界各地から凄腕のハンターたちがある目的のためにクラスタに集う中、源蔵はいつも以上にトレーニングに力を入れていた。クラスタ周辺には年に一度しか現れないというレア魔獣「ジュエルジャイアント」が、魔境に到来する時期がやってきたのだ。全身が大量の宝石で覆われているジュエルジャイアントの情報に目の色を変えたシグレは、捕らえれば一攫千金、赤字続きのけものみちの資金繰りも一気に楽になるはずと、ジュエルジャイアント捕獲に乗り出す。シグレにうながされた源蔵はさっそく、ジュエルジャイアントが現れるという魔境の森へ向かうが、そこには彼らと同じ目的のハンターたちであふれかえっていた。その中には「姫騎士」と名高い女性ハンターであるベリジット・ローズマリーも現れ、彼女はハンター仲間たちと共にジュエルジャイアントを求めていた。源蔵を見込んだローズマリーは、共にジュエルジャイアントを捕まえようと共闘を申し込み、源蔵はしばらく彼女たちと行動することになる。森を探索する源蔵は額に宝石を持つ魔獣、カーバンクルを発見し、さっそく真理絵と名付けて手懐ける。シグレたちと合流した源蔵がローズマリー一行と報酬の件で揉める中、彼の足下から地下に潜んでいたジュエルジャイアントが現れる。

第7巻

源蔵に会うためにけものみちに訪ねて来たサキュバスのルーミアの願いで、彼らは「サキュバスの里」がある魔族領へ向かうことになった。移動のために信一に乗せてもらうことになり、源蔵とカーミラは信一の背ではしゃぐが、なぜかシグレ花子はあまり乗り気ではない。ルーミアの依頼は、里の近くに居着いてしまったドラゴンを追い払って欲しいという内容であった。里に到着した源蔵たちはさっそくサキュバスたちからもてなしを受け、ドラゴンの詳細を聞く。もともと嫌な予感がしていたシグレは事態の深刻さを察し、ここは引くべきだと源藏を説得する。だが、ドラゴンの正体がブラックドラゴンと知った源蔵は興味津々で、引き下がるという選択肢はなかった。さらには話を聞いた花子の反応から、ブラックドラゴンは花子の関係者である可能性も出てきた。次の日、準備を整えた源蔵たちはルーミアたちに見送られ、ブラックドラゴンのもとへ向かう。源蔵たちは森でブラックドラゴンに遭遇するが、そのブラックドラゴンは、かつて花子にいじめられて家出したラッシーであったことも判明。源蔵がラッシーを懐柔しようと奮闘する中、カーミラの説得に折れた花子はラッシーに謝罪して仲直りし、彼らはサキュバスの里のピンチを救うことに成功。だが、この事件は花子がもともとの原因であったことから、報酬を受け取ることはできなかった。旅を終えた源蔵たちはいつもの日常に戻るはずだったが、なぜかルーミアも近所に移住して来たことで、けものみちはますますにぎやかになるのだった。

メディアミックス

TVアニメ

2019年10月から2019年12月にかけて、本作『けものみち』のTVアニメ版『旗揚!けものみち』がAT-Xなどで放送された。本作と同じく、異世界に召喚された源蔵のペットショップライフを描いているが、原作にはいなかったオリジナルキャラクターも登場する。源蔵を小西克幸が、シグレを関根明良が演じている。

登場人物・キャラクター

源蔵 (げんぞう)

