セレスティアルクローズ

セレスティアルクローズ

母親を亡くした少年、神渡優が生れ故郷である汪宿の街で戦乙女を名乗る謎の少女、ラーズグリーズと出会った時から始まる北欧神話をモチーフとしたファンタジーアクション。「月刊少年シリウス」2010年8月号~2016年4月号まで連載された作品。また「シリウス別冊・ネメシス」にも数回に渡り、優以外の人物の視線から描いたアナザーサイドストーリー『テレストリアルクローズ』が掲載された。

正式名称
セレスティアルクローズ
ふりがな
せれすてぃあるくろーず
作者
ジャンル
ファンタジー
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世界観

本作『セレスティアルクローズ』の物語は北欧神話をベースにしながらも、日本の神社信仰と絡めた独特の信仰文化を持つ、汪宿という架空の街を舞台として展開される。数多くの神社が登場しながら、日本の神々を信仰する神社は存在せず、天汪宿命という名前に変えられた北欧神話の主神であるオージンを信仰している場合がほとんどである。また、北欧神話からは他にも数多くの戦乙女たちがメジャー、マイナーを問わずに登場しており、作品世界環を構築するうえで大きな特徴となっている。

時代設定

本作『セレスティアルクローズ』には、北欧神話に登場する戦乙女たちが、長きに渡って英雄の戦死者を神界に存在する戦死者の館「ヴァルホル」へ送り続けてきた、という設定がある。そのため、登場する戦乙女たちは少女や見目麗しい女性の外見とは裏腹に、100歳以上の年齢である場合が多く、過去にはさまざまな人物と交流を持っている。主な舞台となる汪宿という街は、戦国時代から存在し、江戸時代にもひとつの藩として存在したという綿密な設定が組まれており、特に天狗姫と呼ばれた戦乙女、ゲイルスケグルは当時の汪宿の権力者の妻であった、というように現代のみならず遙か過去までストーリーが飛ぶこともある。他に、外伝である『テレストリアルクローズ』ではヤーコブ・グリムとヴィルヘルム・グリムの「グリム兄弟」が童話「赤ずきん」の物語を収集する際に遭遇した少女が、戦乙女となって怪物と化した「おばあさん」とその眷属である「狼」を殺す物語が展開されるなど、現代のみならず歴史IFにまで及んでおり、北欧神話の戦乙女たちが実際に存在したならば、という独特の時代設定が構築されている。

作品構成

神渡優の視点を主とした本編『セレスティアルクローズ』とは別に、優とは直接関わりのない所で起こった戦乙女と人物の出会いや、物語を描いた外伝が「アナザーサイドストーリー」と銘打たれ、『テレストリアルクローズ』のタイトルでオムニバス形式で展開された。『テレストリアルクローズ』で登場した戦乙女とその「」に選ばれた人物たちは、のちに本編である『セレスティアルクローズ』にも登場するなど、本編と外伝が直接的、あるいは設定の補助としてリンクする作品構成となっている。

あらすじ

母親を亡くした神渡優は、親戚を頼って東京から生まれ故郷の汪宿の街へと帰郷した。この世ならざる存在を見ることができる力と、幼少時に失踪した兄の事件の影響で、東京で過ごした6年間を周囲に馴染めずに過ごした優は、今度こそ故郷で普通の生活を送ろうと決意する。従姉妹である神渡縞子の協力もあって、日常に溶け込んでいく優だったが、新しくできた友人、神戸智樹に誘われて入部した弓道部の合宿先で「大グマ」と呼ばれる異形の怪物に襲われてしまう。友人を護るために弓矢で立ち向かう優が次第に追い詰められていくなか、突如として戦乙女を名乗る少女ラーズグリーズが現れ、優へ向かって「見つけた」と告げると共に呪文を唱え始める。次の瞬間、優の姿は少女の体を覆う「」へと変貌していた。

掲載情報

本編である『セレスティアルクローズ』は「月刊少年シリウス」に2010年8月号から掲載され、ほぼ休むことなく2016年4月まで連載し完結している。一方のアナザーサイドストーリーであるオムニバス作品『テレストリアルクローズ』は「シリウス別冊・ネメシス」No.1~No.5とNo.11に掲載され、コミックスの第1巻~第6巻までの巻末に、一話ずつ収められている。

特殊設定

『セレスティアルクローズ』の舞台となる汪宿は、北欧神話の主神であるオージンを奉る神社が多く存在するという独特の世界設定のもとに構築された地方都市である。1000年以上も昔から存在していたとされる汪宿の歴史が作中で語られることも多く、日本の中世に北欧神話の戦乙女巨人族、怪異が登場したとされ、それを受けて現代の汪宿各所に戦乙女にまつわる封印や伝承が残されている。神社の多くはそれらを守護し、後世に残すために存在しており、和風の神社が北欧の神々を崇拝し、神社の礼式に則って北欧の神を奉じるという『セレスティアルクローズ』独自の設定が展開されている。

外伝

本編『セレスティアルクローズ』とは別に、アナザーサイドストーリーである『テレストリアルクローズ』が「シリウス別冊・ネメシス」に6回に渡り掲載された。本編の主人公である神渡優とは異なる登場人物と戦乙女の出会いを描いたオムニバス形式の作品で、登場した戦乙女たちはその多くが本編にも登場するか、あるいは本編の戦乙女の過去話を補強する形でリンクしている。

タイアップ

作者である塩野干支郎次が多数の出版社にまたがり同時に漫画を連載していることから、出版社を越えたキャンペーン企画が展開されている。タイアップは多岐にわたり、スクウェア・エニックスの「ビックガンガン」に掲載されている『Übel Blatt ~ユーベルブラット~』をはじめ少年画報社の『BLOOMED IN ACTION』『ブロッケンブラッド』『この人類域のゼルフィー』、ワニブックスの『心剣機械装備ムサシデュアル』などの作品を対象に行われた。

著名人との関わり

塩野干支郎次はかつてPCゲームブランド「little witch」に所属していた過去を持つ。同ブランドの主催者であった大槍葦人をはじめ、同時期に所属していたスタッフの遠藤沖人や佐々原憂樹らと共に「白詰草話」というADVゲームの製作に携わっていたことがある。

作家情報

塩野干支郎次は漫画家。かつては「真空館」という同人サークルで活動を行っていた時期がある。商業活動を始めた初期にはエンターブレインのムック誌である「マジキュー・プレミアム」に『ネコサス:シックス』という漫画を連載していた。また、漫画家以外の活動としてPCゲームブランド「little witch」にて当時としては革新的な、漫画的手法を取り入れたPC用ゲームソフト「白詰草話」の絵コンテを担当していたことがある。漫画家としては、数多くの出版社をまたいで複数作品を同時に連載するという特徴があり、そのことから出版社の垣根を越えたタイアップが組まれることが多い。

登場人物・キャラクター

神渡 優 (みわたり ゆう)

汪宿の町に存在する古い神社のひとつ、清汪流神社の宮司の家柄である神渡家の少年。中学2年生、14歳の少年で、両親兄弟を亡くした天涯孤独の身。母親の教えで弓道をたしなんでいる。右目に義眼をしているが、この義眼を外さないと矢を当てられない。その一方で、義眼を外すと右目からオーラがたなびく光となってあふれ出てしまうが、本人からは無色透明に見えている。 東京で6年ほど生活していたが都会の生活になじむことができず、故郷である汪宿へと戻り、清汪流神社の社務所で暮らしている。学校では神戸智樹の誘いに乗る形で弓道部に所属している。戦乙女ラーズグリーズの鎧に選ばれたことをきっかけに、共に戦うことになる。好きなものはカレーライス。 嫌いなものは短距離走とナス。特技は弓道の他にクラリネットを吹くこと。

