最果てリセット

最果てリセット

いじめが原因で転校した日比谷涼は、修学旅行で川の激流に巻き込まれ、「のの村」と呼ばれる閉鎖的な集落にたどり着く。そこは部外者が外界に出ることが許されない恐ろしい場所だった。村で出会った仲間たちと、終わらない脱出劇に挑む涼の姿を描くサスペンスホラー。「ジーンLINE(Web)」で2019年12月から配信の作品。

正式名称
最果てリセット
ふりがな
さいはてりせっと
作者
ジャンル
サスペンス
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あらすじ

最果ての村へ

高校1年生の日比谷涼は、親友の水無瀬幸子に騙されてイジメとレイプの被害に遭い、転校先の高校では必要以上に空気を読もうとして、つねにクラスメイトの顔色をうかがっていた。そんな中、修学旅行で山奥の旅館に泊まることになるが、その旅館は「人食い女将」がいるとネットで噂されている場所だった。その夜、女将の制止も聞かずにクラスメイトたちとの肝試しで立ち入り禁止の洞窟に入った涼は、足を滑らせて川の激流に巻き込まれてしまう。そして意識を失った涼が目覚めると、「のの村」と呼ばれる小さな村にたどり着いていた。そこで涼は村民に手厚く保護され、イケメン大学生の宮藤新、元気いっぱいの高校生ギャル、五十嵐夏輝らと出会う。村の子供たちともなかよくなり、これまで忘れていた楽しい時間を取り戻した涼だったが、のの村は部外者たちが外界に出ることを決して許さない場所で、男は労働者として、女は村の男たちの子供を産ませるために軟禁されていた。

リセット&ループ

日比谷涼が「のの村」に流れ着いて2か月が経過した。涼と五十嵐夏輝は従順なふりをして、なんとか無事に生き延びていたが、そんな二人に恐れていた嫁入りの話が舞い込んでくる。好きでもない男性の子供を産むことに絶望する涼だったが、自分の体が汚れる前に宮藤新や夏輝と協力していっしょに村から脱出することを決意。しかし新はそんな涼に対して、どうせ今夜自分たちは死ぬのだから頑張らなくていいと悲しげに告げた瞬間、二人は大水に飲み込まれてしまう。川で村人に保護された涼は、村人たちが涼を初めて見たような態度を取っていることから、時間が2か月前に戻っていることに気づく。時間が巻き戻る前の記憶を残しているのは自分たち部外者だけのようで、涼は2か月前、夏輝は3か月前への時の巻き戻りを初体験する。実は「のの村」は毎年4月5日に水の底に沈み、1年前の4月5日に戻るというループを繰り返していたのだ。そのループに巻き込まれる条件は、樹海の洞窟内の川に落ちて三途の川を渡ること。それは涼や夏輝、新がすでに死んでいることを意味していた。だが涼はあきらめることなく、三人でこの村から脱出することを改めて誓うのだった。その様子を見た村長の娘の天羽望は、自分もその脱出計画に参加させて欲しいと申し出る。そんな中、「のの村」に新たな人間が流れ着く。それは、かつて涼を騙してイジメとレイプ被害に遭わせた張本人の水無瀬幸子だった。

登場人物・キャラクター

日比谷 涼 (ひびや すず)

高校1年生の女子。年齢は15歳。以前クラスメイトだった水無瀬幸子の成績を抜き、幸子が思いを寄せていた男子生徒から呼び出されたことで恨まれるようになり、イジメを受けたうえに複数の男性からレイプされた過去を持つ。転校して人生をやり直すため、自分を偽りクラスメイトの顔色をうかがいながら、学園生活を送っている。修学旅行中の肝試しで遭難して「のの村」にたどり着いてからは、本来の強さを取り戻し、宮藤新や五十嵐夏輝と共にこの村から脱出することを誓う。暴行されたトラウマから男性恐怖症となっているが、新には好意を抱いている。

宮藤 新 (くどう あらた)

大学生の男性。年齢は19歳で、片耳にピアスを開けた長身のイケメン。寡黙でクールな性格の持ち主で、一見冷たそうに見えるが、困っていた日比谷涼に優しく手を差し伸べた。涼と同い年の妹がいたが、事故で亡くしている。毎年4月5日に「のの村」で発生する時間巻き戻りを3回経験している。

五十嵐 夏輝 (いがらし なつき)

メイクをしたギャル風の女子高校生。ブレザーの制服を身につけている。年齢は16歳。明るく活発な性格で、やや乱暴な言葉遣いをする。日比谷涼より1か月前に「のの村」に漂着した。村で教師を務める佐伯高明に好意を抱いていたが、高明が村から脱走しようとした部外者の首をはねる姿を目撃して以来、恐れている。

佐伯 高明 (さえき こうめい)

「のの村」の学校で先生を務める若い男性。フランス人と日本人のハーフで、金髪で青い瞳を持つイケメン。子供たちに優しく、柔和で穏やかな性格なことから村でも人気者。村の部外者である日比谷涼や五十嵐夏輝ともなかよく振る舞っているが、村長の天羽仁の命令があれば、脱走を企てた部外者の首をはねて殺害することもためらわない。村長の孫娘、天羽望のお目付け役を担い、彼女のことをとても大切に思っている。

天羽 仁 (あもう じん)

「のの村」の村長を務める男性。和服姿で老師のような見た目の白髪の老人。村から脱出しようとする部外者を、佐伯高明に命じて首をはねさせて殺害している。

天羽 望 (あもう のぞむ)

「のの村」の村長を務める天羽仁の孫娘。年齢は12歳。生まれた時から時期村長になるための教育を受けており、非常に大人びた話し方をする。実は母親と妹がいる外の世界へ行きたいと思っており、のの村から脱出したいと考えている。村からボートで脱走しようとした時に川で溺れ、日比谷涼に助けられる。

希望の女将 (きぼうのおかみ)

創業60年になる旅館「希望」の女将を務める老婆。旅館の近くに女将が殺した宿泊客を隠して食べているという洞窟があり、「人食い女将のいる旅館」としてネットで噂になっている。修学旅行で旅館に宿泊した日比谷涼たちに、洞窟には決して近づくなと忠告する。

水無瀬 幸子 (みなせ さちこ)

日比谷涼がかつて在籍していた高校のクラスメイトの女子。当時は涼の親友だった。成績はつねにトップクラスで、バイリンガルなことに加えてスポーツ万能な美少女。しかし涼に成績を抜かれ、好きな男子も取られたと勘違いしたことで涼を逆恨みし、イジメとレイプ事件を起こした。涼が転校してからは会っていなかったが、彼女もまた「のの村」へと漂着して来る。

場所

のの村 (ののむら)

村民300人の小さな村。村の木々、空気、魂すべてに神様が宿るとされている。村民の半数以上は老人で、ここ5年間は子供が生まれていない限界集落。部外者のことを「外者(そともの)」と呼び、軟禁して村から逃げられないようにしている。部外者の男には強制労働をさせ、女には村の男たちの子供を産ませようとしている。村長は天羽仁が務め、村から脱走しようとした部外者は容赦なく殺される。

その他キーワード

のの様 (ののさま)

「のの村」の守り神。村全部の魂に宿って、村民を厄災から守っているとされている。笑顔のような表情の石像の頭部分が川面から出ており、村人からのの様と信仰されている。日比谷涼が1回目の時間巻き戻りを経て目撃した際は、石像に無数の傷が付いていたが、時間ループとの関係性は不明。

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