概要・あらすじ
佐賀県の小学校のクラス委員、供犠創貴(キズタカ)は、不登校生徒の水倉りすか宅への訪問を先生に申し出る。りすかは長野県からの転校生だったが、ほとんど学校へ来たことがなかったため、キズタカはその顔も知らなかった。りすかが学校に来ようが来まいが関係ないが、一人の生徒の登校拒否問題を解決したとなれば、キズタカの評価もあがるだろう。キズタカは、この世のすべてを支配し、すべての人間を幸せにするという野心を持っていた。そのためにはまず、周囲の評価を上げ、いろいろな人間に出会うことが重要だった。その中で、ごくまれに自分にとって使える人間、つまり「駒」と遭遇することができると考えていたのだ。りすかと初めて対面したキズタカは、ひと目で彼女が(ただもの)只者ではないことを感じ取る。出身を問うたキズタカに対し、りすかは長崎県だと答えた。学校には噓をついていたらしい。長崎県は魔法使いが住む魔法の王国であり、佐賀県とは天を衝(つ)く「城門」で仕切られている。手続きさえ踏めば、城門を出入りすることは自由だが、魔法使いは排他的であり、長崎県から出ることは珍しい。仮に長崎県から出たとしても身分を隠すことが普通なので、一般の人間が魔法使いと出会う機会は、ほぼ皆無なのだ。りすかは、行方不明の父、水倉神檎を探しているのだという。人間に魔法を教えるのが趣味だという神檎は、2年前に長崎県を出てしまったらしい。「初対面の自分に詳細な事情を話してよいのか」と問うキズタカに、りすかは「いざとなれば魔法でキズタカを消せばいい」と答えた。りすかを「圧倒的に飛び抜けて使える駒」だと確信したキズタカは、彼女を手に入れるために、ありったけの誠意とあらゆる語彙を尽くして語りかけた。その結果、りすかは黙ってキズタカに右手を差し出し、二人は握手を交わす。その日からキズタカとりすかは、お互いを有用な「駒」だと認識し、行動を共にすることになった。
登場人物・キャラクター
供犠 創貴 (くぎ きずたか)
佐賀県に住む小学校5年生の少年。佐賀県警幹部の父を持つ。この世のすべてを支配し、すべての人間を幸せにするという野心を持ち、その目的達成のためには手段を選ばない。優等生でプライドが高く、周囲の人間を「普通人(できそこない)」と蔑んでいる。多くの事件や事故、事実を通じて、自分の手駒となれる優秀な人間に出会いたいと考えている。魔法使いである水倉りすかを重要な「駒」と考え、共に行動する。また、彼女と一緒にいることで、他の魔法使いにも会えることを期待している。
水倉 りすか (みずくら りすか)
長崎県森屋敷市からやってきた魔法使いの少女。小学5年生で、供犠創貴のクラスメート。行方不明の父、水倉神檎を探している。赤い髪、赤い目が特徴。赤い大きなとんがり帽子を被り、手錠、カッターを装備している。魔法の属性(パターン)は「水」、種類(カテゴリ)は「時間」。魔法の王国、長崎県でも非常に珍しい運命干渉系の能力を持ち、7歳にして「赤き時の魔女」という称号を得た。父により血液に「魔法式」が織り込まれており、詠唱なしで魔法が使える。魔法の具体的な内容は、血を流せば一瞬で時間を進められる能力。例えば、普通に向かえば2~3時間かかる場所でも、血を流すことで途中を省略し、一瞬でたどり着くことができる。また、一定以上の血液が流れ、死の危機に陥った場合は自動的に魔法が発動。17年の時間が一瞬で短縮され、1分間だけ27歳の自分になれる。27歳のりすかは、10歳のりすかと異なり、性格が高飛車で好戦的。己の肉体の時間を「停止」させることも可能で、相手に切りつけられても傷一つ追うことはない。
水倉 神檎 (みずくら しんご)
水倉りすかの父親。彼女の血液に「魔法式」を織り込んだ。魔法の王国、長崎県を離れ、行方不明になっている。人間に魔法を教えるのが趣味。稀代の魔法使いで、神とも悪魔とも呼ばれる「ニャルラトテップ」の称号を持つ。
クレジット
- 原作
書誌情報
新本格魔法少女りすか 7巻 講談社〈KCデラックス〉
第1巻
(2021-08-17発行、 978-4065231548)
第2巻
(2021-11-17発行、 978-4065259832)
第3巻
(2022-03-09発行、 978-4065272688)
第4巻
(2022-07-08発行、 978-4065283790)
第5巻
(2023-04-07発行、 978-4065312889)
第6巻
(2023-11-09発行、 978-4065335062)
第7巻
(2024-04-09発行、 978-4065351659)