ラーズグリーズ

アース神族の主神であるオージンに仕える戦乙女の一人。ラーズグリーズという名前は「計画を壊すもの」という意味を持つ。黒髪ツインテールの少女のような外見だが、実際は生まれたてで、年齢は0歳。偏った知識を与えられた状態で、「極光の輝き」を探す任務のため人間界を訪れた。肌触りの良い服が好きで、逆に肌触りの悪い服は嫌い。 特技は快食快眠。神渡家の親戚である「早乙女理紗」として神渡神社の社務所へ押しかけ、神渡優と共に暮らすことになる。

銀蓮寺 マリア (ぎんれんじ まりあ)

『セレスティアルクローズ』に登場する。汪宿に存在する宗教法人「清汪流教会」に赴任してきたエクソシストの少女で年齢は14歳。その正体は人間界に遣わされた黄道十二宮の処女宮の天使、能天使ハマリエルその人であり、戦乙女と同じような天使の姿となって戦うことができる。その際には、天使ウリエルから与えられた炎を剣に纏って戦う。 東京の小学校に通っていた際に、汪宿から転校してきた神渡優と知り合っており、その出会いをきっかけに能天使ハマリエルであることを受け入れたという経緯がある。その時の出来事から、優に対して強い想いを抱いている。とり天が好物で、西京漬けを苦手としている。特技は書道。「はもじい(恥ずかしい、の意)」など独特の言葉を使う。

神渡 縞子 (みわたり しまこ)

神渡優のいとこにあたる20歳の女性で、天涯孤独の身の上となった優の身元引受人。優の母親である神渡綾子が健在だったころに開かれていた弓道教室に通っていたため、優とは面識がある。宗教法人「清汪流神社」の正社員で、巫女を務めている。また、仕事の合間には汪宿学園中等部の女子弓道部で弓を教えており、男子弓道部の部員たちからは美人コーチとして慕われている。 身長が173センチもあることを気にしており、牛乳と一緒に嫌いなもののひとつとして挙げている。特技はそろばんに料理。好きなものはたいやき。のちに優を助けるために戦乙女となり、神林このはを自らの「鎧」とした。

神林 このは (かんばやし このは)

神渡優のクラスメイトで、女子弓道部に所属している。髪型は肩口で切りそろえられたショートヘア。汪宿四社のひとつに数えられる飛鳥戸神社の宮司を務める神林家の出で、代々古流柔術を教える家風のため、本人も幼い頃から柔術を習っていた。弓道部には、神渡縞子の弓を引く姿に憧れた神林このはが、家族の反対を押し切る形で入部したという経緯がある。 口数が少なく、話す時も言葉を短く区切る。また、語尾に文脈に関係なく「人として」と付け添える毒舌気味な部分がある。嫌いなものは男子や怪談。好きなものはうさぎとアユの塩焼き。

ゲイルスケグル

アース神族の主神であるオージンに仕える戦乙女の一人。ゲイルスケグルという名前は「槍の戦」を意味している。色黒な背の高い女性の姿で、年齢は400歳を超えている。江戸時代中期の汪宿に任務で派遣されたことがあり、当時の王宿で噂となっていた巨人族と敵対する存在である「天狗姫」と間違われて、治良丸という若武者に求婚された。 のちに彼を自らの「鎧」に選び治良丸が天寿を全うするまで妻として共に過ごした。好きなものは日本刀、好物は栗ぜんざいで、タヌキと梅干しが苦手。特技は機織りとゲームの「テトリス」。

神宮司 一重 (じんぐうじ ひとえ)

代々神戸家の家臣を務め上げてきた神宮司家の娘で、神戸智樹の親戚にあたる少女。神戸家に、神に捧げるための剣を修める家訓があるのに対応して、神宮司家は神戸家を護るために剣を取るという教えがあり、神宮司一重も剣術を修めている。初対面の相手に剣術の奥義で仕掛けるという悪癖があり、神渡優も初対面の際には竹刀で打ちかかられた。 主家である神戸家の御曹司である智樹に対して、護るべき対象であるという以上の、強い感情を抱いている。

ゲイレルル

アース神族の主神であるオージンに仕える戦乙女の一人。乳無し天狗姫。姉である戦乙女ゲイラヘズと行動を共にすることが多い。独特の「~だぜ」という語尾を付けて悪ぶって話す小柄な少女の外見をした人物だが、年齢は約150歳。林檎酒を好物とし、もつ焼きを苦手としている。特技はトランポリン。八ツ原大本営跡地で出会った神崎刃を自身の「鎧」として選んだ。

神崎 刃 (かんざき じん)

汪宿四社に数えられるうちの一社、方雲神社を奉じる神戸家の分家筋に当たる神崎家の人間。陸上自衛隊に所属する男性で、階級は三等陸佐。髪をオールバックに近い形にかき上げた外見の、真面目で実直な人物。幼い頃に父親が怪異との戦いのなかで死んだことを18歳の時に知り、母親の反対を押し切る形で、怪異と戦うために陸上自衛隊へと入隊した。 現在は主に、八ツ原大本営跡地に存在する駐屯地に勤務している。幼少時から剣術を修めており、父親である神崎剣二の使用していた、方雲神社に伝わる宝剣「法師切」を愛刀としている。駐屯地が襲撃された際に戦乙女ゲイレルルに見初められ、彼女の「鎧」となった。

四ノ宮 正隆 (しのみや まさたか)

汪宿市五笛尻の学習塾に職員として勤務する25歳の男性。小学校の時の担任の先生を尊敬し、自らも教職に就いたものの、児童の前に立つと極度の緊張に襲われ、みるみる体調を崩してしまうために休職して現在の職に就いている。一子相伝の古武術「五笛尻神山流鎖鎌術」の継承者。家訓から毎日、鎌を手にしなければならないため、しょっちゅう草刈りをしている。 アルヴィトの「鎧」として選ばれ、共に戦うこととなった時にはその教えが役に立ったものの、いつでも鎌を持っているため周囲の小学生などからは「死神」と呼ばれている。嫌いなものはもぐら、好きなものはようかんと学校もののドラマや映画。特技は魚料理とダーツ。

アルヴィト

アース神族の主神であるオージンに仕える戦乙女の一人。乳無し天狗姫。「アルヴィト」の名は「全知」を意味している。髪をツインテールにまとめた小学生のような外見だが実際の年齢は300歳で、「~じゃ」という老婆のような口調をしている。汪宿の町で人間を化物に変えている敵を調査するため、戦乙女のグンとゲイルスケグルと共に人間界へと派遣されてきた。 人間界では、汪宿へ移り住んできた小学生、「早乙女智」と名乗っている。「鎧」となる人物に操をたてており、これと決めた男性でないと嫌だと言い続けていたため、生まれてから300年の間、誰も「鎧」に選んだことはなかった。そのため、初めての「鎧」に選んだ四ノ宮正隆のことを過剰に慕っており、自分の夫となる存在と公言している。 のちに正隆が教職に復帰した際には、汪宿学園初等部の彼のクラスに転校生として転校してきた。

グン

アース神族の主神であるオージンに仕える戦乙女の一人。グンという名前は「戦争」を意味している。小人が引き起こした騒動の際、偶然居合わせた神城雪乃を「鎧」として選んだ。杏仁豆腐とかにが好物で、筋肉質な男性を嫌っている。特技は刺繍。

神城 雪乃 (かみしろ ゆきの)

四ノ宮正隆と同じ汪宿学園初等部で教師をしている同僚の女性教師で年齢は25歳。ウェーブをかけた長い髪にメガネをかけた、柔和な雰囲気の女性。代々薙刀を教えている家の生まれで、「神城流薙刀術」の師範を務めており、変質者騒動の際には薙刀で武装して登場した。騒動に巻き込まれた際、「鎧」を伴ってきていなかったグンに、「鎧」として選ばれた。 あらいぐまが好きで、好物は貝割れ大根、苦手な物は地図や目覚し時計。特技は乗馬である。

