断裁分離のクライムエッジ

断裁分離のクライムエッジ

先祖に殺人鬼を持つ中学生灰村切が、断裁分離のクライムエッジという鋏を使って、切れない髪を持つ少女・武者小路祝を狙う権利者達から、彼女を守るバトルファンタジーストーリー。

正式名称
断裁分離のクライムエッジ
ふりがな
だんさいぶんりのくらいむえっじ
作者
ジャンル
バトル
レーベル
MFコミックス アライブシリーズ(KADOKAWA)
巻数
既刊11巻
関連商品
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概要・あらすじ

女の子の髪を切ることが好きな少年・灰村切は、長く美しい髪を持つ少女・武者小路祝と出会う。彼女は呪いにかけられており、生まれてから一度も髪の毛を切ることができなかったが、の持つ鋏・断裁分離のクライムエッジによって初めて髪を切ることができ、今まで通えずにいた学校にも行けるようになった。しかし、を殺して願いを叶えようとする、殺害遺品を使う権利者と呼ばれる人達からは次々に命を狙われる。

断裁分離のクライムエッジを使って権利者達からを守っていく。

登場人物・キャラクター

灰村 切 (はいむら きり)

中高一貫の私立十草中等教育学校に通う中学生で、後に恋人となる祝とは、同い年でクラスメート。血液型はB型で、顔はそこそこよく、意外とモテる。殺害遺品・断裁分離のクライムエッジの権利者。断裁分離のクライムエッジという鋏で、呪われて髪を切ることができなかった祝の髪を、切ることができた。 また、祝を殺そうとする他の殺害遺品の権利者達から、断裁分離のクライムエッジを使って祝を守る。「女の子の髪を切りたい」という欲望が心の底にあり、昔から家にあった鋏で、家族や友達の髪を切っていた。みんなが美容院に行くようになってからは、嫌がられるようになった。鋏を持って「髪を切らせて」と迫るため、殺人鬼というあだ名をつけられてしまう。 そのあだ名から逃れるため、今は祖父の家に住んでいる。先祖は殺人鬼、地下室の悪夢ノーマ・グレイランドという外国人。

武者小路 祝 (むしゃのこうじ いわい)

体が小さく、小学生サイズの14歳。髪の女王の子孫で、切れない髪を持ち、呪禁防護という、髪に対する外部からのステータス変化を永劫無効にするスキルを持つ。切の断裁分離のクライムエッジは、呪禁防護を回避することができる。そして、その髪は、赤ちゃんのように艶やかだが、髪を切っても夜中の12時にまた一気に伸びてしまう。 呪われているため、生まれてから一度も髪の毛が切れたことがなかったが、切と断裁分離のクライムエッジのおかげで、切ることができた。そのため、小学校低学年以降行けていなかった学校に通うことにする。中学生なのに、現在の保護者である教授からランドセルを贈られた。母親はずっと前からいなくて、古物商であった父親は何年か前に死んでいるため、身寄りがなく、今は醜聞という組織に保護され、温室のある洋館に一人で住んでいる。 先祖は初代髪の女王のゼイヴルファ。現在の髪の女王は祝。髪の女王を殺害遺品で殺した権利者は1つだけ願いが叶うとされ、祝は権利者達に命を狙われている。

ヴァイオレット・ウィッチー卿 (ゔぁいおれっと・うぃっちーきょう)

醜聞のトップで、醜聞を統べるウィッチーの血族。美しい金の髪を持つ女性だが、自分のことをボクと呼ぶ。実は普通の子で、大人びて見えるが、年も法子たちとあまり変わらなく、醜聞には似合わないくらいの善人。殺害遺品・「人身対価のクイーンプルフ」というコインの権利者で、「遺品借用」と「遺品買収」という、当代に権利者のいない殺害遺品は無条件で借り、権利者がいるものに関しては能力を一度に一つだけ買い取れ、その能力は似た道具に憑依させることができる。 髪の女王に呪いをかけた魔女の末裔とされているが、先祖はただの占い師ウィッチー。ヴァイオレットはウィッチーの血族の直系の子として生まれ、その頃から子守歌のように女王のことを聞かされて育つ。 本来次に継ぐべき母親は病弱で、ヴァイオレットに繰り上げられ、女王を見つけ殺すことが最大の役割で最大の幸福だと繰り返し聞かされていたためか、祝を白馬の王子様のように思い始め、今の女王である祝を殺したくないと思っている。 総帥の座を受け継いだばかりのころ、醜聞と諍いを起こした祝の父を、直接処刑し、後に、ゼイヴルファに脚を切断される。実は、女の子も好きなバイセクシャルと判明。

