賢い犬リリエンタール

人の思念を実体化させる能力を持った犬・リリエンタールが、日野兄妹の立派な弟になるべく奮闘し、周囲の人々と交流する姿を描くハートフルコメディ。後半、リリエンタールの能力を求める組織の活動も描かれSFサスペンス要素も強まる。タイトルの「賢い犬」は「かしこいけん」と読む。

正式名称
賢い犬リリエンタール
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
ギャグ・コメディ
 
 
動物擬人化
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
全4巻
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

小学生ながらカンフーの達人である日野てつこと、機械工作の天才である兄の元へ、両親から奇妙な犬・リリエンタールが送られてきた。リリエンタールには人の心に反応して不思議な事を起こす能力があり、その能力を求める謎の組織に狙われていた。組織の追っ手を撃退したてつこと兄はリリエンタールを家族として迎えるが、「普通の生活」や「普通の家族」を良しとするてつこは、彼を弟と認めたがらない。

リリエンタールはてつこの立派な弟となるため日々奮闘し、近所の人々とも交流していく。しかし、そんな日常の陰で、リリエンタールを手に入れようとする組織の工作は絶えないのだった。

登場人物・キャラクター

日野 リリエンタール

一見すると小型犬だが、人語を話し二足歩行できる。知能は幼稚園児程度だが礼儀正しく、時々舌足らずになるも殆どの相手に敬語で話す。その正体はとある研究施設で研究されていた物体「RD-1」に、日野夫妻が生命を与えたもの。近くにいる人の心を現実世界に作用させる能力を持つ。 この能力はリリエンタールの意志に関係なく自動的に発動してしまうものである。研究施設では殺風景な独房に監禁されるなど冷遇されていたが、親身にしていた日野夫妻によって救出された。そのため日野家の立派な弟になろうとする意志が強く、家族や親しい者を大事にする。

日野 てつこ

日野家で日野・兄と共に暮らしていた11歳の少女。日野夫妻から預けられたリリエンタールを家に迎え入れるが、彼を「弟」とは認めたがらず、時おり厳しい態度を示す。幼少期は科学者にして冒険家の父と共に大自然の中で暮らし、サバイバル生活とカンフーの鍛錬に明け暮れた。 後に日本の小学校に通うようになると、カルチャーギャップが原因で級友から疎外され、不登校になる。本来は明るく素直で優しい少女だが、この一件から「普通」であることを重視し、「変」と言われることを極端に恐れるようになった。カンフーの腕前は、手刀で薪を割り、指でレンガに穴をあける程。幼少期より、日野夫妻の研究を狙う者から何度も襲撃されており、実戦にも慣れている。

日野・兄

日野家で妹のてつこと共に暮らしていた、15歳の少年。名前は設定されておらず、周囲の人々からは「(てつこの)お兄さん]」などと呼ばれている。大変優しくかつ鷹揚な性格で、犬(リリエンタール)が弟になる事態をあっさり受け入れ温かく見守っている。既に海外の大学を飛び級で卒業しており、自分の発明品の特許使用料と、馴染みの工場へ週2回勤務することで日野家の家計を賄っている。 機械工作では超人的な技量を持っており、初見のメカを瞬時に分解し、それに改良を加えながら組み立て直す事さえ可能。料理も得意。

日野夫妻

『賢い犬リリエンタール』の登場人物・日野てつこと日野・兄の両親。いずれも優秀な科学者で、「日野博士」と呼ばれる時どちらを指しているかは不明。その研究を数多くのスパイ組織から狙われている。そのため世界中で住処を転々としており、追跡を撒くための工作にも長けている。日野家の近所でも天才科学者ぶりは有名で、奇妙な物や現象も、日野博士によるものといえば概ね好意的に受け入れられている。 父は科学者兼冒険家で、研究施設にいたリリエンタールの解放に尽力した。母は機械工学が主と思われる天才発明家で、海外の大学研究室にて日野・兄をのびのびと心優しく育てた。

春永 ゆき

日野兄妹の隣家に住む、春永家の娘。春永さくらの双子の姉で、日野てつこの同級生。12歳。明るく、面白い事なら何でも受け入れるが、小悪魔的な性格で悪だくみをすると左右の髪が小さな角のように立つ。趣味はテニスと、怪談を仕入れててつこに話し恐がらせる事。 日野・兄に秘かな恋心を抱いている様子。首領のアジトでは魔女カナリーナから魔力を借り受け、活躍した。