ロタ

アース神族の主神であるオージンに仕える戦乙女の一人。オオカミ退治を専門とする戦乙女で、元はドイツ中部の山間部で生まれ育った少女。猟師から山の魔物を狩る方法を学んでいたが、旅の途中でオージンの使者である言葉を話す白狼のヴェートルと出会い、彼を「鎧」として戦乙女となった。年齢は約200歳。 好物は抹茶アイスで、嫌いなものはブルーチーズ。口笛を特技としている。

ヴェートル

アース神族の主神であるオージンによってロタのもとへと遣わされた神界の狼で、真っ白な体毛を持ち、人間の言葉を流暢に話す。オージンの言いつけで普通の人間の少女だったロタを戦乙女へ変貌させ、彼女の「鎧」となった。ロタとは普段から行動を共にしており、人間の街を歩く際には狼ではなく小型犬の可愛らしい姿へと変身している。

ゲイラヘズ

アース神族の主神であるオージンに仕える戦乙女の一人。妹である戦乙女ゲイレルルと行動を共にすることが多い。長髪をお下げにまとめた髪型の少女で、語尾に「~だし」と付けて話す。素直な性格をしており、ライダースーツは人間界では胸元を開けて着る、などという嘘を教えられても信じ込んでしまう。年齢は約160歳。 好物はグレープジュースで、嫌いな物は古書店の臭い。大型二輪免許を取得しており、ホンダのワルキューレというバイクを駆る。のちにオージンの馬であるグルファクシを自身の「鎧」とした。

グルファクシ

八ツ原大本営跡地に現れた燃えさかる巨大な駿馬の怪異。戦車に取り憑き、八ツ原大本営跡地へ襲撃を仕掛けた。馬ながらに流暢に言葉を話す。本来ならばオージンの馬として、戦死者の館「ヴァルホル」の厩舎に繋がれている走りたがりで気位の高い怪力の馬だが、敵の謀略により利用される形で人間界へと解き放たれていた。 元は巨人界ヨットゥンヘイムに存在したとある一族の王子の馬だったが、巨人族の部族同士の戦いの最中に王子が戦死し、それ以来、「宇宙一の馬でいてくれ」という遺言に囚われている。素晴らしい馬だが厩に繋いでおくには「巨人族が作った銀の手綱」と「見えない魔法の足かせ」が必要とされる。のちにゲイラヘズの「鎧」となった。

スクルド

アース神族の主神であるオージンに仕える戦乙女の一人。スクルドという名前は「未来」を意味している。相棒であるフレックと行動を共にしている。天然で素っ頓狂なボケをかますことが多く、フレックにはよく突っ込みを入れられている。年齢は150歳。可愛い物が大好きで、好物は納豆。嫌いなものはフレックの小言で、特技は10秒で爆睡できること。

フレック

アース神族の主神であるオージンに仕える戦乙女の一人。相棒であるスクルドと行動を共にしている。無表情でショートヘアのクールな外見で、天然な言動のスクルドに対するお目付役の側面もあり、何かと小言を言っている。「破滅の因子」を探すという任務中にもかかわらず、スクルドの「温泉に入りたい」という暴走気味な行動に同調するなど、実はフレック自身も相当に天然なところがある。

オージン

アース神族の主神を務める神で、隻眼の老人の姿をしている。汪宿の街を平然と歩いており、道端で他の老人たちと将棋に興じたりしている。フギン、ムニンという2羽のカラスを伴っており、彼らを使って各地の情報を収集している。危機に陥った時には鎧を着込んだ巨人となって現れる。戦乙女たちは便宜上、オージンと直接の血の繋がりがなくとも、彼の娘と言うことになっている。

フギン、ムニン

アース神族の主神であるオージンによって使役されているカラスのこと。フギンとムニンという名前はそれぞれ「思考」と「記憶」を意味する。常に2羽でセットになって行動し、オージンのために各地を飛び回って情報収集している。外見はカラスながら知能がとても高く、クロスワードパズルを得意としている。好物はチーズケーキや宝物で、猫や飛行機を苦手としている。

ソール

神界に住まうアース神族の一人。顎髭を生やした筋骨たくましい男性の姿をしている。持ち主に絶大な筋力をもたらす巨大なハンマー「ミョルニル」の持ち主。主神であるオージンとはチェスを指す仲。オージンが神界を離れている間は、オージンに代わって戦乙女たちに裁可を仰がれている。

フレイヤ

アース神族の女神の一人で、戦争と愛を司っている。「フォールクヴァング」という館を持っており、人間界から戦乙女が運んできた戦死者のうち、オージンの館である「ヴァルホル」へ運ばれなかった残りの半分がこちらに運ばれてくる。ただ、あまりにも珍妙な戦死者は扱いに困るようで、スクルドが巨大なくまのぬいぐるみのような戦死者を連れてきた際には、その扱いに苦慮していた。

巫女 (みこ)

神界に住まう巫女。外見は長髪の少女。アース神族に予言をもたらす存在で、神々に滅びをもたらすラグナロクという最終戦争の引き金となる「破滅の因子」の存在を感じ取り、オージンと共に危機を回避するための計画を練っている。

ハロルド2世 (はろるどにせい)

アース神族の主神であるオージンが所有する戦死者の館「ヴァルホル」に存在している英雄の一人。11世紀のイングランドに存在した王で、ノルマンディー公ギョーム2世との戦いの最中にヘイスティングスにて戦死したところをヴァルホルへと連れてこられた。鎖帷子に外套を羽織った外見の老境の男性。

カール12世 (かーるじゅうにせい)

1718年頃にスウェーデンとそれに対抗する反スウェーデン連合との間で行われた「大北方戦争」において、スウェーデン軍を最前線で指揮し続けた王。面長で、頭髪の薄くなった男性。「ナポレオンの先駆け」とも称される生まれついての戦争王だったが、負け戦から気が弱くなり、自軍の兵士に信頼が置けなくなった末に魔術に手を出した。 フレデリクスハルトに存在する要塞の攻略中、自軍を視察していた最中に敵軍の流れ弾に当たり戦死している。享年36歳。死後は戦死者の館「ヴァルホル」へと招かれている。

智天使アスモデル (けるびむあすもでる)

金牛宮の天使である智天使アスモデルが、人間界へ遣わされた存在。普段は人間として生活しており、ヨーロッパでジャーナリストとして活動しながら各地の魔族や悪鬼と戦いを繰り広げている。十二宮の天使たちのリーダー的存在である。人間としては29歳の男性で好きなものはスポーツカー、模型作りが特技。一方で船旅は苦手。

ヌアザ

オージンを主神と仰ぐアース神族とは別系譜の、「トゥアハー・デ・ダナーン」と呼ばれる神々、ダーナ神族の王子であり妖精王ルーの養子。元はルーに仕える名前もない下っ端の妖精だったが、好奇心が祟って宝物庫に納められていた前ダーナ神族の王であるヌアザの義手に手を入れたところ外せなくなってしまう。以後、義手にふさわしい次代のダーナ神族の王となるように育てるとルーに宣言され、「常若の国」の王子となった。 幼い外見ながら年齢は約100歳で、好物ははちみつ。強風を苦手としており、歌を特技としている。

ルー

ダーナ神族を率いる妖精王である男性。筋骨のたくましい、顎鬚を生やした老人の姿をしている。かつてダーナ神族と敵対していた怪物、「邪眼のバロール」の孫にあたるが、ダーナ神族に味方し祖父と敵対した過去を持つ。戦乱の後にダーナ神族と共にケルト世界から「常若の国」へと移住した。また、その時に妖精となったダーナ神族たちの王となった。 ビールや肉が好物だが、野菜やシイタケを苦手としている。特技は投石。