現実世界でプロレスラーとして活躍していた青年。「ケモナーマスク」のリングネームで活躍していたが、ある日突然、試合の直前に異世界に召喚されてしまう。大柄な体型で屈強な筋肉と体力を持ち、敢闘精神に満ちた好青年で、魔獣や獣人などを含む獣全般をこよなく愛している。獣への深い愛情は種族や性別を超え、これらの思いが暴走すると誰にも止められなくなる。異世界に来たばかりの頃、いっしょに飛ばされた愛犬のひろゆきと共に街に逃げる中で、売られそうになっていたシグレを救う。その後は昔からの夢であったペットショップ開店を目指し、シグレと共にハンターとして賞金稼ぎを始める。集まった資金で魔獣を集めたペットショップ「けものみち」を開店し、シグレ、花子、カーミラと共に、魔獣を育てる日々を送っている。しかし、異世界にはペット文化がないうえに魔獣が人々に恐れられていることから、あまり繁盛せず赤字が続いている。得意技のジャーマンスープレックスを中心にプロレス技が得意で、獣耳や尻尾がない相手にはたとえ女性でも容赦なく技を決める。獣への愛情が深い分、獣を傷つけたり悪用したりする者は何人たりとも許さず、徹底的に懲らしめようとする。また、けものみちを経営する中で、異世界の人々に獣を愛でることの素晴らしさを広めようとしている。一方で獣がまったく絡まない事柄には興味がなく、人間(人種)を含め獣以外の種族には冷淡に接することも多い。これらの性癖や趣味嗜好から、人間の美女はもちろんサキュバスなどにも興味がなく、誘惑されてもいっさい動じない。ハンター業はすでに引退しているが、ほかのハンターやギルド関係者からは「魔獣殺し」の異名で恐れられている。その一方でハンターとしての腕を頼りにされており、魔獣絡みのトラブルの解決を依頼されることも多い。

シグレ

狼獣人の少女。けものみちの接客や掃除、会計などを担当している。真っ白な尻尾と獣耳が生えており、けものみちのメンバーの中ではもっとも温厚でまじめな性格をしている。借金を抱えてエドガーに売られそうになっていたところで、異世界に来たばかりの源蔵に救われ、彼に恩義を感じて慕うようになる。源蔵の趣味とこだわりから、彼のことはつねに「ご主人様」と呼んでいる。のちにハンターとなった源蔵が借金を肩代わりしてくれたため、その恩返しも兼ねて彼が開いたけものみちで働くことになった。基本的には常識人でよく周囲へのツッコミをこなし、いつも源蔵たちに振り回されては、トラブルや経営難に悩まされている苦労人。厄介事を誰よりも嫌うが、貧乏生活をしていた過去や店の赤字続きもあって、金や食べ物への執着は強い。このため儲け話には多少のリスクがあってもすぐに飛びつき、金のことになると腹黒さや意地汚い面を見せることもある。会計士の資格を持っているのもあって、実務能力が高くやりくり上手で、家計やけものみちの資金繰りも任されている。実質上はけものみちの仕切り役を担っており、特に資金問題のことになると、店長の源蔵でも逆らうことはできない。一方で金に律儀なところもあり、源蔵に肩代わりしてもらった借金は、自分の給料から少しずつ天引きする形で返している。ふだんは優しくしっかり者だが、トラブルメーカーの源蔵やカーミラには毒舌になったり、辛辣な言葉を放つこともある。源蔵たちとは異なり戦闘力は持たないが動きがすばしっこく嗅覚にも優れ、親しい相手であれば変装していてもすぐに見抜くことができ、匂いで種族を見破ることもできる。

花子 (はなこ)

