概要・あらすじ
本村ひろしは、川松中学校の友人たちと遊びつつも勉強に明け暮れ、航空自衛隊付属の高校に進学するが、環境になじむことができずに1年で辞めてしまう。その後もさまざまな職業を転々とするが、トラブルに巻き込まれて長続きしない日々を送っていた。あるときひろしは、かねてより憧れていた漫画に対する挑戦を始め、集映社に投稿用の作品を持ち込む。
しかし、「インテリジェンスが足りない」などと、手厳しい評価を下されてしまう。
登場人物・キャラクター
本村 ひろし (もとむら ひろし)
漫画家の青年。ペンネームは「本村ひろ志」。川松中学校時代は、友人たちとイタズラに興じることもあったが、勉学には真面目に取り組んでおり、航空自衛隊第四術科学校に無事合格する。しかし、先輩たちとの折り合いが悪く、1年で辞めてしまう。その後もさまざまな苦難に直面しつつも、やがて漫画家を志すこととなる。自身は誠実であるが、力で上から押さえつける大人たちには反感を抱いている。 さらにトラブルに巻き込まれやすい体質のため、常に苦労を強いられている。作者である本宮ひろ志がモデル。
村 (むら)
本村ひろしの同級生の男性。かつて川松中学校で番格を張っていた。乱暴な性格ながらも面倒見が良く、恐れられつつも慕われていた。一方で反抗心が強いうえにケンカっぱやく、幾度も警察に捕まっている。ひろしのことは中学時代から気にかけており、漫画家になる道を全力で応援している。
山根 ゆう子 (やまね ゆうこ)
村の妻。村とは中学時代から交際しており、18歳で既に一児の母親になっている。村の破天荒な振る舞いにも慣れた様子で接している。村が本村ひろしを気にかけていることを知っており、村同様、ひろしに対しては親身に接している。中学時代に同じクラスであった伊藤美智子が、ひろしに好意を抱いていたことを告げている。
伊藤 美智子 (いとう みちこ)
本村ひろしの同級生の女性。在学中からひろしに想いを寄せていたが、ひろし本人は気づいていなかった。アルバイト中のひろしと偶然再会し、今でも好きであることを告げて、交際をすることとなる。しかし、美智子のストーカーらしき男性に脅され、泣く泣く引き離されてしまう。
山崎 一太郎 (やまさき いちたろう)
ベテラン漫画家。集映社で「少年荒野」という作品を描いている。腕はいいが偏屈な性格の中年男性。漫画家を目指していた本村ひろしに、仕事の手伝いを任せる。しかし、ひろしのミスによって完成原稿に墨がぶちまけられ、トラブルになってしまう。
長崎編集長 (ながさきへんしゅうちょう)
集映社に勤める編集者の中年男性。新たに創刊されることになった「少年ダンプ」の編集長を任されている。「男一匹番長列伝」を持ち込んだ本村ひろしに興味を抱き、「少年ダンプ」に連載させることを決める。なお、連載の決め手としたのは、漫画に秘められたハングリー精神を、直接ひろしの口から聞き出したためである。
後藤 (ごとう)
本村ひろしの同級生の男性。ひろしの漫画家への夢を応援しており、彼が苦労していたとき、山路と共に生活費を工面していた。若い頃からちょくちょく悪事を働いては警察に追われていたが、ひろしが漫画家デビューを果たしてからすぐに、窃盗の罪で捕まってしまう。
山路 (やまじ)
本村ひろしの同級生。中学時代から素行がいいとは言えず、よくイタズラをしていた。ひろしの漫画家への夢を応援しており、彼が苦労していたとき、後藤と共に生活費を工面していた。しかし、ひろしが漫画家デビューしてから10年ほど経ったあるとき、事故によって命を落としてしまう。
場所
川松中学校 (かわまつちゅうがっこう)
本村ひろしが通っていた中学校。村や後藤、山路など、ひろしの漫画家への夢を支えた人物たちは、ほとんどがこの学校での仲間たちである。ガラがいい学校とはお世辞にも言えず、なかでもひろしたちは不良として、抗争やイタズラに関わっていた。
航空自衛隊第四術科学校 (こうくうじえいたいだいよんじゅつかがっこう)
自衛隊員になるための専門学校。本村ひろしが通っていた。上下関係が非常に厳しく、反抗心の強いひろしは、先輩の目の敵にされていた。さらにひろし自身、命令をするのもされるのも嫌いであるという理由で、この学校、ひいては自衛隊自体に向いていないことを自覚したため、中退してしまった。
集映社 (しゅうえいしゃ)
主に漫画雑誌などを出版している大手出版社。本村ひろしは、この会社が出版している漫画に、子供の頃から興味を抱いていた。漫画家になることを志した際には、この会社に自作の持ち込みを行っている。その当時こそ、すげなくあしらっていたが、やがてひろしの努力が認められると、「少年ダンプ」の漫画連載を依頼するようになる。
その他キーワード
少年ダンプ (しょうねんだんぷ)
少年向けの週刊雑誌。集映社より新しく発刊されることになった。長崎編集長が中心となり、主に若手の漫画家による作品が連載されている。本村ひろしはこの雑誌によって、デビュー作品となる「男一匹番長列伝」を発表している。モデルとなった雑誌は「週刊少年ジャンプ」であると思われる。
男一匹番長列伝 (おとこいっぴきばんちょうれつでん)
本村ひろしの初連載作品。「少年ダンプ」の創刊号より連載された。チンピラや極道の抗争がテーマとなっている。仁義に主眼を置いた展開が人気を博し、「少年ダンプ」の看板作品となり、のちにアニメ化も果たしている。一方で先輩の漫画家からは、子供に読ませるには品性が不足している、などの手厳しい指摘を受けている。