旅の途中

旅の途中

無類の女好きである超高校級の豪腕投手が、秋田県の小さな町を舞台に一大旋風を巻き起こす。破天荒な快男児が色恋に野球に大活躍する姿を描いた痛快青春漫画。

正式名称
旅の途中
ふりがな
たびのとちゅう
作者
ジャンル
青春
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概要・あらすじ

滝耕助は野球の強豪校である東涼高校のエースとして春の選抜甲子園大会で優勝。超高校級の豪腕投手とうたわれるが、突然母親の生まれ故郷である秋田県の田舎町、桜館への転校を表明する。その真意は耕助は生粋の女好きで、桜館は美女の産地として有名な町だったから。桜館に向かう寝台列車で出会った浅井美智子と一晩の逢瀬を楽しんだ耕助は、到着するや男子禁制の女子高である桜館女学館に向かい、「ここの女はみんな俺のもんだ!」と高らかに宣言。

元チームメイトである東涼高校ナインと野球勝負を繰り広げたり、町の有力者の孫娘で「姫」と呼ばれる加賀夕希を口説こうとしたりと、次々に騒動を巻き起こす。そんな耕助の破天荒な行動に、桜館の人々は困惑しながらも魅了されていく。

登場人物・キャラクター

滝 耕助 (たき こうすけ)

女好きの男子高校生。超高校級の投手で、野球の強豪校である東涼高校のエースとして、春の選抜甲子園大会を制した。だが、東涼高校が男子校で女子に縁がないことを理由に退部。母親の生まれ故郷であり、美女の産地として名高い秋田県、桜館の桜館高校に転校する。性格はちゃらんぽらんだが、人生を全力で気持ちよく楽しむことを信条としており、男女を問わず魅了してしまう不思議な魅力を持つ。 4歳の時に出会った加賀夕希を甲子園に連れていくと約束したことから野球を始めたが、滝耕助はそのことを完全に忘れていた。投手としての才能は超一級で、速球が持ち味の本格派。格下にはあえて全力では投げず、相手打者の力量を図って、その少し上をいくボールを投げて打ち取る、という人を食った投球術を信条としている。 打者との駆け引きにも長け、フォークやカーブなどの変化球も織り交ぜて使う。ここ一番で投げ込む豪球は、独特の回転により驚異の伸びを見せ、高校生のレベルをはるかにしのぐ。

加賀 夕希 (かが ゆき)

桜館女学館に通う女子高校生。桜館加賀藩主の血筋の娘で、町の者たちから「姫」と呼ばれて、かしずかれている。幼い頃に滝耕助に出会い、自分を甲子園に連れていくという約束を交わしていたが、耕助にはすっかり忘れられている。高貴さをたたえた神秘的な美少女。実は加賀家を守るという使命にがんじがらめになっていて、桜館を離れらないという思いから、自由奔放な耕助を自分のもとに縛りつけようとしている。 また、自分と母親を捨てた父親の佐竹容堂に対して複雑な感情を抱いているが、佐竹将は弟として大事に思っている。

柳生 高子 (やぎゅう たかこ)

桜館女学館に通う女子高校生。柳生英寿の姉。剣道部主将を務める女傑で、加賀家の次期当主である加賀夕希を守ることを使命と自認している。滝耕助の夕希への夜這いを阻止するため、彼を自分の部屋に誘い込んで竹刀でメッタ打ちにする。実は初めて耕助を見た時から彼に心を奪われており、自分のところに忍んで来ることを、心のどこかで待ち望んでいた。 そして、耕助と身を焦がすような一夜を過ごし、柳生高子自身の恋心をはっきりと自覚。以降、耕助が想いを寄せる夕希を恋敵として強く意識するようになる。

新条 愛美 (しんじょう まなみ)

桜館女学館に通う女子高校生。滝耕助の1歳年上の従姉。気が強く男勝りで、不真面目な耕助へのツッコミ役になっている。意外と大胆で、性格的にどこか耕助と似たところがある。東京の大学への進学を志望しており、柳生英寿に告白された際に、「東京の国立大学に入学できれば付き合う」と表明。さらに、この約束を口の軽い耕助に話し、彼を通じて町中に広めることにより、自分が英寿に対して本気であることの証とした。

品田 勝巳 (しなだ かつみ)

滝耕助のボーイズリーグ時代からの旧知である男子高校生。姉からは「勝ちゃん」と呼ばれている。耕助を一方的にライバル視していて、彼を追って東京から桜館へとやって来る。当初は耕助と対戦できる高校に入るつもりだったが、桜館女学館の女生徒たちへの下心から、隣接する桜館高校に編入。耕助たちとともに甲子園を目指すことになる。 耕助をもっともよく知る人物だが、やはり彼の破天荒な行動には振り回されがち。

石倉 権造 (いしくら ごんぞう)