ヴィンストリ、ハイグリ

地下世界に住む小人と呼ばれる種族の男性。ヴィンストリは頭に紋様が施されたはちまきのようなものを巻いてもみあげから続く顎鬚を蓄え、ハイグリは頭に棘の生えたヘルメットを被って腰丈まである長い顎鬚を蓄えている。数千年もの昔から汪宿学園初等部の裏山に石造りの工房を構えており、小人の習性として、神族や巨人族、稀に人間のために魔法の道具をこしらえ暮らしてきた。 存在を忘れられ、宅地造成のために工房を破壊されそうになったため、2人で騒動を起こす。

神戸 智樹 (ごうど ともき)

汪宿学園中等部の弓道部部長を務める、2年生の少年。東京から転校してきた神渡優を初日から弓道部に勧誘した。代々清汪流神社の宮司を務める神渡家と同じくように、汪宿四社のひとつである方雲神社の神主を務める神戸家の生まれ。神戸家には代々、地元警察に入るという伝統があり、そのため父親は汪宿警察署の署長を務めている。 神戸家は代々剣術を伝承しているが、神戸智樹は「弓の方がかっこいい」という考えから弓道に傾倒している。大型犬やきのこ類が苦手で、好物は肉まん。潜水を特技としている。

神戸 良樹 (ごうど よしき)

神戸智樹の父親である汪宿警察署の署長を務める男性。代々方雲神社の神主を務める神戸家の生まれで、髪をきっちりと分け、口の周りにうっすらと髭を生やした紳士然とした外見の持ち主。大グマと戦うラーズグリーズのオーロラが確認された際には、散弾銃を装備してヘリに乗って駆けつけるなど、汪宿に古くから伝わる家系として、神々と共に戦う宿命を知っている様子が見受けられた。 真面目で冷静な口調の人間だが、息子の智樹に対しては性格が一変し、子煩悩な父親としての一面を見せる。

神宮司 重臣 (じんぐうじ しげおみ)

汪宿学園中等部に通う少年で弓道部に所属している。神戸智樹の友人。代々神戸家の家臣を務めてきた神宮司家の出で、智樹の護衛の役目を担っている。また、神戸家は神宮司家と親戚の関係にあるため、血縁上は神宮司重臣も智樹の親戚にあたる。メガネをかけた地味な外見の少年であるためか、共に行動することが多かった神渡優には「メガネ君」と呼ばれ、長らく名前を覚えられていなかった。 姉に神宮司一重がいる。

神渡 綾子 (みわたり あやこ)

神渡優の母親。東京で優と暮らしていたが、病死する。優の他に双子の息子がいたが、夫である神渡勝仁の実験によって一人を失っており、もう一人の神渡慎一郎は事件を起こし、そのまま失踪している。汪宿に住んでいた頃は弓道場で弓道教室を開いており、神渡縞子が教えを受けていた。

神渡 勝仁 (みわたり まさひと)

神渡優の父親。かつて太平洋戦争中に旧日本軍が推し進めていた魔法研究の内のひとつ、「ラグナロク兵器」について、研究封印後もその力を制御する必要性があると考える掌握派。天才的頭脳により、「ラグナロク兵器」の研究を現代において急速に発展させた。研究のためならば自分の子供たちを実験に使用することも厭わない非情な人物だったが、実験中に命を落としている。 享年41歳。

神渡 巌 (みわたり いわお)

神渡縞子の父親。神渡優の父親である神渡勝仁の兄で、優から見ると伯父にあたる。かつて、弟の勝仁が行っていた非人道的な実験の数々を、知っていながら止めることができなかったことをずっと悔いていた。娘である縞子には実験のことを一切告げず、胸に秘めている。

神崎 春馬 (かんざき はるま)

陸上自衛隊汪宿特殊機動群に所属する自衛隊員で、神崎刃の叔父にあたる人物。刃の父親である神崎剣二の遺品である方雲神社の宝刀「法師切」を預かっており、当時まだ幼かった刃が将来的に剣二と同じ道を志した時に渡そうと考えていた。

神林 すくね (かんばやし すくね)

汪宿天文台に勤め、長髪で前髪をまっすぐに切りそろえた髪型のメガネをかけた女性。科学者で、特殊宇宙電波の観測・解析の専門家だが、汪宿で騒動がある度に機器によってその現象を監視、観測している。年齢は28歳。フクロウが好きで、両生類が苦手。競泳を特技としている。神林このはとは従姉妹にあたる。

神垣内 常久 (かみこうち つねひさ)

汪宿四社の総代を務める神垣内家の現総代で、禿頭に口髭を生やした老人。神渡優に封印されていた力が解放された際には、掌握派と呼ばれる勢力が動き出したのを感知するや即座に汪宿四社の人間に優を安全に保護するようにと命令を下していた。神垣内流薙刀術の達人でもある。年齢は71歳。好きな物は落語とパフェで、嫌いな物はセミのぬけがら。 特技はフォークギターである。

神谷 治三郎 (こうたり じさぶろう)

汪宿に江戸時代から続く医者の家系である神谷家の男性で、禿頭に白髪と白い髭を生やした老人。汪宿大学医学部附属病院先端医療研究センター神域医術研究棟の所長を務めている。現代医学とも東洋医学とも異なる「神域医術」というものを研究しており、汪宿大学医学部の主流派からは煙たがられている。附属病院の入院患者を、自分の研究のために病院データを改竄してまで研究棟へ移しており、入院していた神戸智樹が被害にあった。

黒木 (くろき)

清汪流教会の神父である男性。銀蓮寺マリアの兄弟子にあたる。百舌鳥原に手ほどきを受けたエクソシストで、清汪流地区の怪異を人知れず退治していた。仕事のできる人物で、彼以前に清汪流教会に務めていた神父から妬まれていた。怪異を退治中に負傷したが一命を取り留め、現在は入院している。

百舌鳥原 (もずはら)

聖別された武器と祈祷のリズムをあわせて怪異を退治する武術「祓魔演舞」を作りだした、エクソシストの男性。黒木と銀蓮寺マリアに祓魔術を教えた人物。水晶球に現れた天使のお告げに従い、地上に遣わされた能天使ハマリエルであるマリアを探し出し、エクソシストとしての庇護者となった。

仁樹 (ひとき)

四ノ宮正隆が職員をしている五笛尻の学習塾に通う小学生の男子。やんちゃ盛りで口が悪く、正隆のことを「死神」や「ロリコン」呼ばわりしている。転校に先駆けて学習塾へ入塾してきたアルヴィトに一目惚れし、「神隠し避けのお守り」を手渡そうとしたところで化け物に襲われてしまう。

ニアヴ

永遠の若さを手に入れられると噂されている世界、「常若の国」を統べる女王である人物。アメリーやフリッツをはじめとする、自らに仕える異形の騎士を駒としてアース神族に戦いを挑んでおり、最終的に「ラグナロク」を引き起こすことで、アース神族に滅びをもたらそうと考えている。元は妖精の一人に過ぎなかったが、魔法の香りで低級の妖精たちを操り、「常若の国」を乗っ取ったという過去がある。 旅人を魔法の力で惑わし、不思議の花園へ招き入れると彼らの魔力を奪い去る、ということを繰り返して力を強化してきた。

神渡 慎一郎 (みわたり しんいちろう)

神渡優の実の兄で、6年前に失踪した人物。誠一郎という双子の兄弟がいたが、優が生まれる少し前に他界している。弟である優を可愛がっていたが、優が事故で片眼を失うと雰囲気が変わり、ある日、汪宿遺跡で儀式を行った後に失踪した。その6年後、優の前に「常若の国」の女王ニアヴに仕える異形の騎士シンとして現れる。

