維新後に成立した八国の新政府とは
本作の舞台となるのは、世界の中心に存在する、「八国」という小さな島国である。明治時代の日本に似ている八国は、維新によって新政府を設立。万人の平等を説いて封建的な身分制度を廃し、新たに「貴族制度」を制定するが、貴族、士族、一般市民、下民といった階級制度は依然として存在。格差は一層大きくなり、身分の低い者が虐げられる世の中になっていた。王を戴く新政府は「太政館」という場所を本拠地にしており、「卿」と呼ばれる官仕たちが国政を行っている。卿は、貴族の中でも身分の高い、侯族・公族・大公族しかなることができない。なお、本作の統治機構は、明治時代に実在した太政官制とよく似ている。
侯族に成り代わり新政府の中枢を目指す
侯族の間宮薫は、自分に似ているという鈴の噂を聞きつけ、下民の里を訪れる。卿の職に就くことを目指す薫は、命を狙わることもあるため、鈴を影武者に仕立て上げようとしていたのだ。兵隊を引きつれた薫は里の民を殺し、強引に鈴を連れ去ろうとするが、先読みの能力に長ける鈴とその相棒で武力に秀でるイノに返り討ちに遭う。侯族に手を出したことが分かれば、里は全滅させられてしまう。里を守るため、薫に成り代わって間宮家に潜入した鈴は、巧みな策略と大胆な行動で、新政府の中枢へ近づき、社会に変革を起こそうとする。
鈴に立ちはだかる強敵・巌見虎雲
薫の父・垂を殺害し、鈴は正式に間宮家の家督を継ぐ。その後、鈴は、垂の友人で国政を担う太政官賛議・北方謂弼のつてをたどり、新政府の本拠地・太政館への出入りを許される。維新の功臣が集まる太政館で、平等とは名ばかりの貴族制度を撤廃させようともくろむが、そんな鈴の前に立ちはだかったのが巌見虎雲だった。政府の実権を握っている巌見は、生まれながらの公族で徹底した身分主義者である。鋭い洞察力を持つ巌見は鈴を怪しみ、無理難題を押し付ける。巌見と対峙する鈴だったが、外国人居留地に住む世界有数の大貿易商・ベイカーの後ろ盾を得て、窮地を切り抜けていく。
登場人物・キャラクター
鈴 (せず)
下民の里で暮らしていた20歳の青年。銀髪が特徴で、先を読む能力に長けている。ある日、里を襲った侯族の間宮薫を返り討ちにする。その薫と容姿がそっくりだったことから、薫に成り代わって間宮家の家督を相続。身分制度を撤廃するため、国政の中枢を目指す。
イノ
鈴と同じ下民の里に暮らしていた無口な青年。黒の短髪と高身長が特徴。武力において無類の強さを誇り、常に鈴と行動を共にし、その身を守っている。







