概要・あらすじ
桜玉吉は軽いうつ病を患っていると医者から診断され、漫画家の仕事を中断していた。休養し復調したものの、うつ病の原因は漫画家の作業そのものにあると判断する。一時は漫画家を辞める事を考えた玉吉だったが、担当編集者ヒロポンの助言により、有限会社玉屋を設立し自身の負担を減らす組織作りに乗り出す。
そして事業充実のための強化研修や、原宿に出店・株式投資といった未経験の業務に取り組んでゆく。
登場人物・キャラクター
桜 玉吉 (さくら たまきち)
作者である桜玉吉自身をモデルとする37歳(連載開始時点)の漫画家。前作『防衛漫玉日記』の連載終了後、軽いうつ病を患い休養生活を送っていた。休養中に、漫画家を続ける事がうつ病の原因と考え廃業も検討するが、思い直し有限会社玉屋の設立に乗り出す。
O村 (おーむら)
モデルは漫画誌『コミックビーム』の編集長・奥村勝彦。桜玉吉と同い年。人相が悪く粗暴な性格だが、漫画を愛し仕事熱心な男。玉屋には影のトラブルバスターとして参加する。極めて性欲が強く、沖縄では風俗通いを玉吉に追跡された。
ヒロポン
モデルは漫画誌『コミックビーム』での担当編集者・広瀬。ウェーブのかかった長髪と、大きな鼻から出ている鼻提灯が特徴。うつ病で漫画家を辞めようとする玉吉を励まし、玉屋を設立させた。心身共に病弱で、休職時は玉吉の担当をオーバ君に譲る。玉屋での役職は影の専務。
Fさん (えふさん)
桜玉吉が知人のツテを頼って紹介された税理士。玉吉とは同い年であり、有限会社玉屋の設立をサポートする。実社会で働くしっかりした人物との印象を玉吉に与えたが、玉吉の部屋にあった『電車でGO!』のコントローラーを見て羨ましがる一面もある。
みげー君 (みげーくん)
玉屋設立後に、初のバイト社員として加わった24歳(初登場時)の青年。玉屋内では「光の社員」に分類される。モデルは実在の漫画家肉柱ミゲル。一人称が「自分」で、語尾が「ッス」または「みげ~」という硬派な面を持つ。玉屋の強化研修蟲旅行では、1位の成績を取った。
ちょりそのぶ
「ちょりぞう」と表記される事が多い。頭に生えているキノコが特徴。モデルは桜玉吉の学生時代からの友人で、本業は造形作家だが、しばしば玉吉の漫画制作の手伝いもする。玉屋がアソビニで店舗内店舗を開いた際、販売する「ピキーニャ」の人形を制作した。玉屋内では「光の社員」に分類される。
ぱそみちゃん
桜玉吉の近所に住んでいる、無職の若い女性。ショートヘアで、猫背。鼻水を垂らしていることが多い。しばしば玉吉に食事をたかり、家に上がりこむ事もある。過去に正岡子規の同人誌を作ってコミケで三部売ったことがあり、ゲイツちゃん本の編集に協力する。玉吉に淡い好意を持たれている。
オーバ君 (おーばくん)
雑誌・「コミックビーム」の編集者。ヒロポンが休職したため、新たに桜玉吉の担当となる。有能で仕事が速い。怒ると口がタコのように突き出る。「真面目な常識人」のポジションにあるため漫画内での個性が乏しく、キャラを立てるため頭にスニーカー等を乗せた時期もあったが、定着しなかった。
駐車場のババア (ちゅうしゃじょうのばばあ)
桜玉吉が契約している、駐車場の大家。なぜか車高の高い車を嫌っており、ルーフボックスまで付けているアガペー号にはしばしば難癖をつけていた。屋根が伸縮するアパシー号には喜んで車庫証明の判子を押したが、アパシー号の現物を見るや、まだ車高が高いことをなじった。
集団・組織
有限会社玉屋 (ゆうげんがいしゃたまや)
『幽玄漫玉日記』の主人公・桜玉吉が設立した会社。玉吉が漫画家を続ける上で、負担を減らすための組織作りが目的。主要な業務はイラストの制作や雑誌及び書籍の企画、著作権・版権の管理などだが、ヒロポンの要求により化粧品販売も形式的に加えられている。本職が雑誌「コミックビーム」の編集者であるO村とヒロポンは「影の流れ社員」、漫画のアシスタントでもあるちょりそとみげー君は「光の社員」に分類される。
アスキー
『幽玄漫玉日記』が連載される漫画誌・「コミックビーム」を発行していた、主にコンピュータ関連の雑誌、書籍の制作を手掛けていた会社。株式投資を始めた桜玉吉が、連載をしている縁からアスキー株を選択し、千株を購入した。
場所
ASOVINI (あそびに)
『幽玄漫玉日記』に登場した、連載当時は原宿に存在した店舗。アスキーが管理運営するアンテナショップで、ゲームキャラクターのグッズを販売する。桜玉吉がキャラクターデザインを担当したゲーム・「ピキーニャ!」のグッズも扱っており、その縁で玉屋が店舗内店舗として開店した。玉屋が開店した月の25日に閉店が決定する。
その他キーワード
アガペー号 (あがぺーごう)
『幽玄漫玉日記』に登場する、玉屋の社用車。ベースはステップワゴン。玉屋の強化研修蟲旅行や、アスキー株の購入時などに使用された。ルーフボックスが異様な形をしている。後に、キャンピングカーの「アパシー号」も購入された。
ゲイツちゃん本 (げいつちゃんぼん)
『幽玄漫玉日記』で発行された同人誌。「同人誌を作って即売会に出展してみたい」という桜玉吉の計画が頓挫した後、『コミックビーム』のイベントとして玉屋が同人誌即売会「コミティア」へ出展する事になり、当時単行本化されていなかった漫画「ゲイツちゃん」が同人誌として出版されることになった。「コミティア」では600部が完売。