日々我人間

日々我人間

漫画家・桜玉吉の自伝的コミックエッセイ。漫画喫茶で世捨て人同然の状態にあった桜玉吉の面白くも物悲しい日常を描いた前半パートと、伊豆の山荘に移住してからの自然溢れる環境での生活を描いた後半パートの2部構成からなる。タイトルは楳図かずおの『ひびわれ人間』へのオマージュ。

正式名称
日々我人間
ふりがな
ひびわれにんげん
作者
ジャンル
エッセイ
レーベル
文藝春秋
巻数
既刊3巻
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概要・あらすじ

漫画家の桜玉吉は、漫画喫茶で暮らしていた。ある日、「せっかく漫画喫茶に住んでいるのだから、漫画の書評でも書いて小銭を稼ごう」と思い立つが、数冊で挫折。こんな調子の自堕落な日々が続くが、あるきっかけで漫画喫茶から、以前から所有していた伊豆の山荘に移り住むことになる。生活は一変したが、どこか自堕落でどこか物悲しい暮らしぶりは変わることはなかった。

登場人物・キャラクター

桜 玉吉 (さくら たまきち)

50代の男性漫画家。根城としていた漫画喫茶に、ほぼ住んでいるに等しい自堕落な生活を送っていたが、古い知人である編集長Oに諭され、所有していた伊豆の山荘に移住する。大昔にテニスをやっていたことがあるが、現在は完全にくたびれた中年と化している。なお、この作品の執筆にあたっては、編集部からは「毎週描いてくれれば内容は何でもいい」と言われている。 作者の桜玉吉本人がモデル。

編集長O (へんしゅうちょうおー)

桜玉吉と非常に長い付き合いの男性編集者。現在は玉吉の担当でもないため仕事上ではほとんど関わりはないが、友人として付き合いが続いている。漫画喫茶で暮らしていた玉吉に対し、「若い漫画家が真似をするからやめろ」と説教し、伊豆の山荘に居を移させた人物。ちなみに実在する人物である。

玉吉の父 (たまきちのちち)

桜玉吉の実父。86歳で天寿をまっとうし、既に故人。何年か前の冬に玉吉の父に手渡されたボロボロのマフラーを玉吉が形見としているが、そのマフラーはもともと玉吉自身が大昔使っていたものだった。他に、風呂から上がる時は股の間を冷水で冷やせという父の教えを玉吉が今も実践していることなど、数々の逸話において登場し、作品にほのぼのとした空気を醸し出している。

シロッコ

伊豆山中に住む白い野良の子猫。桜玉吉が何度か遭遇し、「シロッコ」と呼ぶようになった。なぜか走っている車の前を飛び出して横切るという困った習性を持っており、玉吉は心配している。ちなみに、まったく同じ行動をするキジトラの子猫も同じ場所に住んでいるが、関係は不明。

場所

漫画喫茶 (まんがきっさ)

桜玉吉が実質的に住んでいた、都内のどこかにある漫画喫茶。普通の漫画喫茶だが、玉吉以外にも住み着いている人は大勢おり、多くの愉快なエピソードの舞台となる。しかし、他の住人による不愉快なことも多かったらしく、玉吉は特に大きな音で放屁をする隣のブースの女性の存在が一番耐えがたかったと語っている。ちなみに、この漫画喫茶には玉吉自身の描いた漫画は1作品も置かれていない。

伊豆の山荘 (いずのさんそう)

桜玉吉がかつて別の作品を描いていた頃に、ローンを組んで購入した伊豆山中の山荘。その後久しく放置されていたが、漫画喫茶を後にした玉吉がここに移住することとなる。ガスはなく、水は井戸水、TVが映らない、ネットもできない、という劣悪な環境。

その他キーワード

メッシュテント

伊豆の山荘で暮らすようになった桜玉吉が導入したアイテムで、ムカデのあまりの多さに業を煮やしてわざわざ和室内にテントを張るという行動に出た。玉吉本人はこのテント内で寝ていると漫画喫茶にいた頃のようで落ち着くらしい。

書誌情報

日々我人間 3巻 文藝春秋

第3巻

(2023-02-22発行、 978-4163916651)

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