アメリー

オージンや戦乙女たちなどアース神族の敵である女性。「常若の国」の女王ニアヴに救われたヨーロッパの農村部出身の戦災孤児で、戦場とすべての戦士たちの父親と呼ばれるオージンと、戦場で英雄の魂を漁る戦乙女、そしてオージンを祭る神社が多く存在している汪宿を強く敵視している。ニアヴに騎士として仕えており、汪宿の町で一般人を怪物化させて、騒動を起こしていた。

フリッツ

アース神族に敵対する女王ニアヴ配下の騎士で、膨れあがった鎧を身に纏った男性。鎧の中身は実はがらんどうで何も入ってない。小人たちからは巨人族と言われていた。鉄を自由自在に取り込む能力を有しており、取り込んだ鉄に応じて力を増し、頭部を破壊されない限りは不死身を誇る。

アルスル

女王ニアヴに仕える騎士の一人である少年。100年ほど前のヨーロッパの片田舎で、険悪な仲の両親のもとに双子の兄として生まれた。のちに離婚しようとした両親に反発し、現実とは異なる世界へ旅立とうと両親を生け贄に捧げ、儀式を行ったところをニアヴに拾われた。魔力を持つ動物を口にすると、その力を取り込んで異形の怪物へ変貌するという能力を持つ。 同じくニアヴに仕える騎士であるグウェンドリンという双子の妹と共に行動する。焼き菓子が好物。

グウェンドリン

女王ニアヴに仕える騎士の一人である少女。100年ほど前のヨーロッパの片田舎で、険悪な仲の両親のもとに双子の妹として生まれた。兄のアルスルとは仲良く育ち、いつも現実逃避のように人形遊びに興じていた。のちに両親の離婚によって兄と離ればなれにされそうになった際には、人形遊びで演じていた設定の通りの「本当の世界」へ旅立つため、両親を生け贄に儀式を行った過去を持つ。 兄と同じく、魔力を持つ動物を口にすると、その力を取り込んで異形の怪物へ変貌するという能力を持つ。好きな物は魚料理。

猫妖精 (けっとしー)

「常若の国」に存在する猫の姿をした妖精。目つきは悪いながら、可愛らしい猫の姿をしていたが「魔の地下水脈」と呼ばれる場所の霧に当てられた結果、半人半妖とでも言うべき、恐ろしい姿へと変貌してしまった。人間界への道ができると同時に、人間を喰らうため、「常若の国」から人間界へ向かった。

下川 八重子 (しもかわ やえこ)

汪宿大学に通う関西出身の大学生。2ヵ月前から連絡が取れなくなったと家族から相談があり、行方不明者として捜索されていた。熊に喰われた可能性を考慮した猟友会が山狩りをしていた際に発見されたが、その時には人間ではない怪物、大グマと化していた。のちに、大グマ退治に山へと入った神戸智樹をはじめとする弓道部員たちが遭遇し、ラーズグリーズと、その「鎧」として選ばれた神渡優によって撃退されて灰の塊となった。

沢田木 伏彦 (さわたぎ ふせひこ)

東京都中野区に住んでいた20歳の男性。メガネをかけ、黒髪の前髪を分けた真面目そうな青年。偉大なる巫女によって予言された汪宿の外の大きな街からやってくるとされる、「破滅の因子」の持ち主候補として戦乙女であるスクルド、フレックにマークされていた。高校卒業後に親のコネで就職するも2週間で退職して以来、実家で引き籠もり生活をしている。 ネット上のオカルトサークルのオフ会に参加するために汪宿を訪れ、騒動に巻き込まれる。

星埜宮 あやか (ほしのみや あやか)

沢田木伏彦が参加したネット上のオカルトサークルのオフ会で出会った女性。柔和な表情を浮かべ、優しい口調で話す。「素晴らしい世界」へ招かれ「永遠の若さ」を手に入れることができるとされる儀式に参加した結果、戦乙女やオージンたちが戦う「敵」の手によって騎士と呼ばれる化物にされてしまう。

首狩丸 (くびかりまる)

神渡優と銀蓮寺マリアが、東京都内の小学校で遭遇した妖怪。骸骨が鎧甲冑を着込んだような姿をしている。数百年前にこの地に存在していた汪宿四社のひとつである飛鳥戸神社の分社に封じられた存在で、自身を封じた飛鳥戸神社の宮司とその仲間である「鎧の女」を怨んでいる。長らく力ある者が封印の施された石碑に触れるのを待ち続け、優が肝試しで石碑に触れたことで封印から解放された。

魔垣 忌親 (まがき いみちか)

汪宿にかつて存在したと言われる武将。汪宿の山岳地帯を支配した魔垣一族の人間で、妖術の扱いに長けており、悪霊の軍勢を率いて幾度となく汪宿を脅かしたと伝承されている。最終的に、治良丸とゲイルスケグルによって倒されて魔垣神社に封印されていたが、レーヴァティンによって封印が破られることで復活を遂げた。 自身を封印した仇敵である神戸家の子孫を狙っている。

六剣 影衛門 (むつるぎ かげえもん)

汪宿近郊に位置する八ツ原の山間に存在する六剣村にかつて存在したとされる剣術家の男性。剣の才能を買われて、当時の汪宿領主である神垣内家に召し抱えられていたが、同門の剣術家である神崎主税の出世へ妬みから魔道へ走ると、主税との対決の末に討伐されたと伝承されている。享年41歳。怨霊となり、汪宿の地に鎮められていたがレーヴァティンの力によって封印が破られると現世へ復活を遂げた。

森ノ宮 彩火 (もりのみや あやか)

礼蘭学園の高等部に所属する女子生徒で3年生。セレスティアル・ドールズの1号機「リリオティプス」の操縦者を務めている。ウェーブの掛かった肩口ほどのショートヘアと常に閉じられているかのような目が特徴。同じ3年生である旗下凪音と行動を共にしていることが多く、セレスティアル・ドールズの操縦においても凪音が「鎧」役を務めている。

旗下 凪音 (きのした なぎね)

礼蘭学園の高等部に所属する3年生の女子生徒。セレスティアル・ドールズの1号機「リリオティプス」のエネルギー源である「鎧」役を務めている。髪型はきっちりと前髪の分けられたショートヘアで、メガネをかけている。同じ3年生である森ノ宮彩火と行動を共にしていることが多く、不思議な言動をする相方に振り回されることが多い。

桜里乃 (おりの)

礼蘭学園の高等部に所属する女子生徒。セレスティアル・ドールズの2号機「アルケリリオン」の操縦者を務めている。メガネをかけたショートヘアの少女で、性格は真面目。相方である稟理と行動を共にしていることが多く、稟理のずけずけとものを言う性格にいつも困らされている。

稟理 (りんり)

礼蘭学園の高等部に所属する女子生徒。セレスティアル・ドールズの2号機「アルケリリオン」のエネルギー源である「鎧」役を務めている。黒髪を後ろで2つにまとめた髪型の小柄な少女で、下ネタだろうとずけずけと口にする性格の持ち主。相方である桜里乃と行動を共にしていることが多い。

水南 (みな)

礼蘭学園の高等部に所属する女子生徒。セレスティアル・ドールズの3号機「レウコリリオン」の操縦者を務めている。小柄な体格をした肩口ほどのショートヘアの少女で、活発な言動の少女。相方であるうららと行動を共にしていることが多く、天然な行動と言動をする相方のボケにいつも的確な突っ込みを入れている。

うらら

礼蘭学園の高等部に所属している女子生徒。セレスティアル・ドールズ3号機「レウコリリオン」のエネルギー源である「鎧」役を務めている。いつも眠そうな瞳をしている少女で、色素の薄い髪を背中まで伸ばしている。可愛い物を見ると甘噛みしたくなる性分の持ち主で、初対面の神渡優に噛み付いた。相方である水南と行動を共にしていることが多い。