けものみちの手伝いをしている少女。ドラゴンハーフを名乗っている。ウロコに覆われた尻尾と角を持つ赤毛の少女の姿をしており、明るく素直な性格だが非常に食い意地が張っている。本名は「ファフニール・ギルドメラグ・リンダブレア」。食べ物には見境がなく人間の食事はもちろん、ペットフードや動物、魔獣までも好んで食べようとする悪食の大食漢。このため、異世界では珍しい姿をしているひろゆきのこともひそかに狙っている。ドラゴンハーフと言い張っているがその異常な食欲などから、源蔵に「本当にドラゴンハーフなのか」としばしば疑われている。「花子」という名は源蔵がマスク姿で逃亡する際にとっさに名乗らせた偽名であり、花子自身も気に入ったため、本名を隠すのも兼ねて同様に名乗り続けている。正体は四大公爵の一つであり、ドラゴンの貴族でもある「ファフニール家」の令嬢。家出中にある事件で源蔵に救われたのをきっかけに、彼とひろゆきを慕うようになり、従者のカーミラと共にけものみちに住み込み、魔獣たちの世話や店番などを手伝っている。給料は金銭ではなく、腹いっぱいの食事という形で支払われている。元はオーク肉ばかりの食事に飽きて世界の美食を求めるために家出していたが、魔王とつながりを持つ四大公爵の娘であることなど、素性を源蔵たちに隠し続けている。本来の立場上、勇者として召喚された源蔵とは敵対関係にあるが、彼が魔王や魔獣に敵対心を持たないことから、友好的に接している。真の姿はドラゴンであるため見た目より体重は重く、戦闘力も高い。

カーミラ

花子の従者の女性。プラチナブロンドの長髪と鋭い牙を持つ巨乳美女の姿をしている。プライドが高い性格だが、主人である花子への忠誠心は強い。花子のことはつねに「お嬢様」と呼び、溺愛している。身を霧状にしたり日差しやニンニクを苦手とするなど、性質はヴァンパイアそのものだが、源蔵に怪しまれるたびに否定し、あくまで「少々変わった人種」であると主張している。また、ドラゴンとヴァンパイア以外の種族を下等種族扱いして見下しているが、知能が低く物忘れも激しいため、花子からもよく呆れられている。家出した花子に付き添ってクラスタを訪れた際に源蔵に遭遇し、彼女を見守るためにけものみちに居着くようになる。しかし花子と違って仕事はせず、ほとんど穀潰(ごくつぶ)しの居候と化している。その正体はファフニール家に従うレッサーヴァンパイアで、ヴァンパイアであることを隠しているつもりだが、源蔵やシグレにはほとんどバレてしまっている。花子やシグレとは異なり獣耳や尻尾がないため源蔵からの扱いは冷淡で、お互いに仲が悪くしょっちゅうケンカしている。花子への忠誠心や愛情が暴走して軽率で行き過ぎた行動に出たり、余計なトラブルを招くことも多いため、源蔵から制裁のプロレス技をしょっちゅう食らっている。コウモリや狼に化けることもできるが、獣に抱き付いたり撫でたりする源蔵の反応を恐れ、彼の前では狼姿になるのを避けている。負傷した際は不浄の土に埋まることで回復できるため、時おりけものみちの庭に埋まっている。ふだんは店の手伝いをせず酒と惰眠をむさぼり、夕方になると源蔵に命じられて渋々ひろゆきの散歩に行くことが多い。

ひろゆき

源蔵が現実世界にいる時から飼っていた愛犬。源蔵とともに異世界に召喚され、現在は魔獣のペットショップ「けものみち」のマスコット的存在になっている。柴犬のような見た目の雑種犬だが、異世界では「地球産の雑種犬」として非常にレアな希少種。その希少価値の高さから、花子に食糧としてたびたび狙われている。

ギルドマスター

クラスタにあるハンターギルドのマスターを務める男性。白ヒゲを生やした長髪の老人。けものみち開店を目指して金稼ぎをしていた源蔵を、ハンターとして雇っていた。源蔵がハンターを辞めたあとも、彼がギルド内でたびたび起こすトラブルに巻き込まれては、頭を悩ませている苦労人。源蔵の性癖と人柄はまったく評価していないが、ハンターとしての実力が高いことは認めている。魔獣退治や魔獣捕獲を巡って、時おり源蔵たちと対立している。

エドガー

クラスタで金貸しを営んでいる中年男性。エドガー一味のリーダーを務めている。右目に黒い眼帯を付けている。部下のヴォルフガング・フォン・クラフトマンたちからは「親分」と呼ばれている。借金の返済ができなくなったシグレを売ろうと連れ去る途中で源蔵に遭遇し、阻止される。