春永 さくら

日野兄妹の隣家に住む12歳の少年。春永ゆきの双子の弟で、日野てつこの同級生。読書好きでとても賢く、冷静。リリエンタールの能力で起こる事件に対しても、常に論理的に思考して自分に出来得る範囲で最良の案を提示する。大人も舌を巻くほどドライな発想をする一方、幽霊船に取り残された少女(マリー)を気にかける、てつこやリリエンタールの心情を気づかう、といった一面もある。 後に神堂令一郎から彼の会社にスカウトされるが、どう返答したかは不明。

ウィルバー

黒服の組織の一員。組織ではヨーロッパ支部から日本支部3号アジトに移籍。紳士的な振舞いを信条とし、己の人生を面白くするためなら組織の利益に反することも厭わない。RD-1奪取のため日野・兄を紳士的に誘拐し、彼を人質としてリリエンタールにチェスの勝負を挑むが、その場で初めてリリエンタールがRD-1と知る。 勝負の後、リリエンタールにライバル宣言をし、組織の襲撃を事前に日野家に伝えることを約束する。だが情報提供が組織に知れ、脱走し日野家に居候することになった。戦闘には非常に弱く、ヨーロッパ支部での成績は最下位。だが腕利き達が解決できなかった任務を片付けたことがあり、日本支部の管理官・シュバインにも一目置かれている。

ローライズ・ロンリー・ロン毛

黒服の組織の一員で、ウィルバーの部下を務める青年。本名は不明。通称どおり長髪で、常にローライズパンツを履いて腹部を露出させている。部下になった経緯は不明だが常にウィルバーを立て、公私共にフォローしている有能な男。ウィルバーとリリエンタールにチェスを教え、リリエンタールからは師匠と呼ばれている。 自分自身のことに関しては無欲で遠慮がち。

マリー

リリエンタールの能力で出現した幽霊船の中にいた、幽霊の幼い少女。シャーロットという人形を抱いている。難破船に取り残され餓死したが自分が死んでいることに気づかず、寂しさから近くの船や人を呼び寄せていた。リリエンタール、てつこ、さくらと会って自分の死を悟り消えかけるが、リリエンタールに誘われ日野家の一員となる。 幽霊船とマリーは、春永さくらが聞いた怪談から幽霊に同情する気持ちを元に生まれたもので、実在した幽霊かどうかは不明。生き物を幽霊にして、宙に浮かび物をすり抜けるようにすることができる。また、無生物から物体の幽霊を取り出すことができる。 これにより、食品から取り出した幽霊を食べるなどしている。

宇佐美 文

日野てつこや春永ゆき、春永さくらの同級生の少女。髪をおだんご型に結っている。さくらに片思いをしており、さくらとてつこの仲を誤解して嫉妬心を募らせた。しかしあんこくまじんの一件で反省し、誤解も解けて、てつこと和解する。父が営む書店をしばしば手伝い、大学に勤める母の代わりに台所を取り仕切っていて、料理は並の主婦より上手い。

あんこくまじん

『賢い犬リリエンタール』に登場した怪物。リリエンタールの能力から生まれた黒い人型の物体で、乗用車を片手でつかみ投げるほどの巨体と怪力を持つが、液体化して下水道内を通ることで目立たず移動することもできる。リリエンタール、日野てつこ、春永さくら、宇佐美文を襲った。当初は宇佐美文のてつこに対する敵意から生まれたと思われたが、後にてつこの自己否定感情から生まれたと判明した。 てつこには制御できなかったが、リリエンタールが自力で気絶することにより消滅。その奮闘にてつこの心境が変わり、あんこくまじんの中から一瞬小さな白い手が出て、リリエンタールを救った。後に、てつこが完全に制御する、白いあんこくまじんも出現する。

吉良・ライトニング・光彦

騎士のような鎧を着込み、髪型は武士の髷を結っている男。人々のために危険を顧みず行動し、一度引き受けた事は必ずやり遂げる、強さと優しさを兼ね備えた本物の戦士。リリエンタールがよく見るテレビ番組「ちょんまげ騎士」の主人公だが、リリエンタールの能力によって「ちょんまげ騎士」の世界ごと実体化した。 日野家のテレビを介して二つの世界を行き来できる。リリエンタールと遊ぶため日野家に現れたが、単なる犬と思っていたリリエンタールの礼儀正しさに感銘を受け、また危機を救われたことで恩義を感じるようになった。必殺技は「秘剣ライトニングイナズマ」。