ソーニャ

セレスティアル・ドールズの運用を担当する封印派の科学者である人物。緩やかにウェーブがかった色素の薄い長髪の持ち主で、白衣の下に薄衣のような薄く、胸元を開けた衣服を着用している。セレスティアル・ドールズを運用していくうえで、研究対象として戦乙女に対して強い興味を抱いており、初交戦を果たした際には2号機の腕を壊されたにもかかわらず歓喜するほどだった。

ジェニファー・オブライエン (じぇにふぁーおぶらいえん)

米国空軍に所属する軍人で、金髪ショートヘアの女性。掌握派が封印派のセレスティアル・ドールズを模倣して米軍と共同開発した兵器「セレスティアル・ギア」のパイロットを務めている。神渡勝仁が主導していた「ラグナロク兵器」開発計画を、勝仁死後も監視し続けていた銀呑川市に駐留する米軍部隊に所属しており、「ラグナロク兵器」計画における現米軍側現場責任者。 横浜生まれで、英語、日本語の他にアラビア語を話せる。年齢は34歳。プラモデルが趣味で、嫌いな物はトマト。百人一首を特技としている。

後藤 巳武子 (ごとう みぶこ)

汪宿市出身の航空自衛官で、掌握派に所属する人物。メガネをかけ前髪をきっちりと分けた長髪の31歳の女性で、技術研修のためにアメリカに派遣された際にジェニファー・オブライエンと出会い、友人関係になった。汪宿に隣接する銀呑川市の基地に勤務しており、米軍と共同で神渡勝仁が主導していた「ラグナロク兵器」計画の動向を、彼の死後も監視し続けていた。 掌握派が導入した「セレスティアル・ギア」を運用する際は、早期警戒機のE-2Cに霊量子/多次元高エネルギー計測システムなどの特別装備を施したE-2C RgXから隊員たちをサポートする。好きな物はプレートランチで、嫌いな物は無脊椎動物全般。水泳を特技としている。

佐々原 理子 (ささはら りこ)

汪宿に隣接する潤振出身の航空自衛官で、ショートヘアの26歳の女性。後藤巳武子の遠い親戚にあたる。掌握派に所属しており、戦闘時には早期警戒機のE-2Cに霊量子/多次元高エネルギー計測システムなどの特別装備を施したE-2C RgXから現場を監視し、隊員たちをサポートする。大型犬が好きで、ハクビシンが嫌い。 特技は社交ダンス。

治良丸 (やらまる)

江戸時代中期の汪宿に存在した人物で、汪宿城に仕える女中の息子。若武者で、本人も汪宿城に仕えていた。当時の汪宿は巨人族に悩まされており、それに対抗できる存在の「天狗姫」を探しに飛鳥戸岳へ入ったところ、任務で人間界を訪れていた戦乙女ゲイルスケグルと出会い求婚する。のちにゲイルスケグルの「鎧」として選ばれて巨人族を撃退すると、その功績から「神戸治良」と名乗ることを許され、その後は天寿をまっとうするまでゲイルスケグルと夫婦として暮らした。 神戸智樹の実家である、神戸家の先祖にあたる人物。

神宮司 重良 (じんぐうじ しげよし)

神宮司家の祖にあたる人物。汪宿城城主の末の男児で、天狗姫との間に子が生まれなかった治良丸こと「神戸治良」の養子となった。神戸流剣術を後世に継承し、神のために剣術を奉納する神戸家に対して、神戸家を護るために剣を振るうという家訓を残し、今に伝えた。

神崎 治良女 (かんざき やらめ)

神崎家の祖にあたる人物。汪宿城城主の末の女児で、天狗姫との間に子が生まれなかった治良丸こと「神戸治良」の養子となった。女性ながら刀鍛冶となって、妖魔を倒す力を持つ大太刀「法師切」を後世に残し、これがのちに方雲神社の宝剣として奉られることとなった。

集団・組織

アース神族 (あーすしんぞく)

神族の中でも、オージンが主神を務めている神族たちのこと。宇宙を支える巨大なとねりこの木である「ユッグドラシル」の根が枝分かれした先にある9つの世界のひとつ「神界」に住んでいる。ラグナロクと呼ばれる最後の戦いのなかで悲劇的な結末を遂げると予言されており、オージンの義理の娘たちである戦乙女たちによって、ラグナロクの向こう側にある未来のために、人間界から「ヴァルホル」と呼ばれる戦死者の館へと英雄たちを送り続けている。

戦乙女 (ゔぁるきゅりあ)

ラグナロクという悲劇的な結末が運命づけられた戦いを乗り越え、未来を掴み取るために、人間界から「ヴァルホル」へ英雄たちを送る任務を帯びた女性たち。血の繋がりはないものの、全員が戦の父とも称されるオージンの義理の娘とされているため、戦乙女は互いに姉妹という認識を持っている。

小人 (どゔぇるぐ)

地下世界に住まう種族。はるか数千年前から汪宿の土地で工房を築き、神族や巨人族、人間のために魔法の道具を作って暮らしてきていた。現在の汪宿学園初等部の裏山にも石でできた工房の入り口が存在しているが、小人たちの存在を忘れた人間たちが宅地造成のために破壊しようとしたため、騒動を引き起こした。

ダーナ神族 (とぅあはーでだなーん)

かつてケルト世界を支配していた神々のこと。オージンを主神と仰ぐアース神族とは別の系統の神々で、現在では「常若の国」と呼ばれる世界へ移住し妖精へと姿を変えている。偉大な英雄であるルーが妖精たちの王を務めていたが、現在では女王ニアヴによって種族ごと乗っ取られてしまっている。

巨人族 (だいだらぼっち)

ヨトゥンヘイムと呼ばれる世界に住んでいる種族のことで、文字通り巨体を誇る。かつては汪宿の周辺にも巨人族が生息しており、「ダイダラボッチ」と呼ばれていた。伝承によれば、オージンによって汪宿に棲んでいた巨人たちは追い払われ、人々が住まうことを許されたとされているが、その後も幾度となく汪宿に現れては人々の生活を脅かし、そのたびに退治されてきた。

汪宿四社 (おうすくよんしゃ)

汪宿に古くから存在する神社の内、清汪流神社、方雲神社、飛鳥戸神社、五笛尻神社の四社のことで、汪宿を古くから統治している。財団を構築しており、汪宿の街に存在する大学や病院、天文台などさまざまな施設を設立し、汪宿の地で起きている怪異に対して秘密裏に監視と研究を行い、また古くからの封印を維持し続けてきた。総代を神垣内家の神垣内常久が務めている。

汪宿四社猟友会 (おうすくよんしゃりょうゆうかい)

汪宿で活躍する地元の猟友会のこと。害獣駆除など、一般的な猟友会の仕事を請け負う一方で、山林で発生する怪異などに対応する役目がある。会員は主に汪宿市内の神社関係者や警察のOBで構成されている。市街地に近い山林の多くが寺社の持ち物である場合が多く、自然のなりゆきで汪宿市の自社を統括する汪宿四社が管理を担ってきていたのを組織化し、猟友会としたのがなりたち。

掌握派 (しょうあくは)

神渡優を確保しようと目論む一派のことで、研究が封印された「ラグナロク兵器」を、その悪用を防ぎ、この力を制御する術を手に入れるべきであるために研究を再開すべきだと主張する者たちのことを言う。自衛隊の一勢力を自由に動かせるほどの権力を持っており、また、汪宿近隣の八ツ原大本営跡地に務めている同じ自衛官である神崎刃ですら、その部隊の存在を知らなかったほどに隠密性が高い。 所属している隊員は汪宿出身の人間が多くを占めており、娘などが神渡縞子が教えている弓道部へ通っている隊員も数人居たほど。

封印派 (ふういんは)