優香 (ゆうか)

ウサギ型の魔獣「バニー・ザ・グリムリーパー」のメス。けものみちのペットとして源蔵にかわいがられている。鋭い耳を持ち、いつもプルプルと震えたウサギの姿をしている。非常に臆病で、周囲の物音や声などに驚いてそのショックで失神することがある。このため騒がしい環境には弱く、専用の防音ケージに保護されることがある。デリケートな習性を持つ反面、長く鋭い耳で死神のように一瞬で獲物を狩るなど、凶悪な一面を秘めている。

クラウス

クラスタにあるクラスタ銀行に勤める青年。まじめで理知的な風貌をしており、眼鏡をしょっちゅう触る癖がある。けものみちにかかる資金の不足分を源蔵たちに貸し出ししていたが、なかなか返済されずひんぱんに訪ねて来るようになる。最終的には脱皮した花子のドラゴンスケイルによって、借金は完済された。会計士の資格を持つシグレの実力を評価し、彼女をクラスタ銀行の職員として一時的に雇っていたこともある。

カイザーゴリラ

森の王者とも呼ばれている魔獣。厚い胸筋と濃い体毛を持つゴリラのような姿をしている。異世界に来る前からゴリラと決闘することを夢見ていた源蔵が街中で討伐の依頼書を見たのをきっかけに、勝負を挑まれる。集団で行動するが、源蔵との戦いではボスが出て一騎打ちとなった。源蔵の関節技でボスが敗北し、彼の実力を認めて親しくなった。

エドガルド・ラティス・アルテナ

エドガルド王国の王女。姫巫女として源蔵を異世界に召喚した張本人。勇者として召喚した源蔵に魔王と魔獣の討伐を依頼するが速攻で断られた挙句、魔獣を愛する彼の怒りを買ってジャーマンスープレックスを食らわされてしまう。この際に大勢の前で尻を晒して恥をかいてしまい、一部の臣下や近衛騎士などからは、「尻姫様」のあだ名で呼ばれている。のちに源蔵の居場所をつき止めてけものみちに乗り込み、魔王討伐を改めて依頼するも再び断られてしまう。次の勇者を召喚するために源蔵を捕縛しようとするが、いっしょに来ていた近衛騎士を返り討ちにされ、再び彼のジャーマンスープレックスを食らうこととなる。

ラッシー

魔族領「サキュバスの里」の近くに住み着いたブラックドラゴン。大きな翼を持つ黒いドラゴンで、なぜか左のツノが折れている。実は花子の実家で暮らしていた、彼女の弟分のような存在。昔、幼い花子に興味本位でツノをかじられたことで折れてしまい、トラウマとなっている。花子が素直に謝罪したことで仲直りし、ファフニール家へ帰って行った。

フブキ

カーミラが連れ帰った狼獣人の少女。レアな狼系の一族であり、四大公爵の名家「フェンリル家」の令嬢。紺色の長髪を二つのおさげにまとめ、獣耳と尻尾が生えた可憐な少女の姿をしている。まじめでおとなしく、少々引っ込み思案な性格をしている。本名は「フェリシア」で、「フブキ」という名は源蔵によって名づけられたもの。わけあってフェンリル家を飛び出し、けものみちでアルバイトとして働くことになる。源蔵のことは「店長」と呼んで慕っている。源蔵や花子に仕事を教えられながら、順調にけものみちの仕事になじんでいった。特に花子からは、初めての後輩としてとてもかわいがられている。実は実家を離れたのはフェンリル家の儀式「一匹狼」を実行するためであったが、街の人に愛着が湧いてしまい、ハンターを狩るという儀式を果たせずにいた。一度はフブキの兄に連れ戻されそうになるが、源蔵たちの奮闘もあって兄と直接戦うことになり、シグレのアドバイスを受けて騙し討ちのような手で兄を打ちのめした。一匹狼を受けることになったのは、屋敷暮らしに飽きて外の世界を見たくなったという理由であり、シスコンの兄に縛られる生活も嫌になり、一匹狼を果たして一人前になることで独り立ちを目指していた。ふだんは温厚だが勇敢でたくましい一面を秘めており、怒ると恐いところもある。