ワリーゼ・カナリーナ

リリエンタールがよく見るテレビ番組「ちょんまげ騎士」に登場する400歳の悪い魔女だが、実は吉良・ライトニング・光彦に恋している。素直に光彦へ気持ちを伝えることができず、光彦もかなり鈍いため、恋心は気づかれてもいない。リリエンタールが割れた風船兵士13号の修理を頼みに来た時は邪険にしたが、光彦に会う口実を作り、好感度を上げるため引き受けた。 元は大人しい少女だったが恋のおまじないを研究するうちに魔法の才能が目覚めてしまった。巨大な樹と自分の生命を魔法で同化させており、樹が枯れない限り死ぬことはない。首領のアジトでは春永ゆきに魔力を貸し与えた。

風船兵士13号

リリエンタールがよく見るテレビ番組「ちょんまげ騎士」の世界で、魔女カナリーナに作られた、風船のように膨らませて使役するゴーレムのような怪物。テレビを介して日野家に現れ、吉良・ライトニング・光彦を攻撃する。力が強く、剣を持っていない光彦を苦しめるが、リリエンタールに弱点である頭の栓を抜かれ、しぼんで無力化した。 栓から息を吹き込んだ者に従うため、以後はリリエンタールの忠実な下僕(リリエンタールは・「ごむぞう」となる)。通常は人に近い体型だが、リリエンタールの指示で胴が長く人を乗せて走れる形態にもなれる。一度、てつこをかばってあんこくまじんの拳を受け、破裂するが、リリエンタールが魔女カナリーナに修理を依頼。 後に復活し、首領のアジトでリリエンタールの窮地を救う。

アキラ

空港から日野家へ向かうリリエンタールを襲撃した、黒服の組織のメンバー。階級はDクラス。アキラ、ジョーと組んで「サングラス組」を結成し、リーダーを務める。重度のガンマニアで、ガンマニア仲間の知人が組織の関係者だったため、そのつてで組織に入った。 リリエンタールを捕えるためバスを襲撃するが、リリエンタールの能力とてつこ、日野・兄の活躍で失敗。なおもリリエンタールを狙ううちにスーパー宇宙ねこと出会う。スーパー宇宙ねことアジト内の自室で暮らすちに、親友のような関係となる。スーパー宇宙ねこが首領に捕えられた際は、救出のため首領のアジトへ乗り込んだ。 銃を持っている間はそれなりに活躍できるが、銃がない状態では平静を失い、日常生活もおぼつかないようになる。

シュバイン

黒服の組織の日本支部で管理官を務める男性。26歳だが既に10年以上組織に在籍しており、悪事の片棒を担いできたことを認めている。その一方で、組織内においてはルールを重視し、トラブルには公正な対処をする。その人物を見込んで庇護を求めたスーパー宇宙ねこを受け入れ、異分子である紳士組や神堂組にも自由行動を認めていた。 組織の首領をかつて尊敬していたが、RD-0を得て変容した首領と組織の行く末に疑問を抱く。首領によるリリエンタール誘拐には日野家側につき、リリエンタール救出に協力する。敗れて消滅する首領から組織全体を託されたが固辞し、日本地区統括支部長に就任した。

スーパー宇宙ねこ

リリエンタールがおえかきで描いた猫のイメージが、監視していたアキラの心に反応してリリエンタールの能力により実体化した。このためアキラとリリエンタールを強く慕っている。リリエンタールと日野てつこのやりとりで次々と能力が追加され、巨大・縮小化・飛行・透明化・壁と同化・催眠光線・とても賢い(人語を流暢に話す)・立派(礼儀正しい)、といった能力を得る。 てつこが描き実体化した血も涙もない虎からアキラと一緒に逃げ、組織のアジトでサングラス組に飼われる。シュバインに保護されるも首領に捕えられ、首領のアジトへ連れ去られる。 しかしそこで復活し、リリエンタールの脱走に尽力する。この時に出会うまで、リリエンタールはスーパー宇宙ねこが実体化している事も知らなかった。シュバインの昇進後、彼の専属護衛と特別顧問に任命される。

血も涙もない虎

リリエンタールがおえかきでスーパー宇宙ねこを描いた際、日野てつこが対抗して猫の絵を描いたが、その異様な出来ばえから、スーパー宇宙ねこを食べるために生まれた「血も涙もない虎」に変更された。リリエンタールとてつこのやり取りで、スーパー宇宙ねこ以上の巨大化・スーパー宇宙ねこ以上の高速飛行・嗅覚・壁を食べる・眠らない・といった能力を得てスーパー宇宙ねことアキラを追い詰めるが、描いた紙をてつこが丸めて捨てたことで消滅した。