桜館にある庄大農林高校の男子。本名は「次郎」だが、なぜか「権造」と名乗っている。圧倒的な巨体を誇る怪力男で、庄大農林の不良たちのリーダー格だった。滝耕助の男気と投手としての才能に惚れ込み、桜館の米が日本一だと宣伝することを条件に、桜館高校に編入。野球部員としてともに甲子園を目指すことになる。当初はキャッチャーを務めていたが、美貴鉄男加入後はファーストにポジションを移した。 ソープランドの常連で、ソープ嬢の腰を壊すほどの性豪だが、素人童貞でプロの女性以外との経験はない。

柳生 英寿 (やぎゅう ひでとし)

桜館高校に通う男子高校生。柳生高子の弟。愛称は「ヒデ」。頭脳明晰かつ冷静沈着な青年で、サッカー部のエースだった。滝耕助に興味を持ち、彼が高子に夜這いをかけたことを父親の柳生宗太郎に知らせ、どう切り抜けるか見ようとした。その際、自分の想像を超えた耕助の堂々たる態度を見て彼に惚れ込み、野球部に転部。さらに、耕助に感化されて、小学校5年生の頃から想いを寄せる新条愛美に告白し、東京の大学に入学したら付き合うという約束を勝ち取る。

森松 忠治 (もりまつ ちゅうじ)

桜館の不良高校生。右眼に眼帯をしている。実は滝耕助、品田勝巳の小学校時代の野球仲間で、忍者のように足が速いので「ラッパ(乱波)」と呼ばれていた。幼い頃に父親が刑務所に入れられたため、泥棒をして妹と弟を養っていたが、捕まって少年院に入所していた。弟妹と離れ離れになり、出所後は問題児だけを集めた山の中学園の生徒になっていた。 耕助らとの再会を機に桜館高校に編入。俊足を活かしたリードオフマンとして活躍する。

佐竹 将 (さたけ まさる)

佐竹容堂の息子。加賀夕希の腹違いの弟。男性アイドルグループ「V5」に所属する超人気芸能人だったが、芸能界を引退して生まれ故郷の桜館に帰還。桜館高校野球部に所属し、滝耕助らのチームメイトになる。中学時代は野球選手としても有名で、その時は美貴鉄男とバッテリーを組んでいた。夕希を女性として強く慕っており、彼女の心が耕助にありながら、加賀の家に縛られて素直になれずにいることを見抜いている。

美貴 鉄男 (みき てつお)

佐竹将の中学時代の野球部のチームメイト。ポジションはキャッチャー。外見は完全な女性だが、実は男性である。将に「女として」惚れており、完全な女性になるべくフランスで性転換手術を受けていた。将が再び野球をするためにアイドルグループ「V5」を脱退したことを知り、上半身の手術が終わったところで急きょ帰国。将を追って桜館高校に編入した。 そのため、性器はまだ男性のままである。

品田勝巳の姉 (しなだかつみのあね)

品田勝巳の姉。教育実習生として桜館にやって来た。滝耕助の童貞喪失の相手。当時まだ中学3年生だった耕助に、「男としてじゃなくていい、母親が赤ん坊におっぱいを飲ませる感じでいいから」と頼まれ、伊豆の別荘で一夜をともにした。耕助とは「抱き合う友情関係」と言っているが、本心は不明。

浅井 美智子 (あさい みちこ)

桜館女学館の女性教師。桜館に向かうために乗った夜行列車で、東涼高校を退学した滝耕助に遭遇し、自分の寝台に夜這いをかけてきた耕助と情熱的な一夜を過ごした。その後、桜館で耕助と再会するが、彼が加賀夕希に恋していることを知り、それ以上関係を深めようとはしなかった。夕希が耕助を縛りつけようとしていることに勘付いている様子を見せる。

新条 凛太郎 (しんじょう りんたろう)

滝耕助と新条愛美の祖父。新条家は桜館加賀藩の家老を代々務めてきた家柄であるため、桜館の者たちから「ご家老」と呼ばれている。メルボルンオリンピックに三段跳びの選手として出場し、金メダルを獲得して桜館の英雄的存在となった。現在は日本陸連の名誉総裁を務める。孫の耕助と同じく大の女好きで、金髪の若い美女を侍らせている豪放磊落な老人。 策士の一面があり、密かに本間に指示して、長く勘当状態になっていた佐竹容堂を桜館高校野球部の監督とするべく呼び戻す。

柳生 宗太郎 (やぎゅう そうたろう)

柳生高子と柳生英寿の父親。柳生家は桜館加賀藩の剣術指南役を代々務めてきた家柄で、自身も全日本剣道選手権を7回制覇している。滝耕助が高子に夜這いをかけたことを知り、激昂して日本刀を持って娘の部屋に押し入るが、堂々とした耕助の態度を見て許した。ブチ切れると日本刀を振り回す、犬や猫を試し斬りしているなどの噂で恐れられている人物だが、桜館の大殿には頭が上がらない。 また、新条凛太郎を苦手としている。