フブキの兄 (ふぶきのあに)

フブキの実の兄。フブキと同じ紺色の髪で、獣耳と尻尾を持つ青年の姿をしている。クールでまじめな性格ながら、実はフブキに対してはかなりのシスコン。温厚なフブキとは異なり、人間を嫌っている。妹を連れ戻すためにクラスタに一人で乗り込み、フブキの意思を尊重した源蔵に戦いを挑まれるも返り討ちにする。しかし、ケモナーマスクの姿で再び戦いを挑んで来た源蔵に敗れ、フブキが一匹狼に挑んだ本当の理由と、フブキには実家を離れて欲しくないという本音を打ち明けた。この際に、フブキに過保護に接し続けてきたことが、彼女がおとなしい性格になる要因となったことを源蔵から指摘されている。その後のフブキとの戦いでも不意打ちを食らって敗北したが、結局は彼女をフェンリル家に連れ戻し、再教育を受けさせることになった。

響子 (きょうこ)

要注意魔獣「グリフォン」のメス。グリフォンの習性として、いっしょに生まれたきょうだいと争うが敗れてしまい、親に育児放棄されかけていたところを源蔵に救われる。その後もけものみちで手厚く保護されていたが、立派に成長し体も大きくなったため、食費がかさむ原因となる。成長後は室内の檻では収まらず、庭の大きな小屋の中で飼育されている。

真理絵 (まりえ)

魔境に生息するレアな魔獣の「カーバンクル」。宝石を食べて暮らしている。真っ白な体毛を持つウサギに似た小動物の姿をしており、額からは宝石が生えている。年に1度出現する謎の魔獣、ジュエルジャイアントを呼び寄せる不思議な力を持っている。魔境の森でジュエルジャイアントを探しに来た源蔵と出会い、彼になつくようになる。ふだんは愛らしいが、宝石を食べる時は一気におぞましい姿になる。

アマンダ

クラスタの路地裏に住むスキュラの女性。源蔵の友人で、互いに趣味の合う「ケモフレ(ケモナー仲間)」の仲。下半身のみタコ足になった、おっとりした女性の姿をしている。四大公爵の一つ「ヒュドラー家」の令嬢だが、源蔵には正体を隠している。刺身などの海鮮料理が好物だが、魔族領の海を荒らす魔獣が原因で食料が減り、魔獣討伐をハンターに依頼する目的でクラスタに居住して来た。源蔵とは魚屋で知り合い、魚介類の生食について盛り上がったことで友人になった。ファフニール家の令嬢である花子とも顔見知りだが、初対面のフリをしている。

ジーク

けものみちで働く謎の蟻人間。エプロンを着用した二足歩行の蟻の姿をしている。人語を理解しているが、言葉はいっさい話さない。家や店の掃除、魔獣たちの世話、来客へのお茶出しから留守番まで幅広い雑用をこなす。さらには不審者を撃退したり、魔獣を捕獲したりなど、さまざまな形でけものみちに貢献している。似顔絵を描くのが得意。

ヴォルフガング・フォン・クラフトマン

狼獣人の男性。エドガー一味の一人で、屈強な肉体と鋭い獣耳、美しい毛並みを持つ。ふだんは妹分のミーシャと行動を共にしている。源蔵とひろゆきに目を付け、奴隷と珍獣として売り飛ばそうと目論むが、毛並みの美しさと狼獣人らしい容貌から源蔵に気に入られてしまう。暴走した源蔵に抱き付かれ、腹を撫でられて屈服してしまったことがトラウマになり、その後は源蔵とその関係者には近づかないようにしている。

