星守る犬

病のために職を失い、家族からも捨てられた男「おとうさん」が、飼い犬ハッピーとともに、哀しいけれど妙に心晴れやかな自動車の旅に出て、人生の終点を得る中編『星守る犬』と、男の旅をケースワーカー奥津が、おとうさんの終点からさか上って補完する作品『日輪草』(ひまわりそう)の二部構成となっている。平成20年度第12回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推薦作品。

正式名称
星守る犬
作者
ジャンル
レーベル
双葉社
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概要・あらすじ

草原にあった放置自動車の中で、男性と犬の死体が見つかる。彼らはいかなる経緯でそこに至ったのか。病のせいで人生につまずいてしまった「おとうさん」と、ハッピーと呼ばれる白い犬の、哀しいけれど妙に心晴れやかな自動車の旅と終着点での出来事が、淡々とした筆致で描かれる『星守る犬』。後日談にあたる『日輪草』では、彼らの死後に遺体の埋葬を担当したケースワーカー奥津京介が、道をさかのぼって、別の視点から一人と一匹の旅を追ってゆく。

登場人物・キャラクター

おとうさん

妻と娘と、娘が拾ってきた白い犬のハッピーと暮らしていた。だが循環器系の病気で失職し、妻に離婚届をつきつけられて家を失い、故郷だった「南」へ自動車でハッピーと行くことを決意する。作中で本名は一切示されず、ただハッピーが「おとうさん」と呼びかけるか、妻が「お父さん」と呼ぶだけ。 『日輪草』で身元を調べようとした奥津が、リサイクルショップで書類に記入した名前「前田義男」を見つけるが、偽名だったことがわかる。

ハッピー

おとうさんの娘のみくちゃんが拾ってきた、白いオスの雑種犬。基本的にセリフはひらがなで書かれる。妻と娘と家を失ったおとうさんに連れられ、自動車で南に向かう。旅の途中で、尿道結石であったことが判明する。

みくちゃん

おとうさんの娘。小学生の時、捨てられていた子犬を拾って、ハッピーと名付けた。成長して、鼻や舌にピアスをするようなパンクな娘になってしまい、トラブルを起こしては母を嘆かせる。両親の離婚の際は、母についていく。『日輪草』の終盤で、ライブハウスで音響設備をセッティングしている姿が描かれる。 具体的な名前は不明。

おかあさん

おとうさんの妻。優柔不断な夫にいらだちを感じはじめ、彼が病で失職してからしばらくあと、離婚届を付きつけ、判を押させる。さらにおとうさんに財産分与の請求を行い、住んでいたマンションを売って売却金の半分を受け取る。『日輪草』の終盤で、介護福祉士受験のための講座を受ける姿が描かれる。 作品中で名前・年齢はいっさい示されない。

おとこのこ

小学校中学年くらいの、痩せた男子。コンビニエンスストアで菓子パンを万引きしようとしていたが、おとうさんが気が付き、金を払って自分の車に連れてくる。「おじいちゃんが北海道にいます」以上の自分の情報を口にしない。ハッピーは彼をおとこのこと呼び、ペロペロと舐めたあと「かなしいあじ」がすると言った。 『日輪草』の終盤で、電車に乗って北海道へ向かう姿が描かれる。

獣医 (じゅうい)

「フタバ動物医院」の獣医。尿が出ず痛みを訴えるハッピーを、結石が原因と診断し、手術を行った。中年の男性医師。

リサイクルショップHAMA店長 (てんちょう)

ハッピーの手術代を払うため、おとうさんが持ち物を売り払った「リサイクルショップHAMA」の店長。エプロンをつけた、中年男性。

レストランDOLPHIN店長 (どるふぃんてんちょう)

海辺のレストランの店長。腰に前掛けをつけた、中年男性。おとうさんはハッピーと一緒に食事をするため、サングラスを掛けて視力障害者の振りをし、店長にハッピーを盲導犬に見せかけようとする。ウエイターは訝しむが、「他に客はいないし」と店長は受け入れ、海の見える屋外のデッキのテーブルに案内した。

警察官 (けいさつかん)

作品冒頭で、おとうさんとハッピーの遺体を、草原に放置された車内から発見する。警官1名と鑑識4人のチーム。おとうさんの死亡推定時期と、ハッピーのそれが半年以上ずれているのを不思議に思う。

奥津 京介 (おくつ きょうすけ)

後日談『日輪草』に登場する。50代の男性で、独身。祖父と祖母に育てられた。福祉事務所にケースワーカーとして勤め、おとうさんの身元確認と遺体の埋葬を担当する。奥津は死体があった車内から、リサイクルショップのレシートを発見し、身元確認のためおとうさんがやってきた道を愛車1964年型日産ブルーバードでさかのぼり、「リサイクルショップHAMA」を訪れる。

奥津の祖父 (おくつのそふ)

後日談『日輪草』に登場する。孫の奥津京介を引き取って育てた。祖母が病気で寝たきりになった際、祖父は寝室の壁をいきなり壊し、大きなバルコニーを作り、庭に向日葵の種をたくさん撒いた。京介が18のとき、祖父は脳卒中により向日葵畑の中で倒れ、彼に家と1964年型日産ブルーバードと犬を残した。 名前・年齢は不明。

奥津の祖母 (おくつのそぼ)

奥津京介が10歳のとき、祖母は病気で寝たきりになる。それから、一年もたたぬうちに、死去する。向日葵の花が大好きだった。名前・年齢はは不明。

奥津が飼っていた犬 (おくつがかっていたいぬ)

後日談『日輪草』に登場する。茶色っぽい、耳がたれた中型犬。名前は作中で示されなかった。奥津京介の祖父が、京介がひとりぼっちにならないようにと、連れてきた犬。京介はあまりその犬が好きではなかったが、18歳のとき祖父が逝き、犬のぬくもりに感謝することになった。が、その4年か5年後、犬は老衰で命を落とす。 この犬に対して抱いていた様々な感情が、京介をしておとうさんとハッピーの事例に深く関わらせることになった。

吉崎 (よしざき)

後日談『日輪草』に登場する。奥津京介と同じ福祉事務所で働く、若い男性のケースワーカー。名前は不明。数多くの仕事上の「不都合」を上手く処理できないことに苦しんだりする。事務所にはもう一人、若い女性の事務員がいるが、そちらの名前は不明。

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