神渡優を保護しようと目論む一派のこと。多数の自衛隊を動員してくる掌握派に対して、セレスティアル・ドールズと呼ばれる戦乙女を模した兵器で対抗する組織。神林すくねを始めとする汪宿四社の人間が関わっている。優がかつて参加したとある儀式の結果について知っており、優のことを危険視しているため、極力刺激を与えないために封印しようと考えている。

場所

汪宿 (おうすく)

中部地方に位置するかつての城下町で、汪宿城をはじめとする多くの歴史遺産が存在する街。緑豊かな景観に囲まれ、現在でもかつての繁栄を思わせる街並みが続く。また、史跡以外にも地ビールを始め、ジェラートやホルモンといった名産物が存在している。古くから神々と関係のある土地であり、神渡優を始め、汪宿の町に古くから存在する家系は、敵と戦うための宿命と能力を与えられている。 そのため、汪宿天文台や汪宿大学、汪宿警察署などの機関は超常的な現象に対しても備えており、単なる一地方都市とは異なる一面を持つ。古代、「ダイダラボッチ」と呼ばれる巨人族に支配されていたが、天汪宿命という神が軍勢を引き連れて現れ巨人族を倒したことで救われたという伝承が残されている。

潤振 (うるうぶり)

清汪流地区と隣接する、汪宿に存在する町のこと。市町村合併を経て、汪宿市の一部となった。オオカミに関する伝説が残されており、それを利用した町おこしのために「うるうる君」というご当地キャラクターが存在している。かつてこの地に存在したオオカミが潤振の一帯に封印されている。

銀呑川市 (ぎんのんがわし)

汪宿市の南に隣接する自治体で、銀呑川飛行場と呼ばれる飛行場が存在している。アメリカ軍と自衛隊の基地が存在しており、飛行場をそれぞれが共同使用している。かつて、実験のためのスポンサーとして神渡勝仁が連れてきたアメリカ軍が居を構えており、現職の大統領にも秘匿しながら、極秘裏に汪宿の動向を監視し続けていた。

五笛尻 (いぶえじり)

『セレスティアルクローズ』の外典『テレストリアルクローズ』の主人公である四ノ宮正隆が暮らす町。下校時の児童が不審者に追い回されるという事件が相次いでおり、神隠しが噂されていた。西五笛尻のほか奥五笛尻など、周辺には五笛尻の地名が付いた土地が多く存在している。

清汪流神社 (きようるじんじゃ)

汪宿に古くから存在する神社で、神渡優の実家が代々宮司を務めている。清汪流山の山麓に代々伝わる神社で、古来より神事として弓術が奉じられてきた為、現在でも弓道が盛んに行われている。清汪流山の登山口として賑わっているため、汪宿に存在している他の古い神社と比べても、ひときわ目立っている存在。社務所では神渡優たちが暮らしている。 また清汪流山の山頂には奥宮も存在している。

汪宿学園 (おうすくがくえん)

汪宿に存在する学園で、神渡優が中等部に通っている。他にも神戸智樹や神林このはなど、登場人物の多くが通っている。また弓道部が存在しており、弓道場も隣接している。弓道部は女子部のコーチを清汪流神社の巫女である神渡縞子が務めており、男子部員の憧れの的となっている。

礼蘭学園 (れいらんがくえん)

汪宿市の奥五笛尻に存在している全寮制の女子校で汪宿四社が運営している。正式には「学校法人礼蘭学園」という名称で、中等部と高等部が存在している他に、魔法の才能を見いだされた生徒が暮らす特別寮と呼ばれる寮が存在している。セレスティアル・ドールズと呼ばれる兵器を運用することと神渡優を封印することのために設立されたという特殊な経緯を持つ。

方雲神社 (ほううんじんじゃ)

神渡優の実家である清汪流神社と並ぶ、汪宿に存在している古い神社のひとつで、神戸智樹の実家である神戸家が代々の宮司を務めている。汪宿四社に数えられており、また宝刀として女鍛冶である神崎治良女が鍛え上げた「法師切」が奉られている。

魔垣神社 (まがきじんじゃ)

汪宿に存在する神社のこと。かつて妖術をもって悪霊の軍団を率い、汪宿を脅かしていた魔垣忌親という人物を封じた地に神宮司重良と神崎治良女によって建立された。現代に至るまで封印は維持され続けていたが、レーヴァティンの能力によって破られてしまう。

旗戸宿神社 (はたとすくじんじゃ)

汪宿市の西五笛尻地区に存在する汪宿四社に連なる神社で、天狗姫に関する書物が存在している。紐が結わえられた短刀を投げる技術が伝わっており、宮司をはじめ神社に所属する人間はこの短刀を武器に結界を超えて侵入してくる怪異と戦うことができる。

汪宿城 (おうすくじょう)

汪宿に戦国時代から存在する城のこと。当時、汪宿一体を支配していた神垣内家によって築城された。堅牢な城壁と防御機能の高さを誇り、近隣武将からの侵攻を防ぎ続けた名城として名高い。また、江戸時代中期には「ダイダラボッチ」と呼ばれていた巨人族を天狗姫の力を借りて撃退したという伝承の舞台となった。現在は、汪宿市の管理下に置かれ、一般公開されている。

汪宿天文台 (おうすくてんもんだい)

汪宿四社財団によって建てられた、汪宿に存在する天文台。通常の天文台としての業務の他に、汪宿の各地で起こる怪異による異変を観測しており、特に戦乙女をはじめとするアース神族などが絡んだ事件を注視し、データを収集している。職員として神林すくねが務めている。

汪宿遺跡 (おうすくいせき)

清汪流山の山中に存在する環状列石(ストーンサークル)型遺跡のこと。付近では「神隠し」と噂される謎の失踪事件が相次いでいる。パワースポットとしてネット上で密かな知名度を誇っており、オカルトサークルなどが訪れては、儀式を行ったりしている。行方不明者の多くは儀式に参加し「永遠の存在」へと転生したと噂されていた。

神域医術研究棟 (しんいきいじゅつけんきゅうとう)

神谷治三郎が所長を務めている研究棟で、正式には「汪宿大学医学部附属病院先端医療研究センター神域医術研究棟」という。現代医学とも東洋医学とも異なる「神域医術」を標榜して止まない治三郎を煙たがった汪宿大学医学部の主流派によって与えられた。老朽化の進んだボロくさい建物。治三郎の研究のために、時折、附属病院から病院データを改竄して患者が運び込まれている。

清汪流教会 (きようるきょうかい)

汪宿に存在する教会のこと。年配の神父と年若いシスターが管理をしていたが、怪異が頻発するようになりエクソシストである黒木が派遣されてきた。のちに黒木も怪異によって負傷することとなり、銀蓮寺マリアとその師匠である百舌鳥原神父がやってくることとなる。

八ツ原大本営跡地 (やつばらだいほんえいあとち)

太平洋戦争当時に旧日本軍の秘密研究所が存在した場所で、戦局打開のための秘密兵器が開発されていた。終戦から数十年がたった今も密かに研究所として活かされており、妖精である小人、ドヴェルグ族による技術研究が行われている。

人間界 (みずがるず)

宇宙を支える巨大なとねりこの木であるユッグドラシルの根が枝分かれした先にあるとされる、9つの世界の内のひとつ。アース神族が暮らす世界である神界などに対して、神渡優たちが暮らす人間たちの世界のことをいう。戦乙女であるラーズグリーズたちが、「破滅の因子」の持ち主を探索するために訪れている。

神界 (あーすがるず)

宇宙を支える巨大なとねりこの木であるユッグドラシルの根が枝分かれした先にあるとされる、9つの世界の内のひとつで、人間たちが暮らす人間界、ミズガルズなどに対してアース神族が暮らす世界のことをいう。主神であるオージンを中心に、ソールや巫女、戦乙女にフレイヤなど数多くの神々が住まう。 また、戦乙女たちが集めてきた戦死者たちが暮らす館「ヴァルホル」と「フォールクヴァング」も存在する。