ベリジット・ローズマリー

名家「ベリジット家」の令嬢。「姫騎士」としても有名なハンター。金髪の長髪を三つ編みにまとめ、鎧や剣を携える女騎士。生真面目で家族思いな性格をしている。愛称は「ローズ」。レア魔獣のジュエルジャイアントを捕らえるためにハンター仲間と共に森へ出ていたところで源蔵と出会い、彼の腕を見込んで共闘することになる。ベリジット家次期当主でもある弟の病を治すために、ジュエルジャイアントの宝石を求めていた。源蔵たちと揉めたものの無事に宝石を入手し、弟の治癒にも成功した。人を見る目に自信があると言い張っているが、周囲からはそう思われておらず、少々世間知らずなところもある。

ルーミア

サキュバス族の女性。桃色の長髪でツノとハート型の尻尾が生えた巨乳美女の姿をしている。源蔵の噂を聞いてけものみちに訪ねて来た。似たような性質を持つ種族であるカーミラとは犬猿の仲で、会うたびにいがみ合ってケンカをしている。その正体はファフニール家の商売敵であるフィリニオン家のサキュバスで、フルネームは「フィリニオン=メリディアーナ=ルーミア」。源蔵に惚れて誘惑しようとするが通用せず、本来の目的であるドラゴンの討伐を彼らに依頼する。源蔵たちを魔族領「サキュバスの里」に案内し、故郷のサキュバスたちと共にもてなした。源蔵たちが依頼をこなして帰ったあとは、自らクラスタに移住した。さらにはけものみちの近所でエステサロンを営むようになり、稼いだ金で源蔵をたらし込んでヒモ生活に陥れる。商売柄、鑑定魔法を習得しており、相手の種族や職業を見抜くことができる。

ミーシャ

猫獣人の少女。エドガー一味の一人。ヴォルフガング・フォン・クラフトマンの妹分で、彼を「兄貴」と呼んで慕っている。猫耳と尻尾が生えた茶髪のお転婆娘で、腹の辺りに魚の骨を象(かたど)った刺青をしている。ヴォルフガングと共に源蔵のことがトラウマになっており、なるべく源蔵には逆らわないようにしている。

信一 (しんいち)

クラスタの上空に出現した若いオスのワイバーン。実は一目惚れした花子に求婚するのが目的で、源蔵たちに見守られる中、彼女とドラゴン流のお見合いを実行した。お見合いの最後に花子と戦うが敗北し、結婚は叶わなかったものの、彼女と親しくなった。これをきっかけに源蔵に「信一」と名づけられ、のちに彼らを背中に乗せて魔族領「サキュバスの里」への移動を手伝った。

コボルト妻 (こぼるとつま)

けものみちの近所に住むコボルト種のメス。専業主婦で、夫と二〇人を超える子供といっしょに暮らしている。輝くような毛並みと艶やかなうなじを持つ巨乳の人妻で、源蔵にかなり気に入られており、会うたびに口説き文句のような称賛を受けている。主人と子供がいるという理由で断りつつも、源蔵に対して満更でもない反応を見せる。次第にグルーミングに時間をかけるようになり、ネイルやシャンプーなどにも変化が現れる。

セリス

クラスタのハンターギルドに所属する新人ハンターの若い女性。紺色の長髪をポニーテールにまとめ赤いリボンを付けており、まじめで努力家な性格をしている。わけあって強くなりたいと願い、魔獣殺しとして有名な源蔵に弟子入りを志願する。当初は断られたがリザードマンの先祖返りだと判明した途端に源蔵に気に入られ、シグレたちの協力も借りながら修行を始める。一番弟子として源蔵に鍛えられ、「特盛セリス」のリングネームを与えられた。一見ふつうの人間にしか見えないが、リザードマンの特徴として背中と腹がウロコで覆われており、ふだんは服で隠している。強くなりたかったのは、先輩ハンターたちに「半魔獣」などとバカにされ、実力を上げて見返すためであった。源蔵の熱心な指導で戦い方を覚えて戦闘力も上がり、先輩ハンターの一人と戦うことで成長を示した。その後も源蔵のことを師匠として慕い、時おりけものみちに遊びに来ている。