病院坂 病子 (びょういんざか やまね)

法子の双子の妹で、法子と違い鈍臭く、喋るのが苦手。そして、小さいころに殺害遺品に選ばれたため感情の発達が阻害されており、姉法子に依存している。血液型はB型で、メガネをかけている。切と同じ学校に通い、2年生の時は隣のクラスだったが、進級後は同じクラスになり、保健委員に。 法子と共に醜聞の一員。殺害遺品・昏睡昇天のインジェクションという注射器の権利者で、「薬効必中」と「薬効強化」という、注入した薬剤効果を数十倍に引き出す能力を持つ。対象は自らも含めるため、ドーピングを行うことも可能。そして、刺されれば部位に関係なく血管に達し、数十倍の効果を発揮する。無差別に人を殺さないように、頻繁に姉法子へ生理食塩水の入った昏睡昇天のインジェクションを刺し、殺人の真似事をして、気分を落ち着けている。 先祖は悪魔の天使ナイティンゲイルで、近世の半ば頃、とある国で従軍看護をしており、かいがいしい看護と評判の裏で、弱った者をじっくり見定め、薬物を与えていた人物。ほとんどは死には至らず、明確な死者は二人だけで、殺人鬼としては最も底辺だが、それでも呪いは残り、子孫達は女王殺害のゲームに参加することになった。 殺害遺品の呪いが解けた後、姉の法子に頼らないで生きていくことを決意し、少し離れたところに一人で下宿することに。

病院坂 法子 (びょういんざか ほうこ)

病子の双子の姉で、スタイルがよく、髪型は長めのポニーテール。病子の殺人衝動を抑える代償である。冷酷で冷徹。人を殺すことも軽く決められるが、友達の前ではオカルトや血が出る話などの怖いものが苦手ということにしている。醜聞の一員。自分と違い、鈍臭くて喋るのが苦手な病子のことが嫌いだったが、今は妹想いで、祝の死で病子の呪いを解くつもりである。 孤児院で冷遇されていた病院坂姉妹を引き取ってくれたため、教授には恩義がある。教授は法子のことをほーちゃんと呼ぶ。病子の代わりに、一時的に殺害遺品・昏睡昇天のインジェクションが使えるようになったことがある。 犯罪史や心理学を学ぶため教授の研究室に入ろうかと思っている。

教授 (ぷろふぇっさ)

修身大学文学部犯罪史学講座の教授。祝の今の保護者で、祝の監視官でもあり、また、病院坂姉妹の後見人でもある。切いわく、胡散臭くて、得体が知れなくて、切が知っている限りでは一番油断ならないロリコン。なので、大人の体には興味がない。醜聞の一員で、特別な人でないと持つことができない金のコインを、醜聞の頂点であるヴァイオレットから直接貰い、重要なゲームの中でも最も大事な女王の管理を一手に担っている。 秀才で、若くして教授職に就き、犯罪史および犯罪心理の研究をしており、論文多数、著作もいくつかある。病子が殺害遺品に飲み込まれて壊れる瞬間を見たくて、病院坂姉妹を引き取った。 過去に、隣に住む幼なじみの女の子が殺害遺品で自殺をしてしまい、彼女を助けられなかったことがきっかけで、後に醜聞という組織を知り、躊躇なくそれに足を踏み入れる。

エミリー・レッドハンズ (えみりーれっどはんず)