ヴァルホル

神界に存在する、主神オージンが所有する館の名前。人間界で戦乙女がこれは、と見定めた戦死者たちがここに集められ、来たるべき神々の最終戦争である「ラグナロク」の際に尖兵として戦うため、訓練を重ねている。この館以外にも、女神フレイヤが所有する「フォールクヴァング」という館に戦死者たちの半分が集められている。

フォールクヴァング

戦争と愛を司るアース神族の女神であるフレイヤの所有する館のこと。戦乙女によって人間界より選ばれ、運ばれてきた英雄のうちで、オージンの館である「ヴァルホル」へ運ばれなかった者たちがフレイヤのものとなり、この館の大広間であるセスルームニルへと通されることとなる。

常若の国 (てぃるなのぐ)

アース神族とは異なる神々、ダーナ神族たちが住処としている妖精たちの世界のこと。かつてケルト世界に存在したダーナ神族たちが移住先として選んだ。ダーナ神族たちは神の姿ではなく妖精の姿となって暮らしている。妖精王の宮殿が存在し、妖精王ルーが中心となって妖精たちをまとめ上げていたが女王ニアヴの奸計によって、現在では妖精の大半が邪悪な力に侵され、異形と化してしまっている。

その他キーワード

大グマ (おおぐま)

汪宿の町で、大人たちの間で使われている符牒のひとつ。汪宿を6年間離れていた神渡優は熊のことだと勘違いしていたが、実際は何十年から何百年かに一度現れる怖い神様のことを指す。優が汪宿のへ東京から戻ってくるのと、時を同じくして出現した。

極光の輝き (きょっこうのかがやき)

神渡優をはじめとする、戦乙女の「鎧」となった人物たちの魂に宿っている輝きのこと。ラーズグリーズはオーロラと説明していた。この輝きが強ければ強いほど、戦乙女の「鎧」としての適正が高く、また、一定以上の輝きを宿していなければ戦乙女の「鎧」としては適格ではないとみなされる。

(よろい)

汪宿の町に古くから存在する家系が、神界の神々と共に戦うため、宿命と一緒に与えられた能力のこと。人間が、文字通り戦乙女が身に纏う「鎧」へと変身する力のことで、単純に戦乙女の身を守るほかに武器を出したりなどもできる。また、「鎧」以外にも衣服全般に変身することが可能で、ラーズグリーズの「鎧」として選ばれた神渡優は彼女の寝間着となったこともある。 変身時でも人間としての意識は顕在で、普通に会話や周囲の景色を認識することもできるうえ、攻撃を食らった際には痛みも感じる。「鎧」の持つ防御力や攻撃力は、「鎧」となった人間の心の強さが反映されるため、日頃からの鍛錬が重要視される。

破滅の因子 (はめつのいんし)

ラグナロクの到来をもたらすきっかけ、またはその物である存在のこと。神界に住む巫女によってその存在を示唆され、それを利用した敵の謀(はかりごと)によってオージンを始めとするアース神族に破滅をもたらすとされた。戦乙女たちによって、破滅の因子がどこにいるのか捜索されている。

ラグナロク

未来に待ち受けているとされる、オージンを中心とするアース神族と敵たちとの間に行われる最後の戦いのこと。戦いの最後には避けることのできない悲劇的な結末が待っているといわれている。戦乙女たちはこのラグナロクに定められた運命の向う側にある未来のために、人間界から「ヴァルホル」へと英雄たちを送り続けている。

騎士 (きし)

「常若の国」に突如として現れた女王ニアヴによって妖精の力を与えられた、元は人間界にいた存在のことで、その多くは妖精の力によって異形の姿へと変貌している。アース神族との戦争を望むニアヴの手によって、アース神族と繋がりのある汪宿の街で騎士を増やす企みが行われており、その結果、多くの怪異が生み出された。

天狗姫 (てんぐひめ)

江戸時代中期の汪宿で、老人たちによって語られていた存在。当時の汪宿を脅かしていた巨人族と敵対する存在で、怪力や妖術を操るとされた。正体は、汪宿の地に度々降り立っていた戦乙女のことで、伝承では醜い外見を気にしており、嫁にしてやると言えば力を貸してくれると語られていた。

スカイフィッシュ

「空飛ぶ棒」と呼ばれることもあるUMAのこと。妖精界に由来する生き物で、空気が澄んでいる妖精界への出入り口に近い場所のみに棲んでいる。ごく稀に都市部で発見されることもあるが、基本的に肉眼で見ることのできない生物で、ごく一部の特殊な能力を持つ人間や、何らかの理由で偶然見ることができてしまった人間によってUMAとして扱われている。

うるうる君 (うるうるくん)

汪宿市に存在する潤振町に残る、オオカミ伝説を基に作り出された町おこしのためのご当地キャラクターのこと。目つきの悪いオオカミをデフォルメしたような外見をしている。ぬいぐるみのほかに、キーホルダーや「うるうる君もなか」「うるうる君のうるうるウォーター(ミネラルウォーター)」など、関連グッズが手広く展開されている。

オオカミ

一般に語られる狼とは別の、特に潤振に伝わるオオカミ伝説に登場した怪異のこと。千年以上の昔に存在した巨人族の母親と、年老いて魔物となった狼の父親を持った雌の狼のことで、里に下りて人間との間にもうけた5匹の子供たちも含む。アース神族の主神であるオージンですら手出しできないほどに強大な存在で、当時、汪宿に降り立った戦乙女が現地の若武者と協力することで潤振の地に封印した。 伝承は潤振に残り、グッズ化されるなど観光資源としてさまざまな形で展開されている。

レーヴァティン

悪神ロキがルーンの秘術を用いて鍛え上げたとされる魔法の剣のこと。元々は巨人族が所有していたが、何者かの手によって密かに人間界へと持ち出され、八ツ原大本営跡地で陸上自衛隊の管理のもと、小人たちの手によって研究されていた。封印を切り裂く力を持つ。

セレスティアル・ドールズ (せれすてぃあるどーるず)

封印派の人間が掌握派の自衛隊の大部隊に対抗するために持ち出してきた兵器。人が機械の骨格を身に纏うパワードスーツのような形をしており、見た目は珍妙だが戦乙女の力を模している。性能は絶大で、装甲車や戦車の砲撃にびくともしないほどに堅牢かつ、部隊を一蹴できるほどの機動力と火力を持ち併せる。操縦者の他に戦乙女の「鎧」役を務める人間が、魔法の人形によって人形サイズになって乗り込む必要がある。 複数機体存在する。

ラグナロク兵器 (らぐなろくへいき)

太平洋戦争中に、汪宿の学者たちが旧日本軍に研究させられた魔法研究のうちのひとつ。神々の最終戦争であるラグナロクが顕現する条件を限定的に成立させることで、そのエネルギーだけを兵器利用するというコンセプトで研究が進められていた。戦時中に研究は中止され、戦後は汪宿四社によって封印されていたものの、研究の悪用防止と、制御手段の確立のために研究を推し進める必要があると主張する掌握派によって密かに研究が進められていた。 現代に入り、天才的科学者であった神渡勝仁によって急速に発展した。

セレスティアル・ギア (せれすてぃあるぎあ)

封印派が開発したセレスティアル・ドールズの情報を手に入れた掌握派の人間によって、米軍との協力のもとで開発された兵器のこと。セレスティアル・ドールズとは異なり装甲に覆われたコックピットが存在しており、人間が搭乗可能な人型ロボットといった構造をしている。また神渡勝仁によって開発された波動転換エンジンが搭載されているため、セレスティアル・ドールズと異なり「鎧」役の人間を必要とせず、またその力を応用して戦乙女と「鎧」の結合を解除することすら可能としている。 一機だけではなく、複数の機体が存在している。

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