エリート組

黒服の組織で管理官候補とされるBクラスの、ピエトロと龍之介の二名からなるチーム。どちらがリーダーかは明確でない。「エリート組」という名称は、二人を将来組織をまとめていく人間と見込んだシュバインが付けたもので、サングラス組は蔑称として「ボンボン組」と呼んでいる。 二人ともサングラス組のように失敗した者を小馬鹿にするが、根は素直で協調性があるピエトロに対し、龍之介は慇懃無礼な野心家。龍之介の勝手な行動で二人ともシュバインに罰を受けている。首領のリリエンタール誘拐に協力するが、実はシュバインの命による潜入工作で、土壇場で首領を裏切りリリエンタール救出に貢献した。

神堂 令一郎

14歳の少年だが機械工学に天才的な才能を持ち、3年前に技術開発の世界的企業「神堂グループ」を創立した。黒服の組織には特別技術顧問として参加しており、神堂組のリーダーとしてシュバインとも対等に会話する。神堂グループが提供した技術を組織は度々悪用してきたため、組織を信用していない。 特にRD-1を組織上層部が入手することを危険視し、先んじてリリエンタールを確保しようとしていた。大学在籍中、既に卒業していた日野・兄の噂を耳にし続けて対抗意識を燃やしており、リリエンタール奪取を期に自ら開発したメカマンティスをもって挑んだが、敗れる。首領のアジトではリリエンタール救出に協力した。

オリガ

黒服の組織で神堂組に属し、神堂令一郎に絶対的な忠誠心と、秘めた恋心を抱いている18歳の女性。組織のヨーロッパ支部大幹部の娘でもあり、それが神堂と出会い部下になった経緯は不明。体術に優れ、目に見えないほどの細いワイヤーと固定鋲で敵を捕縛する戦法を得意とする。 神堂の日野家襲撃に同行し、てつこの相手をしたが、敗れる。首領のアジトではリリエンタール救出に協力する神堂に同行した。

首領

黒服の組織の頂点に立つ人物であり、シュバインによれば70歳近い老人。リリエンタールやRD-0の能力で実体化した存在を「イメージ体」と呼ぶ。RD-0の力で人間を超えた不老不死の体を得ており、外見は青年に見える。RD-0が酷使でガタがきたため、RD-1であるリリエンタールを日野家から奪取する。 アジトではリリエンタールと彼を救出しに来た一同をRD-0による無尽蔵の物量で圧倒するが、RD-0の力と切り離されて敗れる。シュバインの回想によれば以前は穏やかな人物だったが、従来の組織上層部にいた老人たちを相手に昇り詰めたものの、自らの老いを意識した時にRD-0の力を得て、変節したと思われる。 消滅する寸前、神堂令一郎とオリガを証人として、シュバインに組織の全てを託した。

集団・組織

黒服の組織

『賢い犬リリエンタール』に登場する組織。世界中に支部を持ち、金次第で大抵の非合法活動を行い、裏の世界から警察に手を回すことも可能という大規模な秘密組織。組織名は存在せず、ただ「組織」、または「黒服の組織」と呼ばれている。また、組織本部の所在は内部でも一握りの者しか知らず、シュバインや、ヨーロッパ支部大幹部の娘であるオリガでも手がかりさえ掴めない。 内部の構成員には自由な行動を許す風潮が見られるが、傘下企業にはかなり阿漕な対応をしていると見られる。日本支部の3号アジトは温泉旅館を装っており、メンバーが従業員としてバイトすることも可能。

その他キーワード

RD-0

『賢い犬リリエンタール』に登場した装置。とある研究施設で研究されていた、人の意識・心を現実世界に作用させる装置が、その力の強大さゆえ悪用を恐れた科学者により分割された物の片割れ。もう一方の片割れRD-1には生命が与えられ、リリエンタールとなった。いわばリリエンタールとは兄弟のような存在。RD-0はヨーロッパのある場所で厳重に封印されていたが、黒服の組織に暴かれ、首領の手に渡る。 首領の望むままに意識を実体化し続けたが、RD-1無しでの酷使でガタがきていた。首領が敗れた後はサッカーボールほどの大きさの球体となってリリエンタールの手に渡るが、既に崩壊を始めており、消滅した。 しかし、消滅と同時にリリエンタールの尾が変色しており、一部が同化したと思われる。

書誌情報

賢い犬リリエンタール 全4巻 〈ジャンプコミックス〉 完結

第1巻 賢い犬リリエンタール

(2010年2月4日発行、 978-4088700045)

第2巻

(2010年4月2日発行、 978-4088700298)

第3巻

(2010年7月2日発行、 978-4088700540)

第4巻

(2010年8月4日発行、 978-4088700915)

SHARE
EC
Amazon
無料で読む
マンガリスト
logo