幼い少女だが、裏の世界で生きて来たため、人をたくさん殺している。受注製品の一人で、殺人衝動を抑える代償を必要とせず、殺害遺品「鮮血解体のオープナー」というナイフの権利者である。「切断強化」、「止血停止」(対象に与えた傷の治癒を阻害する)、「遺品属性付与」(オープナー本体を加え46本までになら、他のナイフに上記2スキルを適用できる)という能力を持つ。 スラムで生まれ、生きていくために盗みや人を傷つけたりしていたところに祝の父親が突然現れ、エミリーという名前やその他いろいなものと、殺害遺品をくれた。祝の父親がエミリーの国にいる時は一緒に暮らしていたが、殺されてしまったためぷっつり連絡が途絶え、ジャックとペーターという犬が今は唯一の家族。 祝の父親は、祝の心配ばかりしていたため、父親をとられていると思い、祝をずっと憎んでいた。父親の日記に「エミリーはもう一人の私の大事な娘」と書いてあったことで、わだかまりが消えた。そして祝の父親を蘇らせるために女王・祝の命を狙うこともやめた。 かつては醜聞のメンバーだったが、自分の父でもある祝の父を殺したヴァイオレットを狙い、失敗する。殺害遺品の呪いが解けた後、元いた国の元いた家に戻る。

ゼイヴルファ

祝のご先祖様で、最初の切れない髪を持つ髪の女王。永遠を渡りながら自らの黒髪を愛で続ける、妄執に囚われた存在。殺人鬼の所持品に特殊能力をつけること、自分の子孫に切れない髪を授けることという二つの呪いを残す。この二つの呪いを使って終わらない殺人ゲームをしている。女王を殺せば望みが叶い、また、女王の死は殺害遺品の呪いを解く唯一の方法と言われている。 ゼイヴルファは黒髪の女性を見ては処刑し、その行為は次第にエスカレートする。いたぶり、あざ笑い、拷問するなど女王自身が殺人鬼となった。ゼイヴルファは虐殺を楽しみ、それが永久に続くようにと願うようになり、その時代時代の女王の中に、こびりついた泥のようにかすかに存在し続けていた。 殺害遺品のような、「断罪分離のクライムエッジ」というギロチンを使い、「全切断」という、好きな時に好きなように好きな部分を切断でき、かわすことができないという能力を持つ。

ノーマ・グレイランド (のーまぐれいらんど)

切の先祖で、地下室の悪夢ノーマ・グレイランドと言われている最強の殺人鬼。30代後半くらいで、殺害数は二百人超え。犯罪史に名を残すシリアルキラーの中でもダントツのトップ。多くの恐怖を生み、語り継がれた偉大な悪で、モデルにした映画もあり、有名な猟奇殺人者ということになっているが、真相は違った。 ノーマ・グレイランドは医者で、優秀な鍛冶屋だった友達の家に遊びにきたが、その夜、友達が異常な腹痛を訴え、最近野生動物を食べたという情報から寄生虫を疑い、ナイフがなかったため友達の作った鋏で腹を切り裂いたが、どこにも病変はみつからぬまま、友達は亡くなってしまう。翌朝、近くの猟師が寝泊まりする小屋を尋ねると、みんな死んでおり、すべての死体には目立つ外傷はなく、念のため、こちらも解剖してみるが、やはり内臓にはおかしなところはなかった。 謎の死を解明するため、死体を集めて解剖するグレイランドに対して、不信感をつのらせた村民に追われ、グレイランドは村から村へと渡り歩くが、新しい村を訪れてはまた怪しまれることの繰り返しで、いつしか対話をあきらめ、一人で原因だけを探すようになる。 夜の墓を掘り返し、あるいは埋蔵前の死にたての遺体を盗み出しては、廃墟の地下に運び込み解剖を続けた。その後、グレイランドが命を懸けて調べた病気は、紆余曲折の後、友人や同僚とともに研究を重ね、ある種のコケによる風土病だったことが判明し、特効薬ができた。

祝の父 (いわいのちち)

貿易商をしており、祝の髪を切るために、奇跡のような道具を探していたが、不確かな情報で殺害遺品を魔法の道具のように勘違いし、収集していた。そんなおり、スラムにいたエミリーに出会い、名を与え、殺害遺品を渡し、殺し屋として生きていくすべを与える。祝の心配ばかりしていたが、エミリーをもう一人の娘とも思っていた。 目の前の人のことをほおっておけないタイプで、人からとても信頼され、仕事がいつも忙しかった。醜聞が祝の存在にたどり着いたとき、父は祝を隠し、所在をわからないようにして、醜聞からなんとか逃がそうとした。また、醜聞が、どんなに金銭や名誉を与えようとしても、頑として断った立派な父親。 そのため、醜聞と諍いを起こし、総帥の座を受け継いだばかりのヴァイオレットに処刑される。