マンティコア

魔境の森に住む強力な肉食系魔獣「マンティコア」のメス。獅子の体とサソリの尾、美女の顔を持つ獣の姿をしている。人を食らう危険な魔獣としてギルドマスターの討伐依頼を受けた源蔵たちと遭遇するが、一目で源蔵に気に入られ、警戒しながらも、彼に毛や尻尾を手入れされる。次第に源蔵を気に入り、彼の説得を受けて極力人を食わないという約束を交わし、森の奥に移住した。

場所

けものみち

魔獣をペットとして取り扱うペットショップ。異世界に来た源蔵が経営している。捕獲などで入手した魔獣を愛玩用としてしつけ、良識ある客に販売・譲渡している。またそれにより、恐れられている魔獣が、人と共存できる存在であることを、異世界に知らしめることも目的としている。しかし、異世界にはペット文化がないため、客が来ることは滅多になく、赤字が続いて経営難に陥っている。

エドガルド王国 (えどがるどおうこく)

源蔵が召喚された異世界にある王国。建物や人々の風貌は中世ヨーロッパ風で、文明も基本は中世レベルだが、テレビやカメラとよく似た道具が存在している。通貨は「イェン」で、金貨にはエドガルド・ラティス・アルテナの肖像が刻まれている。さまざまな種族が共に暮らしており、人間は「人種」などと称されている。人種と敵対する魔王が支配する魔獣を討伐するためのハンターが、各地のハンターギルドを拠点に活動している。現実世界とは異なり、ペット文化は存在しない。

クラスタ

エドガルド王国にある自由都市。源蔵たちが居住している。人間だけでなく獣人やセリスのような獣人の先祖返りまで、さまざまな種族が暮らしている。街の中に別邸を持つエドガルド・ラティス・アルテナも時おり訪れている。

サキュバスの里 (さきゅばすのさと)

多くのサキュバスが住む魔族領。クラスタから片道3日程度の距離で、「桃源郷」の別名でも呼ばれている。ルーミアの故郷。サキュバスたちが畑仕事や家事などをこなし、協力し合いながら生活している。男性の客人が来ると歓迎し、豪華なもてなしをする。住民は平和に暮らしていたが、ブラックドラゴンが近くに住み着いたことで困っている。

魔境 (まきょう)

異世界の大陸の大半を占めている未開の地。人は住んでいないが魔獣が大量に生息している。一般人が入ると魔獣に襲われることがあるため、魔獣を倒せるハンター以外はほとんど近づかない。魔境の奥地は魔素が濃く、さらなる危険地帯となっており、より強力な魔獣が潜んでいる。

その他キーワード

四大公爵 (よんだいこうしゃく)

魔王に従う貴族の名家。それぞれの領地で魔獣たちを従えている。竜種のファフニール家、吸血鬼種のドラキュリアス家、狼種のフェンリル家、スキュラ種のヒュドラー家の四つで、それぞれが魔王城を囲む形で、魔王の周辺に勢力を保有している。いずれも魔王の配下であるため、エドガルド王国の王家とは敵対している。

一匹狼 (いっぴきおおかみ)

フブキの実家であるフェンリル家で行われている儀式。一人でハンターを狩るというシンプルな内容で、成功すれば家を出て自由に生きられるようになる。決して強制ではなく、儀式を受けるかどうかは本人の意思で決められる。

クレジット

原作

書誌情報

けものみち 全14巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第11巻

(2022-12-26発行、 978-4041132678)

第12巻

(2023-11-25発行、 978-4041139165)

第13巻

(2024-07-25発行、 978-4041149454)

第14巻

(2024-10-25発行、 978-4041153086)

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