大殿 (おおとの)

加賀夕希と佐竹将の祖父。年齢は80歳。桜館加賀藩の藩主を代々務めた加賀家の先代当主で、町の人たちから「大殿」と呼ばれて慕われている。普段はいたって温厚で、町の第一人者としての威厳と厳しさを兼ね備えている。加賀の家と妻子を捨てた息子の佐竹容堂と親子の縁を切るなど、やや頑固な一面もある。ただ、容堂が家を出た事情は承知しており、内心では許している。

佐竹 容堂 (さたけ ようどう)

加賀夕希と佐竹将の父親。桜館高校野球部の初代キャプテン。加賀家の当主で妻のある身だったが、とある理由で当時女子高校生だった将の母親を連れて東京へ家出。そのまま結婚し、将の母親の家である佐竹の婿養子となった。そのため、桜館とは疎遠になっていたが、本間に頼まれて桜館高校野球部の監督に就任する。

本間 (ほんま)

桜館高校の校長。常に笑みを絶やさない温和な男性。しかし、なかなかの曲者で、滝耕助の強引な転入を認め、耕助を連れ戻そうとする東涼高校の要望をやんわりと拒否した。また、新条凛太郎の意を受けて、加賀家の元当主である佐竹容堂に桜館高校野球部の監督就任を依頼。加賀家と疎遠になっていた容堂が桜館に戻れるように働きかけた。

(きく)

桜館に住む78歳の老婆。元桜館温泉の超売れっ子美人芸者。戦中には出征する者たちの相手を率先して務め、彼らに優しく接した。そのため、大殿以下桜館の老人たちに、今でも女神のごとく慕われている。冥途の土産にもう一度だけ男とやりたい、という冗談を日頃から口にしており、柳生英寿が相手を買って出たため一騒動持ちあがることになる。

海部 (かいふ)

東涼高校の野球部に所属する男子高校生。滝耕助の元チームメイト。春の選抜甲子園大会で打率6割をマークした高校No.1スラッガーだが、桜館で耕助と対戦した際に彼の豪球の前に完敗を喫した。以来、耕助にリベンジするべく練習に明け暮れ、さらに筋肉増強剤を服用。圧倒的パワーを身につけ、甲子園で耕助の前に立ちはだかる。

保屋 (ほや)

東涼高校の野球部に所属する男子高校生。長身を活かしたピッチングを得意とする本格派で、まだ1年生ながら滝耕助が転校した後はエースを任された。傲慢な自信家だが精神的にもろく、甲子園で桜館高校と対戦した際に、耕助に格の違いを見せつけられ、完全に自信を喪失してしまう。

大河原 (おおがわら)

東涼高校の野球部に所属する男子高校生。抜群のストレートの威力を誇る巨漢の豪腕投手。恐ろしいほどノーコンだったため、3年生になるまで公式戦での登板経験はなかった。しかし、後輩だった滝耕助に対抗すべく、努力を重ねてコントロールを磨き、耕助に匹敵する投手に成長。東涼高校の切り札として甲子園のマウンドに上がる。

吉井 (よしい)

東涼高校野球部の監督を務める男性。東涼高校の理事長らから、滝耕助の転校を阻止するよう命じられ、海部ら甲子園の優勝メンバーを連れて桜館へとやって来る。ただ、最初から耕助を連れ戻すことはできないと悟っていたふしがあり、桜館での耕助と東涼高校ナインとの野球勝負の後、エース流出の責任を取って東涼高校野球部を去った。

堂島 (どうじま)

吉井の辞任を受け、新たに東涼高校野球部の監督となった男性。滝耕助率いる桜館高校に勝利するべく、ナインたちに過酷な特訓を課す。健全さを売りとした高校野球の建前に批判的で、海部のドーピングを容認。気骨もあり、桜館高校の存在を快く思わない文部大臣からの試合中止勧告に、「高校生を使って国民的興行を打って儲けているくせに偉そうなことをぬかすな!」と大観衆の前でタンカを切った。

場所

桜館 (おうだて)

秋田県にある田舎町。桜館加賀藩の初代領主が元京都の公家。桜館に領地を定められた際に、京都の美人をごっそり連れて来たと言い伝えられており、現代でも美人の産地として名高い。封建的な風土が色濃く残っており、藩主の血筋に連なる加賀家が町一番の実力者として君臨。さらに、川並み通りという大通りを境に、町人町と武家町に分かれており、町長、警察署長、校長などの要職は武家出身の者で占められている。 かつて藩の城があった武家町の丘の上に、男子校の桜館高校と女子校の桜館女学館がある。女子の方が武家町出身の者が多く、女学館の生徒たちが優位に立っている。

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