集団・組織

醜聞 (ごしっぷ)

『断裁分離のクライムエッジ』に登場する組織。トップは、ヴァイオレット・ウィッチー卿。女王と殺害遺品のシステムを何百年も管理しており、直接権利者に何かをするわけではなく、情報を教え、管理できれば管理し、女王を殺すように促す悪趣味な組織。元々上流社会の社交クラブのような性質の組織で、中枢には世界的な重鎮がいる。 また、警察の上層部ともつながっている。コインが会員証代わりで、多くの会員は銅、権利者や代償と見なされたものは銀、要職は金で多額の献金や政治的な貢献をした人が持つ。

その他キーワード

受注製品 (おーだーめいど)

『断裁分離のクライムエッジ』に登場する用語。醜聞の思いどおりに作られた、特別な殺害遺品とその権利者のこと。殺害遺品を作るには殺人鬼のほうから作ればいいため、クスリを使って人々を操り何人も人を殺させ、その人達に子供を生ませると、低確率だが彼らの中に殺害遺品の権利者が生まれる。何百とそういう生産をして、良いモノだけを選別し、狙った能力を持った理想の殺人者を作った。 オリジナルの執念が弱いため、殺害遺品がもたらす殺人衝動に支配されず、代償とする人間や行為を必要としないため、切や病子達のような天然モノと違い、扱いやすいく、殺害に特化しているが、呪いに脆いところがある。完成品は全部で「ナイフ」「銃」「毒薬」の3人。 エミリーはその中のひとり。3人とも全て切達に敗北。醜聞の中でも一部の好事家が秘密裏にやった計画で、完成品以外は全て破棄された。また、女王殺害のゲームを面白くするために開発された部分もある。

断裁分離のクライムエッジ (だんさいぶんりのくらいむえっじ)

『断裁分離のクライムエッジ』に登場する呪いの道具で、切の鋏。殺人鬼である切の先祖ノーマ・グレイランドの殺害遺品で、切と祝で断裁分離のクライムエッジと名付ける。切はこれで敵を切り裂き、祝を守ることになるが、後に殺害遺品ではなかったことが判明。「呪禁無視」「切断強化」「痛覚増加」という能力の他に、殺害遺品であって殺害遺品でない、「遺品擬態」という、使用者及び周囲の人間が強く信じることで殺害遺品属性が付与され、付与時には他の3スキルが使用可能となるうえ、完全に殺害遺品と遜色ない特性を持つようになる。

殺害遺品 (きりんぐぐっず)

『断裁分離のクライムエッジ』に登場する殺人鬼の遺品。残虐な殺人鬼の血を引いた子孫のみに伝わる特殊な呪いをかけられた道具。殺人鬼の子孫の中から、殺人鬼の残した凶器に権利者が選ばれる。選ばれた権利者はその凶器を渡すことも捨てることもできず、朽ちたり、壊れることもない。殺害遺品は各々過去の記憶をもとに強化されていく。 刃物ならもっと簡単に人の肉を切れるように、毒ならより少量でより苦しみもがくように強化されていく。殺害遺品は、恐怖心を強制的に「ゼロ」に近づけ、無意識の手加減や本能レベルの良心も消去。殺人に最適な存在を作り上げ、権利者の心底にある欲望をもあらわにする。また、殺害の感触を呼び起こし、常にそれを欲するように仕向けることで、権利者の精神を静かに蝕んでいき、先祖と同じような殺人鬼にしていく。 大抵の権利者は殺害遺品により、感情の発達が阻害されている。

書誌情報

断裁分離のクライムエッジ 11巻 KADOKAWA〈MFコミックス アライブシリーズ〉

第1巻

(2009-11-21発行、 978-4840129459)

第2巻

(2010-08-23発行、 978-4840133647)

第3巻

(2011-01-22発行、 978-4840137379)

第4巻

(2011-08-23発行、 978-4840140287)

第5巻

(2012-02-23発行、 978-4840144179)

第6巻

(2012-11-22発行、 978-4840147514)

第7巻

(2013-03-23発行、 978-4840150255)

第8巻

(2014-03-22発行、 978-4040662992)

第9巻

(2014-09-23発行、 978-4040668499)

第10巻

(2015-03-23発行、 978-4040672847)

第11巻

(2015-09-19発行、 978-4040678023)

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